特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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閑話休題 -次に向けての準備期間-

閑話休題 -36話-[精霊変質①]

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「じゃあな。全部終わればこっちからもアルシェを連れて説明の訪問をするから。
 とりあえず報告が被ってもいいからクレアたちの方でも上手く説明しといてくれ」
「もちろんさせてもらいますけど、
 私の意見はそこまで報告に反映されませんよ?」
「クレアも今回の戦いを見て色々将来を考える良い機会になったろ?
 その辺りも教皇には報告しとけ。俺たちに出来る強力なら時間作るからさ」
「わかりました。また遊びに来てくださいね!」

 ゼノウとフランザを精霊王の下へ届ける前に、
 約束していた送迎とお別れを聖女クレアと行う。
 言葉も交わしながら最後に頭も撫でてやると嬉しそうな顔でまた来てくださいねと口にしてきた。
 愛い奴め。だが男だ。

「サーニャ達はお母さんとしばらく離れるわけだろ?挨拶はしたのか?」
「別に。母とは仕事で普段からあまり顔は合わせていませんし、
 数か月会わなくとも気に掛けていただく必要はありません」

 そう語るのは姉のトーニャ。

「母はあのような性格ですが、私達がクレア様の側付きになってからはあまり干渉もしなくなりました。
 母としてアナザー・ワンの先輩として、一応の線引きもしていますので特に問題ありません」

 続けて語ったのは妹のサーニャ。

「そんなもんか…あ、そうだ。
 クレアにも伝えたけど精霊関係で聞きたいことが有ったら気軽に連絡していいからな」
「わかりました、その際はご相談させていただきます」

 クレアの側付きである彼女たちクルルクス姉妹には兵士達と同じ様に無精の契約をさせている。
 今日やる予定の中で一番の目的でもある精霊の属性を変質させる時期がやがてこいつらにも来るだろう。
 その時は光属性か、もしくは別属性かは今後の精霊との交友次第になる。

 ゲートの向こうであるユレイアルド神聖教国に用意してもらった俺たちの拠点から、
 ゲートこちらのフォレストトーレの原っぱへ手を振るクレアと頭を下げるクルルクス姉妹を見送ってゲートを閉じた。
 しばしのお別れの予定だけど、
 夏に避暑と鍛冶師たちの合宿を組む件と三者面談の為にリッカのご両親の元へ行く時にどうせ顔合わせるっしょ。

「ゼノウ達は挨拶済ませてる?」
「挨拶と言っても今日だけ離れるだけだからなぁ。
 アルカンシェ様もセーバー達も快く送り出してくれたぞ」
「兵役経験はありませんけど、
 途中抜けするのって心臓に悪いですね…」

 だよな!!
 セリア先生がライナーの契約精霊を風精に染め上げるのに大体4時間くらいだったから、
 俺は送り届けたら付きっきりではなく別行動の予定がある。
 まずは陰キャの闇精の元へゼノウを送って、
 その後にナデージュ王妃の元へフランザを届けて離れるとしますか。


 * * * * *
 コッコッ、ココッコッ!

『お待ちしておりました、水無月みなづきさん』
「お伝えしていた通り精霊の変質で伺いました。
 残念ながらお土産は今回は無いです」
『そのような言い方だと私が食いしん坊みたいではありませんか…。
 おじい様の元にはクロエとムーンネピアも居ますので感謝があればいずれあの子達にしてあげてください』
「わかりました。では、お邪魔します」

 大闇精アルカトラズ様の部屋はボスフロアの奥にあるため、
 いつもの如く冒険者の休憩所のバックヤードにゲートで移動し、
 カウンターに繋がる扉向こうの闇精クロエと挨拶を交わす。
 その様子にゼノウが小声で質問してくる。

「今のは?」
「アルカトラズ様の元に残っている上位闇精のクロワさん。
 姉妹精霊のクロエと交代でいつもは休憩所の受付業務をしているんだ」
「フォレストトーレにあるダンジョンの最下層にも休憩所はありますけど、
 もしかしてあの受付の男性も闇精でしょうか?」
「ダンジョン管理はアルカトラズ様が分御霊わけみたまを使って管理してるみたいだよ。
 多分フランザが考えているダンジョンの休憩所も似た造りになっているんじゃないかな」

 俺自身がダンジョンにあまり潜っていないからよくわからないけど、
 フランザ達はそれなりに冒険者をしているからいくつかダンジョンに潜っているらしい。
 いずれ息抜きにギルドクエストの薬草回収でもやろうかと思っていたけど、
 ダンジョン攻略も面白いかもしれないな。

 螺旋空洞の先からはクロワさんの言う通りアルカトラズ様とは別の声が2つ聞こえてくる。

「お疲れ様です。アルカトラズ様」
『おぅおぅ、ようやっと顔を出したな。
 新しい眷族候補の顔合わせを楽しみに待って居ったぞ』

 そう言いながらもキョロキョロとされているアルカトラズ様。

「クーは今日連れて来ていませんよ。
 一応あっちはまだ決着が付いていないのでアルシェの近くに控えさせています」
『なんじゃ残念じゃの。
 まぁ良い。して、どの精霊が我らが眷族となりたい者かの』
「こちらに控えるゼノウ=エリウスという人間と契約している無精ウーノです」

 部屋に入った直後からすぐに膝をつき待機状態に入ったゼノウとフランザ。
 アルカトラズ様との軽口も終えて紹介するためにゼノウを呼ぶ。

「お初にお目に掛かります。
 私は精霊使い[水無月宗八みなづきそうはち]に師事する冒険者、ゼノウ=エリウスと申します。
 この度のお目通りに感謝と精霊変質のお手間を取らせてしまう事に謝罪致します」
『無精ウーノ。よろしくおねがいします』

 ゼノウの挨拶硬すぎんか?
 俺が精霊に慣れ過ぎている所為もあるんだろうけど、
 やっぱりこの世界の人間からしてみると精霊ってすごく神聖で出会うことのない存在なんだな。
 浮遊精霊ふゆうせいれいはその辺にウヨウヨ居るけどどっちにしろ普通の人には見えないしね。

 ウーノはうちの四女として再誕した無精王アニマの影響でちゃんと話せるようになっているはずだが、
 どうにも無精どもは個性が無く恐れ知らずなところがあるな。

『儂が闇精を管理する大精霊アルカトラズ。兼任でダンジョンの管理もしておるわ。
 ようこそゼノウ=エリウス、闇精の里へ。
 そして無精ウーノ。いずれはお主の故郷になるかもしれぬ場所だ、気を楽にすると良い』
「『ありがとうございます』」

 揃った声と動作に、ちゃんと繋がっていることが目に見えて安堵する。
 やっぱり正式な精霊使いとしてこいつらは歩き始めていた。
 変質に動き始めたタイミングとしては丁度良かったらしい。

「あとはお任せしてよろしいですか?
 終わり次第ゼノウ達の回収に伺いますので」
『闇精への変質のウーノだけか?
 まだ控えておるそちらの人間は別口かの』
「あちらはシヴァ様に変質をお願いしておりますので」
『では、今からあちらか。シヴァによろしく伝えておいてくれ。
 ウーノ達の事はクロエもムーンネピアも居るでな、任せると良い』

 アルカトラズ様の言葉に振り返った先では、
 陽の下から脱することに成功した闇精2人がイキイキとした表情で浮遊精霊ふゆうせいれい達と戯れている様子が目に入る。
 ゼノウとも知らぬ仲でもないし任せても大丈夫だろう。

「ゼノウ、俺たちは城に向かうからな」
「わかった。フランザとペルクをよろしく頼む」
『ムン!』
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