特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

文字の大きさ
243 / 458
閑話休題 -次に向けての準備期間-

閑話休題 -47話-[ドーモ。ドワーフ=サン。④]

しおりを挟む
 村に進む道中では、
 俺の隣をタルテューフォが歩き頭を撫でて気分を発散させながら歩く。
 手を離すと頬を膨らませて不機嫌になるのでとりあえず村に着くまでは撫で続けるしかなさそうだ…。

 これで12歳。
 普通の猪なら10~20年が寿命だった気がするから、
 本来ならもう死んでるか半分超えている感じなのに見た目は年齢よりも幼い印象だ。
 アルシェとマリエルも知ったうえで歳よりも幼い子を相手にしている様に見えるし。
 里帰りの時にでもカカ様に人間なら何歳か聞いてみるか。

 ブルー・ドラゴンフリューネは新しいワイバーン形態で俺たちの周りを走り回っている。
 何が楽しいのか岩に羽ばたいて登ったり、頭突きをして岩を壊したり暴れ放題だ。

「フリューネ、そろそろ着くから落ち着けよ」
『あぁ、ごめんね。今後色んな竜種を真似てみようと思うくらいに新鮮だったから、つい』

 ざわざわと騒がしい声が村から漏れ聞こえてくる。
 岩角を曲がれば、村の入り口で壁となるほどに集まっているドワーフ達が見えた。
 ってか、俺の知るドワーフと違ってずんぐりじゃないんだが?

「こんにちわ」

 そんな内心の驚きはおくびにも出さずドワーフの面々に向けて挨拶をする。
 俺の対応に驚いたのか知らないが、全員が一瞬で静かになった所で誰が代表として話始めるのか待ってみれば全員が再び口を開いて何やら文句を言い始めた。

「人間が何しにやって来たんだ!」
「どうせ人間の町で犯罪を犯して島流しになったのだろう!」
「お前も精霊使いの仲間だろう!島から出ていけ!」
「今度は魔物まで連れて来やがって!!」
「ヤマノサチだからってドワーフ相手にいい度胸だ!!」
「精霊使いの次は魔物使いかっ!」
「厄災しかもたらさない人間めっ!!」
「お前も猪も竜もブチ殺してやるっ!!」

 これはタルテューフォもキレるわな。
 来たばかりで島の状況もよくわからないってのにいきなり誹謗中傷に晒されるのだから。
 うちの子達を連れてこなくて正解だったな…。

うるさいな」

 タルの頭を撫でる方とは逆の腕を振るうと誹謗中傷の声はピタリと止んだ。
 まぁ、制御力で一定範囲の振動数を下げただけでこちらに彼らからの声が届かなくなっただけで、
 ドワーフ達もいきなりの事態に困惑しているのか互いを見渡し声が出ず聞こえない状況に混乱し始めた。

「俺たちを殺すとさえずったお前、前に出ろ」
「っ!? 声が聞こえる!?」
「早くしろ」

 俺も日本人だからね。
 礼には例で返すけど、不作法の輩には分相応の対応をさせていただく。
 俺の声を一人の青年のみに聞こえるように制御して意思を伝えるが、
 戸惑うばかりでさっさと前に出てこないので殺気を放出する。

 俺の殺気程度なら耐えられるらしいドワーフ達は逆に冷静になって俺に殺気を返して来た。
 が、その返しに反応をしたのは聖獣と青竜なもんだから、
 瀑布の様な殺気が村を飲み込みほとんどの住人は顔を青ざめさせ尻もちをつき、中にはアンモニア臭を発し始める者も出る始末。
 ただ、俺が指示した青年は口だけ野郎だったのかアンモニア組に入っていてまともに話が出来るようには見えなかった。

 意図せず静かにはなったので制御は解除して改めてまともに状況の説明が出来そうな奴を探して見渡す。

「おいちゃん、話せるか?
 挨拶をしたら口汚く罵られた理由を伺いたいんだが」
「お、お前ら……精霊使いの仲間じゃないのか?」
「話が見えないな。俺たちは今日島に着いたばかりの旅人だぞ?
 その精霊使いとやらの名前は? 現状知っているかどうかの判断も出来ないぞ」
「名前は、知らない。
 本当に精霊使いの仲間じゃないの、か?」

 正体を隠しているからなんともすっきりしないけど、
 とりあえず調査に動き出すにしてももっと詳しい話を伺う必要はあるか…。

「しつこい。村に近づいただけで無礼なドワーフ共がうちのチビをいじめて殺すと恐喝きょうかつした。
 さらに善良な旅人が挨拶したら無礼なドワーフ共が分も弁えず殺気立って口汚く罵って来た。それが現実だ。
 詳しい話を聞かないと納得出来ないから偉い奴のところに連れて行ってほしんだが?」
「ま、待ってくれ!すぐには決められないっ!」
「待つから早くしてくれ」
「その……殺気も治めてはもらえないだろうか」

 はぁ? 何言ってんのこいつ。
 自分達の立場分かってないのかよ……。

「口から出た言葉は戻りはしない。
 謝りも無く殺気を治めてくれとはまだ高い鼻をお持ちらしいな」
「いやっ!すまないっ!
 勘違いしたことは謝る、しかし村の総意を確認しなければ俺にはどうしようもない」
「じゃあ、いってらっしゃい♪」

 俺の付け焼刃な殺気に比べれば数段上の殺気を発する生物が2匹だもんな。
 時間経過で泡を吹いて気絶している者もすでに見渡すだけで結構な数が居るし、
 話が出来たおいちゃんも青い顔でふらふらしながらまだ意識のある者に声掛けを行い村の奥へと消えていった。

 まぁ俺自身としては別に怒りはしていない。
 何か言われるだろうとタルが戻って来た時点で覚悟できていたし、
 言われる対象も俺とタルとフリューネの3人だ。
 これがうちの子供たちに向けられていたら……近い奴の腕の一本は飛んでいただろう。
 それを見たドワーフ共が襲い掛かって来ても全員の腕を飛ばしてまともな生活を送れない様にすることで清算とすると思う。
 長く続く嫌がらせとか実は大好きなんだ。

「(とりあえずドワーフは黙らせたけど一旦村人で俺たちをどうするか話し合うらしい)」
『(わかったです。フラムとベルとウォルベズに伝えるです)』


 * * * * *
 30分も待てば話し合いが終わったのか先ほどの青年と武器を構える5名が迎えに出て来た。
 待つ間に2人が殺気を抑える事はなく、
 青ざめた顔のドワーフが気絶したドワーフを回収する光景を眺めるしかすることが無く暇だった。

「お待たせしました、お客人。
 村長のご子息が対応致しますので自分に付いてきてください」
「ありがとう。本来なら挨拶のあとすぐにその言葉が聞きたかったなぁ」
「状況が状況ですので……。詳しくはご子息に」
「おいちゃん貧乏くじ引いたんだろ。ご愁傷様」
「ははは……」

 お前の所為だろうがっ!て聞こえてきそうな乾いた笑い。
 俺が話しかけた人物だからかこの橋渡し役も押し付けられたのだろう。
 周りの斧やらツルハシを握る護衛役も強張った顔のまま俺たちを警戒しつつ俺たちは村の中を歩き始めた。

「想像していたよりも開拓されてるな」
「大地の力も育まれてて良い土地だよ!」
『グギャアアア!』

 そもそもドワーフ共の格好は土の国内とはいえまだ冬だってのに半裸だ。
 男性はリザード革のシャツと半ズボン。
 女性もチューブトップに軽い上着とスリット入りのスカート。
 寒さに強い種族というのもあるのだろうが、
 村に入ってから妙に熱気が肌を撫でる。

 よく見れば村のあちこちに足湯や地面に鉄格子などもあるから、
 もしかしたら温泉でも村中に引いているのかもしれない。
 あの鉄格子からの湯気も家の床を通ってきたのであれば床暖房の技術を持っているのか?

「こちらです」

 俺たちが村に入った反対方向に大規模な畑を見掛けた瞬間に青年からの声が掛かる。
 家の多くは4~5人家族が住むには良さそうな半球型の家だったが、
 村長の家は複数の家が合体したような見た目で12人は快適に住めそうなデカさだった。

「ソニューザ。連れて来たぞ」
「ありがとう。嫌な役を押し付けて悪かったな、アゾレラ」
「じゃあ、あとは任せるぞ。
 魔物使い様、奥へどうぞ。座って待つ男が村長のご子息です」
「案内ありがとう。
 貴方の誠意に感謝を表したい。フリューネ、殺気を治めてくれ」
『グアッ!』

 多分年上の男性なのに敬語使わせちゃって悪いねって意味で殺気レベルを下げさせた。
 ただし、直接文句を言われたタルは継続してギンギンに殺気立ったままだが。

「ようこそ、旅の方。
 まずは早とちりをして貴方たちを傷つけた事、長代理として謝罪致します」

 奥で座椅子に座って出迎えた男はまだ30代くらいの青年だった。
 俺たちが2m手前で止まると立ち上がって硬い声音で話しかけてきた。

「俺と竜は気にしない。勘違いだと分かったうえで聞き流したからな。
 だが、この子に言った言葉だけはこの子に清算方法を決めさせる。
 殺しはさせないが出来る限り彼女に尽くすように村人に伝えてくれ。
 総意で傷つけたのだろう?」
「そう言われては弱いですね。
 可能な限りは手配しますが彼らにも生活があるので……」
「その辺りはちゃんと言い含めてやる」
「わかりました」

 突ける部分を突いて行こう。
 これでタルを通して村の状況や生活水準とかを調べることが出来るな。

「タル、一回抑えてくれるか?
 まだ言ってくる奴が居たら遊んでいいから」
「死ぬかもしれないよ?」
「自業自得だから大丈夫。 見逃しは1度だけでいいよな?」
「徹底致しますっ!」

 ソニューザと呼ばれたドワーフは即座に動き始め、
 武器を持ったまま待機していた面々に指示を出すと一人を残して散り散りに村へ駆け出して行った。
 村一番の戦士とかそんななのかな?

 パンッ!
「じゃあ仕切り直しましょうか。
 こっちも話すことはありますが、まずはそちらの事情を教えてください」
「え? あ、はい!」

 言葉通り仕切りなおす為柏手かしわでで空気を切り替える。
 音にビックリした顔のソニューザは続く俺の言葉が敬語になっていることで混乱に拍車が掛ったかの様に着いて来れていない返事をする。
 それでも村長代理としての責務からかすぐに持ち直して村の状況の説明を始めた。
しおりを挟む
感想 89

あなたにおすすめの小説

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

処理中です...