特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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閑話休題 -次に向けての準備期間-

閑話休題 -48話-[ドーモ。ドワーフ=サン。⑤]

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「我らエルダードワーフの村は人との親交もなく、長く竜と共に生きる原初の妖精族です。
 ちょうど10年ほど前でしょうか…、流れ着いたのか一人の男が精霊と共に村にやってきました」

 10年前に精霊使いがすでに人の世界から失踪していたのにも驚きだが、
 この島の周囲の海も例に漏れず強い魔物が出るので流れ着くにしても奇跡に近い確率だぞ……。
 ってかドワーフじゃなかった!
 エルダードワーフと名乗り区別してるって事は、本人が言う様に[原初]のドワーフなのだろう。

「その男は少しこの村で生活して体力も回復した後に村外に住処を造り暮らし始めました。
 こちらも特に干渉をしてはおらず何をしているのかもわかっておりませんでしたが、
 今まで不変であった鉱物や畑の収穫量が微量ながら減って来たのです。
 何が原因なのかわからず、また解決法も思いつかなかった我らは様子見をすることとしたのですが、
 ある時に村の若者が男の住処を興味本位で訪れた際に精霊に攻撃される事件が起こりました」

 今のところ住居不法侵入の対処をされただけにしか聞こえんな。
 ただ、ドワーフ達のあの怒り様を鑑みればその男が何かやらかしていて収穫量が下がっていたという話になるんだろうな。
 先読みしちゃって悪いけど、もう結果だけ教えてくれんかね。

「若者が語った内容は驚くものでした。
 男が精霊を使って大地の力を吸い上げて、何の研究の成果かは知らないが、
 複数の契約の無い精霊を奴隷のように操っていたそうです」

 大地の力ってのがわからないな。
 タルも似た言葉を使うけど何を指してのものか知らないし、
 自然魔力の事なのかもしれない。

「我らは複数人で状況の確認と報復のために男の住処へと訪れましたが、
 その際も結局は男の契約精霊の凄まじい力で追い返され男からは邪魔をするなと釘も刺されてしまい、
 現在は村の中で不満が募っている状況でした……」
「薄々感じていましたけど、エルダードワーフって戦闘が苦手なんですか?」
「魔物相手であればそれなりに戦えますが、そう…ですね。
 苦手な部類だと思います。田畑を耕し鉱物を育て自然と共に生きていく我らは多種族との争いが苦手です」

 町で時々見かけるずんぐり体形のドワーフは戦鎚や斧を振り回して戦うタンクって人が多いと聞くが、
 どうやらエルダーの皆さんはしゅっとしたモデル体型の方々ばかりなのでイメージにあるドワーフとは別と考えるべきらしいな。
 武器も斧くらいで他は農具やツルハシだったことからも、
 手先は器用でアイデアが出せる頭脳は持っていても武器の鍛冶の技術は進行していないのかも。

「10年の間実害は収穫量の減少だけですか?」
「いえ、戦闘力の高い精霊も複数操れるようになってからは供物を要求するようになりました。
 幸い仲間を要求される事はありませんでしたが、どうやら島の中央にある大山で何かをすることが最終目的の様です。
 既に何度か地震も起きており何かしでかしていると睨んでいますが、近づけない為何もわかっておりません」

 中央の大山って竜の巣だろ。
 何がしたいのか知らんけど竜を無暗に刺激しないでいただきたいな。
 地震の規模にも因るけど、まぁ男は目的に向けて進行しているのは確かだろう。

「事情は分かりました。内容を伺った限りで私が関わっては居ないようです。
 とはいえ、それを証明することは出来ませんが…。
 ただ、人間が他種族の方に迷惑を掛けているのであれば解決に協力をさせていただきたい想いはあります」
「それは…嬉しいお申し出ですが……、精霊の数は日増しに多くなっています。
 今では100人を下らない数になっていて、いくらヤマノサチとワイバーンを連れていても難しいでしょう。
 魔物使いの貴方は戦闘力が我ら程度とお見受けします。本格的に敵対すれば怪我では済みません」

 村の状況の聞き取り調査はこれで終わりでいいか…。
 職業の勘違いも誘導が上手く決まって魔物使いと思い込んでくれたためか、
 案外スムーズに話をすることが出来た。

「その辺りも踏まえて、次は私たちがこの島に来た理由の説明を致します。
 まず目的ですが、地竜の王様と近くに住む混血のドワーフに用向きがあり島に来ましたが、
 案内をしてくれる方が近くに混血ではないがドワーフの村があるというので情報収集がてらに訪れた…、
 というのがこの村に来た理由になります」
「地竜の事は島外には伝わっていないと思っていました。
 失礼ながらどこでその話を聞いたのでしょうか?」
「土精の知人に調べてもらいました。
 今後どうしても協力いただく必要があったので橋渡しは出来なくても居住だけは、と無理を言いました」
「そうですか……それでは本当に偶々立ち寄っただけだったのですね…。
 せっかく島外からわざわざ訪れてくださったのにお仲間に不愉快な思いをさせてしまい、重ねて謝罪致します」

 座ったままではあるけど、
 村人の対応に非があった事を改めて認識したソニューザ氏が深々と頭を下げる。
 その姿を見つめる護衛のドワーフも合わせて頭を下げた様子を見れば、
 俺の中に微かにあった敵愾心は完全に払拭された。

「謝罪を受け入れます。
 タルはどう? まだ怒ってる?」
「話が長くてもう怒ってないのだ。
 でも、何か美味しいものくらいは楽しみたいと思ってる」
「だそうです。解決に協力する報酬でもいいので何か郷土料理でも食べさせてあげてください」
「ありがとうございます」

 さて、彼の敵意も無くなり、
 どちらかと言えば村全体にストレスが蔓延していたとはいえ申し訳なさが前面に出ている様子。
 これだけ心の壁を砕けば俺の踏み込んだ話も落ち着いて聞いてもらえるだろう。

「堅苦しい話はここまでにしたい。
 ソニューザ氏、勝手ながら友人として歓迎してもらえるだろうか?
 この堅苦しい喋り方もあまり得意では無くて…」
「はははっ!わかりました、じゃなくて。わかった。
 私の事はソニューザと呼んでくれ、君の事は宗八そうはちと呼んでも構わないか?」
「あぁ、よろしくなソニューザ。
 改めて、人間の水無月宗八みなづきそうはちだ。職業は精霊使いをやってる」

「「え!? 精霊使い!?」」

 驚かれることまでは想定内だから、
 早合点をして敵意が再度持ち上がる前にネタばらしで釘を刺しておこう。

「最初にタルを追い返したときに精霊使いを敵視している事はわかっていたからな。
 落ち着いて話と説明が出来る状況を造る為に魔物使いと勘違いさせる方向で接触させてもらった。
 もちろん、ソニューザ達ドワーフを苦しめている精霊使いとは繋がりはないし、
 今までの説明に嘘も無いからな」
「あ~、いや、そうだな。
 俺たちの初動が拙かったのは確かだし初めて訪問した人里なら警戒せざるを得ないか…。
 精霊使いである事実に変わりないからかかわりを疑われるのは必然。
 では、そのヤマノサチとワイバーンは何なんだ? テイムしていないのか?」

 あくまで無言な護衛のドワーフと顔を合わせたソニューザは予定通り困惑顔をした後に、
 すぐに落ち着きを取り戻して俺の「そうせざるを得なかった」村の状況に理解を示してくれた。
 そして当然の流れで俺の傍で座るタルテューフォとフリューネの所在について疑問を呈してきた。

「タルテューフォ、ヤマノサチは親御さんから面倒を見るように頼まれていて仲間の扱いだな。
 フリューアネイシア、ワイバーンは…姿を変えてもらってるけど正体はブルードラゴンだよ。
 ここの島の王様と同類だね。ちなみにこっちは友人に近い関係かな」
「テイムしていない聖獣に友人関係の青竜?
 にわかには信じられないがヤマノサチが居るはずの無いこの村に居ることと、
 今まさに目の前で姿が変わった元ワイバーンを見れば宗八そうはちの言葉に嘘はないんだろうな…」

 あれ? こいつタイミングを計って勝手に元の小竜の姿に戻ってやがる。
 まぁソニューザの説得が円滑に進んだからいいけど予告も無く勝手をするんじゃないよ。

宗八そうはち、魔物使いではなく精霊使いなら契約精霊が居るのでは?」
「村の外で待機させている。
 呼んでもいいなら合流はしたいけど、まだ俺の正体を正しく理解しているのは2人だけだしな。
 幼い子もいるからひとまず村を出て合流後に例の精霊使いの調査をしておこうかと思っている。
 俺たちが出ている間にソニューザ達で上手く説明をしてくれると負担が無いんだがなぁ…」チラチラ

 チラチラと目配せを送る。
 そしたら今日は調査、村に帰って飯を食って寝て、翌日対処に動けるんだけどなぁ。
 でも、村人全員に俺が説明してい回るのは骨が折れるってか面倒くさいなぁ。
 という思いを込めてソニューザ並びに護衛のドワーフへとウインクも混ぜてアピールした。

「……はぁ、わかった。村人への説明はこっちで請け負おう。
 ただ、旅人に解決までの高望みは流石にしていないけれど協力と言ってもどの程度の話をしているんだ?」
「精霊使いの意思を確認して狂っていれば排除。
 迷惑を掛けている事に心を砕きながら仕方なくやっているなら別の場所を提供したりとかかな。
 基本的には根本からの解決しか考えてはいないよ」
「そ、そうか。期待はせずに成果報告を待っているよ」

 よ~し!うまく話も付いたし飯と寝る場所の心配はしなくて良くなったぜ!
 結構時間を使っちゃったし早めに合流して例の精霊使いとやらの事情とやらかしている内容の把握を頑張らないとな!
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