特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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閑話休題 -次に向けての準備期間-

閑話休題 -57話-[ドラゴドワーフ①]

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「こんな状態のファレーノは初めて見る……。
 水無月殿、本当に大丈夫なのか!?」
さなぎみたいなものですよ。
 一旦体を構成している魔力を解いて改めて再構築してるんです」

 無事に下半身を浄化され上半身のみとなった土精ファレーノは、
 光の柱が失せる頃には卵の姿を取っていた。
 俺の時と同じく契約者に浮遊しながら付いて回る姿を見て剣聖けんせいセプテマ=マーズテリア氏は不安そうな顔で問うて来たからわかりやすく説明してみる。

 セプテマ氏が彼女と契約した時はすでに上位位階だったから、
 このような卵姿は初お披露目なのだろう。

「退化とはいえ掛かる時間は相応でしょう。
 うちの子供たちでも半日とかですからファレーノの場合は3日くらいこの状態かもしれません。
 ともかく彼女が出てくるまでは村で安静にしていてください。
 貴方も衰弱しているんですから」
「う、うむ……。
 迷惑を掛けた手前顔を出しづらいがやむを得ないか……」
「でも、まずは手前で待機だよね?」
『我々も今日顔を合わせたばかりです。
 出来れば混血村に向かったドワーフと一緒に村に戻るのが一番騒ぎにならないです』

 タルも状況を理解している様で良かった。
 INTを[魔力付与ギフト]で上げた甲斐があったかな?

「俺は寄り道してからエルダードワーフ達を追って混血村に向かってみるから、
 護衛として彼らに付いてやってくれ」
『ベルとフラムもこっちです?』
「我慢はしてるけど限界も近そうだしな。
 今日は頑張ってくれたしそろそろ加階出来そうだから村に戻ったら進化しような」
『はい!』『うん!』

 俺が忙しい時期に契約しただけあって最初の加階に時間が掛かってしまったが、
 ようやく日中にも拘らずウトウトし始めた末っ子’sは今後の予定を伝えてお姉ちゃんに預ける。
 以前アクアもこんな状態で戦ってくれていたけれど相当辛そうだったからな…。

「おぉ~い!フリューネ達もこっち来~い!」

 村に戻す前にセプテマ氏に紹介しておかないと攻撃されそうなメンバーを呼び寄せる。
 ワンコロよろしく結構な速度で喜び勇んで飛んでくる竜を見て剣聖けんせいが警戒の色を見せるも手で制して敵ではないと伝えた。

『終わったなら早く呼んでよねぇ』
「急展開が多すぎて剣聖けんせいを混乱させるからちょっと時間を置いただけだろ。
 セプテマ氏、こいつは青竜のフリューネレイシア。あっちは土精でウォルベズと言います。
 どちらも仲間なので斬ったりはしないでくださいね」
「……話に頭が付いて行かぬが、時間をかけて納得しよう」
「ははは、ゆっくりで大丈夫ですよ。
 それより何か洞穴から回収するものとかあれば拾ってきてくださいね」

 呼ぶのが遅いと不満を漏らすフリューネを撫でて黙らせ、
 遅れてドスドスと重い足取りでこちらに向かってくる岩蜘蛛を指差しながら剣聖けんせいに紹介した。
 ついでにおそらく生活していたであろう洞穴に回収物があればと伝えたところ、
 青い光が灯った大き目の片手剣を洞穴の奥から持ち出して来た。

「それだけでいいんですか?」
「うむ。服などの衣服はほとんど残っていなかった。
 インベントリにズボンだけでも入っていて良かったわ!ははは!」

 豪快に笑ってるけど今は季節で言えば春先になる。
 水の国では無いとはいえ上半身裸のまま外をうろつくとか正気の沙汰ではないな……。
 乳首立ってるから寒いには寒いと感じているはずなのに、
 これくらい出来なきゃ剣聖けんせいに成れないのかな?

「じゃあ、先に村の方向へ進んでおいてください。
 このサイドテールの子が一番しっかりしているのでこの子の言う通りにお願いします」
「うむ、よろしく頼む」
『はい、こちらこそよろしくです』


 * * * * *
 そんなわけでノイに全員を任せて、
 俺はタルが言っていた中央に向かって大地の力が減っている原因の調査に寄り道しているわけだが…。

「なんでこっちに来たの」
『ナイトが姫から目を離すのはどうかな?』
「お前オスじゃん」
『比喩だよ。わかってるくせに』

 ブルー・ドラゴンフリューネが俺の指示に従った振りをして勝手に戻って来たらしく、
 護り手なら離れないでよと駄々を捏ね結局連れて行くことになってしまった。
 おそらくフリューネの所業に気付いたタルを説得するのにノイが頑張っている事だろう。

「黄竜のお膝元まで進むことになる可能性もあるんだから、
 あまりテリトリーに近づくのは不味いんじゃないのか?」
『僕にとっては黄竜に睨まれるより魔神族に襲われる方が怖いから。
 宗八そうはちが一緒ならどっちもなんとかなるでしょ?』
「なんでも出来るわけじゃないんだぞ。
 フリューネともフロストドラゴンとも正面切って戦ったことはないんだから、
 黄竜相手に手も足も出ない可能性はあるぞ」
『その時は力を合わせて倒そうよ』

 倒しちゃイカンのだが?
 う〇こ生成を協力してもらいたいだけなんだが?

「この洞窟だな。
 剣聖けんせい達の洞穴を優先したから奥まで調べなかったけど、
 やっぱりタルを話を聞く限りは別動隊が居そうだし」
『結局大地の力って何なのかな?
 タルテューフォしかわからないのに、あの子説明ヘタクソで全く見当が付かないんだけど…』
「それなぁ~。
 見た感じアーグエングリン特有の荒野が広がっているだけだし、
 特段おかしな所も無いから俺たちだけだと注意のしようもないんだよなぁ」
『危険性もピンと来ないしね』

 大地の力ねぇ~。
 単純に考えれば星の命とかだけど、
 島の中でさえ一部が失われているってことは流石にそれは安易だとわかる。
 他だと植物が育たないとかだけど、
 そもそもアーグエングリンの土壌の性質的にそれは当たり前の話。

 などと考えながら洞窟を進んでいく。
 シャクシャクシャクと足音の響く洞窟は何の変哲もない洞窟に見えるが、
 一直線に島の中央に向かって伸びている事だけは意図して掘られた洞窟であると見当は付けられた。

 シャクシャクシャク。
 シャクシャク…。
 シャク……。

『どうしたのさ、急に俯いて』
「大地の力の減少。これかもしれないなって思って」

 外では特に気にならなかった足音が洞窟に入ってから音が響くことで気が付けた。
 しゃがみ込んで足元に敷き詰められた砂を握り込んでみたり指の隙間から流してみても、
 なるほど普通の砂であることは明らかだった。

『どういうこと?』
「俺の世界でも深刻だったけど、大地の力が失われると砂漠化が進行するのかもしれない。
 ここは本来存在しない洞窟だけど、岩に含まれる大地の力を減少させることで脆くなりやがて砂になるんじゃないか?」
『砂なんてこの土地ならいくらでもあるんじゃない?
 それに砂漠化が正しいとしてどのくらい危機感がある現象なの?』
「外は風が吹くから脆くなって砂になった部分も風化したり風に流されて散らばれば特に違和感は感じないけど、
 この洞窟は風が通っても長い洞窟なら多くは流されずに中に残る。
 実際入口近くは砂が少なかったのに奥に進むにつれて足音が気になる程に砂が多くなったのは事実だしな。
 砂漠化に関しては俺も聞く程度だったけど、
 単純にすべてが砂ばかりになるから食料や飲み水の確保が難しくなるし寒暖差が激しいから生き延びられる生物も限られる。
 それに周囲へ伝播しているっぽい?まぁこれはよく聞くだけで本当なのか知らんけど…」

 流石にこの洞窟だけで砂漠化は言い過ぎだとは思うけれど、
 もっと上位の瘴鬼デーモンなら時間を掛けずに大地の力を消耗させることも可能かもしれない。
 そうなってくると色々と面倒だし対策も考えなければならなくなる。

『それって僕の島も砂になるのかな?』
「普通は考えられないけどな…。
 まだアーグエングリンでしか確認できてないわけだから俺の考えすぎって事もあるよ。
 でも、アスペラルダでも同様の現象が確認されれば……」
『可能性が出てくる、か。面倒だね』

 ともかく今は進行している瘴鬼デーモンの仲間を浄化で消し去ってしまおう。
 捕獲出来れば研究出来るかもだけど、
 精霊にも人にも寄生が出来るなら魔法ギルドの連中に頼るわけにもいかない。
 本当に面倒だな。
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