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閑話休題 -次に向けての準備期間-
閑話休題 -58話-[ドラゴドワーフ②]
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足元の砂地に気付いてからよくよく周囲の岩肌を見てみれば、
表面が剝がれかけている部分が多くみられた。
剥離性のある岩でなければこれは通常有り得ないし、
この洞穴周辺の岩にその傾向は見つからなかったという事は、
やはりここに長居をするのは良くないのだろう。
「大雑把に魔法を使えば崩れて面倒になりそうだ。
フリューネも尻尾とか翼が壁に触れない様に気を付けてくれよ」
『わかってるよぉ。
でも魔法剣が使えないならどうするのさ?』
「光魔法なら何でも浄化出来るから別のやり方をするよ」
小さくなってもまだ程々に大きいフリューネを背中に抱えたまま奥を目指す。
声や足音に気付かれない様に制御力で響かないように抑え道なりに進んで行けば、
真っ暗闇のその先に下位瘴鬼の気配を複数感じた。
「あいつらは暗くても問題ないって事がわかったな。
これ以上近づくと流石にバレるしここから浄化するか」
『どうするのさ?』
「本日大活躍の遠近無視の副産物で対処するよ」
遠近無視する時空魔法[イグノアパースペクティブ]。
遠くにいる対象に対し多少干渉する程度の能力の魔法である。
引っ張ったり押したり小突いたりと基本的に嫌がらせ程度しか今のところは能が無い。
「《イグノアパースペクティブ》」
しかし、両手で輪を描くように下位瘴鬼を捉え……。
「《ライトボール》」
「「「「「ギャーーーーーーッ!!!!」」」」」
このように本来は小規模の初期魔法を使うと、
突然意味わからんほど魔力を消費して下位瘴鬼共はジュッ…という音だけを残し姿を消した。
『あんな死に方しとうない……』
「おい、口調どうした。どこで覚えた方言じゃい」
遠近無視の怖い所を説明しよう。
俺は今回[対象を全員包むようにバレーボール程度の光球]を出そうというイメージを持って魔法を唱えた。
でも、実際に発動した光球は[対象を全員包むように直径3mほどのデカさ]で発動して、
その差分魔力もガクンと持って行かれた。
此処と向こうでの差分が俺のイメージとは関係なしに徴収されるわけだ。
MP低い奴がこんな魔法使った1発で全損からの気絶の流れは確定的に明らか。
お遊びの様に消し去られた下位瘴鬼の姿を見て、
フリューネが身震いを1度してから変な口調で述べた感想にツッコミを入れ、念のため洞窟の奥まで進む。
「《ライトボール》。
風化はしちゃってるけどまだ竜の巣までは届いてないな」
『それは良かった。じゃあ早く出ようよ』
さっきの光景がまだ忘れられないのか俺を頭突きで急かすフリューネ。
あれは特攻の手札を俺が持っていた事と下位瘴鬼が弱いからであって、
ブルー・ドラゴンに特攻はあっても弱くはないんだから流石にあんな死に方はしないだろうに。
『はよう!はよう!』
「だからどこで覚えたんだその口調」
* * * * *
洞窟を出てから事前にエルダードワーフに教えてもらっていたある程度の位置と、
フリューネの鼻を頼りに岩山を超え獣道を通り抜け山道にようやっと出てくることが出来た。
「自生している植物もあるけど、
道の確保のために適当に切られている様子から食べたりは出来ないタイプか」
『もう道なりで辿り着けそうだね』
手入れはされていないだろうにそこまで大きく育っていない植物を掻き分け、
アーグエングリンの植生を勉強しながら山道を進んで行く。
とはいえ、流石は秘境とも言うべき竜の巣の本山なだけはあり、
斜面は急だし小さい石はよくコロコロと落ちてきて足を掬おうとするしその辺の石を飴の様に口に含む大型の山羊の様な魔物も見かける危険な場所である事実はすぐに理解出来た。
いずれも空を跳べる俺たちには関係はないけど、
よくもまぁエルダードワーフ達はこれを登れたもんだね。
山道の途中に断崖絶壁があっても命綱や補助をするロープの一つも無いんだもの。
全部自力でしかも大量の食料も運びながら登山したのだと考えると彼らも彼らで規格外なのかもしれない。
戦闘は出来なくてもアルピニストには違いない。
「多少ズルしたけどやっと中腹かな?」
『山頂の方に竜がいるならこの辺が話に聞いた混血ドワーフの村がある辺りだと思うけど……』
中腹で平らとはいえそれなりに大きい岩がゴロゴロとあって視界は開けていない。
それでも気配をギリギリ感知出来るところまでは近づいているっぽいのでもう少々登山をすれば村を囲む柵を見つけた。
外周に沿って歩いてみれば入口に立つエルダードワーフの青年も発見することが出来た。
「お疲れ様です」
「おわっ!? って貴方ですか…。
よく人間がこんなところまで登ってくることが出来ましたね」
「この程度は誰でもとは言えませんけど結構いると思いますよ?
それでソニューザとトーヴィルは中に入ってるんですか?」
「えぇ、今は体調とか異変は無いかを調査中です」
青年と挨拶を交わしてから村の中に入ってみると、
特に誰かが暴れたりした形跡もなく家々も無事。
まぁ、下で処理した下位瘴鬼はここの真下にも到達していなかったから、
オベリスクが無い限りは影響は出ていないと考えていたし予想通りかな…。
ただ、10年間のうちいつのタイミングで何が起こり瘴鬼が島に上陸したのか等は聴取する必要はある。
現状、瘴鬼が活動していたにしては成果が少ないという部分が気にはなっている。
「ソニューザ」
「宗八? 何故ここに居るのだ?
精霊使いの元へ向かったのではなかったのか?」
一番建物として大きいだけではなく、
入口も5mはある変な家の中にエルダードワーフの村長代理の青年は居た。
側には竜鱗が肌の各所に生え、
立派な尾と角が生えた褐色の女とそいつを抱き込むように眠る土色の竜が転がっている。
「精霊使いは正気を取り戻した。
大地の力が減少している原因と思われる奴も討伐が完了したからこっちに顔を出してみた」
「顔を出してみたって……まだ5時間くらいの話だぞ?」
「正直そこまで強くはなかったし手遅れじゃなかったからな。
原因がどうやってこの島に出現したのか細かな部分はこれからだけど、
聴取すべき対象が弱っていて話を聞けないんだよ」
「……弱かったのか」
君らエルダードワーフは戦闘種族じゃないからね。
そこは落ち込んだところで農業や鉱山で鍛えたステータスがあっても、
島が平和過ぎて戦闘技術がクソなんだから仕方ないじゃないか。
「それで? あまり家が無いけど混血ドワーフって何人居るんだ?」
「この女も含めて今は29人だな。
竜と交わったことで寿命は延びたが出生率が下がってしまったらしい。
そもそも起きている時間もやる事がないという理由で大半寝ている始末だし恋も知らない者がほとんどだろう」
褐色の女と竜を改めて観察してみると、
高身長のソニューザよりもさらにデカイ事が分かる。
2m強ってところかな。
そのデカイ女を抱くながら眠る竜は当然ながらもっとデカイ。
入口が大きいのはおそらくコイツが出入りするからなのだろう。
「魔力があればひとまず餓死することはないんだっけか?
大地の力の減少原因はこの村の真下にも到着していなかったから多分影響は出ていないと思うけど、
今のところ何か気になる事とかあったか?」
「あっけない程に何も。
こっちの竜も異常なく呑気に眠ったままだしな」
フリューネや土精王ティターン様から伺った話に出て来た土竜は、
アース→アンバー→イエローの順で偉いという事だった。
これはアイス→フロスト→ブルーのフリューネを参考にすれば理解しやすかったが、
この眠る竜は色的にアースなのかアンバーなのか正直よくわからないな。
「さんざ脅しつけたのは俺だけど、
問題ないなら今日は村に帰って明日イエロードラゴンを訪問しようかと思ってるんだけど」
「トーヴィルが数人を連れて周囲を見回っている。
それで問題なければ村に戻って宴の準備だな」
「タルだけ豪華にしてくれればいいよ。
あと例の精霊使いも居るけど事情次第では許してやってくれな」
こんな田舎島に引き籠って剣聖が何を成そうとして取り込まれたのか。
この島で何が起こっていたのかは結局のところ本人から聞くしかないからね。
「幸い怪我人だけで済んでいたからそこは考慮するさ。
暴れたとしても宗八が抑えてくれるんだろ?」
「さっきの様子からこれ以上問題を起こすとは思えないけど、
もし何かの間違いが起こったら四肢を折ってでも止めてやるから安心してくれ」
「その自信が架空の物ではなく下地の付いた物であると信じてるよ」
「いやいや、あれ程度で返り討ちに合うとか逆にエルダードワーフ弱すぎ問題だからな」
こっちに居る短い間だけでも自警団のメンバーを血反吐吐くほど鍛えて自衛くらい余裕になってもらわんと。
こういう純朴な奴らが知らぬ間に自然界から淘汰されるんだろうな。
表面が剝がれかけている部分が多くみられた。
剥離性のある岩でなければこれは通常有り得ないし、
この洞穴周辺の岩にその傾向は見つからなかったという事は、
やはりここに長居をするのは良くないのだろう。
「大雑把に魔法を使えば崩れて面倒になりそうだ。
フリューネも尻尾とか翼が壁に触れない様に気を付けてくれよ」
『わかってるよぉ。
でも魔法剣が使えないならどうするのさ?』
「光魔法なら何でも浄化出来るから別のやり方をするよ」
小さくなってもまだ程々に大きいフリューネを背中に抱えたまま奥を目指す。
声や足音に気付かれない様に制御力で響かないように抑え道なりに進んで行けば、
真っ暗闇のその先に下位瘴鬼の気配を複数感じた。
「あいつらは暗くても問題ないって事がわかったな。
これ以上近づくと流石にバレるしここから浄化するか」
『どうするのさ?』
「本日大活躍の遠近無視の副産物で対処するよ」
遠近無視する時空魔法[イグノアパースペクティブ]。
遠くにいる対象に対し多少干渉する程度の能力の魔法である。
引っ張ったり押したり小突いたりと基本的に嫌がらせ程度しか今のところは能が無い。
「《イグノアパースペクティブ》」
しかし、両手で輪を描くように下位瘴鬼を捉え……。
「《ライトボール》」
「「「「「ギャーーーーーーッ!!!!」」」」」
このように本来は小規模の初期魔法を使うと、
突然意味わからんほど魔力を消費して下位瘴鬼共はジュッ…という音だけを残し姿を消した。
『あんな死に方しとうない……』
「おい、口調どうした。どこで覚えた方言じゃい」
遠近無視の怖い所を説明しよう。
俺は今回[対象を全員包むようにバレーボール程度の光球]を出そうというイメージを持って魔法を唱えた。
でも、実際に発動した光球は[対象を全員包むように直径3mほどのデカさ]で発動して、
その差分魔力もガクンと持って行かれた。
此処と向こうでの差分が俺のイメージとは関係なしに徴収されるわけだ。
MP低い奴がこんな魔法使った1発で全損からの気絶の流れは確定的に明らか。
お遊びの様に消し去られた下位瘴鬼の姿を見て、
フリューネが身震いを1度してから変な口調で述べた感想にツッコミを入れ、念のため洞窟の奥まで進む。
「《ライトボール》。
風化はしちゃってるけどまだ竜の巣までは届いてないな」
『それは良かった。じゃあ早く出ようよ』
さっきの光景がまだ忘れられないのか俺を頭突きで急かすフリューネ。
あれは特攻の手札を俺が持っていた事と下位瘴鬼が弱いからであって、
ブルー・ドラゴンに特攻はあっても弱くはないんだから流石にあんな死に方はしないだろうに。
『はよう!はよう!』
「だからどこで覚えたんだその口調」
* * * * *
洞窟を出てから事前にエルダードワーフに教えてもらっていたある程度の位置と、
フリューネの鼻を頼りに岩山を超え獣道を通り抜け山道にようやっと出てくることが出来た。
「自生している植物もあるけど、
道の確保のために適当に切られている様子から食べたりは出来ないタイプか」
『もう道なりで辿り着けそうだね』
手入れはされていないだろうにそこまで大きく育っていない植物を掻き分け、
アーグエングリンの植生を勉強しながら山道を進んで行く。
とはいえ、流石は秘境とも言うべき竜の巣の本山なだけはあり、
斜面は急だし小さい石はよくコロコロと落ちてきて足を掬おうとするしその辺の石を飴の様に口に含む大型の山羊の様な魔物も見かける危険な場所である事実はすぐに理解出来た。
いずれも空を跳べる俺たちには関係はないけど、
よくもまぁエルダードワーフ達はこれを登れたもんだね。
山道の途中に断崖絶壁があっても命綱や補助をするロープの一つも無いんだもの。
全部自力でしかも大量の食料も運びながら登山したのだと考えると彼らも彼らで規格外なのかもしれない。
戦闘は出来なくてもアルピニストには違いない。
「多少ズルしたけどやっと中腹かな?」
『山頂の方に竜がいるならこの辺が話に聞いた混血ドワーフの村がある辺りだと思うけど……』
中腹で平らとはいえそれなりに大きい岩がゴロゴロとあって視界は開けていない。
それでも気配をギリギリ感知出来るところまでは近づいているっぽいのでもう少々登山をすれば村を囲む柵を見つけた。
外周に沿って歩いてみれば入口に立つエルダードワーフの青年も発見することが出来た。
「お疲れ様です」
「おわっ!? って貴方ですか…。
よく人間がこんなところまで登ってくることが出来ましたね」
「この程度は誰でもとは言えませんけど結構いると思いますよ?
それでソニューザとトーヴィルは中に入ってるんですか?」
「えぇ、今は体調とか異変は無いかを調査中です」
青年と挨拶を交わしてから村の中に入ってみると、
特に誰かが暴れたりした形跡もなく家々も無事。
まぁ、下で処理した下位瘴鬼はここの真下にも到達していなかったから、
オベリスクが無い限りは影響は出ていないと考えていたし予想通りかな…。
ただ、10年間のうちいつのタイミングで何が起こり瘴鬼が島に上陸したのか等は聴取する必要はある。
現状、瘴鬼が活動していたにしては成果が少ないという部分が気にはなっている。
「ソニューザ」
「宗八? 何故ここに居るのだ?
精霊使いの元へ向かったのではなかったのか?」
一番建物として大きいだけではなく、
入口も5mはある変な家の中にエルダードワーフの村長代理の青年は居た。
側には竜鱗が肌の各所に生え、
立派な尾と角が生えた褐色の女とそいつを抱き込むように眠る土色の竜が転がっている。
「精霊使いは正気を取り戻した。
大地の力が減少している原因と思われる奴も討伐が完了したからこっちに顔を出してみた」
「顔を出してみたって……まだ5時間くらいの話だぞ?」
「正直そこまで強くはなかったし手遅れじゃなかったからな。
原因がどうやってこの島に出現したのか細かな部分はこれからだけど、
聴取すべき対象が弱っていて話を聞けないんだよ」
「……弱かったのか」
君らエルダードワーフは戦闘種族じゃないからね。
そこは落ち込んだところで農業や鉱山で鍛えたステータスがあっても、
島が平和過ぎて戦闘技術がクソなんだから仕方ないじゃないか。
「それで? あまり家が無いけど混血ドワーフって何人居るんだ?」
「この女も含めて今は29人だな。
竜と交わったことで寿命は延びたが出生率が下がってしまったらしい。
そもそも起きている時間もやる事がないという理由で大半寝ている始末だし恋も知らない者がほとんどだろう」
褐色の女と竜を改めて観察してみると、
高身長のソニューザよりもさらにデカイ事が分かる。
2m強ってところかな。
そのデカイ女を抱くながら眠る竜は当然ながらもっとデカイ。
入口が大きいのはおそらくコイツが出入りするからなのだろう。
「魔力があればひとまず餓死することはないんだっけか?
大地の力の減少原因はこの村の真下にも到着していなかったから多分影響は出ていないと思うけど、
今のところ何か気になる事とかあったか?」
「あっけない程に何も。
こっちの竜も異常なく呑気に眠ったままだしな」
フリューネや土精王ティターン様から伺った話に出て来た土竜は、
アース→アンバー→イエローの順で偉いという事だった。
これはアイス→フロスト→ブルーのフリューネを参考にすれば理解しやすかったが、
この眠る竜は色的にアースなのかアンバーなのか正直よくわからないな。
「さんざ脅しつけたのは俺だけど、
問題ないなら今日は村に帰って明日イエロードラゴンを訪問しようかと思ってるんだけど」
「トーヴィルが数人を連れて周囲を見回っている。
それで問題なければ村に戻って宴の準備だな」
「タルだけ豪華にしてくれればいいよ。
あと例の精霊使いも居るけど事情次第では許してやってくれな」
こんな田舎島に引き籠って剣聖が何を成そうとして取り込まれたのか。
この島で何が起こっていたのかは結局のところ本人から聞くしかないからね。
「幸い怪我人だけで済んでいたからそこは考慮するさ。
暴れたとしても宗八が抑えてくれるんだろ?」
「さっきの様子からこれ以上問題を起こすとは思えないけど、
もし何かの間違いが起こったら四肢を折ってでも止めてやるから安心してくれ」
「その自信が架空の物ではなく下地の付いた物であると信じてるよ」
「いやいや、あれ程度で返り討ちに合うとか逆にエルダードワーフ弱すぎ問題だからな」
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こういう純朴な奴らが知らぬ間に自然界から淘汰されるんだろうな。
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