特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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閑話休題 -次に向けての準備期間-

閑話休題 -59話-[ドラゴドワーフ③]

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 トーヴィルが戻るまでの空き時間に何か出来ないだろうか。
 目的のひとつである混血ドワーフが目の前で無防備に眠ってはいるものの、
 無理に起こしたところですんなり協力を得られるとも思えない。
 何か問題が起こっていればそれを解決し報酬に協力を、という手順が踏めたってのに……。

『ねぇ、君。起きてるでしょ。ちょっと話そうよ』
「え!?」

 と、俺が瘴鬼デーモン達の不甲斐なさに頭を悩ませているうちに、
 ブルー・ドラゴンフリューネが混血ドワーフと一緒に眠ったフリをしていた竜に声を掛けていた。
 敵対する意思は俺たちには無く、向こうも警戒はしつつ様子見で手を出して来ないなら放置でいいかと思っていたけれど、
 青竜から見れば属性違いとはいえ位階が下の竜が寝たフリをしている状況は面白くなかったらしい。

「俺たちが村に近づいて来た事を察知して警戒しているだけだから、
 慌てなくても大丈夫だよソニューザ」
「いや、いつもネフィリナ…。
 こいつの側で寝てばかりだったから驚いてしまった……。もしかしていつも起きていたのか?」
『ソニューザは信用している。ネフィリナが無防備でもずっと手を出さなかったのだからね。
 さて、ようこそ氷竜の長。まさかこんな辺境に人間を連れてくるなんて何を考えておいでで?』

 のそりと起き上がった土竜は警戒心を隠さずにフリューネに挨拶と質問を行う。
 彼はネフィリナと呼ばれた混血ドワーフを守る様に前に立ち堂々と青竜と向き合った。

『魔石の加工と黄竜の魔石、この二つの協力を得るために遠路はるばる辺境に来たんだよ。
 黄竜にお目通し願おうか』
『若輩の青竜を偉大なる黄竜に紹介しろと?』

 なんだ? 交流が無いと思っていたけど意外と確執とかあるんか?
 しかし黄竜を尊敬しているとはいえ、
 その黄竜と同格の青竜を前によくもまぁイキりまくってんな。

『そう言ったはず。土竜は耳に砂でも詰まっているのかい?
 動きもとろくて嫌になるね、さっさと動き出しなよ』
『貴様っ!?』
「フリューネ、言い過ぎだぞ。
 そちらも竜の文化か何か知りませんけれど、若輩とはいえ黄竜と同格の青竜相手に配慮が足りないのでは?」
『あ”ぁ”?』

 互いの物言いに殺気立ち始めた竜を止める為、
 手を叩き声に魔力も載せて強制的に介入するとあちらさんに殺気を飛ばされた。
 見てみなさい、無辜むこの民のソニューザが殺気に当てられて真っ青になっているじゃないか。

「初めまして、黄竜の眷族。
 私の名は水無月宗八みなづきそうはち。水の国にて青竜の守護者しゅごしゃを担っております」
守護者しゅごしゃか。何故人間が、と思っていたがそういうことか……。
 青竜の守護者しゅごしゃであれば青竜が無下に扱われて穏やかな心持ちではなかったであろう。
 その件に関しては謝罪する。我はアンバードラゴンのラーツァグリアニス。貴様を歓迎しよう、守護者しゅごしゃよ』

 守護者と名乗った途端に殺気が嘘のように霧散し、
 口角を上げて奥歯まで牙を見せて威嚇していたラーツァグリアニスは逆に謝罪までしてくる。
 とりあえずいつも通りすぐに下手に出て名乗ってみたが守護者しゅごしゃは竜に取って無視できない立場の様だ。
 でも、フリューネはたしなめられたに不満があるの俺の背に回って肩を齧り始めた。
 これは無視しよう。

「歓迎に感謝します。
 それで、先に青竜から伝えました黄竜への謁見は実際可能でしょうか?
 世界の為に出来れば協力いただきたい案件なのですが……」
『可否であれば可能だ。
 まず魔石の加工とはネフィリナ達ドラゴドワーフが目的であろう?
 そっちに関しては直接依頼をすると良い。仕事は好きだがやる事もないコイツラには良い刺激になる。
 して、事情の世界の為がどういう意味か? 如何は我が審議しよう』
『何故ラーツァグリアスが? 青竜が会いに来た。これ以上に大事な事はないだろう』
『知らぬな。ここは我らが地。
 青竜と言えど大きな図体はしないでもらおう』

 人間で言えばデカい顔すんなと言ってるのかな?
 でもデカイんだから仕方なくね?意図せずともデカいんだよ。
 とはいえ、目的の魔石加工は概ね問題なく依頼できそうだから彼女が起きたら話してみよう。
 黄竜の魔石は最悪目の前のアンバードラゴンにお願いしてみるか?
 高濃度魔石さえ作ってもらえれば、それを加工してもらうことに繋げられるわけだし。

「フリューネは静かにしてなっての。
 現在この大陸の各地で魔神族という破滅に属する集団が暗躍しています。
 数自体はおそらく12程度かと想定していますが瘴気を操る事が出来、
 実被害は恐ろしいほどに出てしまっています。
 また、攻撃が高濃度魔力を扱わなければ通らない点から竜の魔石を利用しなければなりません」
『12人程度に被害? ずいぶんと世俗は平和ボケしているようだな』
「正確には1人が瘴気を用いて30万が死にました。
 これ以上被害を出さない様に我々は手段を選んでいられません」
『我ら竜は人間がいくら減ったところで関係はない。
 その魔神族とやらが我らに牙を向いたところで傷を入れられるものでもなかろう?』

 頭を軽く叩いて窘められて不貞腐れていたフリューネがラーツァグリアニスの最後の一言に反応を示し、
 長命で力を過信するアンバードラゴンを相手に今までの馬鹿にした態度とは若干ニュアンスの違い視線を向け溜息を吐いた。
 受けた痛みはトラウマとなり守護役になった俺の傍を本当に離れなくなったのだ。
 そりゃ知らんから言える台詞ぞソレ、と言いたくなるのはわかる。

『なんだ2人してそのような憐れむような眼を向けおって。
 事実であろう、我らの鱗は氷竜に比べても強固な守備力を持つのだから』
「え~と、どう説明したものか……。
 まずその自慢の防御力は魔力から出来ていますよね?」
『当然だろう』

 わからないだろうけど一応言っておこう。

「それ無効化されます」
『は?』

 続けてフリューネの追撃。

『魔力も抜けて行くから竜だけじゃ何も出来ずに死ぬよ』
『……何の冗談だ?』
「冗談ではなく現実問題です。
 魔神族がどこでどのような活動をしているか不明なので、
 例え敵対される可能性の高い他竜の領土でも魔神族の方が怖いからフリューネも守護者しゅごしゃの側を離れないんです」
『今なら言えるけど知らなければ幸せだと思うよ。
 でも、知らなければいずれ出会った時に絶望を味わいながら死ぬし、
 おそらく瘴気に飲まれて大事な仲間や身内も自分の手で殺すことになるだろうね。
 僕は運良く宗八そうはちが訪れてくれたけど、君たちが死を選ぶならせめて魔石だけでも協力してほしい』

 今までフレンドリーだった俺の態度も偉そうなフリューネの態度もガラリと変わり、
 魔神族の怖さと実体験から篭る声音の迫力にようやくラーツァグリアニスの瞳が真面目な物へと変化した。

『青竜でも勝てなかったのか?』
『人の大きさの化け物を相手に小回りが利かない僕たち竜じゃ全く相手にならないよ。
 ブレスを吐いて力押しに尻尾を振るだけじゃ絶対に勝てないしそもそも相対するまでも行かない場合もあるよ』
『うぅむ……いや、にわかに信じ難い。
 青竜の言に嘘は見えず自身の力を誇張する内容でもないならば一考の余地はあるだろう。
 しかし、黄竜に説明をして理解を示すかどうか……』

 前向きに考えが変わり始めた。
 それでも実際に被害を受けていない絶対王者の竜に危機意識を持たせることは並大抵じゃない。
 俺とクーとノイが力を合わせれば似たことは出来てもやっぱり実物から受ける恐怖とは差があり過ぎる。

「あ、一応魔神族と関わりがあるのか判断出来ていませんが、
 ここの近くで瘴気精霊は確認されていますよ。
 現時点では何もして来ませんが成長したら寄生が出来るようになるかもしれない存在です」
『瘴気精霊?聞いた覚えのない精霊だな』
「発生条件などはこれから調べる予定です。
 それに今の時点で寄生能力があってもすぐ浄化すれば危険はないでしょう。
 ともかく少しでも危機意識が芽生えてくれれば俺たちとしては助かります」
『連れてくる事は可能か?
 我はネフィリナから離れたくはないのでな』
「すぐ連れて来ます」

 俺の予想ではあの無害な瘴気精霊が加階すると下位瘴鬼レッサーデーモンになるのではないかと考えている。
 そこから人間や他の生物に寄生して全てを支配すると瘴鬼デーモン
 自分で名付けておいてアレだけど、今後グレーターデーモンとかアークデーモンとかデーモン小暮閣下とか出てこないだろうな……。
 そんな不安を抱きながらさっそく瘴気精霊を回収する為に見晴らしの良い場所へ移動を開始した。
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