特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

文字の大きさ
260 / 450
閑話休題 -次に向けての準備期間-

閑話休題 -64話-[瘴気の亜空間①]

しおりを挟む
「アスペラルダ? 聞いたことはあるが、確か遠くにある水の国だろ?
 そんなところからわざわざ来たのか?」
「それだけ重要な件で来たって事。
 魔石は俺の攻撃力上昇だけでなく敵対勢力にダメージを通すために必須だし、
 防御力も上げるに越したことはないからドラゴドワーフにも協力を求めたいんだ」

 辺境の島に住むエルダードワーフといえど、
 一応うちの国の事は知っていた様だな。
 とはいえ、どの程度離れているかわからないから漠然と途方もない距離と考えていそうだ。

「聖女の予言を私は知らないな。いつの話だ?」
「1年前ですね。
 魔族との小競り合いも原因ですけど予言が最後のひと押しで勇者召喚まで行われました。
 今はフォレストトーレの王都が滅んだ対処に各国と一緒に追われていますが……」
「「フォレストトーレが滅んだ!?」」
「王都だけですよ。王族も長男が生き残りましたし。
 うちの姫様も教国の聖女もそっちに関わっていて今意外と忙しいんですよ」

 エルダードワーフはアスペラルダだけじゃなくてフォレストトーレも知ってたんだな。
 うちの国って結構若いって王様から聞いてたんだけど、どこから情報を得てんだろ。

「にわかには信じられない……。
 何が原因でそのような事態になったのか調査は出来ているのか?」
「破滅の将、魔神族が一柱。隷霊れいれいのマグニが瘴気を操って気が付けば手遅れになってました。
 遅れた原因は破滅関連は呪いがあり、精霊使い以外は異常への認識が非常に緩くなることです」
「今回の件も我々が気が付けなかった異常をテリマーズが感知した結果というわけか?」
「結果的にそういう事かな。
 瘴気は魔族領に少量存在するとはいえ、人間領で発見される場合は破滅関連と思った方がいい。
 精霊使いによっても自分だけ呪いを無効化するタイプと周囲にも無効化を及ぼすタイプがあるから、
 セプテマ氏が前者だった事も今回の結果に繋がったと思う」

 ソニューザ達は集落に起こった異変が国レベルでの災害に繋がっていることに言葉を失くし、
 セプテマ氏も人間領の中心部に位置するフォレストトーレ王都が滅んだ事に世界で起こる破滅への危機意識が高まった様子だ。
 まぁ彼は実際自我をあのまま失っていれば存在は消えて死と同義の状態に陥っていただろうしね。

「ともかく、破滅の調査をしつついずれ訪れるであろう決戦に向けて戦力を整えている。
 魔神族は総じて高濃度魔力を用いた攻撃しか通らないから、
 高頻度で使用するためには魔力を圧縮して魔石に出来る竜の協力は必要だし、
 それを加工出来るドラゴドワーフの協力も必要だから今回は土精王ティターン様の力添えを得てこの島に来たんだよ」
宗八そうはちの話はいちいち大きすぎて頭が付いて行かないな……」
「全く同意だ。
 精霊と契約していることを密かに誇らしく思っていたが、水無月みなづき殿の話を聞くと自覚させられるな……」
「島から出ず伝統的な暮らしを守るエルダードワーフはともかく、
 セプテマ氏は剣一筋の人でしょう? 意識が違うのは当然では?」

 俺だって初めは個人の強さを徐々に鍛えて異世界生活を謳歌するつもりだったさ。
 それこそセプテマ氏に比べれば鼻くそ程度の覚悟で剣を握っても居たけど、
 破滅の調査を始めてからは個人技能だけではなく精霊の教育にも力を入れた結果と様々な出会いのおかげでここまで来れたのだ。
 縁もアスペラルダを出なければ得られなかったものも多い。
 剣の扱いがステータスでもしも確認できれば俺は良くてAとしてもセプテマ氏はSやSSくらいに表示に差が出るだろう。

「で、今回の亜空間が瘴気関連となれば魔神族が関わっている可能性が高い。
 このまま見過ごすことも出来ないけど、空間のひび割れ以外に強そうな人影は見ませんでしたか?」
「いや、向こうから現れる瘴鬼デーモン以外は見ていない」
「次はいつ空間が繋がるか予測は立ちますか?」
「悪いがここ最近は意識を失っている事も多かったからわからない。
 覚えている限りでは3カ月ほど見ていなかった気がする」

 亜空間の対処は闇精に伝えれば閉じてくれると以前にカティナに言われたけど、
 今回の亜空間がもしも噂通り別世界と繋がっていた場合はどのように対処しないといけないのだろうか?

「亜空間がまた現れるとして我らはどうすればいいとお考えかな?」

 ソニューザばかり喋っていたが、ここに来て村長自ら声を発して質問してきた。

「敵の特性を考えれば竜もエルダードワーフも避難してもらうに越したことはありません。
 丁度竜が一時的に住むには打って付けの空き地が出来た所なので、
 エルダードワーフの方々が住める場所もサポートもこちらで準備致します」
「おい、それってさっき話に出た王都だろ!」
「まぁまぁソニューザ殿、ここは落ち着いて」

 なんか視界の隅で青年と中年が漫才をしているが気にせず話を続ける。

「これから詳しく調査を始めますが、結果がどうなるかわかりません。
 すぐ解決出来るのか数か月計画になるのかでまた対応も変わると思うのでひとまずは結果を待っていただくことには変わりないかと」
「わかりました。
 私も突然の訪問から突然の話に付いて行くのがやっとの状態です。
 貴方の話を全て信じるにも規模が大きく判断を下す器を持っておりませんから、
 お言葉通りひとまず様子を見ることとしましょう」
「調査協力者を数人連れて来ることもあります。
 その際は飯と寝所を貸していただく時があるかもしれません。ご協力いただけますか?」
「その程度ならお安い御用です。どうぞ、良い結果になることを祈っております。
 以降はソニューザを窓内にしていただいて結構ですので」
「ありがとうございます」

 村長はある程度の納得をするとそのまま家の奥へと引っ込んでいった。
 元よりソニューザが代理として表立って動いているのもあまり体調が宜しくないことが原因のようだし、
 動き回ることに許可をいただけたのだから及第点かな?

「明日から色々動いてみる予定だけど、今のうちに聞いておきたいこととかあります?」

 腹も膨れて食事は終わり、
 夫人が空になった皿を片し始めたのをノイとタルが手伝いに立ち上がった。
 あとは体を清めて歯を磨いて寝るだけだ。

「いや、今は何も思いつかないな…。
 というか俺たちの知らない事が起こり過ぎていて聞きたいことも何もないって感じだ」
「私も今は思い付きません。
 しばらくはソニューザ殿の傍で身体を慣らしながら償うつもりです。
 もし私に出来ることがあればお声がけをお願いしたい」

 まぁ剣聖けんせいは寄生の所為で弱っているし、土精も減階げんかい中で足手まといだし。
 いざすぐに戦って解決できるってなったとしても戦力に数えるにはちょっとな。
 とりあえず、黄竜と会うだけ会って村長と同じ様に許可をもらうのが目下の目的で動きましょうかね。
しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g
ファンタジー
※本作はフィクションです。 「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」 20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。 一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。 毎日19時更新予定。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
 お人好しで動物好きな最上悠は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏も、寿命から静かに息を引き取ろうとする。 「助けたいなら異世界に来てくれない」と少し残念な神様と出会う。  転移先では半ば強引に、死にかけていた犬を助けたことで、能力を失いそのひっそりとスローライフを送ることになってしまうが  迷い込んだ、訪問者次々とやってきて異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

処理中です...