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閑話休題 -次に向けての準備期間-
閑話休題 -79話-[黄竜と魔石と新たな武器と⑩]
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「『あ』」
フランザが居るあたりが一瞬神々しい強い光を発した瞬間に俺とアニマの声が重なる。
あれは光魔法の反応。そして気配が四人+一匹分増えたことからまさかのPTが参戦したことを理解した。
「《輝動!》」
ガィィィィィンンンンン!
合流したフランザと軽く会話して情報共有した勇者PTだが再び瞬いたと認識した瞬間には目の前に勇者が魔法によって光速移動してきやがった。油断していたこともあるけど、まさかこの場面で勇者単身で突っ込んでくるとは夢にも想像していなかったから焦ったわ。
「メリオォォォ!な~んでお前がうちの模擬戦に乱入して来るんだぁぁぁ!?」
「魔神族もしくは魔王を相手にする良い練習になると連絡を受けたんで喜んで参加を表明しました!」
誰の案かは知らないがめちゃくちゃ面白い展開的になったじゃないかっ!
フランザと合流した勇者PTの残る魔法使いミリエステ、守護騎士マクライン、魔石精製用地竜、拳闘士クライヴのおっさんの三人と一匹はフランザと共に勇者を追ってこちらに向かって来ている。
「腕は上がっている様だが今の俺はステータスお化けだぞぉ!おらっ!」
「確かに数合しただけ全身に受ける反動が凄いです。 が! 魔王を想定すれば弱音は吐けません!」
「よく言ったな勇者よ!力の差を分からせてやろうぞ!」
メリオはこの戦場でずいぶんと成長したように思う。
一皮剥けたおかげで技術面の向上はもちろん勇者らしい前向きな性格になっている。
まぁ今まで勇者らしい実績もなかったから自信に繋がっていなかったことももちろんあるだろうし、俺を意識して才能だの力量差だのウジウジ悩んでいたことも原因ではあるが…。それでもこのステータス差に対して模擬戦というのも影響しているとはいえここまで真っ直ぐに戦いを挑んでくる姿におじさん泣きそうだよ。
※大した年の差はありません。
「メリオ!カバーに入ります!」
「勇者様は一旦下がってな!」
ちっ!勇者の腕を殺す前に邪魔が入った。
マクラインが中型盾でメリオを守る為に俺との間にするりと割り込んできた技術に驚かされる。
スキルでも同じ事は出来るだろうが使えば最終的に集中力を乱す結果に繋がるリスクを負う羽目になるが、技術で同じことが成せるならそりゃそちらの方が良いに決まっている。
さらに素早い動きでクライヴ氏が側面から襲い掛かって来た為勇者への追撃は出来なくなり、メリオは一旦下がって回復を行う連携プレイを強制されてしまった。
ってかクライヴ氏が相手なら剣はしまった方が絶対良いよな!Sランクは戦いたくなかったんだけど仕方ない!
クライヴ氏の強襲を回避しつつ[宝物庫]に剣を放り込み拳同士の打ち合いが始まった。
「今はどの属性を纏っているんじゃ!?」
「無精ですよ、可愛い可愛い四女です!」
「STRが高すぎる!いくつまで上がっている!?」
「なんと1166です!今ならクライヴ氏もコロッと殺せますよ。いやぁ手抜きが大変だぁ!」
ドドンパドンパッ!と拳と蹴りが交差し合って都度痛そうな音が辺りに響く。
流石はSランクの長寿だ!ステータスのうえでは二~四倍はあるのに絶妙に技術を持ってダメージを抑えていらっしゃる!
「《ヴァーンレイド》五連!《フレアーヴォム》四連!」
「《氷結覇弾!》フルバースト!」
「配置に着きました!《アントリオンバインド!》」
「水無月さんのみを敵と見定め振るう!《エクス……》」
んんん!?前方にクライヴ氏、その左右に勇者メリオとマクラインが位置取りをしてさらに[エクスカリバー]の準備にも入っており、その隙間から制御された[ヴァーンレイド]がこちらに迫る。
後方には放られた[フレアーヴォム]に逃げの手が塞がれた。上空はフランザが全てを賭した[氷結覇弾]が展開されている。足元はマクラインの[アントリオンバインド]で妨害か。
先の焼き直しにしても対処はどうするべきだろう。
「《ブレイズダンス!》《フォノンメーザー!》二連!」
まずクライヴ氏の攻撃を凌ぎつつ俺の周囲に大量に出現した赤い小型短剣が上空で展開している氷の飛礫へ飛来し爆散。
結果的に飛礫の全ては潰せなかったが水蒸気のベールが降ってきて俺の姿がはっきりと見えなくなった隙にメーザーが勇者とマクラインに向けて放射される。この魔法は継続して当てるとDPSがモリモリと膨れていくタイプなので彼らはそのまま当たり続けるわけにはいかないので攻撃を中断して動き出す。
「《シューートッ!》」
「《フィジカルリフレク》《魔拳極砲!》《銀世界!》」
続けてクライヴ氏の攻撃に反射を合わせて態勢が崩れた瞬間に全力で全身駆動を行ってブッ飛ばす。Sランクだし死なんだろ!
前回よりも早めに降り注ぐ氷の飛礫は数も減っていた為、ひらりひらりと回避。
最後に突き出した拳から滴る雫が地面に落ちて、広がる銀世界によって火属性の魔法は威力が減退。大した効果は得られないまま爆発四散。
一番厄介なお爺が消えたことで落ち着いて勇者たちの相手が出来そうだ。
まずは最後の生き残りフランザの処理だ!
「《高濃度魔力砲!》」
「【カバーリング!】《ストーンウォール!》」
「《アイスシールド!》 このまま下がりつつ防御魔法をお願いします!私はもう魔力が…っ!」
真なる水精の加護持ちであるフランザ相手に[凍河の息吹]は効果が薄いと思い無属性魔力砲で攻撃したが、近くに居たミリエステは流石に警戒されて巻き込めなかったがマクラインが割り込んでしまった。
防御に秀でた真なる土精の加護持ちになった奴は固いから倒しきれないかもしれない。
対象を魔力切れのフランザからミリエステに変更しよう。
俺は[高濃度魔力砲]と放射する両掌を閉じ、改めて狙いを定める。
「《ダウンバースト!》《高濃度魔力砲!》」
「させない! 《輝動!》《ブレイブシールド!》」
ちっ!フランザとマクラインは強力な下降気流で地面に張り付けとなったのにここでメリオが盾役で割り込んできやがった。
まぁ四人中二人を抑えられたのはおいしい。特にマクラインは真なる加護のおかげで風属性は相性最悪だから現状絶対に抜け出すことは出来ないだろう。
「《フレイムタワー!》《ブレイズダンス!》」
「《極地嵐脚》《ブレイズダンス》」
「今のうちに! 《エクス——》」
ここで防御魔法の重ね掛けではなく攻撃に転じてきたミリエステは短期決戦を覚悟した様だ。
足元から吹き上がりそうになった炎の柱はタイミングよく足元の地面を砕くことで[発動失敗]させ複雑な軌道で迫る赤い短剣群は同じ魔法で迎撃した。[高濃度魔力砲]の放射ももう終わる頃、向こうでは神々しい光が漏れ始めていた。
「《——カリバー‼》」
どこにその容量が収められていたのかとツッコミたい程の光の瀑布が俺に向けて放たれた。
この距離なら[魔力縮地]で回避することも出来ると思うけど、流石にそれは必殺技に対して酷いだろ。
だから俺は、闇属性武器を呼び出す。
「《来よ、ガルヴォルン!》《ハイソニック!》」
いくぞ‼
「——《闇食み》!》連閃‼」
魔法剣技[闇食み]は相手の魔法を打ち消し吸魔の効果を持つ。
ただし、こちらが込める魔力に影響されてその効果も変わるので、とにかく下がりながら時間稼ぎしつつ剣を振り乱れる。
「何だか…威力が落ちてない?」
『精霊使いが威力減衰効果の攻撃を[エクスカリバー]に当て続けている様です』
「ミリエステ!水無月さんを妨害してくれ!」
「距離が離れすぎてるわ。ここから私の足で追っても妨害どころか追いつけないわよ」
パシュンパシュンと闇食みが光の瀑布を食い荒し続けた結果、進行速度も落ちて来た。
すでにフランザとマクラインを足止めしていた魔法は離れすぎて解除されている。
それでも彼らが追って来ないのは単純に俺が離れすぎているからだろう。
フランザの魔力に余裕があれば追ってきたかもしれないけど流石に今の状態で俺に追いつく奴は勇者の[輝動]以外には……。
「——ところがぎっちょん‼」
「はぁああああ!?おっさんまだ生きてたのかよ‼」
「面の皮が剥がれているぞ、小僧‼はあぁっ!」
あとちょっとで想定の威力まで落としきれるというところでまさかのクライヴ氏参戦!
セーバーが防御姿勢を取ったうえで戦闘不能になった威力を受けてまだ立ち上がって追ってくるとは凄いじじいだ!
とはいえダメージは相当入っているらしく上の口は元気だが連撃に元気はない。
「今忙しいんで大人しくしててください!《闇縛り》《アントリオンバインド》《アイシクルバインド》《ダウンバースト》《フレイムバインド》」
「お前っ!ここまでボロボロで戻って来た俺に対して慈悲はねぇのか!戦え!」
「マジで忙しいんですよ。ちゃんと有終の美を飾ってあげますから」
パシュンパシュン、パシュンパシュンパシュン……そろそろいいかな?
すでに瀑布は中級魔法程度まで威力減衰していると判断して最後に戻って来たお爺ちゃんに返礼する。
「じゃあな、おっさん。《マジカルリフレク》」
「なあぁぁにいいいいぃぃ!あがああああああああっ‼」
反射時にちょっと重かったけどなんとか反射させることが出来た。
俺に向かって来ていた[エクスカリバー]は直角に方向転換して進路上で様々な魔法に拘束された一般通過お爺ちゃんを飲み込み戦闘不能に追いやった。
あとはメリオたちだけど、何故か白旗と上げたミリエステが先頭に立ちこちらに歩いてきている。
その背後にはメリオを担いだマクラインとふらふらフランザの姿。
「なんだ?終わり?」
「水無月さんが粘られたのでメリオ達の魔力が切れました。最後まで絞ったらしくて……」
「フランザはともかく、ミリエステとマクラインはまだ戦えただろ」
「フランザさんと違って私は近接戦の心得がほとんどありませんし、マクラインも防御力はあっても決定打がないのでこれ以上やっても満足に戦えないまますぐにダウンすることは明白です。今回はこれにてお許しください」
俺はここぞとばかりに不愉快である顔をしてみる。
勝手に途中参戦して来た癖に四人中二人になったらギブアップだとぉ!?
俺はここぞとばかりに「貸し」に出来ないかと不愉快な顔をアピールしてみる。
「隊長、模擬戦も長くなってしまいました。今頃姫様もお待ちになっているでしょうし今回はここまでとしませんか?」
「はぁ。仕方ないか。
問題点の改善を要求する。一つ、人数を増やせ。二つ、近・中・遠距離どこでも戦えるように手札を増やせ。三つ、絶対旅した方が良い」
「一つ目と二つ目は理解出来ますが、三つ目はどのような意味が?」
「メリオの強さが勇者っぽくないと思うんだ。
技能は確かに勇者固有のものばかりだけど、同じところに留まってばかりじゃなくて旅をしていろんな人と触れ合いながら問題を解決するというプロセスが勇者がより強くなる為に必要だと思う。今って名前だけ知られててどんな人物かとか広まってないでしょ?」
魔力を絞り切った事で勇者メリオが気絶している間に彼のPTメンバーに訴えかける。
色んな作品に勇者は登場するが強くなる理由付けは多種多様だ。
自分が強いと思い込むことで強くなる作品では勇者の為に集められた専属の幼馴染や専属のヒロインがヨイショしていたり、旅をして出会った人々が勇者を信じる心の力だったり。この世界にも必ず勇者が強くなる為のプロセスや理由があるはずなんだ。
そんな色んな条件を満たす方法で最適なのはやっぱり旅をすることだと思う。
「魔王と戦う前に勇者として覚醒する必要がある。
もっとイカレタ性能の技能だってあるかもしれない」
「水無月殿はまだメリオが強くなれると信じておられるのですね……」
マクラインがなにやら感動しているがそんな美しい話じゃねぇ!
弱いからどうにかテコ入れするために色んなところでイベント消化しろって言ってんの!
「わかりました。フォレストトーレの件が片付きましたら旅をするように動いてみます」
「よろしく頼む」
あ~疲れたぁ。アルシェの方はどうなったかな。
フランザが居るあたりが一瞬神々しい強い光を発した瞬間に俺とアニマの声が重なる。
あれは光魔法の反応。そして気配が四人+一匹分増えたことからまさかのPTが参戦したことを理解した。
「《輝動!》」
ガィィィィィンンンンン!
合流したフランザと軽く会話して情報共有した勇者PTだが再び瞬いたと認識した瞬間には目の前に勇者が魔法によって光速移動してきやがった。油断していたこともあるけど、まさかこの場面で勇者単身で突っ込んでくるとは夢にも想像していなかったから焦ったわ。
「メリオォォォ!な~んでお前がうちの模擬戦に乱入して来るんだぁぁぁ!?」
「魔神族もしくは魔王を相手にする良い練習になると連絡を受けたんで喜んで参加を表明しました!」
誰の案かは知らないがめちゃくちゃ面白い展開的になったじゃないかっ!
フランザと合流した勇者PTの残る魔法使いミリエステ、守護騎士マクライン、魔石精製用地竜、拳闘士クライヴのおっさんの三人と一匹はフランザと共に勇者を追ってこちらに向かって来ている。
「腕は上がっている様だが今の俺はステータスお化けだぞぉ!おらっ!」
「確かに数合しただけ全身に受ける反動が凄いです。 が! 魔王を想定すれば弱音は吐けません!」
「よく言ったな勇者よ!力の差を分からせてやろうぞ!」
メリオはこの戦場でずいぶんと成長したように思う。
一皮剥けたおかげで技術面の向上はもちろん勇者らしい前向きな性格になっている。
まぁ今まで勇者らしい実績もなかったから自信に繋がっていなかったことももちろんあるだろうし、俺を意識して才能だの力量差だのウジウジ悩んでいたことも原因ではあるが…。それでもこのステータス差に対して模擬戦というのも影響しているとはいえここまで真っ直ぐに戦いを挑んでくる姿におじさん泣きそうだよ。
※大した年の差はありません。
「メリオ!カバーに入ります!」
「勇者様は一旦下がってな!」
ちっ!勇者の腕を殺す前に邪魔が入った。
マクラインが中型盾でメリオを守る為に俺との間にするりと割り込んできた技術に驚かされる。
スキルでも同じ事は出来るだろうが使えば最終的に集中力を乱す結果に繋がるリスクを負う羽目になるが、技術で同じことが成せるならそりゃそちらの方が良いに決まっている。
さらに素早い動きでクライヴ氏が側面から襲い掛かって来た為勇者への追撃は出来なくなり、メリオは一旦下がって回復を行う連携プレイを強制されてしまった。
ってかクライヴ氏が相手なら剣はしまった方が絶対良いよな!Sランクは戦いたくなかったんだけど仕方ない!
クライヴ氏の強襲を回避しつつ[宝物庫]に剣を放り込み拳同士の打ち合いが始まった。
「今はどの属性を纏っているんじゃ!?」
「無精ですよ、可愛い可愛い四女です!」
「STRが高すぎる!いくつまで上がっている!?」
「なんと1166です!今ならクライヴ氏もコロッと殺せますよ。いやぁ手抜きが大変だぁ!」
ドドンパドンパッ!と拳と蹴りが交差し合って都度痛そうな音が辺りに響く。
流石はSランクの長寿だ!ステータスのうえでは二~四倍はあるのに絶妙に技術を持ってダメージを抑えていらっしゃる!
「《ヴァーンレイド》五連!《フレアーヴォム》四連!」
「《氷結覇弾!》フルバースト!」
「配置に着きました!《アントリオンバインド!》」
「水無月さんのみを敵と見定め振るう!《エクス……》」
んんん!?前方にクライヴ氏、その左右に勇者メリオとマクラインが位置取りをしてさらに[エクスカリバー]の準備にも入っており、その隙間から制御された[ヴァーンレイド]がこちらに迫る。
後方には放られた[フレアーヴォム]に逃げの手が塞がれた。上空はフランザが全てを賭した[氷結覇弾]が展開されている。足元はマクラインの[アントリオンバインド]で妨害か。
先の焼き直しにしても対処はどうするべきだろう。
「《ブレイズダンス!》《フォノンメーザー!》二連!」
まずクライヴ氏の攻撃を凌ぎつつ俺の周囲に大量に出現した赤い小型短剣が上空で展開している氷の飛礫へ飛来し爆散。
結果的に飛礫の全ては潰せなかったが水蒸気のベールが降ってきて俺の姿がはっきりと見えなくなった隙にメーザーが勇者とマクラインに向けて放射される。この魔法は継続して当てるとDPSがモリモリと膨れていくタイプなので彼らはそのまま当たり続けるわけにはいかないので攻撃を中断して動き出す。
「《シューートッ!》」
「《フィジカルリフレク》《魔拳極砲!》《銀世界!》」
続けてクライヴ氏の攻撃に反射を合わせて態勢が崩れた瞬間に全力で全身駆動を行ってブッ飛ばす。Sランクだし死なんだろ!
前回よりも早めに降り注ぐ氷の飛礫は数も減っていた為、ひらりひらりと回避。
最後に突き出した拳から滴る雫が地面に落ちて、広がる銀世界によって火属性の魔法は威力が減退。大した効果は得られないまま爆発四散。
一番厄介なお爺が消えたことで落ち着いて勇者たちの相手が出来そうだ。
まずは最後の生き残りフランザの処理だ!
「《高濃度魔力砲!》」
「【カバーリング!】《ストーンウォール!》」
「《アイスシールド!》 このまま下がりつつ防御魔法をお願いします!私はもう魔力が…っ!」
真なる水精の加護持ちであるフランザ相手に[凍河の息吹]は効果が薄いと思い無属性魔力砲で攻撃したが、近くに居たミリエステは流石に警戒されて巻き込めなかったがマクラインが割り込んでしまった。
防御に秀でた真なる土精の加護持ちになった奴は固いから倒しきれないかもしれない。
対象を魔力切れのフランザからミリエステに変更しよう。
俺は[高濃度魔力砲]と放射する両掌を閉じ、改めて狙いを定める。
「《ダウンバースト!》《高濃度魔力砲!》」
「させない! 《輝動!》《ブレイブシールド!》」
ちっ!フランザとマクラインは強力な下降気流で地面に張り付けとなったのにここでメリオが盾役で割り込んできやがった。
まぁ四人中二人を抑えられたのはおいしい。特にマクラインは真なる加護のおかげで風属性は相性最悪だから現状絶対に抜け出すことは出来ないだろう。
「《フレイムタワー!》《ブレイズダンス!》」
「《極地嵐脚》《ブレイズダンス》」
「今のうちに! 《エクス——》」
ここで防御魔法の重ね掛けではなく攻撃に転じてきたミリエステは短期決戦を覚悟した様だ。
足元から吹き上がりそうになった炎の柱はタイミングよく足元の地面を砕くことで[発動失敗]させ複雑な軌道で迫る赤い短剣群は同じ魔法で迎撃した。[高濃度魔力砲]の放射ももう終わる頃、向こうでは神々しい光が漏れ始めていた。
「《——カリバー‼》」
どこにその容量が収められていたのかとツッコミたい程の光の瀑布が俺に向けて放たれた。
この距離なら[魔力縮地]で回避することも出来ると思うけど、流石にそれは必殺技に対して酷いだろ。
だから俺は、闇属性武器を呼び出す。
「《来よ、ガルヴォルン!》《ハイソニック!》」
いくぞ‼
「——《闇食み》!》連閃‼」
魔法剣技[闇食み]は相手の魔法を打ち消し吸魔の効果を持つ。
ただし、こちらが込める魔力に影響されてその効果も変わるので、とにかく下がりながら時間稼ぎしつつ剣を振り乱れる。
「何だか…威力が落ちてない?」
『精霊使いが威力減衰効果の攻撃を[エクスカリバー]に当て続けている様です』
「ミリエステ!水無月さんを妨害してくれ!」
「距離が離れすぎてるわ。ここから私の足で追っても妨害どころか追いつけないわよ」
パシュンパシュンと闇食みが光の瀑布を食い荒し続けた結果、進行速度も落ちて来た。
すでにフランザとマクラインを足止めしていた魔法は離れすぎて解除されている。
それでも彼らが追って来ないのは単純に俺が離れすぎているからだろう。
フランザの魔力に余裕があれば追ってきたかもしれないけど流石に今の状態で俺に追いつく奴は勇者の[輝動]以外には……。
「——ところがぎっちょん‼」
「はぁああああ!?おっさんまだ生きてたのかよ‼」
「面の皮が剥がれているぞ、小僧‼はあぁっ!」
あとちょっとで想定の威力まで落としきれるというところでまさかのクライヴ氏参戦!
セーバーが防御姿勢を取ったうえで戦闘不能になった威力を受けてまだ立ち上がって追ってくるとは凄いじじいだ!
とはいえダメージは相当入っているらしく上の口は元気だが連撃に元気はない。
「今忙しいんで大人しくしててください!《闇縛り》《アントリオンバインド》《アイシクルバインド》《ダウンバースト》《フレイムバインド》」
「お前っ!ここまでボロボロで戻って来た俺に対して慈悲はねぇのか!戦え!」
「マジで忙しいんですよ。ちゃんと有終の美を飾ってあげますから」
パシュンパシュン、パシュンパシュンパシュン……そろそろいいかな?
すでに瀑布は中級魔法程度まで威力減衰していると判断して最後に戻って来たお爺ちゃんに返礼する。
「じゃあな、おっさん。《マジカルリフレク》」
「なあぁぁにいいいいぃぃ!あがああああああああっ‼」
反射時にちょっと重かったけどなんとか反射させることが出来た。
俺に向かって来ていた[エクスカリバー]は直角に方向転換して進路上で様々な魔法に拘束された一般通過お爺ちゃんを飲み込み戦闘不能に追いやった。
あとはメリオたちだけど、何故か白旗と上げたミリエステが先頭に立ちこちらに歩いてきている。
その背後にはメリオを担いだマクラインとふらふらフランザの姿。
「なんだ?終わり?」
「水無月さんが粘られたのでメリオ達の魔力が切れました。最後まで絞ったらしくて……」
「フランザはともかく、ミリエステとマクラインはまだ戦えただろ」
「フランザさんと違って私は近接戦の心得がほとんどありませんし、マクラインも防御力はあっても決定打がないのでこれ以上やっても満足に戦えないまますぐにダウンすることは明白です。今回はこれにてお許しください」
俺はここぞとばかりに不愉快である顔をしてみる。
勝手に途中参戦して来た癖に四人中二人になったらギブアップだとぉ!?
俺はここぞとばかりに「貸し」に出来ないかと不愉快な顔をアピールしてみる。
「隊長、模擬戦も長くなってしまいました。今頃姫様もお待ちになっているでしょうし今回はここまでとしませんか?」
「はぁ。仕方ないか。
問題点の改善を要求する。一つ、人数を増やせ。二つ、近・中・遠距離どこでも戦えるように手札を増やせ。三つ、絶対旅した方が良い」
「一つ目と二つ目は理解出来ますが、三つ目はどのような意味が?」
「メリオの強さが勇者っぽくないと思うんだ。
技能は確かに勇者固有のものばかりだけど、同じところに留まってばかりじゃなくて旅をしていろんな人と触れ合いながら問題を解決するというプロセスが勇者がより強くなる為に必要だと思う。今って名前だけ知られててどんな人物かとか広まってないでしょ?」
魔力を絞り切った事で勇者メリオが気絶している間に彼のPTメンバーに訴えかける。
色んな作品に勇者は登場するが強くなる理由付けは多種多様だ。
自分が強いと思い込むことで強くなる作品では勇者の為に集められた専属の幼馴染や専属のヒロインがヨイショしていたり、旅をして出会った人々が勇者を信じる心の力だったり。この世界にも必ず勇者が強くなる為のプロセスや理由があるはずなんだ。
そんな色んな条件を満たす方法で最適なのはやっぱり旅をすることだと思う。
「魔王と戦う前に勇者として覚醒する必要がある。
もっとイカレタ性能の技能だってあるかもしれない」
「水無月殿はまだメリオが強くなれると信じておられるのですね……」
マクラインがなにやら感動しているがそんな美しい話じゃねぇ!
弱いからどうにかテコ入れするために色んなところでイベント消化しろって言ってんの!
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「よろしく頼む」
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