特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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第15章 -2ndW_アルダーゼの世界-

†第15章† -37話-[エピローグ②]

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「俺が快復するまで待っててもらって悪かったな。王様たちを集めての本格的な報告会の前にクラン内報告会をしておこう」
 宗八そうはちはベッドではなくソファに座り、同じく周りでソファに座る仲間達を見渡す。
「まずは———お疲れさまでした!」

「「「「お疲れさまでした!」」」」

 膝に両手を突き頭を下げる宗八そうはちと隣でお淑やかに頭を下げるアルカンシェのダブルリーダーに倣って仲間達は座ったまま掛け声を上げて頭を下げた。ちなみに精霊達はベッドの上で遊んでいる。
「突入組はどういう状況だったのかを把握しているだろうし、ある程度は残留組も話は聞いているだろうから詳しい状況は【破滅対策同盟アルストロメリア】で一緒に観せるからそのつもりで。とりあえず、俺は敵前逃亡しました!でも生きてます!以上!」
 本来ならばリーダーとして恥ずべき宣言ではある。だが、宗八そうはち達の今回の目的は生きて帰る事と炎帝樹の破壊だった。尻尾を巻いて逃げ返って来たとはいえ目的は達成した事を仲間達は理解しており攻める言葉は飛んで来なかった。そこにアルカンシェが言葉を挟む。
「最終的な局面で逃げなければ良いのです。今回は顔見せとでも考えおきましょう」
 確かに。現時点では逆さになっても倒せるとは到底思えなかった。他の強化方法も考えにゃならんと頭を抱えたいところだ。
「改めてになるだろうけど、ゼノウ。そっちは何か問題はなかったか?」
 残留組をまとめていたゼノウに水を向けた宗八そうはちの質問に全員がゼノウに向き直る。それを確認したゼノウが口を開いた。
「こちらは指示通りに出て来る魔物を倒し続けていたぞ。仲間は優秀だしもちろん見学に来ていた王子や兵士に気を配っていくらか分配はした」
「城下町の亀裂については何か聞いたか?」
「ほとんどノータッチだったけど、宗八そうはちがゲートを閉じている間は一度も開くことは無かった様だ。なので空いた時間にに俺達は模擬戦を行ってゲートが開くのを待って居た訳だが、時折勇者PTも混ざって来たので相手をしていた」
 亀裂が発生したら閉じるまでの間は休む暇がない。それこそ高威力の攻撃や魔法を使える勇者PTは重宝されて高ランクの魔物を相手取らされた事だろう、と宗八そうはちは考えた。そんな彼らが普段の訓練で満足出来るかと言えば正直物足りなくなるのは必然だ。ならば候補に挙がるのは[七精の門エレメンツゲート]のメンバーとなるだろう。
「以前宗八そうはちが渡した可能性の実を食べてレベルの限界突破はしていたから耐久力は上がっていたな。一撃の重さは流石勇者と言ったところでPTの運用に関しても完成している様に感じたが……」
「セプテマ氏は一時的なゲストメンバーだから実質四人PTだもんな。あと一人仲間を見繕わないと魔族領には行かせられないな……」
 ゼノウの感触としては前衛の勇者プルメリオと重騎士マクラインはそれぞれ元剣聖けんせいセプテマ氏の指導でかなり剣術が向上していた印象だった。そこに拳闘士クライヴ氏がサポートと重い打撃で隙を潰し、魔法使いミリエステが精霊との息の合った高威力魔法の連射は驚異的な殲滅力を持つ。だが、最大五人PTが可能なのでまだ伸びしろはあるのにあと一枠の人材が見つかっていない。
「そっちは交渉中の人材がこの城にいるらしいぞ。投獄中の名うての盗賊プーカ=アレアルア」
「ふぅ~ん。若くは無さそうだな」
 有名な盗賊なら長く活動していたと言う事だ。勇者PTのメンバーは10代のプルメリオ、20代のマクラインとミリエステ、そして70代のクライヴだ。ほどほどに両者の価値観の懸け橋に成れる手練れが入れば良いと考えていた宗八そうはちの思惑にぴったりの人材に思えた。
「40代前半だそうだ」
 良いじゃないか。宗八そうはちは笑みを浮かべた。

「そいつは何が何でも勇者PTに加入させよう。ひとまずその話は置いておくとして、戦果の報告に移るぞ」
 以前のナユタの世界は大勢が活動出来たので様々なアイテムを入手出来た。だが、今回のアルダーゼの世界は過酷環境故に活動人員に制限が掛かってしまった上に生存者はいなかったので採取出来るアイテムも無かったのだ。その中で確保出来るモノと言えば炎帝樹のドロップ品だけだ。
 雷帝樹のドロップは[雷帝樹の枝冠]と[雷帝の宝輪]だった。それとは別にマリエルがネシンフラ姓からライテウス姓へと変わり種族加階もしていたのだ。全員が興味を抱くのは必然だった。
「俺のインベントリに知らん間に入っていたのはこれだ」
 宗八そうはちがテーブルに並べた品々を全員が前のめりになって確認する。

 素材  :炎帝樹の煇石
 希少度 :???
 特殊効果:???

 鎧   :炎帝樹の装身具
 希少度 :???
 要求ステ:???
 ステ増減:???
 特殊効果:???

 装飾品 :炎帝の宝輪
 希少度 :???
 ステ増減:???
 特殊効果:???

 まずは炎帝樹の煇石。ギルドカードの機能の簡易鑑定で分かるのはアイテム名までで詳しい情報はギルドに鑑定依頼しないと分からないのだ。だが、大男の拳大ほどに大きく炎々とした赤い煇石は明らかに魔法的な効果を宿している事がわかる。素材カテゴリというのも純粋な魔法使いの杖などに用いられる事が主になるのか魔道具の核となるのか……。
「う~ん……。うちのメンバーはリッカしか火精使いが居ないし純粋な魔法使いも居ないからなぁ……。これはミリエステ行きでいいかな」
 杖を造るにしろこの素材ランクに合う他の素材集めに苦労しそうだが。
「お兄さんが決めたのであれば異存はありません」
「わ、私もこれは使い道が……」
 アルカンシェとリッカの言葉に仲間も異存を挟まなかった事でこの素材アイテムは勇者PTに渡される運びとなった。続いて鎧カテゴリの装身具。見た目は腕輪にしか見えない。炎帝樹関連のアイテムなので謎の素材で造られていて火が揺らめく様に常に模様が変わり続けている不思議な腕輪だ。
「アイテム名だけ見ればアクセサリー枠なのに鎧……。全くわからんな」
「迷宮奥で見つかるアーティファクトの類だなこりゃ。ギルドの鑑定待ちだろ」
 簡易鑑定の情報だけでは推論の域を出ない。誰もこのアイテムの真の価値がわからず頭を悩ます合間にセーバーが後回しを提案しその案は採用された。最後に炎帝の宝輪。これは見た目通りアクセサリー枠の腕輪だ。雷帝の宝輪の炎帝版という事なら効果も予想出来るというものだ。

 装飾品 :雷帝の宝輪
 希少度 :伝説レジェンダリー
 ステ増減:INT+20%/MEN+20%
 特殊効果:風雷属性制御力極大UP/魔法防御力補正+50%/最大MP補正+50%

 装飾品 :炎帝の宝輪
 希少度 :伝説レジェンダリー
 ステ増減:INT+20%/MEN+20%
 特殊効果:火幻属性制御力極大UP/魔法防御力補正+50%/最大MP補正+50%

 という感じだろう、と宗八そうはちは紙に書き起こして全員に分かる様に不明となっていた情報を予想した。
「自分で装備しておいて何だけど、エグイ効果だよなぁ」
 ナユタの世界で獲得した[雷帝樹の枝冠]はマリエルが。もう一つの[雷帝の宝輪]はライナーが装備していた。そのライナーが改めて確認した腕輪の効果にドン引きしている。そもそもステータスの増減は+10とか数字が決まっている物が一般的なのにこれはn%なのだから元のステータスが高ければ高いほど効果を発揮する。宗八そうはち達は全員称号によるステータス強化を施して最低でも700くらいまで伸びているので単純にINT+140/MEN+140という事になる。
 宗八そうはちの剣や鎧装備ですら+100は早々無くアクセサリーは増減率が極端に低い事が当然だった。それが装飾品アクセサリー一つでここまで伸びるのは異常と言える。実際に宗八そうはちが装備している[アクアマリン]はALL+10しかしない。これでもこの世界で言えば有能装備だったのだが……。
「でも、おかげで苦手だった魔法の扱いは上手くなったじゃないですか。私も[雷帝樹の枝冠]のお陰様で叢風むらかぜのメルケルスを瞬殺出来ましたし貰えるなら貰っておけばいいんですよ」
「マリエルはすげぇポジティブだよな。俺はまだ皆に並べたとは思えないから譲られたこの腕輪に相応しい実力を身に付けたい……」
 事実により裏付けされた実力を持つマリエルがライナーに発破をかける。出会ったばかりの頃はイケイケな冒険者だったライナーも思慮深くなったものだ。ともかく、これは同じく魔法の扱いがまだまだなリッカが持つには良い装備だ。
「リッカ。鑑定次第だけどさっきの[炎帝樹の装身具]と[炎帝の宝輪]はお前に渡す予定だから。心して待つ様に」
「は、はい!」
 元気の良いリッカの返事を機に身内だけの報告会は終了とした。
 報告会中には我慢していた宗八そうはち大好き’sの青竜フリューアネイシアと猪獅子ヤマノサチタルテューフォは元気になった宗八そうはちに抱き着いた。療養中は厳しい監視の元宗八そうはちは脱走出来なかったが、同様に宗八そうはちの部屋への侵入も制限されていたので一か月以上の間二人は宗八そうはちと離れ離れになっていたのだ。そういう寂しさを理解している宗八そうはちは大人しくガツガツと身体を当てて好意を示す二人をダメージを追いながら受け止めるのであった。
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