特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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閑話休題 -破滅対策同盟《アルストロメリア》大報告会-

閑話休題 -101話-[破滅対策同盟大報告会①]

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 宗八そうはちがベッドに縛り付けられている間にお膳立ては全て完了していた。
 クラン[七精の門エレメンツゲート]の所属としてはアルカンシェ護衛隊が母体となっているのでアスペラルダ王国所属であると同時に各地の精霊や協力してくれる冒険者との連携を取る為に自由なギルド所属としてのグループとなっている。そういうていを取ることで他国への出入りもしやすくなっている。まぁ既にそういう次元の話ではなくなってしまっているのだが……。
 ———話を戻して。
 クラン[七精の門エレメンツゲート]はダブルリーダー制を取っているので宗八そうはちが居ない時はアルカンシェが陣頭指揮を執っている。また、所詮強いだけで立場は特例として将軍と同格となっている。なんだかんだで王族とも仲良く会話しているが、公の場では言葉遣いも気を使う。そして根回しや表立っての行動する際に矢面に立つのはアルカンシェとなっているので、今回のお膳立てはヴリドエンデの王族であるユグノース王家にアルカンシェがアドバイザーとして仲介して成立させていた。

「え? そりゃ大変だったろ……」
 アルカンシェ達と共に廊下を歩く宗八そうはちは定例の報告会が行われる場所へ移動している間にアルカンシェから事の顛末を聞いて驚いていた。ユグノース王家からしてみれば定例とはいえ、この報告会は他国の王族が集まって行われる一大イベントなのだ。寝耳に水でさぞや慌てた事だろう。
「王族間通信の魔道具を利用して話を通すのは簡単でしたよ? ただ、今回は破滅の正体も判明しましたし今後の協力関係についても話し合いが必要なので二泊ほどを予定しているんです。だから、晩餐会とか会議以外の時間を潰す為の企画とか色々と考える事が多くて……。私達だけなら王太子を窓口にするだけでしたけど流石に今回はドラウグド王も本腰を入れて大変な様ですよ」
 依然までの報告会は受信用の魔道具で姿を映すだけだったアーグエングリン王もゲートが繋げられる様になった事で今回は足を運んでくれる気になったらしい。前に見た時は他の王に比べると威厳が無くてファグス将軍がフォローしていたよな……。大方、この大陸の王達が勢ぞろいするから乗り遅れない様に参加することにしたのでは……?
「王族と護衛、侍女、兵士もそれなりの数が訪問予定なのでアーグエングリン城内はてんてこ舞いだそうで……。私も協力はしたのですが立場上はアスペラルダの王女でもある訳で……。橋渡し的な事しか出来なくて……」
「いや、十分だろ。それで? それだけの人数が集まれる部屋があるのか?」
 火の国ヴリドエンデは魔族との境界線を守る為の役割を担っている。だから戦う事が好きな者も多く、ドラウグド王はモロに武人なので国の経営は臣下が頑張って支えているらしい。なので大勢が会議出来る部屋など用意が出来るのか?という疑問だったのだが……。
「そこなんですよね。王族だけを集めるなら可能な部屋はあるそうなのですが今回の件は多くの方に視聴してもらいたいと私は考えています。なので、その辺をアルカイド王太子にも相談したところ、もし可能ならという前提で教練場の開放を検討しています。もちろん籍の用意などは魔法で私達が行わないといけませんし、結局は野外なのでそこも私達が砂塵が舞わない様に空気の膜で教練場を覆う必要も出て来ますが……」
 そう言いながらアルカンシェが案内した先は教練場だった。会議室もしくは一時的にゲートを設置する部屋に案内されると考えていた宗八そうはちは騙し討ちをされたかの様な表情でアルカンシェを見つめる。
「報告会は明日なので今日は好きに教練場を使って良いそうです」
 つまりは子供達の調子を見る時間を確保していたという訳だ。我が最愛の女性ながら根回しが上手いな。
 とはいえ、誰も居ない訳ではなくちゃんと教練場らしく兵士たちが教練に勤しんでいる中で勝手にしてね、という話の様だった。話は通っているのか気にする素振りはみせるものの兵士たちは極力宗八そうはち達に視線を送ることは無い。

 アルカンシェは宗八そうはちをその場に残してユグノース王家のサポートをする為に城の中へ戻ってしまった。
 その後ろ姿は凛々しく王族として誇りをもって業務に当たっている事が窺えた宗八そうはちは、自分の役割に集中しようとピンク脳を切り替えて子供達と向き合った。
「じゃあ試してみるか……。まずはいつも通りのやつを頼む」
『はい、お父様。《よるとばり》!』
 闇精クーデルカの内側で神力エーテルの気配を感じた。その力をさっそく用いて発動した魔法は広い教練場を覆って行き、城の敷地内で唯一この場だけに夜が訪れる。ざわつく教練場。
「なんだっ!?急に暗くなったぞ!」
「ぐあっ!斬られたっ!」
「全員!危険なので手を止めろ!武器を振るのを止めろっ!」
 しかし、宗八そうはちは無視を決め込んだ。
「つぎ」
『《ミラーコート!》』
 続けて光精ベルトロープが同様に神力エーテルを混ぜた魔法を発動させて出現したのは超巨大モニターだ。夜の教練場の中で煌煌と輝く見慣れない代物に更にざわつく兵士達。
「うおっ!目がっ!?」
「今度は何だよぉ!」
「目を瞑れ!じっとしているんだっ!」
 これなら教練場の後ろの席からでも視聴は可能だろう。さながら映画館の様な圧倒的なスクリーンに宗八そうはちは満足そうに頷いていた。


 * * * * *
 ———コンコンコン!
 ヴリドエンデ城内。ユグノース王家とアルカンシェが詰める一室の扉が強くノックされる。
「入れ」
 ドラウグド王の発した命令に従い扉は開かれ兵士が慌てた様子で入室して来る。その様子にすわ緊急事態が発生したのか!と俄かに走る緊張感の中、アルカンシェだけが落ち着いた様子で事の推移を見守っている。
「報告致します!現在、教練場が原因不明の暗闇に包まれております。入退は出来ますし境目ははっきりしているものの触る事も出来ず、教練中だった兵士達は内部で発光する何かに目もやられてしまった者が続出しております!」
 兵士の報告を聞いて室内の一部が振り返りアルカンシェに視線を向けた。もちろん敢えて向けなかった者もいるが、いずれも脳内に浮かんだ人物は同じであろう。何しろ視線を向けた者の中に教練場の使用に許可を出したアルカイド王太子が含まれているのだから。
「何が起こっているのだ……?」
 アルカンシェに振り返らなかった中にはドラウグド王の姿があった。彼は以前から宗八そうはちの行いに頭を抱える事があったので窓口としては全てアルカイド王太子が緩衝材として務めていた為、今回の仕出かしが宗八そうはちであるとは気付いておらず疑問を呈していた。
 当然、アルカンシェは兵士が駆け込んで来た時点で予想は付いていた。他国で問題を起こすことは本来ならば国際問題に繋がりかねないのだが、数々の仕出かしからの慣れに親しい王族が許可した先で起こした仕出かしという2点から肝が据わった対応をする。
「(アクアちゃん、教練場で何をしているの?)」
『(クーとベルの魔法を試してるよ~? この後はフラムの幻魔法でどこまで出来るか試す予定だよぉ~♪)』
 水精アクアーリィの返答にアルカンシェは少し考えて伝える。
「(悪いけれど魔法を解いて少し待っていて頂戴。大勢の兵士が混乱しているみたい)」
『(りょ~かい!)』
 念話で情報を共有したアルカンシェはすぐにアルカイド王太子に顔を向けて説明する。
「申し訳ありません。宗八そうはちの魔法の実験で発生した事案の様です。すぐに解除する様に伝えましたのでもう大丈夫かと……。ただ、明日の準備の為に色々と魔法の実験を進めてより分かりやすく詳細の説明をしたい様なのです」
 なので、上手く手配してください、とアルカイドの耳には幻聴も含まれ届けられた。弟である第二王子ラッセンにも視線を向けると肩を竦めるだけで助けにはなってくれないらしい。
「わかりました。父上、教練中の兵士には様々な状況での訓練と伝えてもよろしいでしょうか? 暗闇や幻という戦法を経験するには良い機会かと思います。いかがでしょうか」
「うむ。アルカイドがそう言うならば任せよう。アルカンシェ殿下はあまり勝手をし過ぎない様によろしくお願いする」
「かしこまりました」
「お手間をお掛けいたします」

 その後、教練場に残っていた兵士達が阿鼻叫喚の状況に陥る事になるとはアルカンシェ以外予想だにしていなかった。
 そして、翌日。ゲートを使って各国の王族や教皇、重鎮らと一個小隊を連れて火の国ヴリドエンデに集結する事となる。
 ◆アスペラルダ王国side
 ・国王/ギュンター=アスペラルダ
 ・王妃/ナデージュ=アスペラルダ(水精王シヴァ)
 ・親衛隊五名
 ・将軍/バイカル=アセンスィア
 ・将軍/トーカンツェ=フィリップ
 ・兵士三十名
 ◇ギルドアスペラルダ支部side
 ・筆頭/アインス=ヴォロート
 ・補佐/ミミカ=ストローク
 ・補佐/ナプディア=クリンプト
 ◇精霊side
 ・大水精ボジャノーイ
 ・水精スィーネ
 ・水精ポシェント

「やあ、宗八そうはち久し振りだね」
「アルシェから怪我を負ったと聞きましたが快癒して良かったですね」
 ゲートをアスペラルダに繋げると護衛よりも真っ先に駆け寄った来たのが王族だった。我が子の様に接して身体を触って無事を喜んでくれるギュンターとナデージュに癒されながらも後がつかえるので宗八そうはちはアルカンシェと協力して先を促す。
「お久し振りですギュンター様、ナデージュ様。ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした。既に傷は癒えておりますので詳しい話はまた後程致しましょう」
「さあ、お父様もお母様も誘導に従って進んでください。エスコートにアルカイド様がお見えですよ」
 アルカンシェが指し示す先には宗八そうはち達家族の団欒の邪魔にならない様に静かに待つアルカイド王太子の姿があった。ギュンターとナデージュも親の顔から王族の顔付に変わるとアルカンシェの誘導に従いアルカイド王太子の元へと向かった。その際に王に追い付く為に足を速めた親衛隊や将軍がアルカンシェに一礼し、宗八そうはちには視線を送っては通り過ぎて行く。
 最後尾にはクランにも協力してもらっている精霊達が続き宗八そうはち達に軽く声を掛ける程度に留まってくれた。
「はぁ……。次を招きましょうか」
 親の愛情を受け少し恥ずかしかったのかアルカンシェが溜息を吐いてから宗八そうはちを促すと次々とゲートを開いては招待者を招いていく。

 ◆フォレストトーレ王国side
 ・国王/ラフィート=フォレストトーレ
 ・王妃/ラジアーデ=フォレストトーレ
 ・国王付きアナザー・ワン/プリマリア=クルルクス
 ・親衛隊隊長/ブロセウス=ルーフォン
 ・親衛隊十五名
 ◇ギルドハルカナム支部side
 ・筆頭/パーシバル=フェアリーストーン
 ・補佐/ウイユ=ホプタマス
 ・補佐/トライア=ターメニクス
 ◇精霊side
 ・風精王セリアティア
 ・木精ファウナ

 ◆ユレイアルド神聖教国side
 ・教皇/オルヘルム=ハンブライアン
 ・聖女/クレシーダ=ソレイユ=ハルメトリ
 ・教皇付きアナザー・ワン/クレチア=ホーシエム
 ・聖女付きアナザー・ワン/トーニャ=クルルクス
 ・教徒三十名
 ◇ギルドアスィメア支部side
 ・筆頭/プレイグ=リンドブルム
 ・補佐/アナハタール=パシフィカス
 ・補佐/ハルリナ=プリンシパル
 ◇精霊side
 ・光精王ソレイユ
 ・光精テルナローレ
 ・光精エトランゼ
 ◇竜side
 ・白竜クラウディーナ

 ◆アーグエングリン公国side
 ・公王/カンパネルラ=アーグエングリン
 ・公妃/ブリーシュ=アーグエングリン
 ・大隊長/タラスク=ファグス
 ・客将/拳聖けんせいエゥグーリア=ワグナール
 ・公国軍兵士二十名
 ◇ギルドセレスタイン支部side
 ・筆頭/リリトーナ=イブニクス
 ・補佐/ネリネ=グレイブス
 ・補佐/マリシャ=エンテンサス
 ◇精霊side
 ・地精王ティターン
 ・地精パラディウム
 ・地精ネルレント

 ◆国籍無所属精霊side
 ・闇精王アルカトラズ
 ・闇精カティナ=スプリディア(兼魔法ギルド職員)
 ・闇精クロエ

 ギルドサイドからも各国の筆頭ギルドマスターが補佐に有望なギルドマスターを複数人引き連れて参加していた。後進を育てる為だろうけれどアインスが連れてきた補佐役に大滝の都ポルタフォールのギルドマスターが居た気がする。アレで大丈夫なのだろうか、と宗八そうはちは表情に出さない様にして見送った後にも続々と顔見知りの筆頭ギルドマスターと精霊達が王族と一緒に乗り込んで来る。
 改めて伝えるが、この世界は四神として四大精霊を信仰する四国と光精王を信仰する神聖教国が宗教として存在する。もちろん一生のうちに精霊と出会える事は奇跡とまで言われていた。
 その奇跡の最上位である精霊王まで参加する【破滅対策同盟アルストロメリア】にこの度参入する運びとなり、更にはホスト国となるヴリドエンデ王国は王族総動員で挑む事となった。

 ◆ヴリドエンデ王国side
 ・国王/ドラウグド=ユグノース
 ・王太子/アルカイド=ユグノース
 ・第二王子/ラッセン=ユグノース
 ・第三王子/ハカヌマ=ユグノース
 ・王女/マリアベル=ユグノース
 ・親衛隊三十名
 ・将軍三名
 ・兵士三十名(その他兵士は城内、城下町の警備に駆り出されている)
 ◇ギルドヴリドエンデ支部side
 ・筆頭/カルミオン=ネグリート
 ・補佐/バトハラ=ドゥクン
 ・補佐/エミル=コードウェル
 ◇精霊side
 ・火精王サラマンダー
 ・火精アンタレス

 ◆勇者PTside
 ・勇者プルメリオ=ブラトコビッチ
 ・重騎士マクライン=ハイランド
 ・魔法使いミリエステ=リテュエルセッテ
 ・拳闘士クライヴ=アルバード
 ・元剣聖けんせいセプテマ=ティターン=マーズテリア(ゲスト)

 図らずも火精王との邂逅という奇跡にドラウグド王だけでなく、王太子アルカイドを始めとする王族や将軍や兵士に至るまで宗八そうはちを人外の重要人物として再認識した。初顔合わせとなったヴリドエンデの筆頭ギルドマスターであるカルミオンは、事前に他の筆頭ギルドマスターからある程度の話は聞いていたのか淡々とした対応をしてくれたのはある種の救いになった。
 ユグノース王家が代わる代わるゲートに足を運び国賓たちを案内する中でつい見逃しそうになった存在にツッコミを入れる。
「おいおいおい!クレア!」
 宗八そうはちの突然の呼び掛けに朗らかな返事をする聖女クレシーダ。
「何ですか、水無月みなづきさん?」
「何ですかじゃねぇよ。ディー、何故一緒に来てるんです?」
 宗八そうはちが問い掛けたのは聖女の肩に乗っかる美しい白銀の竜。その正体は白竜クラウディーナだった。
『光精王ソレイユが知らせてくれたのです。面白い事があると。逆に何故私を誘ってくれなかったのですか? 青は参加するのでしょう?』
 淑女然とした態度とは裏腹に好奇心の強い白竜クラウディーナの言に宗八そうはちは戸惑う。確かに竜精魔石の協力をしてもらっているが戦力として数えてはいない後方支援の存在なのだ。実際にこの世界に神格ヲ簒奪セシ禍津大蛇ウロボロスが到達しても矢面に立つのは人族で竜族は今まで通り事の成り行きを見守るだけだろう。なので今回の報告会からは除外していたのだが……。
「クラウディーナ様が参加しても不都合はありませんよね?」
「いや、不都合はないけど……。青竜フリューネは普段から俺と同行して居るから他の竜は気にしないだろうけど、白竜ディーまで参加したとなれば他の竜にも声を掛けざるを得なくなるだろうが……」
『ダメだったかしら……?』
 聖女クレシーダの問い掛けは確かに問題はないが新たなる招待者を追加する撃鉄だった。その被害者は主にユグノース王家だ。すでにこんな大事になっててんやわんやなユグノース王家に更に負担を掛ける事になり宗八そうはちも胃が痛み始める。
 可愛らしく首を傾げる白竜クラウディーナの姿は小さく可愛らしいうえに美しいとあって宗八そうはちと言えど文句が言えなくなる。
「ぐっ!わかりました。クレアが面倒を見るんだぞ」
「任せてください。クラウディーナ様とは気が合うので私が責任をもって同行します!」
 第二王子ラッセンが引き継いで神聖教国にあてがわれた部屋へと案内する。その後ろ姿を見送る宗八そうはち青竜フリューアネイシアが不要な言葉を発した。

『じゃあこれからまた招待客が増える事を伝えないとだね』
 大精霊すら何人も連れて来たのに竜まで何匹も連れてきた日には宗八そうはちはどんな視線を向けられるのか、と天を仰ぐ。だが、青竜フリューアネイシアの言う事にも一理あるのだ。声を掛けないわけには行かない。
「そうだな、すっかり現実逃避しそうになっていたよ。ありがとうフリューネ」
 硬い頭を撫でるとグルグルと喉が鳴り撫でる手に強く擦り付けて来る。アルカンシェに視線を送るとすぐに察知して隣に移動してくれた。
「どうしましたか?」
白竜ディーがクレアに付いて来ちゃったみたい。他の竜も誘うだけ誘わないといけなくなった」
 これにはアルカンシェも思わず手を口元に広げて「まぁ」と声を発さずに口を開いた。
「あの国は精霊王も竜もクレアが好きですからね、盲点でした。すぐに確認をして来ます」
 そう言うと颯爽とその場を離れて王太子アルカイドの下へと向かい相談を始めたアルカンシェ。その間に宗八そうはちは気になる点を青竜フリューアネイシアに確認した。
黄竜グリーズ白竜ディー達が一堂に介する事で赤竜レッド・ドラゴンを刺激しないか?」
『するんじゃない? 乗り込んで来たなら良い機会だし上下関係を構築すればいいよ』
 事も無げにブチのめせと言い出す青竜フリューアネイシアに不安を覚えた宗八そうはちは知人らしい火精王サラマンダーの下へ急いだ。

「サラマンダー様。少し宜しいですか?」
『おぉ、<万彩カリスティア>。先ほど振りだな』
 火精王サラマンダーの巨大だった身体は人の里に来ることを考えてか人型を取っていた。見た目は三十代後半くらいの顔付だ。
「相談が一つございます。白竜がユレイアルド神聖教国のメンバーと同行して来てしまい他の竜も招待すべきとアルシェも動いているのですが、赤竜レッド・ドラゴンの動向が気になりまして……」
 宗八そうはちの話を聞いた火精王サラマンダーは納得した表情を浮かべる。
『なるほどな。確かに青竜ブルー・ドラゴンが火の国に滞在している事を不満に思ってか愚痴を吐きに来ておったわ。<万彩カリスティア>の懸念通り、赤竜レッド・ドラゴンは他の竜の存在を嗅ぎ付け次第すぐにこの場に現れる事だろう』
 あぁこれは面倒な事になるぞ。宗八そうはちは報告会が確実に荒れる一幕が増えたことに溜息を吐かずにはいられなかった。
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