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閑話休題 -破滅対策同盟《アルストロメリア》大報告会-
閑話休題 -102話-[破滅対策同盟大報告会②]
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~Side Alkaid~
———竜を呼ぶ事になった。
アルカンシェからその話題を振られた王太子アルカイドは最初冗談だと考えた。流石の宗八と言えど伝説上の生き物である竜とコンタクトが取れるとは思えないと脳裏に過ぎったその時。アルカンシェの背後で青竜と戯れる宗八の姿を視界に捉え思い出した。そういえば宗八はこの国を訪れた時から竜と共に在ったなぁ、と。
「今この国に揃っているのは青竜と白竜でしたか? 他の竜とはどの竜を指しているのですか?」
務めて冷静にアルカンシェに質問するアルカイドにアルカンシェも冷静に答えた。
「黄竜のグリュエザール様と緑竜のクァイアオーグナ様に声を掛ける予定です」
「あ、名前まで知ってるんですね……」
精霊信仰をしている国と言っても交流はおろか精霊の名前で知っているのは精霊王くらいなものなのだ。竜なんて物語の中にしか出て来ない存在で、カテゴリを分けるなら魔物に分類されるだろう竜に名前がある。それも衝撃的だった。実際、宗八が連れている青竜の名前は宗八が命名したフリューネだと認識していた。
「青竜はフリューアネイシア様が正式名称ですね。フリューネは略称です」
「あ、そうですか……」
親密になると略称も許されるのか……。
ともかくアルカンシェの話ではすでに事は進んでおり拒否は出来そうにない。それに我が国だけで応対するには限度もあり、それぞれの国も竜との交流を求めるのは必然と言えるので対応をどうするのかアルカイドの脳内が激しく駆動する。
「私はドラウグド陛下に伝えて参ります。アルカンシェ様は竜の件を各国に伝えてもらえますか? 実際に竜を連れてきたうえでどの立場に収まるのかは宗八と各国の王と竜の意思に任せます」
「わかりました。ではさっそく話が通しやすいラフィート陛下に話を持って行きますね」
青竜はアスペラルダ陣営というよりは宗八に付いている様に見える。さらに先ほど見掛けた白竜も聖女クレシーダに懐いている様に見えた。この2名は竜と交流があったという前提だからこその関係だと想定したアルカイドは竜の立ち位置については強制しない方針で話を進める旨をアルカンシェに伝え、アルカンシェその考えを尊重して土の国の公王よりも話の分かる風の国の国王を優先することにした。
* * * * *
コンコンコン!
フォレストトーレ国王、ラフィートの控室の扉をアルカンシェはノックする。
「アルカンシェです。追加の招待者について相談に参りました」
「入れ」
招かれた部屋の中にはラフィートを始め、風の国の重鎮が同席しながら事前に渡していた今回の資料を読みこんでいる最中であった。その中心となっているラフィート王の前に堂々と進むアルカンシェの背後には宗八と侍女メリーの二人が控えている。
「アルカンシェ王女。追加の招待者とは何の話だ?」
ラフィートの視線は宗八に注がれている。宗八が原因で面倒が発生したのだと考えている視線だった。
「今回は宗八の責ではありません。ユレイアルド神聖教国を招いた際に白竜が一緒に来てしまいまして……。対応の差を付けない様に他の竜も呼ぶべきだと判断したのです」
「俺の所に来たと言う事は風竜か、はたまた緑竜でも連れて来ようという訳か?」
アルカンシェは肯定する。
「ご慧眼恐れ入ります。先日風精王セリアティア様の導きで協力を得る事が出来ました緑竜クァイアオーグナ様を誘う心積もりでありますので、その後のお相手などをお願い出来ればと訪問させていただきました」
「ゲストである俺達に負担をしろと? ヴリドエンデで対応は出来ないのか?」
ラフィートの言い分は正しいし明らかに不満げな声音で喋ってはいるが瞳に怒りの色はない。これも王族の様式美なのかと宗八は内心溜息を吐いた。未だに王妃の立場に慣れていないのかラジアーデは少しオロオロしていた。
「重ねてお詫びいたします。これは確定情報では無いのですが私達も未接触の赤竜が他の竜の気配を察して強襲を仕掛けて来る予定ですのでそちらに集中したいと……。風精王セリアティア様とも顔見知りとの事ですし、よろしければご協力いただけないでしょうか?」
アルカンシェが言葉と共に頭を下げるその様に室内に動揺が見られた。ここで言葉遊びに終止符を打つべくラフィートが動く。
「わかった。セリアティア様、我らと竜の懸け橋となっていただけますか?」
『良いでしょう。今後竜との協力得る場面を描くならばここで繋がりを作るのも一興でしょう』
ラフィートと風精王セリアティアが了承した事でやっと動き出すことが出来る。
「固い話は以上だ。今後アルカンシェ王女ならびに水無月宗八に関してはこの部屋に限り無礼講とする。お前達もいちいち反応する事の無い様に気を緩めておけ」
「「「「「はっ!」」」」」
兵士や重鎮の返事にラフィートは満足そうな表情で宗八に視線を送る。さっさとしろとと言っている様だ。
「その前に……」
ラフィートの視線の意味を察していたアルカンシェが宗八を止めて王妃ラジアーデに挨拶をする。
「改めて、お目に掛かれて光栄ですラジアーデ王妃殿下。アスペラルダが第一王女、アルカンシェ=シヴァ=アスペラルダです。こちらは私の護衛隊長をしている水無月宗八です。ラフィート陛下とは友人関係にありますので彼の言葉にご温情を何卒よろしくお願いいたします」
アルカンシェの挨拶に椅子から立ち上がったラジアーデも返礼する。
「こちらこそ英雄王女にお目に掛かれて光栄ですわ。私は最近ラフィート陛下と結ばれたばかりでまだ勉強中の身ですが色々と教えてくださると幸いです。水無月様の事も陛下から伺っておりますので私から関係に口を出すことはしないとお約束いたしますわ」
緊張状態だったラジアーデ王妃の相手をアルカンシェが率先して行う事で彼女の緊張はかなり解れて来ている。
アルカンシェとラジアーデが挨拶後に雑談に花を咲かす一方で宗八はラフィートの側に近づいて声を掛ける。
「どこのお嬢さん?」
「若く見えるが俺より歳は上だぞ。一応王族の血縁者を調べたうえで権力に飢えた奴を省いた結果ラジアーデが浮かんだので彼女の実家に意思確認の手紙を出したら返事を持って本人がハルカナムにやって来たのだ。貴様らの様な恋愛などしている暇はないのでな。文官としても仕事が出来るからラジアーデにとっては今が一番忙しい時期だろう」
宗八はその話を聞いて「ふ~ん」と返事をしていたが、実際のところ王妃教育、文官の手伝い、世継ぎの仕込みとラフィートの言う通りラジアーデは大変忙しい日々を送っていた。毎日の体調もケアしつつ食事も気を付けつつ家臣共々ラジアーデに気を使いながらも国の建て直しという大仕事を熟す予定のラフィートの手伝いが出来る事にラジアーデは生きがいを見出していた。だからなのか、ラフィートとラジアーデの関係は良好に見え宗八はこれも幸せの一つのカタチなのかと勝手に納得していた。
「じゃあさっさと行こうか。この後カンパネラ公の所にも行かなきゃならないし」
宗八の意図を察したラフィートは挑発的な表情で微笑む。
「なるほど、そう言う事か。貴様らの事情を汲める俺のところに先に来たわけだな?」
「はいはい、そうですよ。カンパネラ公はごねて時間が掛かりそうなイメージなんだよ。先に緑竜を呼んでしまえば黄竜を呼ばざるを得ないだろう? ゴチャゴチャ言うならラフィートにも口添えしてもらえれば楽になりそうだし」
ラフィートに事情を説明しながら手早くゲートを設置する宗八。その傍にラフィートと風精王セリアティアが準備を整えて寄る。ゲートを繋げた先は巨大な雲の中で移動し続ける緑竜の巣だ。アルカンシェはこの場に残ってラジアーデの相手をするつもりでソファから立ち上がる動きを見せない。
「行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」
ラフィートの言葉にラジアーデが返答する。宗八達がアイコンタクトで同様の会話を交わしたと気付いたのは侍女メリーだけだった。
———竜を呼ぶ事になった。
アルカンシェからその話題を振られた王太子アルカイドは最初冗談だと考えた。流石の宗八と言えど伝説上の生き物である竜とコンタクトが取れるとは思えないと脳裏に過ぎったその時。アルカンシェの背後で青竜と戯れる宗八の姿を視界に捉え思い出した。そういえば宗八はこの国を訪れた時から竜と共に在ったなぁ、と。
「今この国に揃っているのは青竜と白竜でしたか? 他の竜とはどの竜を指しているのですか?」
務めて冷静にアルカンシェに質問するアルカイドにアルカンシェも冷静に答えた。
「黄竜のグリュエザール様と緑竜のクァイアオーグナ様に声を掛ける予定です」
「あ、名前まで知ってるんですね……」
精霊信仰をしている国と言っても交流はおろか精霊の名前で知っているのは精霊王くらいなものなのだ。竜なんて物語の中にしか出て来ない存在で、カテゴリを分けるなら魔物に分類されるだろう竜に名前がある。それも衝撃的だった。実際、宗八が連れている青竜の名前は宗八が命名したフリューネだと認識していた。
「青竜はフリューアネイシア様が正式名称ですね。フリューネは略称です」
「あ、そうですか……」
親密になると略称も許されるのか……。
ともかくアルカンシェの話ではすでに事は進んでおり拒否は出来そうにない。それに我が国だけで応対するには限度もあり、それぞれの国も竜との交流を求めるのは必然と言えるので対応をどうするのかアルカイドの脳内が激しく駆動する。
「私はドラウグド陛下に伝えて参ります。アルカンシェ様は竜の件を各国に伝えてもらえますか? 実際に竜を連れてきたうえでどの立場に収まるのかは宗八と各国の王と竜の意思に任せます」
「わかりました。ではさっそく話が通しやすいラフィート陛下に話を持って行きますね」
青竜はアスペラルダ陣営というよりは宗八に付いている様に見える。さらに先ほど見掛けた白竜も聖女クレシーダに懐いている様に見えた。この2名は竜と交流があったという前提だからこその関係だと想定したアルカイドは竜の立ち位置については強制しない方針で話を進める旨をアルカンシェに伝え、アルカンシェその考えを尊重して土の国の公王よりも話の分かる風の国の国王を優先することにした。
* * * * *
コンコンコン!
フォレストトーレ国王、ラフィートの控室の扉をアルカンシェはノックする。
「アルカンシェです。追加の招待者について相談に参りました」
「入れ」
招かれた部屋の中にはラフィートを始め、風の国の重鎮が同席しながら事前に渡していた今回の資料を読みこんでいる最中であった。その中心となっているラフィート王の前に堂々と進むアルカンシェの背後には宗八と侍女メリーの二人が控えている。
「アルカンシェ王女。追加の招待者とは何の話だ?」
ラフィートの視線は宗八に注がれている。宗八が原因で面倒が発生したのだと考えている視線だった。
「今回は宗八の責ではありません。ユレイアルド神聖教国を招いた際に白竜が一緒に来てしまいまして……。対応の差を付けない様に他の竜も呼ぶべきだと判断したのです」
「俺の所に来たと言う事は風竜か、はたまた緑竜でも連れて来ようという訳か?」
アルカンシェは肯定する。
「ご慧眼恐れ入ります。先日風精王セリアティア様の導きで協力を得る事が出来ました緑竜クァイアオーグナ様を誘う心積もりでありますので、その後のお相手などをお願い出来ればと訪問させていただきました」
「ゲストである俺達に負担をしろと? ヴリドエンデで対応は出来ないのか?」
ラフィートの言い分は正しいし明らかに不満げな声音で喋ってはいるが瞳に怒りの色はない。これも王族の様式美なのかと宗八は内心溜息を吐いた。未だに王妃の立場に慣れていないのかラジアーデは少しオロオロしていた。
「重ねてお詫びいたします。これは確定情報では無いのですが私達も未接触の赤竜が他の竜の気配を察して強襲を仕掛けて来る予定ですのでそちらに集中したいと……。風精王セリアティア様とも顔見知りとの事ですし、よろしければご協力いただけないでしょうか?」
アルカンシェが言葉と共に頭を下げるその様に室内に動揺が見られた。ここで言葉遊びに終止符を打つべくラフィートが動く。
「わかった。セリアティア様、我らと竜の懸け橋となっていただけますか?」
『良いでしょう。今後竜との協力得る場面を描くならばここで繋がりを作るのも一興でしょう』
ラフィートと風精王セリアティアが了承した事でやっと動き出すことが出来る。
「固い話は以上だ。今後アルカンシェ王女ならびに水無月宗八に関してはこの部屋に限り無礼講とする。お前達もいちいち反応する事の無い様に気を緩めておけ」
「「「「「はっ!」」」」」
兵士や重鎮の返事にラフィートは満足そうな表情で宗八に視線を送る。さっさとしろとと言っている様だ。
「その前に……」
ラフィートの視線の意味を察していたアルカンシェが宗八を止めて王妃ラジアーデに挨拶をする。
「改めて、お目に掛かれて光栄ですラジアーデ王妃殿下。アスペラルダが第一王女、アルカンシェ=シヴァ=アスペラルダです。こちらは私の護衛隊長をしている水無月宗八です。ラフィート陛下とは友人関係にありますので彼の言葉にご温情を何卒よろしくお願いいたします」
アルカンシェの挨拶に椅子から立ち上がったラジアーデも返礼する。
「こちらこそ英雄王女にお目に掛かれて光栄ですわ。私は最近ラフィート陛下と結ばれたばかりでまだ勉強中の身ですが色々と教えてくださると幸いです。水無月様の事も陛下から伺っておりますので私から関係に口を出すことはしないとお約束いたしますわ」
緊張状態だったラジアーデ王妃の相手をアルカンシェが率先して行う事で彼女の緊張はかなり解れて来ている。
アルカンシェとラジアーデが挨拶後に雑談に花を咲かす一方で宗八はラフィートの側に近づいて声を掛ける。
「どこのお嬢さん?」
「若く見えるが俺より歳は上だぞ。一応王族の血縁者を調べたうえで権力に飢えた奴を省いた結果ラジアーデが浮かんだので彼女の実家に意思確認の手紙を出したら返事を持って本人がハルカナムにやって来たのだ。貴様らの様な恋愛などしている暇はないのでな。文官としても仕事が出来るからラジアーデにとっては今が一番忙しい時期だろう」
宗八はその話を聞いて「ふ~ん」と返事をしていたが、実際のところ王妃教育、文官の手伝い、世継ぎの仕込みとラフィートの言う通りラジアーデは大変忙しい日々を送っていた。毎日の体調もケアしつつ食事も気を付けつつ家臣共々ラジアーデに気を使いながらも国の建て直しという大仕事を熟す予定のラフィートの手伝いが出来る事にラジアーデは生きがいを見出していた。だからなのか、ラフィートとラジアーデの関係は良好に見え宗八はこれも幸せの一つのカタチなのかと勝手に納得していた。
「じゃあさっさと行こうか。この後カンパネラ公の所にも行かなきゃならないし」
宗八の意図を察したラフィートは挑発的な表情で微笑む。
「なるほど、そう言う事か。貴様らの事情を汲める俺のところに先に来たわけだな?」
「はいはい、そうですよ。カンパネラ公はごねて時間が掛かりそうなイメージなんだよ。先に緑竜を呼んでしまえば黄竜を呼ばざるを得ないだろう? ゴチャゴチャ言うならラフィートにも口添えしてもらえれば楽になりそうだし」
ラフィートに事情を説明しながら手早くゲートを設置する宗八。その傍にラフィートと風精王セリアティアが準備を整えて寄る。ゲートを繋げた先は巨大な雲の中で移動し続ける緑竜の巣だ。アルカンシェはこの場に残ってラジアーデの相手をするつもりでソファから立ち上がる動きを見せない。
「行ってくる」
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ラフィートの言葉にラジアーデが返答する。宗八達がアイコンタクトで同様の会話を交わしたと気付いたのは侍女メリーだけだった。
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