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最終話 2つの石
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「ミオ、そろそろ寝るぞ」
「うん、ちょっと待って」
ミオは寝る前に宝物を棚に飾り、朝起きれば宝物を棚から取り出す。
「そろそろ宝物の秘密を教えてくれてもいいんじゃないか?」
「1番の宝物の秘密は毎晩教えてやってるだろ」
ミオは時々、男前なことを言う。
「その宝物たちも、毎日大切にされていたら、本当の宝にでもなりそうだな」
ミオは聞こえているのか、いないのか、俺を無視して黙々と宝物を並べていく。何度見ても、なんの変哲もない石や枝、よくわからない部品、つまりはガラクタだった。
ミオが肌着を脱ぎながらベッドに走り寄ってくる。毎回破くのは不経済という理由でそうするようになった習慣だ。
「もう腕は動くようになったんだから、脱がしてやるぞ」
「そうしたら、レジーがノリ気じゃない時に脱がさなくなるだろ?」
「まだ根に持ってるのか」
「だって、だって、俺あの時本当に嬉しくて、レジーが本当に俺のこと好きなんだって思ったのに!」
帝国軍と領民兵の目の前で、ミオは一体なにをするつもりだったのか、未だに恐ろしくて聞けずにいる。
「秘密はミオだけのものだろう?」
「でも、でも! レジーが、レジーが!」
俺が本心をうまく表現できないことが根にもたれる原因だとわかっている。しかし愛していると言っても、好きだと言っても、ミオは納得しないのだ。俺は説得を諦めてあの日のことを思い返す。
「リベリオは一体なぜあんな能力を持ったのだろうな」
「そんなこと言ったら、不思議なことだらけだ。種族によって寿命は違うし、姿形も違う。こんだけ違うのなら、2度生まれる奴がいたっておかしくないだろ」
「2度生まれる?」
「能力なんて考えるより、そっちの方が自然だよ。少しでも未来が変わったら先のことがわからなくなるんだから」
「そうか……」
ミオが俺の唇に軽くキスを落とした。
「もしリベリオが3度生まれたら、また俺を連れ去ってくれるのか?」
「あ……あぁ……レジー、ダメ……すごく嬉しいよ……もう一度言って……」
ミオはブルブルと震えて、竜神に変化していく。
「何度でも、俺を連れ去って欲しい、ミオ」
「レジー、俺のレジー。約束する……必ず見つけて何度でも連れ去るよ……レジー……ごめん、もう待てない」
「俺もだ、ミオ。いつものがいい」
ミオは俺を抱き上げ、自慢の胸に埋める。この大地で何度も慰められたフカフカの胸に久しぶりに涙を散らした。
竜神は今日も俺を抱く。俺の深い場所で竜神は鳴き、この自由な大地に雨が降る。
そして石のように2人がその雨音に震え、朝の囀りを夢に見る。何度生まれても、こうやって夢を見るのだ。
<了>
「うん、ちょっと待って」
ミオは寝る前に宝物を棚に飾り、朝起きれば宝物を棚から取り出す。
「そろそろ宝物の秘密を教えてくれてもいいんじゃないか?」
「1番の宝物の秘密は毎晩教えてやってるだろ」
ミオは時々、男前なことを言う。
「その宝物たちも、毎日大切にされていたら、本当の宝にでもなりそうだな」
ミオは聞こえているのか、いないのか、俺を無視して黙々と宝物を並べていく。何度見ても、なんの変哲もない石や枝、よくわからない部品、つまりはガラクタだった。
ミオが肌着を脱ぎながらベッドに走り寄ってくる。毎回破くのは不経済という理由でそうするようになった習慣だ。
「もう腕は動くようになったんだから、脱がしてやるぞ」
「そうしたら、レジーがノリ気じゃない時に脱がさなくなるだろ?」
「まだ根に持ってるのか」
「だって、だって、俺あの時本当に嬉しくて、レジーが本当に俺のこと好きなんだって思ったのに!」
帝国軍と領民兵の目の前で、ミオは一体なにをするつもりだったのか、未だに恐ろしくて聞けずにいる。
「秘密はミオだけのものだろう?」
「でも、でも! レジーが、レジーが!」
俺が本心をうまく表現できないことが根にもたれる原因だとわかっている。しかし愛していると言っても、好きだと言っても、ミオは納得しないのだ。俺は説得を諦めてあの日のことを思い返す。
「リベリオは一体なぜあんな能力を持ったのだろうな」
「そんなこと言ったら、不思議なことだらけだ。種族によって寿命は違うし、姿形も違う。こんだけ違うのなら、2度生まれる奴がいたっておかしくないだろ」
「2度生まれる?」
「能力なんて考えるより、そっちの方が自然だよ。少しでも未来が変わったら先のことがわからなくなるんだから」
「そうか……」
ミオが俺の唇に軽くキスを落とした。
「もしリベリオが3度生まれたら、また俺を連れ去ってくれるのか?」
「あ……あぁ……レジー、ダメ……すごく嬉しいよ……もう一度言って……」
ミオはブルブルと震えて、竜神に変化していく。
「何度でも、俺を連れ去って欲しい、ミオ」
「レジー、俺のレジー。約束する……必ず見つけて何度でも連れ去るよ……レジー……ごめん、もう待てない」
「俺もだ、ミオ。いつものがいい」
ミオは俺を抱き上げ、自慢の胸に埋める。この大地で何度も慰められたフカフカの胸に久しぶりに涙を散らした。
竜神は今日も俺を抱く。俺の深い場所で竜神は鳴き、この自由な大地に雨が降る。
そして石のように2人がその雨音に震え、朝の囀りを夢に見る。何度生まれても、こうやって夢を見るのだ。
<了>
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