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神域
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翌日の朝早くから、私達は蒼貴に乗って神域を目指した。とはいっても、実際に入り口まで行くのは、神獣達と私、そして絶対に行くと譲らなかったアルの6人。エドガー、ロザンナ、シュバルツ、フェルナンは、途中で待機だ。蒼貴に乗ること2日。私達は見覚えのある場所に降り立った。
「蒼貴、ここって・・・・」
「ああ、シェリアの箱庭があった場所だ」
「ここから、我らで2日程行ったところに神域への入り口のひとつがある」
「少し行くと神域への入り口に繋がる分岐点があるんだよ。普通はその分岐点で弾かれちゃう」
「シェリアさんや。箱庭を展開してくれんかの」
緑葉の要請で私はすぐに箱庭を出した。そして、中に入り、これからのことを決める。
今日のおやつは・・・・
・モンブラン
・煎餅
・生キャラメル
飲み物は、ダージリンかコーヒー
明日の朝、私とアルは神獣達に連れられて神域を目指す。エドガー達は魔獣を狩りながらここで私たちを待つ。箱庭はここに残るエドガー達のために据え置いていくけど、必ず誰かひとりは箱庭に残らなければならない。箱庭が消えてしまうからだ。話しが決まってから、私は久しぶりに大変な思いを味わった。私とアル、従魔達のご飯とおやつを大量に、そして残るメンバーのご飯とおやつを大量に作りおきという何の罰ゲーム?的なお仕事をこなしたからだ。それぞれにリクエストもあって、ぶち切れそうになりながら深夜まで頑張った。そして、翌日私達はエドガー達に後を任せて神域へと旅立った。
大きくなった白銀にアルとふたりで乗って森の中を駆け抜ける。蒼貴も紅蓮も緑葉も元の大きさだ。白銀は初めのうちは馬と変わらないくらいのスピードだったのに、いきなりスピードを増した。
「し・ろ・が・ね~、おちるぅ~」
「しっかり捕まっておけよ」
「ハァ・・・・」
アルは溜め息と共に私を囲う腕に力を込めた。私は、後ろから被さるようにアルに支えられている。私の握力だけでは白銀から落ちてしまうのだ。いや、いくら風魔法で風圧を調整しているとはいえ、周りの景色が白く見える速さで走っているんだから、落ちない方がおかしい。鞍もないのにバランスを崩すこともなく、私を支える余裕のあるアルがおかしいに決まっている。それだけのスピードを出しているのに木や岩にぶつかることはない。不思議なことに、スピードを増したあたりから障害物が彼らを避けているのだ。どうやらそこが神域へと通じる道の分岐点だったのかもしれない。
「白銀、そろそろシェリアが限界だ。今日はこのあたりまでだ」
「仕方ないな。では、この先に泉があるからそこで休むとしよう。蒼貴、紅蓮、緑葉もいいな?」
「分かった」「うん。了解」「仕方ないのぉ」
お手数をかけます。でも本当に限界なんです。腕も足も力が入りません。お尻、痛い。少し前から、白銀にベッタリとへばりついて、アルが私の全てを支えている。やっと泉が見えてきた。
伏せをした白銀からアルが私を下ろしてくれる。転がり落ちる力もない。まさに、満身創痍。この期に及んで、私を抱えながら居場所を整えるアルの体力はどうなっているのか。
「シェリア、念のため結果を張ってくれ。今日はここで休む」
神獣がいれば、魔獣は寄ってこないとは思うけど、何が起こるかわからないからね。その神獣達はというと、人型になりご飯を食べ始めている。次々と出しているけど、無くなっても作れないよ?私とアルも自分達の分を出して食べ、私はどうやら途中で眠ってしまったようだ。
夜中、ふと目が覚めてしまった。白銀のもふもふに包まれ、アルに抱えられている。私を囲むように蒼貴、紅蓮、緑葉が眠っているのか分かった。月明かりが私達を照らす。この世界の月は、丸いまま欠けることはない。丸い月がふたつ。あと2日もすれば重なりあい、あたかもひとつのようになる。ぼんやりとそれを眺めていると、意識がくらりと傾いた?
「シェリア、明日もある。眠れ」
あれ?気のせい?
アルは私を深く抱え直すと髪をすいて眠りを促してくれる。その気持ち良さにとろとろと意識が溶けていった。
それから、同じ事を2日も繰り返した。2日目の途中からはしがみつくこともできず、白銀に紐で括られた。つらい。
「神域の入り口が見えてきたぞ」
やっと、やっとです。もう2度と来たくない!
入り口の前で白銀が立ち止まった。
「ここだ」
「「・・・・」」
・・・・。木の虚?
これ、入れるの?
白銀達、どれくらいまで小さくなるの?
え、私とアルは大きさ変わらないよ?
「私にしっかりと捕まっておけよ」
「この大きさで入れるの?」
「心配するな」
「入れなかったら、白銀から落ちるだけだから」
「そうじゃの。怪我はせんよ」
いやいや、木にぶつかったら痛いよね?怪我するよね?
「ああ、あれはぶつかっても痛くないぞ」
そうなの?久しぶりに異世界の不思議だ。
「シェリアが入れねば、アルフォンスも入れぬだろうが、もし、アルフォンスだけが入れなかったときは我がここで共に待とう」
「シェリア、私が入れなかったら、すぐに戻ってこい。いいな?」
「分かった。白銀、よろしくね」
「行くぞ」
私は片手で白銀にぎゅっと捕まり、もう一方の手をアルの腕に回した。アルも私の腰を支え、片手で白銀の鬣を掴んでいる。白銀が虚に向かって走り出した。私は、ぎゅっと目をつぶりその瞬間に備える。
「着いたぞ」
白銀の声に恐る恐る目を開けると、そこは・・・・。なんというか、メルヘン?な世界だった。私の後ろにはちゃんとアルもいて、ポカンと口を開けている。
分かるよ。
アルの混乱ぶりはよく分かる。
なんとも受け入れがたい光景だよね。
足元の花に見えていたそれは、野菜スティク。
空中には葡萄やオレンジ、桃などの果物が浮かんでる。
遠くには赤い実のなる木。
向こうでキラキラ光るのは何だろう?湖?川?池?
「無事に入れたようじゃの」
緑葉の声で我に還った。無意識に掴み匂いを嗅いでいたオレンジをこそっと空中に返した。危うく、食べるところだったよ。
「ここが神域・・・・」
ポツリとアルが呟いた。まだ、呆然としているのかもしれない。
「シェリアさんや、何処に向かえばいいんじゃ?」
「あっ。えーと、綺麗な湖のあるところなんどけど、わかる?」
「どんな湖だ?」
「周りを高い木に囲まれてて、木漏れ日にキラキラしてて・・・・」
「そうではない。何色でどんな飲み物の湖だと聞いているんだ」
「え?・・え?どんな飲み物?湖に味があるの?」
「あるよ。ミルクの湖でしょ。ダージリンの湖でしょ。エスプレッソの湖でしょ。水の湖でしょ。あとは・・・・」
「あっ、水の湖だよ」
あー、なんてメルヘン。
湖がそれなら、川もきっと普通じゃないよね。
白銀に乗って、神域を案内してもらいながら、湖を目指した。案の定、川には水ではなく、ジュースが流れ、実のなる木には肉がなり、低木にはパンがなっていた。食べ物には困らないけど、調理するということがないから飽きるそうだ。だから、白銀は私と初めて会った日に食べた唐揚げに衝撃を受けたそうだ。その場で従魔契約したもんね。
「ここか?シェリア」
「たぶん」
「ここは滅多に誰も来ない」
そうだろうなと思いながら私達は白銀から降りて、湖の際まで近寄った。高い木が幾重にも湖を囲い、低い木には色とりどりのパン。木漏れ日を受けてキラキラと輝く湖は、底まで透けて見えるほどの透明度で、深さがわからない。白銀と蒼貴は、直接湖から水を飲んでいる。私も少し喉が乾いた。そう思って、手を水に浸した・・・・途端に・・・・湖の真ん中から波紋が広がり、こぽこぽと泡が弾け・・・・。
アルは、即座に私を抱き上げ湖から距離をとった。緑葉、紅蓮、白銀、蒼貴も私達と湖を隔てるように対峙している。
泡はその後もこぽこぽと出続けた。何が起こってもいいように、誰もそれから目を逸らさない。どれくらいそうしていたか。泡が止まった。次の瞬間、勢いよく、バサッと何が湖から飛び出した。
水が引き、それが姿を現す。
え?光の玉?
「なんだ、あれは?」
白銀の知らないものを私たちが知るわけがない。危険なものなのか、そうでないのかすら分からない。
《ようこそ。いらっしゃいませ~♪》
この場にそぐわないポップな音楽、それこそ、お手軽クッキング番組を彷彿とさせるような軽薄なメロディーと共に、これも緊張感の欠片もない高い声が響いた。
《ご注文は何になさいますか?次からお選びくださいぃ♪》
《1.スキル消滅・・・・お代は、番の印》
《2.スキル封印浄化・・・・お代は、番の印》
《3.スキル分離浄化・・・・お代は、番の印》
《どれになさいますか?》
ふざけてる。
遊ばれてるとしか思えない。
「・・・・どれも要りません」
ダダーン・ダン・・・・
音楽が突然変わった。軽やかで軽薄なメロディーから重苦しくドロドロとしたものになり、追い詰めるように鳴り響く。
《では、そんなあなたには、これを差し上げましょう》
低く嘲るかのような声がして、私の左胸が黒く輝いた。
《またのご来店を心よりお待ち致しております♪》
ポチャン・・・・
湖に消えた。
私達は、唖然とそれを見つめるしかなかった。
「シェリア!!!」
「え?」
アルの叫び声に、声のする方を見て何が起こったのか分からなかった。私は何かに包まれて浮かんでいるのだ。いつ、アルから離れたのかも分からなかった。
「アル!!!アル!!!アル!!!」
手を伸ばしてもアルに届かない。アルは、私を捕まえようとありったけの力でジャンプを繰り返し、蒼貴や紅蓮も私を捕まえようと私の周りを飛んでいるけど、かすりもしない。私は掻き消えるようにそこから連れ去られ、その衝撃で、気を失った。
「シェリア!!!!!!」
アルの私を呼ぶ声が最後に聞こえた気がした。
「蒼貴、ここって・・・・」
「ああ、シェリアの箱庭があった場所だ」
「ここから、我らで2日程行ったところに神域への入り口のひとつがある」
「少し行くと神域への入り口に繋がる分岐点があるんだよ。普通はその分岐点で弾かれちゃう」
「シェリアさんや。箱庭を展開してくれんかの」
緑葉の要請で私はすぐに箱庭を出した。そして、中に入り、これからのことを決める。
今日のおやつは・・・・
・モンブラン
・煎餅
・生キャラメル
飲み物は、ダージリンかコーヒー
明日の朝、私とアルは神獣達に連れられて神域を目指す。エドガー達は魔獣を狩りながらここで私たちを待つ。箱庭はここに残るエドガー達のために据え置いていくけど、必ず誰かひとりは箱庭に残らなければならない。箱庭が消えてしまうからだ。話しが決まってから、私は久しぶりに大変な思いを味わった。私とアル、従魔達のご飯とおやつを大量に、そして残るメンバーのご飯とおやつを大量に作りおきという何の罰ゲーム?的なお仕事をこなしたからだ。それぞれにリクエストもあって、ぶち切れそうになりながら深夜まで頑張った。そして、翌日私達はエドガー達に後を任せて神域へと旅立った。
大きくなった白銀にアルとふたりで乗って森の中を駆け抜ける。蒼貴も紅蓮も緑葉も元の大きさだ。白銀は初めのうちは馬と変わらないくらいのスピードだったのに、いきなりスピードを増した。
「し・ろ・が・ね~、おちるぅ~」
「しっかり捕まっておけよ」
「ハァ・・・・」
アルは溜め息と共に私を囲う腕に力を込めた。私は、後ろから被さるようにアルに支えられている。私の握力だけでは白銀から落ちてしまうのだ。いや、いくら風魔法で風圧を調整しているとはいえ、周りの景色が白く見える速さで走っているんだから、落ちない方がおかしい。鞍もないのにバランスを崩すこともなく、私を支える余裕のあるアルがおかしいに決まっている。それだけのスピードを出しているのに木や岩にぶつかることはない。不思議なことに、スピードを増したあたりから障害物が彼らを避けているのだ。どうやらそこが神域へと通じる道の分岐点だったのかもしれない。
「白銀、そろそろシェリアが限界だ。今日はこのあたりまでだ」
「仕方ないな。では、この先に泉があるからそこで休むとしよう。蒼貴、紅蓮、緑葉もいいな?」
「分かった」「うん。了解」「仕方ないのぉ」
お手数をかけます。でも本当に限界なんです。腕も足も力が入りません。お尻、痛い。少し前から、白銀にベッタリとへばりついて、アルが私の全てを支えている。やっと泉が見えてきた。
伏せをした白銀からアルが私を下ろしてくれる。転がり落ちる力もない。まさに、満身創痍。この期に及んで、私を抱えながら居場所を整えるアルの体力はどうなっているのか。
「シェリア、念のため結果を張ってくれ。今日はここで休む」
神獣がいれば、魔獣は寄ってこないとは思うけど、何が起こるかわからないからね。その神獣達はというと、人型になりご飯を食べ始めている。次々と出しているけど、無くなっても作れないよ?私とアルも自分達の分を出して食べ、私はどうやら途中で眠ってしまったようだ。
夜中、ふと目が覚めてしまった。白銀のもふもふに包まれ、アルに抱えられている。私を囲むように蒼貴、紅蓮、緑葉が眠っているのか分かった。月明かりが私達を照らす。この世界の月は、丸いまま欠けることはない。丸い月がふたつ。あと2日もすれば重なりあい、あたかもひとつのようになる。ぼんやりとそれを眺めていると、意識がくらりと傾いた?
「シェリア、明日もある。眠れ」
あれ?気のせい?
アルは私を深く抱え直すと髪をすいて眠りを促してくれる。その気持ち良さにとろとろと意識が溶けていった。
それから、同じ事を2日も繰り返した。2日目の途中からはしがみつくこともできず、白銀に紐で括られた。つらい。
「神域の入り口が見えてきたぞ」
やっと、やっとです。もう2度と来たくない!
入り口の前で白銀が立ち止まった。
「ここだ」
「「・・・・」」
・・・・。木の虚?
これ、入れるの?
白銀達、どれくらいまで小さくなるの?
え、私とアルは大きさ変わらないよ?
「私にしっかりと捕まっておけよ」
「この大きさで入れるの?」
「心配するな」
「入れなかったら、白銀から落ちるだけだから」
「そうじゃの。怪我はせんよ」
いやいや、木にぶつかったら痛いよね?怪我するよね?
「ああ、あれはぶつかっても痛くないぞ」
そうなの?久しぶりに異世界の不思議だ。
「シェリアが入れねば、アルフォンスも入れぬだろうが、もし、アルフォンスだけが入れなかったときは我がここで共に待とう」
「シェリア、私が入れなかったら、すぐに戻ってこい。いいな?」
「分かった。白銀、よろしくね」
「行くぞ」
私は片手で白銀にぎゅっと捕まり、もう一方の手をアルの腕に回した。アルも私の腰を支え、片手で白銀の鬣を掴んでいる。白銀が虚に向かって走り出した。私は、ぎゅっと目をつぶりその瞬間に備える。
「着いたぞ」
白銀の声に恐る恐る目を開けると、そこは・・・・。なんというか、メルヘン?な世界だった。私の後ろにはちゃんとアルもいて、ポカンと口を開けている。
分かるよ。
アルの混乱ぶりはよく分かる。
なんとも受け入れがたい光景だよね。
足元の花に見えていたそれは、野菜スティク。
空中には葡萄やオレンジ、桃などの果物が浮かんでる。
遠くには赤い実のなる木。
向こうでキラキラ光るのは何だろう?湖?川?池?
「無事に入れたようじゃの」
緑葉の声で我に還った。無意識に掴み匂いを嗅いでいたオレンジをこそっと空中に返した。危うく、食べるところだったよ。
「ここが神域・・・・」
ポツリとアルが呟いた。まだ、呆然としているのかもしれない。
「シェリアさんや、何処に向かえばいいんじゃ?」
「あっ。えーと、綺麗な湖のあるところなんどけど、わかる?」
「どんな湖だ?」
「周りを高い木に囲まれてて、木漏れ日にキラキラしてて・・・・」
「そうではない。何色でどんな飲み物の湖だと聞いているんだ」
「え?・・え?どんな飲み物?湖に味があるの?」
「あるよ。ミルクの湖でしょ。ダージリンの湖でしょ。エスプレッソの湖でしょ。水の湖でしょ。あとは・・・・」
「あっ、水の湖だよ」
あー、なんてメルヘン。
湖がそれなら、川もきっと普通じゃないよね。
白銀に乗って、神域を案内してもらいながら、湖を目指した。案の定、川には水ではなく、ジュースが流れ、実のなる木には肉がなり、低木にはパンがなっていた。食べ物には困らないけど、調理するということがないから飽きるそうだ。だから、白銀は私と初めて会った日に食べた唐揚げに衝撃を受けたそうだ。その場で従魔契約したもんね。
「ここか?シェリア」
「たぶん」
「ここは滅多に誰も来ない」
そうだろうなと思いながら私達は白銀から降りて、湖の際まで近寄った。高い木が幾重にも湖を囲い、低い木には色とりどりのパン。木漏れ日を受けてキラキラと輝く湖は、底まで透けて見えるほどの透明度で、深さがわからない。白銀と蒼貴は、直接湖から水を飲んでいる。私も少し喉が乾いた。そう思って、手を水に浸した・・・・途端に・・・・湖の真ん中から波紋が広がり、こぽこぽと泡が弾け・・・・。
アルは、即座に私を抱き上げ湖から距離をとった。緑葉、紅蓮、白銀、蒼貴も私達と湖を隔てるように対峙している。
泡はその後もこぽこぽと出続けた。何が起こってもいいように、誰もそれから目を逸らさない。どれくらいそうしていたか。泡が止まった。次の瞬間、勢いよく、バサッと何が湖から飛び出した。
水が引き、それが姿を現す。
え?光の玉?
「なんだ、あれは?」
白銀の知らないものを私たちが知るわけがない。危険なものなのか、そうでないのかすら分からない。
《ようこそ。いらっしゃいませ~♪》
この場にそぐわないポップな音楽、それこそ、お手軽クッキング番組を彷彿とさせるような軽薄なメロディーと共に、これも緊張感の欠片もない高い声が響いた。
《ご注文は何になさいますか?次からお選びくださいぃ♪》
《1.スキル消滅・・・・お代は、番の印》
《2.スキル封印浄化・・・・お代は、番の印》
《3.スキル分離浄化・・・・お代は、番の印》
《どれになさいますか?》
ふざけてる。
遊ばれてるとしか思えない。
「・・・・どれも要りません」
ダダーン・ダン・・・・
音楽が突然変わった。軽やかで軽薄なメロディーから重苦しくドロドロとしたものになり、追い詰めるように鳴り響く。
《では、そんなあなたには、これを差し上げましょう》
低く嘲るかのような声がして、私の左胸が黒く輝いた。
《またのご来店を心よりお待ち致しております♪》
ポチャン・・・・
湖に消えた。
私達は、唖然とそれを見つめるしかなかった。
「シェリア!!!」
「え?」
アルの叫び声に、声のする方を見て何が起こったのか分からなかった。私は何かに包まれて浮かんでいるのだ。いつ、アルから離れたのかも分からなかった。
「アル!!!アル!!!アル!!!」
手を伸ばしてもアルに届かない。アルは、私を捕まえようとありったけの力でジャンプを繰り返し、蒼貴や紅蓮も私を捕まえようと私の周りを飛んでいるけど、かすりもしない。私は掻き消えるようにそこから連れ去られ、その衝撃で、気を失った。
「シェリア!!!!!!」
アルの私を呼ぶ声が最後に聞こえた気がした。
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