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話し合い
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アルに抱えられてきた私を見て、陛下もセルバート様もアクラム様もほっとした顔で労ってくれた。しかし、大切な話をするというときに、アルの膝の上というのは・・・・、居たたまれない。アルが離してくれないからどうにも出来ない。意識が飛ばされたことだけでなく、独りで決めようとしたこともこの状況を作り出している原因なのは分かっているから、おとなしくしている。
「全員座ってくれ。特殊部隊もだ」
陛下の許可が出たので、全員が用意された椅子に座った。
「それで、重要な話しというのは?」
「ビジュー王国でシェリアの意識がいなくなったのはお伝えしたでしょう?」
「ああ、異世界の魔術師はいなかったそうだな」
「ええ。異世界の魔術師がいる部屋には、以前はなかった魔術がかけられていました。解析は、恐らく不可能です。私とシェリアの解析能力では残念ながら力不足ですし、あの部屋にシェリアを入れるつもりはありません。魔術自体の解除も難しいでしょうね。掛けた本人が亡くなれば、術は解けるでしょうが・・・・」
「それで?それだけで呼び出したのではあるまい?」
「シェリア、教えてくれ。意識が居なくなっていた間、何があった?」
「待て。意識を失ったのではなく、居なくなったとはどういう意味だ?」
アクラム様は、アルの微妙な言い回しに気がついた。
「・・・・」
アルのいつにない真剣な眼差しを受け、私は、意識を失ってからのことを話し始めた。
「俄には信じられないな」
「うむ。ビジュー王国の王太子はセルベージ殿だ。既に亡くなったラファーガ殿を恨んでというのも辻褄が合わん」
「それに、召喚聖女殿は帰られたんだろう?」
アルは、じっと私を見ている。何かを探るように。
「えっと、私が元の世界に意識だけ戻ったとかはどうでもよくて、この世界の何者かが私に必要な情報を提供するための舞台だったのかなと思うんです。私が一番受け入れやすい・・。だから、現実との齟齬は、私の気を引くための設定で、重要なことじゃなくて・・・・。んー、一番伝えたかったのは、神獣様と神域に行ってスキルを貰え、ってこと、そのスキルで異世界の魔術師の暴走を止められるということだと思うんです」
目覚めてからとりとめなく考えていたことを、どうにか纏めながら言葉を紡いでいく。本当にとりとめなかったから、しどろもどろだ。
「なるほど」
「それが確かなら、一刻の猶予もない。すぐに神域でそのためのスキルを戴いてきてもらいたい」
「神獣様、我々が神域に立ち入ることは出来るのでしょうか?」
「前例はないが、聖女なら入れるかもしれないな」
「連れてはいける。あとは、やってみねば分からんな」
「そうだね。無理なら入り口にも辿り着けないよ」
「神の許しがあるということじゃろう」
「シェリア、スキルを戴く代償は?何もなく戴けるなら、あんなにも悩まないだろう」
アルは静かに、でも確信を持って尋ねてきた。他の人たちも、えっ!と一斉に私を見た。
「・・・・」
これを伝えるのは躊躇してしまう。
「そうなのか?神域に入れれば戴けるのではないのか?」
セルバート様は目を見開いている。ちょっと怖い。
「ハァ。そうだな。無償で戴けるならシェリアは何も考えずに今日にでも神域に連れていけと言いそうだ。それを言い出さないということは、その代償が我々には関係がなく、シェリアにとって好ましくないということだ」
白銀は私のことをよく分かってるね。
「姐さん・・・・独りで背負うなよ・・・・」
溜め息混じりのフェルナン。
「シェリ、私達はそんなに頼りない?」
心配そうなロザンナ。
ううん。首を横に振る。
「違うの。そうじゃないの」
「じゃあ、教えてよ、シェリ姐」
ちょっと怒ったようなシュバルツ。
「シェリちゃん?」
私の言葉を促すエドガー。
みんな、私を気遣ってくれる。
私が話すのを待つつもりのようだ。もう少し、心が決まるまで時間がほしかったけど、ふと心が決まる日は来ない気がした。私は俯き、腹に力を入れて話し始めた。
「3つの内から選ぶんだけど。使えるのは1回だけ。・・・・ひとつめのスキルは消滅。代償は・・・・番の印」
アルが息を飲んだのが分かった。みんなもぎょっとしている。
「ふたつめのスキルは封印浄化。代償は・・・・大切なもの」
アルの私を抱く腕に痛いくらい力が込められた。
「みっつめのスキルは分離浄化。代償は称号のひとつの消滅」
「みっつめ以外は認めない!独りでは行かせない!!!ダメだ!!!」
ビックリした。アルが魔獣の討伐以外で声を荒げたのを初めて聞いた。アルバートだった時にも聞いたことはない。微かに震えているのが伝わってきた。
「そうだな。ひとつめとふたつめは、あり得ないな」
自分も番を持つアクラム様は、拳を握りしめ憤慨した声でアルに賛成した。
「誰かを犠牲にするような国や世界はいずれ立ち行かなくなる」
セルバート様の発言に他のみんなも頷いた。
「なあ、シェリ姐。どれを選んでも同じ結果になればそんなに思い詰めなくてもいいんじゃない?」
シュバルツが不思議なことを言った。
「どういうことだ?」
器用に片眉だけ上げた陛下にシュバルツはピキッと固まった。まさか、陛下が反応するとは思わなかったようだ。御愁傷様。
「ああ、忌憚ない意見を聞きたいだけだ。この先どんな意見が出ても咎めはしない」
「はっ!!戴いたスキルの使い方次第だと思います。例えば、消滅というスキルは、スキル名から推測すると、何かを消滅出来るものだと考えられます。シェリ姐の魔力量なら、もし、何も考えずに発動した場合、最悪この世界がなくなる可能性があります」
うそーん。
そんなこと考えもしなかったけど、確かにスキルさえあれば世界を消せるだけの魔力量はありそうだ。うわー、怖い。
みんな、顔がひきつってるよ。
「そして、次に、この世界から異世界の魔術師が居なくなるのは、不味いのではないでしょうか?」
「確かに」
「そうだな。世界中が混乱に陥るのは間違いないな」
なんで?
「俺の計算だと、異世界の魔術師が消滅して、1000年後には、負の魔力がほぼゼロになりますが、魔獣は500年後には半分以下に、700年後にはほぼゼロになります。その間に、魔獣を使用しない新たな技術を確立する必要がありますし、職を失う人も多く出るため暴動が起きるかもしれません。ですから、異世界の魔術師を元に戻す方向で戴いたスキルを使用する方法を考えるべきではないでしょうか」
「魔獣が居なくなると、紛争や戦争が起こるか」
えっ!魔獣、居た方がいいの?
これは、目から鱗だ。
魔獣有りきで発展してきた世界だけに有用な資源なんだね、魔獣って。厄ばっかりじゃないんだ。
「実際に神域に入れるかもわからないからのぉ、帰ってきてから考えようかの?」
それもそうだね。
「では、なるべく早く行ってきてくれ。帰ってきたら、すぐに時間をとる」
そして、その場は解散になった。
その帰り道・・・・
「しっかし、隊長も番が絡むとポンコツになるんだな。今までそうでもなかったから、安心しフギャア。・・隊長、魔法禁止!」
ポンコツ・・・・
「おい、フェルナン。しばかれたいか?」
「まあ、番を持つ男の獣人は、番が全てですからね。王太公様やアクラム様、それに隊長は理性的だと思いますよ。任務以外では、ロザンナのことしか考えられません」
エドガーの傍らにはロザンナが顔を赤くして寄り添っている。
「俺、当分独りでいいな。なんか、隊長と副隊長見てると胸焼けする。それに、姐さんの所にいれば、いつでも美味しいご飯食べられるし、快適なんだよね、今の生活」
「分かる~♪俺も。シェリ姐の飯食ったら、他の女は無理だよな。隊長と縁を繋ぎたい貴族連中の令嬢とか、マジうざい」
私は思わず苦笑してしまった。
「追い出すか」
「「隊長ぉ~」」
こんな軽口を言い合いながらも、私達は明日神域に向けて発つことを決めた。
「全員座ってくれ。特殊部隊もだ」
陛下の許可が出たので、全員が用意された椅子に座った。
「それで、重要な話しというのは?」
「ビジュー王国でシェリアの意識がいなくなったのはお伝えしたでしょう?」
「ああ、異世界の魔術師はいなかったそうだな」
「ええ。異世界の魔術師がいる部屋には、以前はなかった魔術がかけられていました。解析は、恐らく不可能です。私とシェリアの解析能力では残念ながら力不足ですし、あの部屋にシェリアを入れるつもりはありません。魔術自体の解除も難しいでしょうね。掛けた本人が亡くなれば、術は解けるでしょうが・・・・」
「それで?それだけで呼び出したのではあるまい?」
「シェリア、教えてくれ。意識が居なくなっていた間、何があった?」
「待て。意識を失ったのではなく、居なくなったとはどういう意味だ?」
アクラム様は、アルの微妙な言い回しに気がついた。
「・・・・」
アルのいつにない真剣な眼差しを受け、私は、意識を失ってからのことを話し始めた。
「俄には信じられないな」
「うむ。ビジュー王国の王太子はセルベージ殿だ。既に亡くなったラファーガ殿を恨んでというのも辻褄が合わん」
「それに、召喚聖女殿は帰られたんだろう?」
アルは、じっと私を見ている。何かを探るように。
「えっと、私が元の世界に意識だけ戻ったとかはどうでもよくて、この世界の何者かが私に必要な情報を提供するための舞台だったのかなと思うんです。私が一番受け入れやすい・・。だから、現実との齟齬は、私の気を引くための設定で、重要なことじゃなくて・・・・。んー、一番伝えたかったのは、神獣様と神域に行ってスキルを貰え、ってこと、そのスキルで異世界の魔術師の暴走を止められるということだと思うんです」
目覚めてからとりとめなく考えていたことを、どうにか纏めながら言葉を紡いでいく。本当にとりとめなかったから、しどろもどろだ。
「なるほど」
「それが確かなら、一刻の猶予もない。すぐに神域でそのためのスキルを戴いてきてもらいたい」
「神獣様、我々が神域に立ち入ることは出来るのでしょうか?」
「前例はないが、聖女なら入れるかもしれないな」
「連れてはいける。あとは、やってみねば分からんな」
「そうだね。無理なら入り口にも辿り着けないよ」
「神の許しがあるということじゃろう」
「シェリア、スキルを戴く代償は?何もなく戴けるなら、あんなにも悩まないだろう」
アルは静かに、でも確信を持って尋ねてきた。他の人たちも、えっ!と一斉に私を見た。
「・・・・」
これを伝えるのは躊躇してしまう。
「そうなのか?神域に入れれば戴けるのではないのか?」
セルバート様は目を見開いている。ちょっと怖い。
「ハァ。そうだな。無償で戴けるならシェリアは何も考えずに今日にでも神域に連れていけと言いそうだ。それを言い出さないということは、その代償が我々には関係がなく、シェリアにとって好ましくないということだ」
白銀は私のことをよく分かってるね。
「姐さん・・・・独りで背負うなよ・・・・」
溜め息混じりのフェルナン。
「シェリ、私達はそんなに頼りない?」
心配そうなロザンナ。
ううん。首を横に振る。
「違うの。そうじゃないの」
「じゃあ、教えてよ、シェリ姐」
ちょっと怒ったようなシュバルツ。
「シェリちゃん?」
私の言葉を促すエドガー。
みんな、私を気遣ってくれる。
私が話すのを待つつもりのようだ。もう少し、心が決まるまで時間がほしかったけど、ふと心が決まる日は来ない気がした。私は俯き、腹に力を入れて話し始めた。
「3つの内から選ぶんだけど。使えるのは1回だけ。・・・・ひとつめのスキルは消滅。代償は・・・・番の印」
アルが息を飲んだのが分かった。みんなもぎょっとしている。
「ふたつめのスキルは封印浄化。代償は・・・・大切なもの」
アルの私を抱く腕に痛いくらい力が込められた。
「みっつめのスキルは分離浄化。代償は称号のひとつの消滅」
「みっつめ以外は認めない!独りでは行かせない!!!ダメだ!!!」
ビックリした。アルが魔獣の討伐以外で声を荒げたのを初めて聞いた。アルバートだった時にも聞いたことはない。微かに震えているのが伝わってきた。
「そうだな。ひとつめとふたつめは、あり得ないな」
自分も番を持つアクラム様は、拳を握りしめ憤慨した声でアルに賛成した。
「誰かを犠牲にするような国や世界はいずれ立ち行かなくなる」
セルバート様の発言に他のみんなも頷いた。
「なあ、シェリ姐。どれを選んでも同じ結果になればそんなに思い詰めなくてもいいんじゃない?」
シュバルツが不思議なことを言った。
「どういうことだ?」
器用に片眉だけ上げた陛下にシュバルツはピキッと固まった。まさか、陛下が反応するとは思わなかったようだ。御愁傷様。
「ああ、忌憚ない意見を聞きたいだけだ。この先どんな意見が出ても咎めはしない」
「はっ!!戴いたスキルの使い方次第だと思います。例えば、消滅というスキルは、スキル名から推測すると、何かを消滅出来るものだと考えられます。シェリ姐の魔力量なら、もし、何も考えずに発動した場合、最悪この世界がなくなる可能性があります」
うそーん。
そんなこと考えもしなかったけど、確かにスキルさえあれば世界を消せるだけの魔力量はありそうだ。うわー、怖い。
みんな、顔がひきつってるよ。
「そして、次に、この世界から異世界の魔術師が居なくなるのは、不味いのではないでしょうか?」
「確かに」
「そうだな。世界中が混乱に陥るのは間違いないな」
なんで?
「俺の計算だと、異世界の魔術師が消滅して、1000年後には、負の魔力がほぼゼロになりますが、魔獣は500年後には半分以下に、700年後にはほぼゼロになります。その間に、魔獣を使用しない新たな技術を確立する必要がありますし、職を失う人も多く出るため暴動が起きるかもしれません。ですから、異世界の魔術師を元に戻す方向で戴いたスキルを使用する方法を考えるべきではないでしょうか」
「魔獣が居なくなると、紛争や戦争が起こるか」
えっ!魔獣、居た方がいいの?
これは、目から鱗だ。
魔獣有りきで発展してきた世界だけに有用な資源なんだね、魔獣って。厄ばっかりじゃないんだ。
「実際に神域に入れるかもわからないからのぉ、帰ってきてから考えようかの?」
それもそうだね。
「では、なるべく早く行ってきてくれ。帰ってきたら、すぐに時間をとる」
そして、その場は解散になった。
その帰り道・・・・
「しっかし、隊長も番が絡むとポンコツになるんだな。今までそうでもなかったから、安心しフギャア。・・隊長、魔法禁止!」
ポンコツ・・・・
「おい、フェルナン。しばかれたいか?」
「まあ、番を持つ男の獣人は、番が全てですからね。王太公様やアクラム様、それに隊長は理性的だと思いますよ。任務以外では、ロザンナのことしか考えられません」
エドガーの傍らにはロザンナが顔を赤くして寄り添っている。
「俺、当分独りでいいな。なんか、隊長と副隊長見てると胸焼けする。それに、姐さんの所にいれば、いつでも美味しいご飯食べられるし、快適なんだよね、今の生活」
「分かる~♪俺も。シェリ姐の飯食ったら、他の女は無理だよな。隊長と縁を繋ぎたい貴族連中の令嬢とか、マジうざい」
私は思わず苦笑してしまった。
「追い出すか」
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