巻き込まれて死亡?!神様、責任とってくださいね?

紅子

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身体の調達は意外と難しい

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何とか永遠に流離うとかいう、気が狂いそうな未来は回避できるようだ。死因過労死を何とか阻止したと思ったら、今度は切実に私の進退が振りかかってきた。永遠に流離うくらいなら消滅した方がマシじゃない?

「さて、どの世界がいいでしょうねぇ」

神様は、「う~ん」と言いながら、目を閉じた。

ハァ。どうしても働きたくて、突撃して売り込んでバイトで雇ってもらって、頑張って頑張って入った会社だったのに。キツかったけど、楽しかったなぁ。

そして、過去を振り返りつつ待つこと・・・・。

「まだですかぁ?」

「う~ん。なかなかちょうどいいのが・・・・。もうちょっと待って」

チクタクチクタクチクタクチクタク・・・・






たぶん、元の世界なら10年くらい経ったと思う。漸く神様の目が開いた。

「うん、ここにしましょう!ここなら、魔法陣を描く能力も活かせるでしょう。あなたの行く世界が決まりましたよ」

「それは、どんな世界で?」

「ありていに言えば、剣と魔法の世界です。そこなら、あなたは、その世界でも比較的希有な魔法陣創造の能力が得られます。今までの経験を活かせるよう、あなた専用のスキルもつけましょう。なに、街に居る分には、まあ、比較的安全ですよ、たぶん」

何その説明は?!

「不安しか感じないんですけどぉ?!」

だって、魔法陣創造は稀有な能力なんでしょう?それって、狙われやすいってことよね?

「ですが、他は、魔族の君臨する弱肉強食の世界ですから、それよりはいいでしょう?」

「他には?もっと安全で平和な世界はないんですか?!」

「残念ながら。あなたは肉体を持っていませんから、調達する必要がありまして、そのふたつ以外だと寿命を全うできない死体しかありません」

死体?調達する?え?どういうこと?神様が創ってくれるんじゃないの?

「カラ、カラダヲ、調達、トハ?」

嫌な予感に言葉が片言になってしまった。

「ん?そのままですよ。魂のまま転移しても生きていることにはなりませんから。身体は必要でしょう?」

「そうではなく。神様が創ってくれるのでは?」

「それは無理ですね。自然の摂理に反しますから。死体に魂を移すしか出来ません。ああ、性別は亡くなる前と同じ女性ですから安心してください。年齢も16歳ですから、そう変わらないでしょう?盗賊に襲われて、魔物にかみ殺されました」

いったい何処に安心する要素が?人様の身体をいただくってことですよね?しかも、盗賊に襲われて、魔物にかみ殺された死体の。それに、私、享年28歳。神様にとっては誤差なんだろうけれども!ホント、勘弁してよ。

「もう若くないのに、サバイバルなんて」

「あなたに拒否権はありませんよ?あなたのいた世界と比べると、魔物や盗賊がいる分、安全とは言いがたいですが」

「私、寿命まで生き残れる気がしないんですが」

危険とはほど遠い生活をしていた私では、すぐに死ぬ未来しか浮かばない。頼れる人どころか、知り合いすらいない世界に行くのだ。一縷の望みをかけて神様に縋った。

「ふむ。そうですねぇ。では、あなたをこのような境遇にした私の眷族を護衛としてつけましょう。・・リモーネルヴィーグルス」

神様が呪文を唱えると、その傍らに青銀色の毛を持つ大型犬が現れた。5mくらいある。

「お呼びですか、主」

「お前の罰が決まりましたよ。この娘の護衛です。この者が死ぬまで、あちらの世界で与えられていた少なくとも44年死なぬように護りなさい」

44年もあるのか。16歳の身体に入るから、60歳までは安泰なわけだ。

「畏まりました」

犬は、チラリと私を見ると、ゆっくりと歩み寄ってきた。遠近感がおかしくなりそうだ。

「・・・・デカい。デカすぎる。こんなの連れてて大丈夫ですか?」

私の声にピクリと反応した犬は、その歩みを止めて、しゅるしゅると1mくらいに縮んだ。便利だな。

「此度は、すまなかった。新しい世界では、そなたの与えられた時間を全うできるよう、全力で護ろう」

「よろしく、くれぐれもよろしくお願いします。私は飛界彩果ひかいさいか。彩果と呼んでください」

どう考えても私に拒否権はないのだから、安全を確保することに注力しよう。そうしよう。

「我は神獣リモーネルヴィーグルス。ヴィーグと呼べ」

ええええええええ~!!!呪文じゃなかったあ!!!

私の驚きをよそに、神様の元でヴィーグと契約を交わした。これで、ヴィーグは私の眷族となり、私が寿命を全うした後も死ぬまでそばにいてくれる。そして、サービスだと自分の生きることになる世界の言語や情報、常識をインストールしてもらった。身体の持ち主であった彼女の記憶は、魂の違う私には引き継がれないから、これは生活する上で途轍もなく重要なのだ。次に、魔法や魔法陣の練習も欠かせない。天涯孤独となる私は、すぐに働く必要がある。神様から当面の生活費や住まいは提供されるとしても、働く上で実績は必要かつ重要と経験から知っている。だから、前の世界での私の実績を私の実績としてこの世界で反映させるように交渉した。条件として、神様の愛し子というお仕事を引き受ける羽目になった。チッ。そうして準備を整えて、件の少女の身体をいただいたわけだけれども・・・・。



「耳がある」

『それは、あるだろう』

「尻尾もある」

『我にもついているぞ』

「人間じゃ、なかった」

『獣人だな』

人間の少女だとばかり思っていた身体は、とても小柄で長い耳とまん丸な尻尾を持つ以外は人と変わらない獣人と呼ばれる種族だった。

「聞いてないよぉ~!!!」
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