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12【誘惑】
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ルカーシュの熱は引いたものの、もう一日安静にすることになった。
寝台で上体を起こし、しばらく読んでいなかった本を膝に置いていたが、頁の進みは悪かった。
シモンは部屋の隅で待機している。昨夜を境にして、騎士の顔はルカーシュに向けられていた。こちらから見つめても逸らされず、ルカーシュの方がたまらず顔を逸らした。
それもこれもシモンの言葉のせいだ。
――「俺もあの時から、ルカーシュ様のことを考えてましたよ。悔しいくらいに」
声の響きもすべて思い出せる。文字を追っても、一語一句、頭から離れてくれない。集中できずに結局、本を閉じた。
部屋は暗く、蝋燭の明かりだけが頼りになっている。ルカーシュは枕に頭を乗せて、足先まで伸ばした。肩まで布団をかけると、瞼を下ろす。
シモンが部屋から出ていった様子はない。
以前は「寝るから今日はもういいよ」と言うと、シモンは部屋から出ていったが、今日はルカーシュも言わなかった。
言わなければ、寝付くまでいてくれると期待した。実際、シモンは部屋に居続けてくれている。それが胸がくすぐったくなるくらい嬉しい。ルカーシュは紅潮した顔を隠したくて、布団を口元まで引き上げた。
早く解放してあげたいのに、この夜だけはやけに目が冴えていた。散歩をしないで今日一日、寝台で過ごしていたからかもしれない。
ルカーシュは寝るのを諦めて、上体を起こした。寝台の上から、シモンを呼び寄せる。
「ねえ、シモン」
少しだけ小説の会話を参考にした。名前だけ呼ぶと命令のようになるが、話の頭に「ねえ」とつけると、友人を呼ぶような親しげな響きになる。
「何ですか?」と、怒ったような声が返ってきた。わざとらしい大きなため息はいつも通りだ。
「こっちに来てくれ」
きっと眉を寄せながらも、「来て」という願いを聞いてくれる。シモンはいつだってお人好しだ。他の誰にも優しいのだとしたら複雑だが、ここにはルカーシュしかいない。
シモンは確かに、寝台横まで来た。
「ここに座ってほしい」
寝台の端に手で示すと、「なぜ?」と用心深くたずねられる。
「シモンと大事な話をしたいから」
「わかりました」
シモンは息を吐くと、寝台にどっしりと構えて座った。背筋は伸びていて、姿勢だけは完璧な騎士だった。
「大事な話というのは?」
遠回しに聞くのが苦手なのか、真っ直ぐ聞いてきた。
言葉もなく見つめ合う。このまま言わないでおくこともできる。口を閉ざせば、何の変哲もない毎日に戻るだけだ。
それでも、言わずにはいられない。
自分の中に芽生えた感情に気づいたのは、いつだっただろう。少しずつ異変の欠片を集めていき、ひとつの感情に思い当たった。
正解を照らし合わせるように色恋の小説を読むようになった。登場人物の行動や感情に、自分にも思い当たる節があった。その感情を持つ時は決まって、近くにシモンがいる。
こうして対峙してみても、胸が高鳴っている。
ここからは小説の文面ではなく、自分の言葉で語りたいと思った。
「シモンは、人を好きになったことはあるか?」
「ありますよ、そりゃあ」
シモンが恋多き男であることは、他の護衛や使用人から聞いた話ではあった。それでも本人の口から聞いたのでは、衝撃は大きかった。
シモンの隣にいる顔の知らない人を思い浮かべると、胸のもやもやが増してきた。
ルカーシュは瞼を伏せてから、「好き、とはどういうことだろうか?」とたずねた。
「どういうことって言うと……」
シモンは「難しいな」と指で顎を擦ってみせる。それでも具体的に答えてくれた。
片時も好きな人の顔が離れないこと。楽しい現象があれば、共有したいと思うこと。
「他の誰かに誘われても、好きな人の顔がちらついて断ったり、その人が笑ってくれるなら何でもしたい。泣きそうな時は側にいて、眠れない時にはずっと手を握ってあげたい」
ルカーシュはシモンの答えを聞きながら、自分でその人物を当てはめていった。どの場面でも、シモンの顔が現れてきて、ルカーシュに向けて笑いかけてくる。眉尻を下ろして、目を細めたシモンの顔は、どこにおいても輝いていた。
時折、言葉に詰まるのは、シモンもそういう人を思い浮かべているのだろうか。
ルカーシュはおもしろくなかった。今ここにいるのはルカーシュであって、他の者ではない。たとえ、ここにいない誰かだとしても、思い浮かべてほしくはなかった。
「あとは、どうしようもなく、触れたいと思うことでしょうか」
シモンの掠れた声が近くに聞こえた。顔を上げると、視線が絡んだ。深緑の瞳に蝋燭の明かりが溶けている。
いつからシモンは自分を見つめていたのだろう。好きな人を語るときに、ルカーシュを見ていたのだとしたら。思い上がりに違いないのに、意識してしまうと、鼓動が激しくなってきた。
「それならわかる気がする。私もどうしようもなく、シモンに触れたくなる時がある」
「今も?」
シモンの目から一切離さず、「今もだ」と伝えた。手袋なんてしなくても触れられたなら、どんなに良かっただろう。
ルカーシュは片手に手袋をはめると、シモンの指に触れた。ゴツゴツと硬くて、石を転がしているような感覚がする。一度だけ触れた手の感触を思い出すと、涙がこぼれた。
シモンは腿の上で、血管が浮き出るほど強く拳を握る。耐えているかのように首筋に血管が浮き出ている。
「誘惑されるのは大歓迎なんですが」
ルカーシュは涙をぬぐってから、「私に誘惑なんて無理だ」と首を振る。
「そんなことはないですよ」
シモンは苦笑した。気を遣われても、自分のことは自分がよくわかっている。
「気休めはいい。シモンは女遊びが激しいのだろう」
「そんな話、誰から聞いたんですか?」
「シモンのことをたずねると、皆、そう言ってくる」
シモンは「あいつら」と怒りに震えていたが、ルカーシュが名を呼ぶと、いったん感情をおさめたようだ。
「そんな君に私の誘惑が通用するとは思えない」
何においても初心者で、シモンの手をわずらわせる。恋愛に関しては、卵から孵りもしていない。何もしたことがないのだ。そもそも誘惑とは何なのか、そこから入らなくてはならない。
自分の不勉強さに呆れて瞼を伏せていると、「ルカーシュ様」と声がした。
熱い視線をじりじりと首筋に感じる。シモンの手が伸びたとき、ルカーシュは自分の手を見下ろしていた。とてもこれから話すことを顔を見ては言えなかったからだ。
「手袋なしでは、人に触れたくても触れられない。人を傷つけてしまう。自分の力を制御できない未熟者で……」
「そんなこと、知ってますよ。ほら、これ」
声に導かれるようにして、ルカーシュは顔を上げた。シモンは着ていた上衣の釦を自らの手で外していく。肩を出すと、傷ついた腕を見せつけた。亀裂のように走った怪我の跡は、ルカーシュの胸を突いた。
「これは、私が君につけた傷だ」
「ルカーシュ様にうっかり触れたら、こうなりました」
シモンは何でもないことのように笑う。この怪我のせいで休養していたことは、知っている。ルカーシュを恨んでも仕方ないのに、シモンは決して責めない。それどころか、ルカーシュに様々なことを教えてくれた。
散歩、釣り、昼寝、そのすべてがシモンにとって些細な日常だとしても、大切な思い出となった。
――やはり、私はシモンを慕っている。それどころか、愛してしまった。
ルカーシュは涙が込み上げてきて、仕方なかった。言わなくてはと心ばかりが逸る。
「シモン、あの!」
顎を上げたとき、シモンの顔は近くにあった。普段は気だるそうな顔をしているのに、この時だけは真剣な表情をしている。熱っぽい視線がルカーシュの口元に注がれた。
「少しだけ、ルカーシュ様に触れてみてもいいですか?」
ルカーシュは必死に首を振る。
「駄目だ、そんなことしたら、また君を傷つける。そんなのは嫌だ」
「大丈夫。根拠はないんですけど、ひどいことにはならない気がします」
そう言って、シモンはルカーシュに顔を寄せていく。男同士だからという、躊躇いも一切なく、お互いの唇を合わせた。
柔らかさを感じたのは、ほんの一瞬だった。心配した通り、真っ白な光が眩き、辺りを照らした。
シモンの肩が震えた。寝台に手を突き、耐えるように眉間にシワを寄せている。はあはあと荒い息を吐く唇が腫れているのがわかる。縦に切れて血が滲んでいるのも。
崩れそうになる体を支えようと手を突き出したが、怖くなってやめた。これ以上、傷つけたくはない。
躊躇った手をシモンが包み込むように触れた。ぎゅっと握ったところで、叫び声とともに、シモンは床に倒れた。
「シモン! シモン!」
「大丈夫、これくらい……」
そう言い残して、シモンは気絶した。後には慌てふためくルカーシュがいて、屋敷中は大変な騒ぎになった。
◆
医師を呼び寄せた後、シモンは自室で療養することになった。予想した以上にひどい有り様だった。
シモンは両肩を負傷し、唇も腫れた。殴られたように赤く腫れているのが、痛々しい。
ルカーシュはシモンの部屋に入り浸り、献身的に世話をした。手袋をして、シモンの肩の包帯を替える。服を脱がして、さらされた逞しい胸板や腹筋をあまり見ないようにした。
それなのに、シモンはルカーシュの肩に腕を回して、引き寄せた。首筋に息がかかる。突然のことで固まり、赤くなったルカーシュの耳元でささやいた。
「次はもっとうまくやりますね」
次もあるのかと、ルカーシュは目元を赤く染めたが、こくっと頷いた。
寝台で上体を起こし、しばらく読んでいなかった本を膝に置いていたが、頁の進みは悪かった。
シモンは部屋の隅で待機している。昨夜を境にして、騎士の顔はルカーシュに向けられていた。こちらから見つめても逸らされず、ルカーシュの方がたまらず顔を逸らした。
それもこれもシモンの言葉のせいだ。
――「俺もあの時から、ルカーシュ様のことを考えてましたよ。悔しいくらいに」
声の響きもすべて思い出せる。文字を追っても、一語一句、頭から離れてくれない。集中できずに結局、本を閉じた。
部屋は暗く、蝋燭の明かりだけが頼りになっている。ルカーシュは枕に頭を乗せて、足先まで伸ばした。肩まで布団をかけると、瞼を下ろす。
シモンが部屋から出ていった様子はない。
以前は「寝るから今日はもういいよ」と言うと、シモンは部屋から出ていったが、今日はルカーシュも言わなかった。
言わなければ、寝付くまでいてくれると期待した。実際、シモンは部屋に居続けてくれている。それが胸がくすぐったくなるくらい嬉しい。ルカーシュは紅潮した顔を隠したくて、布団を口元まで引き上げた。
早く解放してあげたいのに、この夜だけはやけに目が冴えていた。散歩をしないで今日一日、寝台で過ごしていたからかもしれない。
ルカーシュは寝るのを諦めて、上体を起こした。寝台の上から、シモンを呼び寄せる。
「ねえ、シモン」
少しだけ小説の会話を参考にした。名前だけ呼ぶと命令のようになるが、話の頭に「ねえ」とつけると、友人を呼ぶような親しげな響きになる。
「何ですか?」と、怒ったような声が返ってきた。わざとらしい大きなため息はいつも通りだ。
「こっちに来てくれ」
きっと眉を寄せながらも、「来て」という願いを聞いてくれる。シモンはいつだってお人好しだ。他の誰にも優しいのだとしたら複雑だが、ここにはルカーシュしかいない。
シモンは確かに、寝台横まで来た。
「ここに座ってほしい」
寝台の端に手で示すと、「なぜ?」と用心深くたずねられる。
「シモンと大事な話をしたいから」
「わかりました」
シモンは息を吐くと、寝台にどっしりと構えて座った。背筋は伸びていて、姿勢だけは完璧な騎士だった。
「大事な話というのは?」
遠回しに聞くのが苦手なのか、真っ直ぐ聞いてきた。
言葉もなく見つめ合う。このまま言わないでおくこともできる。口を閉ざせば、何の変哲もない毎日に戻るだけだ。
それでも、言わずにはいられない。
自分の中に芽生えた感情に気づいたのは、いつだっただろう。少しずつ異変の欠片を集めていき、ひとつの感情に思い当たった。
正解を照らし合わせるように色恋の小説を読むようになった。登場人物の行動や感情に、自分にも思い当たる節があった。その感情を持つ時は決まって、近くにシモンがいる。
こうして対峙してみても、胸が高鳴っている。
ここからは小説の文面ではなく、自分の言葉で語りたいと思った。
「シモンは、人を好きになったことはあるか?」
「ありますよ、そりゃあ」
シモンが恋多き男であることは、他の護衛や使用人から聞いた話ではあった。それでも本人の口から聞いたのでは、衝撃は大きかった。
シモンの隣にいる顔の知らない人を思い浮かべると、胸のもやもやが増してきた。
ルカーシュは瞼を伏せてから、「好き、とはどういうことだろうか?」とたずねた。
「どういうことって言うと……」
シモンは「難しいな」と指で顎を擦ってみせる。それでも具体的に答えてくれた。
片時も好きな人の顔が離れないこと。楽しい現象があれば、共有したいと思うこと。
「他の誰かに誘われても、好きな人の顔がちらついて断ったり、その人が笑ってくれるなら何でもしたい。泣きそうな時は側にいて、眠れない時にはずっと手を握ってあげたい」
ルカーシュはシモンの答えを聞きながら、自分でその人物を当てはめていった。どの場面でも、シモンの顔が現れてきて、ルカーシュに向けて笑いかけてくる。眉尻を下ろして、目を細めたシモンの顔は、どこにおいても輝いていた。
時折、言葉に詰まるのは、シモンもそういう人を思い浮かべているのだろうか。
ルカーシュはおもしろくなかった。今ここにいるのはルカーシュであって、他の者ではない。たとえ、ここにいない誰かだとしても、思い浮かべてほしくはなかった。
「あとは、どうしようもなく、触れたいと思うことでしょうか」
シモンの掠れた声が近くに聞こえた。顔を上げると、視線が絡んだ。深緑の瞳に蝋燭の明かりが溶けている。
いつからシモンは自分を見つめていたのだろう。好きな人を語るときに、ルカーシュを見ていたのだとしたら。思い上がりに違いないのに、意識してしまうと、鼓動が激しくなってきた。
「それならわかる気がする。私もどうしようもなく、シモンに触れたくなる時がある」
「今も?」
シモンの目から一切離さず、「今もだ」と伝えた。手袋なんてしなくても触れられたなら、どんなに良かっただろう。
ルカーシュは片手に手袋をはめると、シモンの指に触れた。ゴツゴツと硬くて、石を転がしているような感覚がする。一度だけ触れた手の感触を思い出すと、涙がこぼれた。
シモンは腿の上で、血管が浮き出るほど強く拳を握る。耐えているかのように首筋に血管が浮き出ている。
「誘惑されるのは大歓迎なんですが」
ルカーシュは涙をぬぐってから、「私に誘惑なんて無理だ」と首を振る。
「そんなことはないですよ」
シモンは苦笑した。気を遣われても、自分のことは自分がよくわかっている。
「気休めはいい。シモンは女遊びが激しいのだろう」
「そんな話、誰から聞いたんですか?」
「シモンのことをたずねると、皆、そう言ってくる」
シモンは「あいつら」と怒りに震えていたが、ルカーシュが名を呼ぶと、いったん感情をおさめたようだ。
「そんな君に私の誘惑が通用するとは思えない」
何においても初心者で、シモンの手をわずらわせる。恋愛に関しては、卵から孵りもしていない。何もしたことがないのだ。そもそも誘惑とは何なのか、そこから入らなくてはならない。
自分の不勉強さに呆れて瞼を伏せていると、「ルカーシュ様」と声がした。
熱い視線をじりじりと首筋に感じる。シモンの手が伸びたとき、ルカーシュは自分の手を見下ろしていた。とてもこれから話すことを顔を見ては言えなかったからだ。
「手袋なしでは、人に触れたくても触れられない。人を傷つけてしまう。自分の力を制御できない未熟者で……」
「そんなこと、知ってますよ。ほら、これ」
声に導かれるようにして、ルカーシュは顔を上げた。シモンは着ていた上衣の釦を自らの手で外していく。肩を出すと、傷ついた腕を見せつけた。亀裂のように走った怪我の跡は、ルカーシュの胸を突いた。
「これは、私が君につけた傷だ」
「ルカーシュ様にうっかり触れたら、こうなりました」
シモンは何でもないことのように笑う。この怪我のせいで休養していたことは、知っている。ルカーシュを恨んでも仕方ないのに、シモンは決して責めない。それどころか、ルカーシュに様々なことを教えてくれた。
散歩、釣り、昼寝、そのすべてがシモンにとって些細な日常だとしても、大切な思い出となった。
――やはり、私はシモンを慕っている。それどころか、愛してしまった。
ルカーシュは涙が込み上げてきて、仕方なかった。言わなくてはと心ばかりが逸る。
「シモン、あの!」
顎を上げたとき、シモンの顔は近くにあった。普段は気だるそうな顔をしているのに、この時だけは真剣な表情をしている。熱っぽい視線がルカーシュの口元に注がれた。
「少しだけ、ルカーシュ様に触れてみてもいいですか?」
ルカーシュは必死に首を振る。
「駄目だ、そんなことしたら、また君を傷つける。そんなのは嫌だ」
「大丈夫。根拠はないんですけど、ひどいことにはならない気がします」
そう言って、シモンはルカーシュに顔を寄せていく。男同士だからという、躊躇いも一切なく、お互いの唇を合わせた。
柔らかさを感じたのは、ほんの一瞬だった。心配した通り、真っ白な光が眩き、辺りを照らした。
シモンの肩が震えた。寝台に手を突き、耐えるように眉間にシワを寄せている。はあはあと荒い息を吐く唇が腫れているのがわかる。縦に切れて血が滲んでいるのも。
崩れそうになる体を支えようと手を突き出したが、怖くなってやめた。これ以上、傷つけたくはない。
躊躇った手をシモンが包み込むように触れた。ぎゅっと握ったところで、叫び声とともに、シモンは床に倒れた。
「シモン! シモン!」
「大丈夫、これくらい……」
そう言い残して、シモンは気絶した。後には慌てふためくルカーシュがいて、屋敷中は大変な騒ぎになった。
◆
医師を呼び寄せた後、シモンは自室で療養することになった。予想した以上にひどい有り様だった。
シモンは両肩を負傷し、唇も腫れた。殴られたように赤く腫れているのが、痛々しい。
ルカーシュはシモンの部屋に入り浸り、献身的に世話をした。手袋をして、シモンの肩の包帯を替える。服を脱がして、さらされた逞しい胸板や腹筋をあまり見ないようにした。
それなのに、シモンはルカーシュの肩に腕を回して、引き寄せた。首筋に息がかかる。突然のことで固まり、赤くなったルカーシュの耳元でささやいた。
「次はもっとうまくやりますね」
次もあるのかと、ルカーシュは目元を赤く染めたが、こくっと頷いた。
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