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出会い
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結局、彼に送ってもらうことになった。
「……ねぇ、結城くん」
「何?」
「元彼を気にしているのって殴られたから?」
「はぁ!?もしかして気づいてないの!?」
「え?何を?」
私がそう言ったら彼は頭を抱えて、何かぶつぶつ言い始める。
「確かに鈍感だとは聞いてたけど……ここまで?頭良さそうなのに何で勘は鋭くないんだよ……つーか、俺、気になってるって言ったよね?何で気づかないんだよ……」
「ゆ、結城くん?大丈夫?」
とりあえず、声をかけてみた。
すると結城くんは軽く私を睨みながら口を開く。
「莉恵さんって人から鈍感って言われない?」
「え?えぇ、言われるわね。でも、それがどうしたの?」
「つまりはそういうことだよ……」
「えぇ?全然分からないんだけど」
彼はため息を吐くとそれ以降何も喋らなくなった。
(私、何かした?
してないと思うんだけど……)
仕方がないので元彼と病院に行ったときの記憶を探る。
いくつか候補が出てきてさらに記憶を辿る。
そして、私は思い出した。
「あ、思い出した……」
「えっ!?」
「……もしかして、ゆうきちゃん?」
「うわぁ……思い出さなくてよかったのに……」
ある日、元彼と病院に行ったとき、敷地内の木の下で泣いている子がいて。
どうしたの?と声をかけた。
その子は怖いのが嫌だといっそ楽にしてほしいと泣いていて。
名前を聞いたらゆうきとだけ答えてくれた。
私は無理に頑張らなくて良いんだよ
と言って頭を撫でていたら元彼が戻って来たので
バイバイゆうきちゃん
と言って別れたのだ。
「今は短くなっているけど……ビルで会ったときよりもあのときの方が髪、長かったわね。それに普通名前を聞かれたら名字じゃなくて下の名前を答えるものよ?だから、女の子と間違えても仕方ないわよね?」
「あーっ!もう!それでいいから!もう思い出さないで!」
「ふふっ」
「(懐かしいなぁ……
そんなこともあったわ。
あ、でも……)」
「結城くんと会ったのはそれっきりよね?なのに、どうして私のこと覚えていたの?」
私がそう聞くと結城くんは少し考えながら口を開いた。
「……嬉しかったから。みんな、頑張れ頑張れとしか言わなくて……俺は頑張ってるのにこれ以上何を頑張ればいいんだって思って泣いてたら莉恵さんに声をかけられて。莉恵さんは無理に頑張らなくてもいいって言ってくれて……すごく気持ちが楽になったんだ。あぁ、頑張るの休んでいいんだって」
そう言った結城くんの顔は本当に嬉しそうで。
その笑顔に、またドキッとする。
もうすぐ私の家に着くのが寂しいと感じてまだ一緒にいたいと思った。
その寂しさを紛らわすために話をする。
「ねぇ、結城くん。どうやって私のこと知ったの?」
「え?あー……莉恵さんと話したのはそれっきりだったけど何度か来てたみたいだから写メ撮ってもらって看護師さんに聞いた」
「……ねぇ、それって隠し撮りって言うんじゃない?」
「……撮ったの俺じゃないし。ちゃんと正面向いててカメラ目線だから隠し撮りでも盗撮でもないよ……たぶん」
「ふふっ、冗談よ。そう言えば一回だけ看護師さんに写真撮らせてって頼まれたことあったわ」
「うん。その看護師さんと一番仲良かったから。その人に莉恵さんの名前とか年齢も教えてもらった」
「そうだったのね」
気づけばもうすぐ私の家だった。
「あ、私の家もうすぐ近くなの。だから、ここで大丈夫よ」
「……そっか。家に入ったらすぐ鍵閉めてチェーンかけてね」
「結城くんったら心配性ね」
「あのおっさんが捕まるまでは絶対!莉恵さんの家知ってるんだから」
「……そうね。分かった。言われた通りにする」
「うん。あとさ……」
いきなり結城くんは俯くと何か考えているみたいで気になって尋ねる。
「ん?何?」
「連絡先、教えて。看護師さんもさすがにそこまでは聞けなかったみたいだから。それに……」
結城くんは何か決心がついたみたいで顔を上げると言葉を続けた。
「もっと莉恵さんと話したいし会いたい」
その言葉が嬉しくて。
私は微笑んだ。
「……分かったわ。連絡先、交換しましょう」
そう言って連絡先を交換した。
結城くんはすごく嬉しそうで。
見ているこっちまで嬉しくなる。
「ありがと!莉恵さん!何かあったらすぐ連絡して。飛んでくから」
そう言って結局私は家の前まで送ってもらった。
その日からほぼ毎日のように結城くんとメールや電話をする。
色んな話をして元彼と別れた原因も結城くんにはあっさり話せた。
結城くんはあまり自分のことを話さないけれど趣味とか誕生日は教えてくれて。
週一回は会う約束をして一緒に出かけた。
結城くんは会う度に何故か一度は頭を抱え何かぶつぶつ言っていたけれど。
そして、明日はちょうど再会して一ヶ月になる。
いつものように結城くんと出かける約束をしていて今は着ていく服を選んでいるのだった。
「(あぁ、早く明日にならないかな……)」
「……ねぇ、結城くん」
「何?」
「元彼を気にしているのって殴られたから?」
「はぁ!?もしかして気づいてないの!?」
「え?何を?」
私がそう言ったら彼は頭を抱えて、何かぶつぶつ言い始める。
「確かに鈍感だとは聞いてたけど……ここまで?頭良さそうなのに何で勘は鋭くないんだよ……つーか、俺、気になってるって言ったよね?何で気づかないんだよ……」
「ゆ、結城くん?大丈夫?」
とりあえず、声をかけてみた。
すると結城くんは軽く私を睨みながら口を開く。
「莉恵さんって人から鈍感って言われない?」
「え?えぇ、言われるわね。でも、それがどうしたの?」
「つまりはそういうことだよ……」
「えぇ?全然分からないんだけど」
彼はため息を吐くとそれ以降何も喋らなくなった。
(私、何かした?
してないと思うんだけど……)
仕方がないので元彼と病院に行ったときの記憶を探る。
いくつか候補が出てきてさらに記憶を辿る。
そして、私は思い出した。
「あ、思い出した……」
「えっ!?」
「……もしかして、ゆうきちゃん?」
「うわぁ……思い出さなくてよかったのに……」
ある日、元彼と病院に行ったとき、敷地内の木の下で泣いている子がいて。
どうしたの?と声をかけた。
その子は怖いのが嫌だといっそ楽にしてほしいと泣いていて。
名前を聞いたらゆうきとだけ答えてくれた。
私は無理に頑張らなくて良いんだよ
と言って頭を撫でていたら元彼が戻って来たので
バイバイゆうきちゃん
と言って別れたのだ。
「今は短くなっているけど……ビルで会ったときよりもあのときの方が髪、長かったわね。それに普通名前を聞かれたら名字じゃなくて下の名前を答えるものよ?だから、女の子と間違えても仕方ないわよね?」
「あーっ!もう!それでいいから!もう思い出さないで!」
「ふふっ」
「(懐かしいなぁ……
そんなこともあったわ。
あ、でも……)」
「結城くんと会ったのはそれっきりよね?なのに、どうして私のこと覚えていたの?」
私がそう聞くと結城くんは少し考えながら口を開いた。
「……嬉しかったから。みんな、頑張れ頑張れとしか言わなくて……俺は頑張ってるのにこれ以上何を頑張ればいいんだって思って泣いてたら莉恵さんに声をかけられて。莉恵さんは無理に頑張らなくてもいいって言ってくれて……すごく気持ちが楽になったんだ。あぁ、頑張るの休んでいいんだって」
そう言った結城くんの顔は本当に嬉しそうで。
その笑顔に、またドキッとする。
もうすぐ私の家に着くのが寂しいと感じてまだ一緒にいたいと思った。
その寂しさを紛らわすために話をする。
「ねぇ、結城くん。どうやって私のこと知ったの?」
「え?あー……莉恵さんと話したのはそれっきりだったけど何度か来てたみたいだから写メ撮ってもらって看護師さんに聞いた」
「……ねぇ、それって隠し撮りって言うんじゃない?」
「……撮ったの俺じゃないし。ちゃんと正面向いててカメラ目線だから隠し撮りでも盗撮でもないよ……たぶん」
「ふふっ、冗談よ。そう言えば一回だけ看護師さんに写真撮らせてって頼まれたことあったわ」
「うん。その看護師さんと一番仲良かったから。その人に莉恵さんの名前とか年齢も教えてもらった」
「そうだったのね」
気づけばもうすぐ私の家だった。
「あ、私の家もうすぐ近くなの。だから、ここで大丈夫よ」
「……そっか。家に入ったらすぐ鍵閉めてチェーンかけてね」
「結城くんったら心配性ね」
「あのおっさんが捕まるまでは絶対!莉恵さんの家知ってるんだから」
「……そうね。分かった。言われた通りにする」
「うん。あとさ……」
いきなり結城くんは俯くと何か考えているみたいで気になって尋ねる。
「ん?何?」
「連絡先、教えて。看護師さんもさすがにそこまでは聞けなかったみたいだから。それに……」
結城くんは何か決心がついたみたいで顔を上げると言葉を続けた。
「もっと莉恵さんと話したいし会いたい」
その言葉が嬉しくて。
私は微笑んだ。
「……分かったわ。連絡先、交換しましょう」
そう言って連絡先を交換した。
結城くんはすごく嬉しそうで。
見ているこっちまで嬉しくなる。
「ありがと!莉恵さん!何かあったらすぐ連絡して。飛んでくから」
そう言って結局私は家の前まで送ってもらった。
その日からほぼ毎日のように結城くんとメールや電話をする。
色んな話をして元彼と別れた原因も結城くんにはあっさり話せた。
結城くんはあまり自分のことを話さないけれど趣味とか誕生日は教えてくれて。
週一回は会う約束をして一緒に出かけた。
結城くんは会う度に何故か一度は頭を抱え何かぶつぶつ言っていたけれど。
そして、明日はちょうど再会して一ヶ月になる。
いつものように結城くんと出かける約束をしていて今は着ていく服を選んでいるのだった。
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