9 / 77
二度目の助け
彼は誰も追ってきていないことを確認すると、ゆっくり止まった。
私は乱れた息を整えながら、口を開く。
「や、やっぱり……幽霊、なんかじゃ、なかったじゃない……か、髪も短くなっているし……」
「助けてもらっといて第一声がそれ?っつーか、見つけるの遅すぎ。俺の方が先に見つけちゃったじゃん」
「だ、だって……仕事の合間を使って、探していたから」
「だろうね。そういう人だと思ったよ」
やっと息を整え終わった私は彼の手を両手で掴んで真っ直ぐ彼を見る。
そして口を開いた。
「やっと見つけた。結城大虎くん」
彼は一瞬驚いた表情をしてすぐ顔を背ける。
「……見つけたのは俺の方だってば」
「うん、でも、私もやっと見つけたわ」
「……そう。おめでと」
「それでね、私、貴方に会えたら言いたかったことがあるの」
「え?何?嫌な予感しかしないんだけど」
私はにっこり微笑んで彼の両頬を掴んだ。
「いひゃい!いひゃひゃひゃひゃっ!」
「どうして幽霊なんて嘘ついたの!?正直、すごく怖かったわ!私、幽霊に触ったの!?って!!」
彼は両頬を擦りながら私を睨み付ける。
けど、あんまり怖くなかった。
涙目になっているからかな?
「……それは、悪いと思ってる。ごめん」
思いのほか、素直に謝れて拍子抜けする。
「まぁ……もう良いわ。でも、何で見つけられなかったのかしら?この辺りに住んでいるんでしょう?私、この辺りだけは隈なく探したつもりだけど」
「……それは、俺が一ヶ月前まで入院してたからだと思うけど」
「えぇっ!?どこか悪いの!?」
「いや、今はもう手術したし大丈夫」
「そう……なら、良かったわ!でも……嘘をついた罰と心配かけた罰として殴っても良いかしら?」
「え、嫌だよ。さっき両頬掴まれたしもういいって言ったじゃん」
私はため息を吐いた。
ふと彼の容姿を見て思ったことを聞く。
「あ、ところで、歳は?」
「え、今の流れで聞くこと?もうすぐ二十だけど」
「えっ!?年下だとは思っていたけど……まだ成人していないの!?」
「……成人式はつい最近迎えたけど。そう言う莉恵さんはいくつなの?」
名前を呼ばれて少しドキッとしたことは置いといて口を開いた。
「女性に年齢を聞くのは失礼じゃない?」
「……ほぼ初対面の相手に両頬掴むとか成人してないのだのは失礼じゃないと?成人してるし」
「うっ……」
「(確かに失礼だったけど……
何も言ってなかったじゃない……)」
そう思っていたら私の心を読んだかのように彼が口を開く。
「何も言ってないからって傷ついてないとは限らないよ」
「……そうね。ごめんなさい。それは謝るわ」
「まぁ、いいけど。知ってるから」
「え?」
「(今、彼はなんて言った?
知っている?
どうして?)」
「顔を見るまでは気づかなかったけど、俺、莉恵さんと会ったことあるんだよ。それで気になってた」
「(え?
ちょっと何を言っているのか分からな……
私と会ったことがある?
いつ?
どこで?)」
「覚えられてないとは思ってたけど……改めて実感するとキツいなぁ……」
「ご、ごめんなさい……それで私たち、いつどこで会ったの?」
「……一年くらい前。俺が入院してた病院で。さっきのおっさんも一緒だったかな」
「(えぇ?)」
ますます思い出せない。
「ただの付き添いだったと思うよ。あのおっさんの」
「……全然、思い出せないわ」
「いいよ、思い出さなくて。忘れてるなら都合いいし。つーか、今、口に出して思い出したけどあのおっさん、もしかして莉恵さんの彼氏?もしそうなら趣味悪いと思う」
私は少し大きめな声で反論した。
「元よ!元!というか、結城くんには関係ないでしょ!趣味が悪くて悪かったわね!友達に紹介されたときは良い人そうだったのよ!」
「ふーん……元彼……じゃあ、ヨリ戻そうとか言われたんだ?莉恵さんはまだあのおっさんのこと好きなの?」
「だ、だから、結城くんには関係ないでしょ!」
「あるよ。莉恵さんがあのおっさんのことがまだ好きならあのおっさんは俺の敵。邪魔者。排除対象」
「は、排除って……」
「……まぁ、排除は言いすぎたけど。で、答えて。助けたお礼ってことで」
なんか狡いと思いながらも答える。
「……もう何とも思ってないわよ。アイツとの未練はあのときの強風に飛ばされて死んだもの」
「そっか。じゃあ、警察に届けるだけにしとく」
「え?警察?」
「うん。警察。俺の知り合いに警官になった奴がいるからそいつに連絡しとく」
「……えっと、ちなみになんだけど……もし、私がまだ想っているって言ったらどうする気だったの?」
「え?身柄引き渡す気だったよ?邪魔だから」
「……違いを教えてもらっても良いかしら?」
「あー……逃げる時間があるかないか、かな」
そう言うと彼はすでにその知り合いの警官さんに電話をかけていた。
「(なんでそんなに元彼を気にするのかしら?
あ!
殴られたから?
あれは痛そうだったわ。
痛いって言っていたし……)」
そんなことを考えていたら話し終わったらしく私に振り返り口を開いた。
「もう大丈夫だと思うから。帰ろうか。送ってくよ」
「だ、大丈夫よ。私、一人でも」
「じゃあ、言い方を変える。俺が莉恵さんを送りたいから送らせて」
「なっ……」
「(卑怯!
そんなこと言われたら断れないじゃない!)」
私は乱れた息を整えながら、口を開く。
「や、やっぱり……幽霊、なんかじゃ、なかったじゃない……か、髪も短くなっているし……」
「助けてもらっといて第一声がそれ?っつーか、見つけるの遅すぎ。俺の方が先に見つけちゃったじゃん」
「だ、だって……仕事の合間を使って、探していたから」
「だろうね。そういう人だと思ったよ」
やっと息を整え終わった私は彼の手を両手で掴んで真っ直ぐ彼を見る。
そして口を開いた。
「やっと見つけた。結城大虎くん」
彼は一瞬驚いた表情をしてすぐ顔を背ける。
「……見つけたのは俺の方だってば」
「うん、でも、私もやっと見つけたわ」
「……そう。おめでと」
「それでね、私、貴方に会えたら言いたかったことがあるの」
「え?何?嫌な予感しかしないんだけど」
私はにっこり微笑んで彼の両頬を掴んだ。
「いひゃい!いひゃひゃひゃひゃっ!」
「どうして幽霊なんて嘘ついたの!?正直、すごく怖かったわ!私、幽霊に触ったの!?って!!」
彼は両頬を擦りながら私を睨み付ける。
けど、あんまり怖くなかった。
涙目になっているからかな?
「……それは、悪いと思ってる。ごめん」
思いのほか、素直に謝れて拍子抜けする。
「まぁ……もう良いわ。でも、何で見つけられなかったのかしら?この辺りに住んでいるんでしょう?私、この辺りだけは隈なく探したつもりだけど」
「……それは、俺が一ヶ月前まで入院してたからだと思うけど」
「えぇっ!?どこか悪いの!?」
「いや、今はもう手術したし大丈夫」
「そう……なら、良かったわ!でも……嘘をついた罰と心配かけた罰として殴っても良いかしら?」
「え、嫌だよ。さっき両頬掴まれたしもういいって言ったじゃん」
私はため息を吐いた。
ふと彼の容姿を見て思ったことを聞く。
「あ、ところで、歳は?」
「え、今の流れで聞くこと?もうすぐ二十だけど」
「えっ!?年下だとは思っていたけど……まだ成人していないの!?」
「……成人式はつい最近迎えたけど。そう言う莉恵さんはいくつなの?」
名前を呼ばれて少しドキッとしたことは置いといて口を開いた。
「女性に年齢を聞くのは失礼じゃない?」
「……ほぼ初対面の相手に両頬掴むとか成人してないのだのは失礼じゃないと?成人してるし」
「うっ……」
「(確かに失礼だったけど……
何も言ってなかったじゃない……)」
そう思っていたら私の心を読んだかのように彼が口を開く。
「何も言ってないからって傷ついてないとは限らないよ」
「……そうね。ごめんなさい。それは謝るわ」
「まぁ、いいけど。知ってるから」
「え?」
「(今、彼はなんて言った?
知っている?
どうして?)」
「顔を見るまでは気づかなかったけど、俺、莉恵さんと会ったことあるんだよ。それで気になってた」
「(え?
ちょっと何を言っているのか分からな……
私と会ったことがある?
いつ?
どこで?)」
「覚えられてないとは思ってたけど……改めて実感するとキツいなぁ……」
「ご、ごめんなさい……それで私たち、いつどこで会ったの?」
「……一年くらい前。俺が入院してた病院で。さっきのおっさんも一緒だったかな」
「(えぇ?)」
ますます思い出せない。
「ただの付き添いだったと思うよ。あのおっさんの」
「……全然、思い出せないわ」
「いいよ、思い出さなくて。忘れてるなら都合いいし。つーか、今、口に出して思い出したけどあのおっさん、もしかして莉恵さんの彼氏?もしそうなら趣味悪いと思う」
私は少し大きめな声で反論した。
「元よ!元!というか、結城くんには関係ないでしょ!趣味が悪くて悪かったわね!友達に紹介されたときは良い人そうだったのよ!」
「ふーん……元彼……じゃあ、ヨリ戻そうとか言われたんだ?莉恵さんはまだあのおっさんのこと好きなの?」
「だ、だから、結城くんには関係ないでしょ!」
「あるよ。莉恵さんがあのおっさんのことがまだ好きならあのおっさんは俺の敵。邪魔者。排除対象」
「は、排除って……」
「……まぁ、排除は言いすぎたけど。で、答えて。助けたお礼ってことで」
なんか狡いと思いながらも答える。
「……もう何とも思ってないわよ。アイツとの未練はあのときの強風に飛ばされて死んだもの」
「そっか。じゃあ、警察に届けるだけにしとく」
「え?警察?」
「うん。警察。俺の知り合いに警官になった奴がいるからそいつに連絡しとく」
「……えっと、ちなみになんだけど……もし、私がまだ想っているって言ったらどうする気だったの?」
「え?身柄引き渡す気だったよ?邪魔だから」
「……違いを教えてもらっても良いかしら?」
「あー……逃げる時間があるかないか、かな」
そう言うと彼はすでにその知り合いの警官さんに電話をかけていた。
「(なんでそんなに元彼を気にするのかしら?
あ!
殴られたから?
あれは痛そうだったわ。
痛いって言っていたし……)」
そんなことを考えていたら話し終わったらしく私に振り返り口を開いた。
「もう大丈夫だと思うから。帰ろうか。送ってくよ」
「だ、大丈夫よ。私、一人でも」
「じゃあ、言い方を変える。俺が莉恵さんを送りたいから送らせて」
「なっ……」
「(卑怯!
そんなこと言われたら断れないじゃない!)」
あなたにおすすめの小説
ソツのない彼氏とスキのない彼女
吉野 那生
恋愛
特別目立つ訳ではない。
どちらかといえば地味だし、バリキャリという風でもない。
だけど…何故か気になってしまう。
気がつくと、彼女の姿を目で追っている。
***
社内でも知らない者はいないという程、有名な彼。
爽やかな見た目、人懐っこく相手の懐にスルリと入り込む手腕。
そして、華やかな噂。
あまり得意なタイプではない。
どちらかといえば敬遠するタイプなのに…。
フローライト
藤谷 郁
恋愛
彩子(さいこ)は恋愛経験のない24歳。
ある日、友人の婚約話をきっかけに自分の未来を考えるようになる。
結婚するのか、それとも独身で過ごすのか?
「……そもそも私に、恋愛なんてできるのかな」
そんな時、伯母が見合い話を持ってきた。
写真を見れば、スーツを着た青年が、穏やかに微笑んでいる。
「趣味はこうぶつ?」
釣書を見ながら迷う彩子だが、不思議と、その青年には会いたいと思うのだった…
※他サイトにも掲載
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。
手を伸ばした先にいるのは誰ですか~愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる~【完結】
まぁ
恋愛
ワイン、ホテルの企画業務など大人の仕事、そして大人に切り離せない恋愛と…
「Ninagawa Queen's Hotel」
若きホテル王 蜷川朱鷺
妹 蜷川美鳥
人気美容家 佐井友理奈
「オークワイナリー」
国内ワイナリー最大手創業者一族 柏木龍之介
血縁関係のない兄妹と、その周辺の何角関係…?
華やかな人々が繰り広げる、フィクションです。
結婚する事に決めたから
KONAN
恋愛
私は既婚者です。
新たな職場で出会った彼女と結婚する為に、私がその時どう考え、どう行動したのかを書き記していきます。
まずは、離婚してから行動を起こします。
主な登場人物
東條なお
似ている芸能人
○原隼人さん
32歳既婚。
中学、高校はテニス部
電気工事の資格と実務経験あり。
車、バイク、船の免許を持っている。
現在、新聞販売店所長代理。
趣味はイカ釣り。
竹田みさき
似ている芸能人
○野芽衣さん
32歳未婚、シングルマザー
医療事務
息子1人
親分(大島)
似ている芸能人
○田新太さん
70代
施設の送迎運転手
板金屋(大倉)
似ている芸能人
○藤大樹さん
23歳
介護助手
理学療法士になる為、勉強中
よっしー課長(吉本)
似ている芸能人
○倉涼子さん
施設医療事務課長
登山が趣味
o谷事務長
○重豊さん
施設医療事務事務長
腰痛持ち
池さん
似ている芸能人
○田あき子さん
居宅部門管理者
看護師
下山さん(ともさん)
似ている芸能人
○地真央さん
医療事務
息子と娘はテニス選手
t助
似ている芸能人
○ツオくん(アニメ)
施設医療事務事務長
o谷事務長異動後の事務長
雄一郎 ゆういちろう
似ている芸能人
○鹿央士さん
弟の同級生
中学テニス部
高校陸上部
大学帰宅部
髪の赤い看護師(川木えみ)
似ている芸能人
○田來未さん
准看護師
ヤンキー
怖い
【完結】僕ら二度目のはじめまして ~オフィスで再会した、心に残ったままの初恋~
葉影
恋愛
高校の頃、誰よりも大切だった人。
「さ、最近はあんまり好きじゃないから…!」――あの言葉が、最後になった。
小島久遠は、新たな職場で、元カレとまさかの再会を果たす。
若くしてプロジェクトチームを任される彼は、
かつて自分だけに愛を囁いてくれていたことが信じられないほど、
遠く、眩しい存在になっていた。
優しかったあの声は、もう久遠の名前を呼んでくれない。
もう一度“はじめまして”からやり直せたら――そんなこと、願ってはいけないのに。
それでも——
8年越しのすれ違いは、再会から静かに動き出す。
これは、終わった恋を「もう一度はじめる」までの物語。