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誕生日
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しばらくしてやっと顔の火照りがなくなった私はふと時計を見る。
するともう夜の七時を回っていた。
「も、もう!結城くんのせいで外デートできなくなったじゃない!」
「そんなに楽しみにしてたの?」
「それはそうよ!わざわざ有給まで取って休んだのに!」
「ごめんね?莉恵さんと一緒にいられるだけで嬉しいのに手作りチョコまでもらえて舞い上がっちゃって……今からでも外デートする?」
「もう良いわよ……私だって結城くんと一緒にいられるだけで嬉しいもの。あ!でも、夕飯は食べて行ってね?」
「え?莉恵さん、作ってくれるの?」
「えぇ!任せて!」
「……分かった。ご馳走になります」
「結城くん、好き嫌いある?」
「特にはないかな」
「じゃあ、好きな食べ物は?甘いもの以外で」
「うーん……入院食の方が多いからなぁ……あ。唐揚げ好きだよ」
「分かったわ!じゃあ、唐揚げ作るわね」
「うん。楽しみにしてる」
「そういえば、ご両親に連絡しなくて大丈夫?」
何気なく聞いたことだったのになかなか返事が返って来ない。
私は作業を止めずに呼びかける。
「結城くん?」
「え?あ、あぁ……それじゃあ、連絡入れてくるね」
結城くんはそう言って廊下に出た。
「(そういえば、結城くんの家のことどころか結城くんのことも何にも知らないな……
あまり自分のことは話してくれないし……)」
そんなことを考えながら下ごしらえを済ます。
連絡が終わったのか結城くんが戻ってきて私のところに来た。
「何か手伝えることはない?」
「大丈夫よ。座って待っていて」
「……うん、分かった」
結城くんは言われた通りに座る。
しばらくして唐揚げが完成。
お皿に盛りつけて結城くんのところへ持って行く。
「お待たせ。はい、唐揚げだよ」
「わぁ、美味しそう!」
「ふふっ、ありがとう。どうぞ、召し上がれ」
「うん!いただきます!」
そう言って結城くんはパクッと食べる。
熱かったのかハフハフしていた。
一つを食べ終えて口を開く。
「すっごく美味しい!莉恵さん、料理上手だね」
「そ、そう?これくらい普通よ?」
私がそういうと微笑んで謙虚だな~と言いながら食べ続ける。
結城くんは完食してくれた。
「ご馳走様でした」
「お粗末様でした」
私が使った食器を片付けていると、結城くんも手伝ってくれる。
「これくらいはやらせて。ね?」
「じゃあ、お願いするわ」
「うん」
片付けが終わり二人でくつろぐ。
そして、タイミングを見計らって結城くんにプレゼントを渡した。
「結城くん、これ……誕生日おめでとう」
「え?」
結城くんは驚いた顔をしながらもプレゼントを受け取る。
「……一回しか言ってないのに覚えててくれたんだ」
「えぇ、覚えやすかったし。忘れないわ」
「ありがとう、莉恵さん。こんなに嬉しい誕生日は初めてかも。あ、もしかして夕飯作ってくれたのも俺の誕生日だから?」
「ま、まぁ……そういうことになるけれど……結城くんが食べたいならいつでも食べさせてあげるわよ」
「本当?本当にすごく嬉しい。ねぇ、プレゼント、開けてもいい?」
「どうぞ。気に入るかは分からないけれど……」
「莉恵さんからのプレゼントなら何でも嬉しいよ?」
そう言いながらチョコ同様ラッピングを外していく。
誕生日プレゼントは悩みに悩んでこげ茶色の二つ折り財布にした。
中身を見た結城くんは嬉しそうに私を見る。
「ありがとう!莉恵さん!大事に使うね」
「喜んでもらえたみたいで良かった……」
「さっきも言ったけど、莉恵さんからのプレゼントなら何でも嬉しいよ?」
「田原さんの写真でも?」
「……何でそんなもの持ってるのか、から説明してもらうかな。泰仁に」
「そういうことじゃなくて!やっぱり何でも良くないじゃない!」
「莉恵さんが一生懸命考えてのプレゼントだったら受け取るよ。泰仁の写真でも。燃やす可能性が高いけど」
「もー!持っていないしもらう気もないけれど大げさなこと言わないでってことよ!」
「はーい」
「もう……」
ふと時計を見ると時間はもう夜の十時をすぎていた。
「あ、結城くん。時間は大丈夫?」
「うん。平気。今日は帰らないって言ってあるし」
「えっ!?」
「え?あ!い、いや……別に莉恵さんの家に泊まるとかじゃなくて……今日は元々家に帰るつもりなかったんだよね。泊まるところはあるし大丈夫!」
「……今日は特別よ。泊まってく?」
「……えっ!?いや!いいよ!美琴の家に行くし!」
「……じゃあ、言い方を変えるわ。まだ結城くんと一緒にいたいから泊まって行って」
「っ!!それ、反則でしょ……」
結城くんはそういうと顔を赤く染める。
「……だめ?」
「~~ッ!あぁ、もう!それ、覚悟できてるってことだよね?俺だって男なんだよ?手を出さないなんて保証はどこにもないからね?」
私は黙ってうなずくと結城くんはそれを合図にしたかのようにキスをした。
そのまま私を押し倒す。
翌日。
元々仕事が休みだった私とは違い今日も大学があった結城くんは見事に寝坊。
お友達からの電話で起こされていた。
怒鳴られているみたいだったけれど電話が終わったのか結城くんは私を呼ぶ。
「莉恵さーん……」
「なぁに?」
「コーヒーかなんかある?眠気覚ましの……」
結城くんは起きようと頑張っているみたいだけどうつ伏せのまま今にも寝そうな感じだった。
朝弱いんだなと思いつつ、私は結城くんを仰向けにする。
結城くんは眩しいのか腕で目元を隠し、んー……と声を上げた。
そんな結城くんに軽くキスをしたらいつの間にか首に腕が回されていて深くなる。
息が苦しくなって思わず布団を叩くと唇が離れた。
「おはよ、莉恵さん。ご馳走様」
「……目は覚めたの?」
「んー……まだだからもう一回しよ?」
その言葉に顔を赤くしてそっぽを向く。
「ばかっ!早く起きて行かないと間に合わないんじゃないの?」
「そうなんだよね。あと、しばらくは大学に泊まって補講とか受けるから会えないと思う。結構、冗談抜きで進級単位やばいんだよね。電話くらいならできると思うけど……ごめんね?」
「良いわよ。それより、単位落とす方が大変でしょう?頑張ってね」
「うん。ありがとう、頑張る」
「あぁ、でも……」
「え?何?」
「無理して頑張ることはないと思うわ」
「……うん、ありがとう。それじゃあ、行ってきます」
いつの間にか着替えていたらしく結城くんは軽く私にキスをすると大学に向かう。
それが名残惜しく感じるのだった。
するともう夜の七時を回っていた。
「も、もう!結城くんのせいで外デートできなくなったじゃない!」
「そんなに楽しみにしてたの?」
「それはそうよ!わざわざ有給まで取って休んだのに!」
「ごめんね?莉恵さんと一緒にいられるだけで嬉しいのに手作りチョコまでもらえて舞い上がっちゃって……今からでも外デートする?」
「もう良いわよ……私だって結城くんと一緒にいられるだけで嬉しいもの。あ!でも、夕飯は食べて行ってね?」
「え?莉恵さん、作ってくれるの?」
「えぇ!任せて!」
「……分かった。ご馳走になります」
「結城くん、好き嫌いある?」
「特にはないかな」
「じゃあ、好きな食べ物は?甘いもの以外で」
「うーん……入院食の方が多いからなぁ……あ。唐揚げ好きだよ」
「分かったわ!じゃあ、唐揚げ作るわね」
「うん。楽しみにしてる」
「そういえば、ご両親に連絡しなくて大丈夫?」
何気なく聞いたことだったのになかなか返事が返って来ない。
私は作業を止めずに呼びかける。
「結城くん?」
「え?あ、あぁ……それじゃあ、連絡入れてくるね」
結城くんはそう言って廊下に出た。
「(そういえば、結城くんの家のことどころか結城くんのことも何にも知らないな……
あまり自分のことは話してくれないし……)」
そんなことを考えながら下ごしらえを済ます。
連絡が終わったのか結城くんが戻ってきて私のところに来た。
「何か手伝えることはない?」
「大丈夫よ。座って待っていて」
「……うん、分かった」
結城くんは言われた通りに座る。
しばらくして唐揚げが完成。
お皿に盛りつけて結城くんのところへ持って行く。
「お待たせ。はい、唐揚げだよ」
「わぁ、美味しそう!」
「ふふっ、ありがとう。どうぞ、召し上がれ」
「うん!いただきます!」
そう言って結城くんはパクッと食べる。
熱かったのかハフハフしていた。
一つを食べ終えて口を開く。
「すっごく美味しい!莉恵さん、料理上手だね」
「そ、そう?これくらい普通よ?」
私がそういうと微笑んで謙虚だな~と言いながら食べ続ける。
結城くんは完食してくれた。
「ご馳走様でした」
「お粗末様でした」
私が使った食器を片付けていると、結城くんも手伝ってくれる。
「これくらいはやらせて。ね?」
「じゃあ、お願いするわ」
「うん」
片付けが終わり二人でくつろぐ。
そして、タイミングを見計らって結城くんにプレゼントを渡した。
「結城くん、これ……誕生日おめでとう」
「え?」
結城くんは驚いた顔をしながらもプレゼントを受け取る。
「……一回しか言ってないのに覚えててくれたんだ」
「えぇ、覚えやすかったし。忘れないわ」
「ありがとう、莉恵さん。こんなに嬉しい誕生日は初めてかも。あ、もしかして夕飯作ってくれたのも俺の誕生日だから?」
「ま、まぁ……そういうことになるけれど……結城くんが食べたいならいつでも食べさせてあげるわよ」
「本当?本当にすごく嬉しい。ねぇ、プレゼント、開けてもいい?」
「どうぞ。気に入るかは分からないけれど……」
「莉恵さんからのプレゼントなら何でも嬉しいよ?」
そう言いながらチョコ同様ラッピングを外していく。
誕生日プレゼントは悩みに悩んでこげ茶色の二つ折り財布にした。
中身を見た結城くんは嬉しそうに私を見る。
「ありがとう!莉恵さん!大事に使うね」
「喜んでもらえたみたいで良かった……」
「さっきも言ったけど、莉恵さんからのプレゼントなら何でも嬉しいよ?」
「田原さんの写真でも?」
「……何でそんなもの持ってるのか、から説明してもらうかな。泰仁に」
「そういうことじゃなくて!やっぱり何でも良くないじゃない!」
「莉恵さんが一生懸命考えてのプレゼントだったら受け取るよ。泰仁の写真でも。燃やす可能性が高いけど」
「もー!持っていないしもらう気もないけれど大げさなこと言わないでってことよ!」
「はーい」
「もう……」
ふと時計を見ると時間はもう夜の十時をすぎていた。
「あ、結城くん。時間は大丈夫?」
「うん。平気。今日は帰らないって言ってあるし」
「えっ!?」
「え?あ!い、いや……別に莉恵さんの家に泊まるとかじゃなくて……今日は元々家に帰るつもりなかったんだよね。泊まるところはあるし大丈夫!」
「……今日は特別よ。泊まってく?」
「……えっ!?いや!いいよ!美琴の家に行くし!」
「……じゃあ、言い方を変えるわ。まだ結城くんと一緒にいたいから泊まって行って」
「っ!!それ、反則でしょ……」
結城くんはそういうと顔を赤く染める。
「……だめ?」
「~~ッ!あぁ、もう!それ、覚悟できてるってことだよね?俺だって男なんだよ?手を出さないなんて保証はどこにもないからね?」
私は黙ってうなずくと結城くんはそれを合図にしたかのようにキスをした。
そのまま私を押し倒す。
翌日。
元々仕事が休みだった私とは違い今日も大学があった結城くんは見事に寝坊。
お友達からの電話で起こされていた。
怒鳴られているみたいだったけれど電話が終わったのか結城くんは私を呼ぶ。
「莉恵さーん……」
「なぁに?」
「コーヒーかなんかある?眠気覚ましの……」
結城くんは起きようと頑張っているみたいだけどうつ伏せのまま今にも寝そうな感じだった。
朝弱いんだなと思いつつ、私は結城くんを仰向けにする。
結城くんは眩しいのか腕で目元を隠し、んー……と声を上げた。
そんな結城くんに軽くキスをしたらいつの間にか首に腕が回されていて深くなる。
息が苦しくなって思わず布団を叩くと唇が離れた。
「おはよ、莉恵さん。ご馳走様」
「……目は覚めたの?」
「んー……まだだからもう一回しよ?」
その言葉に顔を赤くしてそっぽを向く。
「ばかっ!早く起きて行かないと間に合わないんじゃないの?」
「そうなんだよね。あと、しばらくは大学に泊まって補講とか受けるから会えないと思う。結構、冗談抜きで進級単位やばいんだよね。電話くらいならできると思うけど……ごめんね?」
「良いわよ。それより、単位落とす方が大変でしょう?頑張ってね」
「うん。ありがとう、頑張る」
「あぁ、でも……」
「え?何?」
「無理して頑張ることはないと思うわ」
「……うん、ありがとう。それじゃあ、行ってきます」
いつの間にか着替えていたらしく結城くんは軽く私にキスをすると大学に向かう。
それが名残惜しく感じるのだった。
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