私、これからいきます。

蓮ヶ崎 漣

文字の大きさ
45 / 63

勘違い①

しおりを挟む
莉恵さんに女装を目撃された挙句、美琴と浮気してるなんて勘違いをされた。
俺の制止も聞かず帰ってしまった莉恵さんに対して怒り心頭の美琴と困ったように立ち尽くす莉恵さんの友達の永江さんがその場に残される。
しばらく沈黙が続くが先に口を開いたのは永江さんだった。
 
「あ、あのー……ごめんね?莉恵に浮気してるかも知れないって言ったのあたしなの。でも、まさか、本当にしてるなんて思ってなくて……」
 
その言葉に苛立ちを覚えつつ、俺は平静を装って口を開く。
 
「浮気じゃないです。コイツ、女装が趣味なだけの男なんで」
 
「えっ!?男の子なの!?全然見えない!!」
 
美琴はふんっとそっぽを向いた。
まだ莉恵さんに対して怒ってるのかそれとも別の理由かは知らないが。
 
「あの、永江さん。もしかして、前にも浮気の話、莉恵さんに吹っ掛けました?」
 
「え?あ、あー……うん。あるね。だって、莉恵ってば君のこと信用しすぎだから。正直に言うと莉恵には年下とは付き合ってほしくないの。だって、年上より年下の方が浮気しそうでしょ?若いんだもん。他の若い子にちょっとちやほやされただけで裏切りそうで。莉恵にはそんな悲しい思いさせたくないの。須川の件で懲り懲りなのよ。私が紹介した手前、罪悪感も半端なくて。だから、これを機に莉恵と別れてもらって良い?その代わり、あたしが別の子紹介してあげるからさ!ね?」
 
「(あぁ、莉恵さんの友達じゃなかったらぶっ飛ばしてたな……)」
 
俺はもう怒りを隠そうともせず口を開いた。
 
「俺、浮気するつもりも裏切るつもりもなければ莉恵さんと別れるつもりも全くないんで。アンタの価値観を勝手に莉恵さんや俺に押し付けないでもらえます?それにアンタ、さも莉恵さんのためのように言ってますけど実のところは自分が紹介した男のせいで最悪の結果になるかもしれなかった罪悪感から解放されたいだけでしょ?だから、莉恵さんには自分が新たに紹介した男と結婚してもらわなくちゃ困るんですよね?そうすれば、自分は間違ったことをしてなかったって思えますもんね」
 
「なっ!?」
 
「アンタにとって莉恵さんは本当に友達な訳?」
 
「ど、どういう意味よ!」
 
「本当は自分の面目を丸潰れにした邪魔者と思ってるんじゃないのかってことだよ」
 
「……ちょっと。自分がかなり失礼なこと言ってるって分かってる?」
 
「もちろん。莉恵さんのことだからアンタを責めなかっただろうね?自分が悪かったってだから気にしないでって言ったんじゃない?まぁ、実際にアンタがあのおっさんの性格を知らないで紹介したならアンタは悪くないよね。知っていて紹介したら話は変わってくるけど」
 
「……さい……」
 
永江さんは俺をキッと睨むと再び開く。
 
「うるさい!!アンタみたいなガキに何が分かんのよ!?莉恵の友達はあたしだけ!あたしが莉恵を一番よく知ってんの!知り合って日も浅いアンタが分かった風な口利かないで!」
 
「……そうですね。すみません。でも、よくそんな相手を不安にさせるようなこと言えますね?俺なら黙って見守りますけど」
 
「莉恵はお人好しすぎるのよ!だから、あたしが忠告してあげるの!君と話しているとイライラする!あたしも帰るわ!!」
 
「えぇ、どうぞ。ご自由に」
 
「本当に腹が立つわね!あたし、君のこと、莉恵の彼氏として認めないから!!」
 
そう言い捨てると永江さんはその場を去った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

好きな人の好きな人

ぽぽ
恋愛
"私には何年も思い続ける初恋相手がいる。" 初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。 恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。 そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。

危険な台風

詩織
恋愛
確かに台風が接近するとは聞いていた。 けど電車も止まり、停電までって、そこまでになるとは。 残業で、会社に居た私はここに居るしかなく...

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

『愛が切なくて』- すれ違うほど哀しくて  

設楽理沙
恋愛
砂央里と斎藤、こじれてしまった糸(すれ違い)がほどけていく様子を描いています。 ◆都合上、[言う、云う]混合しています。うっかりミスではありません。   ご了承ください。 斉藤准一 税理士事務所勤務35才 斎藤紀子    娘 7才  毒妻:  斉藤淳子  専業主婦   33才 金遣いが荒い 高橋砂央里  会社員    27才    山本隆行  オートバックス社員 25才    西野秀行   薬剤師   22才  岡田とま子  主婦    54才   深田睦子  見合い相手  22才 ――――――――――――――――――――――― ❧イラストはAI生成画像自作 2025.3.3 再☑済み😇

先輩、お久しぶりです

吉生伊織
恋愛
若宮千春 大手不動産会社 秘書課 × 藤井昂良 大手不動産会社 経営企画本部 『陵介とデキてたんなら俺も邪魔してたよな。 もうこれからは誘わないし、誘ってこないでくれ』 大学生の時に起きたちょっとした誤解で、先輩への片想いはあっけなく終わってしまった。 誤解を解きたくて探し回っていたが見つけられず、そのまま音信不通に。 もう会うことは叶わないと思っていた数年後、社会人になってから偶然再会。 ――それも同じ会社で働いていた!? 音信不通になるほど嫌われていたはずなのに、徐々に距離が縮む二人。 打ち解けあっていくうちに、先輩は徐々に甘くなっていき……

【完結】僕ら二度目のはじめまして ~オフィスで再会した、心に残ったままの初恋~

葉影
恋愛
高校の頃、誰よりも大切だった人。 「さ、最近はあんまり好きじゃないから…!」――あの言葉が、最後になった。 小島久遠は、新たな職場で、元カレとまさかの再会を果たす。 若くしてプロジェクトチームを任される彼は、 かつて自分だけに愛を囁いてくれていたことが信じられないほど、 遠く、眩しい存在になっていた。 優しかったあの声は、もう久遠の名前を呼んでくれない。 もう一度“はじめまして”からやり直せたら――そんなこと、願ってはいけないのに。 それでも—— 8年越しのすれ違いは、再会から静かに動き出す。 これは、終わった恋を「もう一度はじめる」までの物語。

大好きな背中

詩織
恋愛
4年付き合ってた彼氏に振られて、同僚に合コンに誘われた。 あまり合コンなんか参加したことないから何話したらいいのか… 同じように困ってる男性が1人いた

嘘つき同士は真実の恋をする。

濘-NEI-
恋愛
都内郊外のリゾートホテルでソムリエとして働く瑞穂はワイン以上にゲームが大好き。 中でもオンラインゲーム〈グラズヘイム〉が大好きで、ロッソの名前でログインし、オフの時間と給料の全てを注ぎ込むほどのヘビーユーザー。 ある日ゲーム仲間とのオンライン飲み会で、親から結婚を急かされている話を愚痴ったところ、ギルマスのタラントの友人で、ゲームの中でもハイランカーのエルバに恋人役を頼めば良いと話が盛り上がり、話は急展開。 そしてエルバと直接会うことになった瑞穂だったが、エルバの意外な正体を知ることに⁉︎ Rシーンは※ ヒーロー視点は◇をつけてあります。 ★この作品はエブリスタさんでも公開しています

処理中です...