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砲撃のパラディン大佐隊編(【05】の裏)
111【交換ついでに合同演習編16】訓練一日目:椅子の日
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【パラディン大佐隊・第八班第一号ブリッジ】
エリゴール
『じゃあ、まずは〝先生〟に〝椅子〟のお手本を見せてもらう。それから他の班はそれぞれ〝椅子〟作りに挑戦して、できたと思ったら〝先生〟に見せにいく。〝先生〟から合格認定されたら、最後の訓練まで休憩してていい』
副長・ウィルスン
「〝先生〟って……あの十一班のことだよな?」
八班長・ブロック
「あの〝先生〟は、たとえ九十九パーセントできてたとしても、合格にはしてくれなそうな気がする」
ウィルスン
「っていうか、あの〝先生〟の前でやるって考えただけで、緊張して失敗しそうな気が今からする……」
エリゴール
『最後は演習を想定して、十一班、六班、七班、十二班、九班、十班が〝椅子〟、それを残りの班が〝連合〟として砲撃。もちろん、撃たれた軍艦は〝墓場〟行きだ。〝椅子〟組が〝全艦殲滅〟できなかったら……そうだな、どうするかな……まあ、それはそのときになったら考える』
ブロック
「元四班長だけに怖い含みだ……」
ウィルスン
「俺たち、〝椅子〟組じゃなくてよかったな……」
エリゴール
『なお、タイムトライアルをするつもりはないが、一応〝先生〟にはタイムも計ってもらうよう頼んである。タイムがいちばん悪い班、もしくは最後まで〝椅子〟ができなかった班には、ペナルティとして、明日、その班の班長艦に俺が乗りこむ。俺に来てもらいたくなかったら、今日必死で〝椅子〟を覚えて、いいタイムを出せ』
ブロック
「え、それ、ペナルティ?」
ウィルスン
「むしろ、特典じゃないのか?」
ブロック
「いいなあ……三班」
ウィルスン
「やる前からすでに決定か」
エリゴール
『それじゃ〝先生〟、これが〝椅子〟だっていうのを〝生徒〟たちに見せつけてやってくれ』
ウィルスン
「なぜ煽るんだ、元四班長」
クルーA
「もしかして、わざとプレッシャーかけて、失敗させようとしてる?」
ウィルスン
「〝先生〟失敗させてどうするんだよ」
ブロック
「いや、あんなふうに言われたら、あの〝先生〟ならさらに燃える! 〝先生〟の二回目の〝蝶〟のタイムを忘れたか?」
ウィルスン
「ただでさえプレッシャーかけられてるだろうに、さらに上乗せ……かわいそうな十一班員……」
***
【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】
レラージュ
「ふふ……ベストタイム出せなかったら、どうしてくれてやりましょうかね……」
ロノウェ
「おまえ……そういうとこ、エリゴールによく似てるよな……」
***
【パラディン大佐隊・第六班第一号ブリッジ】
六班長・ラムレイ
「今度こそ……今度こそ完璧に〝椅子〟を撮る!」
クルーA
「でも、完璧に撮っても、元四班長から〝飴ちゃん〟はもらえなそうですよ?」
ラムレイ
「いいんだ! あのとき一班に頼まれて撮れなかったものを、いま撮り返したいんだ!」
クルーA
「何というプロ根性!」
クルーB
「でも、うちはいつから撮影のプロに……」
副長
「たまたま一班に〝移動しながら横縦ぐるり〟の撮影を頼まれたときから……」
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「うわああ! やっぱり移動なしで、その場で変形してる!」
ハワード
「今ふと思ったんだが、移動しながら変形だと、どの時点からタイム計測されるんだ?」
フィリップス
「……元四班長! 〝先生〟と交渉して、配置についてからタイム計測ということにしてもらえないか!」
エリゴール
「そうだな。その場で変形ができなかったらな」
フィリップス
「元四班長……それは婉曲に〝移動しながらじゃないと変形できないのかよ、やっぱ凡人集団だな〟って言ってるのか?」
エリゴール
「いや、実戦では移動しながら変形してもいいが、一応基本は押さえておいたほうがいいだろう」
フィリップス
「昨日は〝移動しながらのほうがいい〟って言ったくせに……」
エリゴール
「あくまで実戦ではだ」
フィリップス
「その場で変形で、あの〝先生〟から合格をもらえる自信がない……」
ハワード
「そんなこと言ってる間に、もう〝椅子〟が完成したぞ」
フィリップス
「早っ! タイムは!?」
クルーA
「……二十九秒八六……」
フィリップス
「ありえない……」
エリゴール
「きっと絶対三十秒以内に収めろと、レラージュに発破かけられたんだろうな」
フィリップス
「あんたも煽ったでしょ、元四班長」
***
【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】
レラージュ
「まあ、目標三十秒はギリギリクリアできましたが、もしこれを上回る班が出てきたら……ふふ……どうしましょうかね……」
ロノウェ
「その前に、目標クリアできたうちの班員たちを褒めてやれよ」
レラージュ
「最後までうちの記録が破られなかったら考えます」
ロノウェ
「それでも、考えるだけか。……おまえら、よく頑張った。あとは最後の訓練までダラッとしてろ」
副操縦士
「班長……ありがとうございます……!」
ゲアプ
「レラージュ副長のフォローは完璧です、班長!」
***
【パラディン大佐隊・第六班第一号ブリッジ】
六班長・ラムレイ
「撮ったどーっ!」
クルーA
「興奮のあまり、班長がお国言葉になっている!」
ラムレイ
「すごいぞ! 〝蛇〟と同じ〝無旋回〟だが、もっと高度な合体技だ! 副班長隊がちょっと前進してる間にすべてが終わっている! ……でも、やっぱり移動しながら変形したほうが、配置についたらすぐに合体できるし、絶対かっこいいよな?」
クルーA
「そうですね。まず副班長隊が先行、移動しながら変形して〝椅子〟の脚を作り、そのすぐ後に、やはり移動しながら変形した班長隊が合体して、椅子の座面と背もたれを作れば……」
全員
「……かっこいい!」
ラムレイ
「でも、きっとあの〝先生〟は、その場で変形しないと、合格にはしてくれないだろうな……」
クルーA
「それなら〝その場で変形〟でさっさと合格してしまって、それからは〝移動しながら変形〟を自主練しましょう! 合格さえしてしまえば、あとはどんな方法で変形しても、〝先生〟に文句は言われないはず!」
副長
「ふ……おぬしも悪よのう……」
クルーA
「〝移動しながら変形〟するためです! たぶんこっちの〝椅子〟だったら、元四班長も〝移動しながら変形〟を許してくれます! そのほうが早く〝椅子〟になれますから!」
ラムレイ
「よし、そうと決まったら、〝その場で変形〟、さっさと練習始めるぞ! できれば一班より早く、一班よりいいタイムで!」
クルーA
「〝先生〟越えは狙わないんですか?」
ラムレイ
「無理だ! それに下手に越えたら、とても面倒なことになりそうな気がする!」
副長
「さすが班長! 俺もそんな気がものすごくするぜ!」
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「六班がもう練習を始めている……」
ハワード
「あそこはたぶん、とりあえず〝先生〟の手本どおりにやって早く合格して、あとは〝移動しながら変形〟の練習をしようと考えているに違いない」
フィリップス
「何てわかりやすい……でも、気持ちはよくわかる!」
エリゴール
「あんたらと六班は、本当に〝移動しながら変形〟が好きだな……」
エリゴール以外
「かっこいいからっ!」
エリゴール
「乗組員全員で叫ぶほど好きか」
ハワード
「とにかく、六班にだけは負けられないな。うちも早く練習始めないと」
フィリップス
「早く〝移動しながら変形〟したい!」
エリゴール
「……まあ、それがモチベーションになるんならいいか……」
***
【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】
六班長・ラムレイ
『〝先生〟! 六班です! とりあえず、一度見てもらっていいですか!』
ロノウェ
「六班、もうできたのか。早いな」
レラージュ
「あの班長は、本気でうちを〝先生〟と呼んでいるんでしょうか……」
ロノウェ
「あいつなら、たぶん本気だ」
レラージュ
「だから班長と話が合ったんですね」
ロノウェ
「レラージュ……」
レラージュ
「とにかく、チェックとタイム計測をします。〈オートクレール〉方式で、動き出したら計測しますから、その旨、先方に伝えてください」
ロノウェ
「わかった」
***
【パラディン大佐隊・第八班第一号ブリッジ】
副長・ウィルスン
「六班がもう〝先生〟に見せにいったぞ」
八班長・ブロック
「早い! さすが〝蛇〟部門第一位!」
ウィルスン
「でも、一回で合格できるとは限らないだろ。何しろ審査するのはあの〝先生〟だ」
ブロック
「何か、大佐より厳しそうだな」
ウィルスン
「一応形にはなってても、あまりにも時間がかかりすぎたら不合格になるのかね?」
ブロック
「どうだろうなあ。とりあえず、六班の結果を見て審査基準を推測しよう」
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「ああっ、六班に先を越されたあっ!」
ハワード
「まだ合格するかどうかはわからない! うちも六班が終わったら見せにいくぞ!」
エリゴール
「なぜ六班にそれほど対抗心を……」
フィリップス
「元四班長が六班に〝横縦〟を許したからだ!」
エリゴール
「あんたら……本当に〝横縦〟が好きだな……」
エリゴール以外
「かっこいいからっ!」
エリゴール
「乗組員全員で叫ばなくてもいい」
***
【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】
レラージュ
「……三十秒一一……」
ロノウェ
「え? いきなり?」
六班長・ラムレイ
『〝先生〟! どうでしたか! 合格ですか! 不合格ですか!』
ロノウェ
「レラージュ?」
レラージュ
「……〝合格〟でいいです……そうでないと、次には三十秒を切られます……」
ロノウェ
「それはまずいな。……うちの班員が」
***
【パラディン大佐隊・第六班第一号ブリッジ】
ロノウェ
『……六班合格。タイムは三十秒一一』
六班長・ラムレイ
「やった! これで〝移動しながら変形〟の練習ができる!」
副長
「タイム危なかったー。もう少しで〝先生〟越えしちまうところだったー」
ラムレイ
「とにかく移動だ! 面倒だからこのまま反転して、あっちでまた〝椅子〟を作るぞ!」
ラムレイ以外
「了解!」
***
【パラディン大佐隊・第八班第一号ブリッジ】
副長・ウィルスン
「すげえ……あとちょっとで〝先生〟越えだった……」
八班長・ブロック
「しかも、〝椅子〟の隊形のまま反転して飛んでいった……」
ウィルスン
「恐るべし、合体マニア……」
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「あれ見た直後に〝先生〟に見せにいくのは、正直言ってきついな……」
エリゴール
「六班は本当に器用だな。あそこなら〝完全版ファイアー・ウォール〟のパターンB・Cも作れるかもしれない。……わりと簡単に」
ハワード
「うう……嬉しいが悔しい」
フィリップス
「どうする、おとっつぁん。もう少し練習してから〝先生〟に見せにいくか?」
ハワード
「……フィリップス! 俺は〝代表者〟だ!」
フィリップス
「よし、見せにいくぞ。こういうのは、後になればなるほどプレッシャーがかかって、やりにくくなるんだ」
エリゴール
「……本当にいい〝息子〟だな。俺の養子にしたいくらいだ」
ハワード
「元四班長……あんたが言うと冗談に聞こえない……」
***
【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】
フィリップス
『〝先生〟! 一班です! うちもお願いします!』
ロノウェ
「……これは一班長の副長の声だな。さすがに一班長はうちを〝先生〟とは呼びにくいか」
レラージュ
「一班長の副長……どんな人ですか?」
ロノウェ
「どんな人……そうだな、副長とは言っても一班長とはタメ口で話してたから、一班長の相棒みたいなもんなんだろうな。この前の全班長会議でも、一班長をうまくサポートしてた」
レラージュ
「……それは俺に対する嫌味ですか?」
ロノウェ
「へ?」
クルーA
「班長……何てことを……!」
クルーB
「ここで対応を誤ったら大変なことに……班長!」
ロノウェ
「何言ってんだ。よそはよそ、うちはうちだろ」
レラージュ
「……そうですね」
クルーA
「よかった! 班長以外には許されない回答で、副長の機嫌が直った!」
クルーB
「でも、副長にも自分が副長らしくない自覚はあったんだな。しかも、それを気にしてないようで気にしてた」
クルーA
「意外だが、改める気はなさそうだな……」
レラージュ
「班長、さっきの六班と同じことを一班にも言ってやってください。……結構、審査も面倒くさいですね」
ロノウェ
「しょうがねえだろ、うちは〝先生〟なんだから。……わかった。〈オートクレール〉方式でチェックとタイムの計測するから、そっちのタイミングで始めてくれ」
ゲアプ
(これがあるから、ここの操縦士は辞められない……!)
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「駄目だ! 六班に負けた!」
エリゴール
「それ以前に、合格か不合格かが問題だろ」
フィリップス
「だって、確実に六班よりタイム悪いぞ?」
エリゴール
「今回はタイムトライアルじゃないって言っただろ。……さっき、どうして六班が一発で合格になったかわかるか?」
フィリップス
「タイムがよかった……つまり、それだけ短時間で〝椅子〟を作れたからじゃないのか?」
エリゴール
「そのとおりだ。あの班なら二回目には〝先生〟の記録を破っちまうかもしれない」
フィリップス
「え? そんな理由で?」
エリゴール
「レラージュ副長は負けず嫌いだって言っただろ。だから前もって、十一班に必要以上にいいタイムを出させておいたんだが……俺の予想以上に六班の出来がよかった。というか、変形にかける執念が強かったのか」
フィリップス
「結局、うちより六班のほうが上だと言いたいんだな、元四班長!」
エリゴール
「それほど〝変形〟で六班に負けたくないのか」
ロノウェ
『……一班合格。タイムは三十五秒四六』
フィリップス
「やっぱり! 合格はしたけど、六班より五秒以上も時間がかかってる!」
エリゴール
「合格したんだからそれでいいだろ。六班より多少時間はかかっても、ちゃんと〝椅子〟にはなってたってことだ。それより、俺たちにはこれからやらなきゃならないことが山ほどある」
フィリップス
「あ、そうだ。〝移動しながら変形〟の練習しなきゃ。ますます六班と差をつけられる」
エリゴール
「その前に、まだ多少不完全でも〝先生〟のところに見せにいくように、〝椅子〟組の七班、十二班、九班、十班の班長に連絡しろ。そういう指示は一班長じゃなきゃできないだろ。残りの班は俺たちが見てやって、大丈夫そうなら〝先生〟のところに行かせる。うちの〝移動しながら変形〟の練習はその後だ」
フィリップス
「まあ、言われてみればそうだな。まず〝椅子〟組ができるようにならなくちゃ、最後の訓練もできずに終わっちまう」
ハワード
「ちょっと待て。……十二班にも俺が連絡するのか?」
フィリップス
「同じ〝パラディン大佐隊〟だし」
ハワード
「元四班長っ!」
エリゴール
「……わかった。十二班には俺が直接話す。ちょうど言わなきゃならないこともあるしな。そのかわり、あとの班には〝おとっつぁん〟が指示しろよ」
ハワード
「ああ、わかった」
クルーA
「……どっちが班長なのかわからない……」
クルーB
「でも、俺も十二班とは話しにくいな……三班、ある意味〝勇者〟だったな」
クルーA
「それで勇気を使い果たして、俺たちに〝全艦殲滅〟されちまったのかな」
クルーB
「ああ、ありうるな」
エリゴール
『じゃあ、まずは〝先生〟に〝椅子〟のお手本を見せてもらう。それから他の班はそれぞれ〝椅子〟作りに挑戦して、できたと思ったら〝先生〟に見せにいく。〝先生〟から合格認定されたら、最後の訓練まで休憩してていい』
副長・ウィルスン
「〝先生〟って……あの十一班のことだよな?」
八班長・ブロック
「あの〝先生〟は、たとえ九十九パーセントできてたとしても、合格にはしてくれなそうな気がする」
ウィルスン
「っていうか、あの〝先生〟の前でやるって考えただけで、緊張して失敗しそうな気が今からする……」
エリゴール
『最後は演習を想定して、十一班、六班、七班、十二班、九班、十班が〝椅子〟、それを残りの班が〝連合〟として砲撃。もちろん、撃たれた軍艦は〝墓場〟行きだ。〝椅子〟組が〝全艦殲滅〟できなかったら……そうだな、どうするかな……まあ、それはそのときになったら考える』
ブロック
「元四班長だけに怖い含みだ……」
ウィルスン
「俺たち、〝椅子〟組じゃなくてよかったな……」
エリゴール
『なお、タイムトライアルをするつもりはないが、一応〝先生〟にはタイムも計ってもらうよう頼んである。タイムがいちばん悪い班、もしくは最後まで〝椅子〟ができなかった班には、ペナルティとして、明日、その班の班長艦に俺が乗りこむ。俺に来てもらいたくなかったら、今日必死で〝椅子〟を覚えて、いいタイムを出せ』
ブロック
「え、それ、ペナルティ?」
ウィルスン
「むしろ、特典じゃないのか?」
ブロック
「いいなあ……三班」
ウィルスン
「やる前からすでに決定か」
エリゴール
『それじゃ〝先生〟、これが〝椅子〟だっていうのを〝生徒〟たちに見せつけてやってくれ』
ウィルスン
「なぜ煽るんだ、元四班長」
クルーA
「もしかして、わざとプレッシャーかけて、失敗させようとしてる?」
ウィルスン
「〝先生〟失敗させてどうするんだよ」
ブロック
「いや、あんなふうに言われたら、あの〝先生〟ならさらに燃える! 〝先生〟の二回目の〝蝶〟のタイムを忘れたか?」
ウィルスン
「ただでさえプレッシャーかけられてるだろうに、さらに上乗せ……かわいそうな十一班員……」
***
【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】
レラージュ
「ふふ……ベストタイム出せなかったら、どうしてくれてやりましょうかね……」
ロノウェ
「おまえ……そういうとこ、エリゴールによく似てるよな……」
***
【パラディン大佐隊・第六班第一号ブリッジ】
六班長・ラムレイ
「今度こそ……今度こそ完璧に〝椅子〟を撮る!」
クルーA
「でも、完璧に撮っても、元四班長から〝飴ちゃん〟はもらえなそうですよ?」
ラムレイ
「いいんだ! あのとき一班に頼まれて撮れなかったものを、いま撮り返したいんだ!」
クルーA
「何というプロ根性!」
クルーB
「でも、うちはいつから撮影のプロに……」
副長
「たまたま一班に〝移動しながら横縦ぐるり〟の撮影を頼まれたときから……」
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「うわああ! やっぱり移動なしで、その場で変形してる!」
ハワード
「今ふと思ったんだが、移動しながら変形だと、どの時点からタイム計測されるんだ?」
フィリップス
「……元四班長! 〝先生〟と交渉して、配置についてからタイム計測ということにしてもらえないか!」
エリゴール
「そうだな。その場で変形ができなかったらな」
フィリップス
「元四班長……それは婉曲に〝移動しながらじゃないと変形できないのかよ、やっぱ凡人集団だな〟って言ってるのか?」
エリゴール
「いや、実戦では移動しながら変形してもいいが、一応基本は押さえておいたほうがいいだろう」
フィリップス
「昨日は〝移動しながらのほうがいい〟って言ったくせに……」
エリゴール
「あくまで実戦ではだ」
フィリップス
「その場で変形で、あの〝先生〟から合格をもらえる自信がない……」
ハワード
「そんなこと言ってる間に、もう〝椅子〟が完成したぞ」
フィリップス
「早っ! タイムは!?」
クルーA
「……二十九秒八六……」
フィリップス
「ありえない……」
エリゴール
「きっと絶対三十秒以内に収めろと、レラージュに発破かけられたんだろうな」
フィリップス
「あんたも煽ったでしょ、元四班長」
***
【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】
レラージュ
「まあ、目標三十秒はギリギリクリアできましたが、もしこれを上回る班が出てきたら……ふふ……どうしましょうかね……」
ロノウェ
「その前に、目標クリアできたうちの班員たちを褒めてやれよ」
レラージュ
「最後までうちの記録が破られなかったら考えます」
ロノウェ
「それでも、考えるだけか。……おまえら、よく頑張った。あとは最後の訓練までダラッとしてろ」
副操縦士
「班長……ありがとうございます……!」
ゲアプ
「レラージュ副長のフォローは完璧です、班長!」
***
【パラディン大佐隊・第六班第一号ブリッジ】
六班長・ラムレイ
「撮ったどーっ!」
クルーA
「興奮のあまり、班長がお国言葉になっている!」
ラムレイ
「すごいぞ! 〝蛇〟と同じ〝無旋回〟だが、もっと高度な合体技だ! 副班長隊がちょっと前進してる間にすべてが終わっている! ……でも、やっぱり移動しながら変形したほうが、配置についたらすぐに合体できるし、絶対かっこいいよな?」
クルーA
「そうですね。まず副班長隊が先行、移動しながら変形して〝椅子〟の脚を作り、そのすぐ後に、やはり移動しながら変形した班長隊が合体して、椅子の座面と背もたれを作れば……」
全員
「……かっこいい!」
ラムレイ
「でも、きっとあの〝先生〟は、その場で変形しないと、合格にはしてくれないだろうな……」
クルーA
「それなら〝その場で変形〟でさっさと合格してしまって、それからは〝移動しながら変形〟を自主練しましょう! 合格さえしてしまえば、あとはどんな方法で変形しても、〝先生〟に文句は言われないはず!」
副長
「ふ……おぬしも悪よのう……」
クルーA
「〝移動しながら変形〟するためです! たぶんこっちの〝椅子〟だったら、元四班長も〝移動しながら変形〟を許してくれます! そのほうが早く〝椅子〟になれますから!」
ラムレイ
「よし、そうと決まったら、〝その場で変形〟、さっさと練習始めるぞ! できれば一班より早く、一班よりいいタイムで!」
クルーA
「〝先生〟越えは狙わないんですか?」
ラムレイ
「無理だ! それに下手に越えたら、とても面倒なことになりそうな気がする!」
副長
「さすが班長! 俺もそんな気がものすごくするぜ!」
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「六班がもう練習を始めている……」
ハワード
「あそこはたぶん、とりあえず〝先生〟の手本どおりにやって早く合格して、あとは〝移動しながら変形〟の練習をしようと考えているに違いない」
フィリップス
「何てわかりやすい……でも、気持ちはよくわかる!」
エリゴール
「あんたらと六班は、本当に〝移動しながら変形〟が好きだな……」
エリゴール以外
「かっこいいからっ!」
エリゴール
「乗組員全員で叫ぶほど好きか」
ハワード
「とにかく、六班にだけは負けられないな。うちも早く練習始めないと」
フィリップス
「早く〝移動しながら変形〟したい!」
エリゴール
「……まあ、それがモチベーションになるんならいいか……」
***
【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】
六班長・ラムレイ
『〝先生〟! 六班です! とりあえず、一度見てもらっていいですか!』
ロノウェ
「六班、もうできたのか。早いな」
レラージュ
「あの班長は、本気でうちを〝先生〟と呼んでいるんでしょうか……」
ロノウェ
「あいつなら、たぶん本気だ」
レラージュ
「だから班長と話が合ったんですね」
ロノウェ
「レラージュ……」
レラージュ
「とにかく、チェックとタイム計測をします。〈オートクレール〉方式で、動き出したら計測しますから、その旨、先方に伝えてください」
ロノウェ
「わかった」
***
【パラディン大佐隊・第八班第一号ブリッジ】
副長・ウィルスン
「六班がもう〝先生〟に見せにいったぞ」
八班長・ブロック
「早い! さすが〝蛇〟部門第一位!」
ウィルスン
「でも、一回で合格できるとは限らないだろ。何しろ審査するのはあの〝先生〟だ」
ブロック
「何か、大佐より厳しそうだな」
ウィルスン
「一応形にはなってても、あまりにも時間がかかりすぎたら不合格になるのかね?」
ブロック
「どうだろうなあ。とりあえず、六班の結果を見て審査基準を推測しよう」
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「ああっ、六班に先を越されたあっ!」
ハワード
「まだ合格するかどうかはわからない! うちも六班が終わったら見せにいくぞ!」
エリゴール
「なぜ六班にそれほど対抗心を……」
フィリップス
「元四班長が六班に〝横縦〟を許したからだ!」
エリゴール
「あんたら……本当に〝横縦〟が好きだな……」
エリゴール以外
「かっこいいからっ!」
エリゴール
「乗組員全員で叫ばなくてもいい」
***
【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】
レラージュ
「……三十秒一一……」
ロノウェ
「え? いきなり?」
六班長・ラムレイ
『〝先生〟! どうでしたか! 合格ですか! 不合格ですか!』
ロノウェ
「レラージュ?」
レラージュ
「……〝合格〟でいいです……そうでないと、次には三十秒を切られます……」
ロノウェ
「それはまずいな。……うちの班員が」
***
【パラディン大佐隊・第六班第一号ブリッジ】
ロノウェ
『……六班合格。タイムは三十秒一一』
六班長・ラムレイ
「やった! これで〝移動しながら変形〟の練習ができる!」
副長
「タイム危なかったー。もう少しで〝先生〟越えしちまうところだったー」
ラムレイ
「とにかく移動だ! 面倒だからこのまま反転して、あっちでまた〝椅子〟を作るぞ!」
ラムレイ以外
「了解!」
***
【パラディン大佐隊・第八班第一号ブリッジ】
副長・ウィルスン
「すげえ……あとちょっとで〝先生〟越えだった……」
八班長・ブロック
「しかも、〝椅子〟の隊形のまま反転して飛んでいった……」
ウィルスン
「恐るべし、合体マニア……」
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「あれ見た直後に〝先生〟に見せにいくのは、正直言ってきついな……」
エリゴール
「六班は本当に器用だな。あそこなら〝完全版ファイアー・ウォール〟のパターンB・Cも作れるかもしれない。……わりと簡単に」
ハワード
「うう……嬉しいが悔しい」
フィリップス
「どうする、おとっつぁん。もう少し練習してから〝先生〟に見せにいくか?」
ハワード
「……フィリップス! 俺は〝代表者〟だ!」
フィリップス
「よし、見せにいくぞ。こういうのは、後になればなるほどプレッシャーがかかって、やりにくくなるんだ」
エリゴール
「……本当にいい〝息子〟だな。俺の養子にしたいくらいだ」
ハワード
「元四班長……あんたが言うと冗談に聞こえない……」
***
【パラディン大佐隊・第十一班第一号ブリッジ】
フィリップス
『〝先生〟! 一班です! うちもお願いします!』
ロノウェ
「……これは一班長の副長の声だな。さすがに一班長はうちを〝先生〟とは呼びにくいか」
レラージュ
「一班長の副長……どんな人ですか?」
ロノウェ
「どんな人……そうだな、副長とは言っても一班長とはタメ口で話してたから、一班長の相棒みたいなもんなんだろうな。この前の全班長会議でも、一班長をうまくサポートしてた」
レラージュ
「……それは俺に対する嫌味ですか?」
ロノウェ
「へ?」
クルーA
「班長……何てことを……!」
クルーB
「ここで対応を誤ったら大変なことに……班長!」
ロノウェ
「何言ってんだ。よそはよそ、うちはうちだろ」
レラージュ
「……そうですね」
クルーA
「よかった! 班長以外には許されない回答で、副長の機嫌が直った!」
クルーB
「でも、副長にも自分が副長らしくない自覚はあったんだな。しかも、それを気にしてないようで気にしてた」
クルーA
「意外だが、改める気はなさそうだな……」
レラージュ
「班長、さっきの六班と同じことを一班にも言ってやってください。……結構、審査も面倒くさいですね」
ロノウェ
「しょうがねえだろ、うちは〝先生〟なんだから。……わかった。〈オートクレール〉方式でチェックとタイムの計測するから、そっちのタイミングで始めてくれ」
ゲアプ
(これがあるから、ここの操縦士は辞められない……!)
***
【パラディン大佐隊・第一班第一号ブリッジ】
フィリップス
「駄目だ! 六班に負けた!」
エリゴール
「それ以前に、合格か不合格かが問題だろ」
フィリップス
「だって、確実に六班よりタイム悪いぞ?」
エリゴール
「今回はタイムトライアルじゃないって言っただろ。……さっき、どうして六班が一発で合格になったかわかるか?」
フィリップス
「タイムがよかった……つまり、それだけ短時間で〝椅子〟を作れたからじゃないのか?」
エリゴール
「そのとおりだ。あの班なら二回目には〝先生〟の記録を破っちまうかもしれない」
フィリップス
「え? そんな理由で?」
エリゴール
「レラージュ副長は負けず嫌いだって言っただろ。だから前もって、十一班に必要以上にいいタイムを出させておいたんだが……俺の予想以上に六班の出来がよかった。というか、変形にかける執念が強かったのか」
フィリップス
「結局、うちより六班のほうが上だと言いたいんだな、元四班長!」
エリゴール
「それほど〝変形〟で六班に負けたくないのか」
ロノウェ
『……一班合格。タイムは三十五秒四六』
フィリップス
「やっぱり! 合格はしたけど、六班より五秒以上も時間がかかってる!」
エリゴール
「合格したんだからそれでいいだろ。六班より多少時間はかかっても、ちゃんと〝椅子〟にはなってたってことだ。それより、俺たちにはこれからやらなきゃならないことが山ほどある」
フィリップス
「あ、そうだ。〝移動しながら変形〟の練習しなきゃ。ますます六班と差をつけられる」
エリゴール
「その前に、まだ多少不完全でも〝先生〟のところに見せにいくように、〝椅子〟組の七班、十二班、九班、十班の班長に連絡しろ。そういう指示は一班長じゃなきゃできないだろ。残りの班は俺たちが見てやって、大丈夫そうなら〝先生〟のところに行かせる。うちの〝移動しながら変形〟の練習はその後だ」
フィリップス
「まあ、言われてみればそうだな。まず〝椅子〟組ができるようにならなくちゃ、最後の訓練もできずに終わっちまう」
ハワード
「ちょっと待て。……十二班にも俺が連絡するのか?」
フィリップス
「同じ〝パラディン大佐隊〟だし」
ハワード
「元四班長っ!」
エリゴール
「……わかった。十二班には俺が直接話す。ちょうど言わなきゃならないこともあるしな。そのかわり、あとの班には〝おとっつぁん〟が指示しろよ」
ハワード
「ああ、わかった」
クルーA
「……どっちが班長なのかわからない……」
クルーB
「でも、俺も十二班とは話しにくいな……三班、ある意味〝勇者〟だったな」
クルーA
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クルーB
「ああ、ありうるな」
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