9 / 36
ー???視点ー
しおりを挟む
魔物は、他の生き物と違い…想像と感情が具現化したもの。
全ての想像と感情を表してはいない。
魔物が現れるのは、「嫌い」「苦しい」「怖い」「死死死」
嫌なものの集合体のような存在で、意思はない。
あるのはもっとほしいという、欲望ただ一つ。
人間を襲うのも、人間の感情がほしいからだ。
心を喰らい、同時に生命を奪いつくす存在。
一つ食べただけでは満足しない、もっともっとほしいという欲が増えていき、喰らった心でさらに強くなる。
動物や花よりも感情が強い人間を狙っている。
それと対照的に、魔物の中でも異質な存在が龍族。
龍族は神の想像と感情が具現化された存在。
数千年前から、神に仕える者として生きてきた。
神は人から生まれた魔物の行動に嘆き悲しみ、龍族に人を守る使命を受けて地上に降りた。
魔物を倒すことにより、感情を浄化する役目がある。
しかし、人を食べていた魔物は強くなっていて龍族は大勢犠牲になった。
魔物を一掃した頃には、龍族も立ち上がる事はなかった。
魔物は人の感情で何度も蘇ってきて、人間を喰らう事を止める事はない。
龍族はここ数年、生まれ変わる事が出来なかった。
いつしか絶滅種と言われて、人間だけで魔物と戦っていた。
龍族が再び生まれる光差す希望を抱いている。
『……』
今までの人間の世界は、神の目から見ていたから分かっている。
生まれたばかりの龍は、空を見上げながら感情というものはなかった。
今までの龍族は人間に化ける事が出来たが、まだ赤ん坊で何も出来ない。
神は姿が見えないほど大きな布を包んで、地上に龍を落とした。
魔物に気付かれたら育たぬ前に命を落とす危険がある。
隠れて生きるために、寒い雪の森の中を進んでいた。
その時、なにかが体を掠めて上から大きななにかが降ってきた。
それは重くのし掛かり、身動きが取れなくなった。
なにが起きたのか分からず、声を上げてもどうする事が出来ない。
寒さには強いが、このまま動かないでいてもいいのか分からない。
どのくらい時間が経っているのか分からない、ずっと動きながら鳴き続けた。
無音だった森の中、人間らしき声が聞こえた。
このまま人間に出会ってもいけない、魔物だと勘違いされてしまう。
尾を振って、必死に暴れて逃れようと思った。
この時龍は、焦るという感情を初めて知った。
ずっと長い時間、暴れて疲れてしまい動くのを止めた。
視界が少しだけ明るくなり、目の前をまっすぐ見つめた。
「くぅ…」
「ほら、大丈夫だ…こっちにおいで」
人間の手が出てきて、包み込むようにして抱き上げられた。
人間の体温は、こんなに温かいものなのか。
優しく触れ合い、温かさと安らぎを感じた。
そのまま何処かに運ばれて、少し不安を感じた。
人間を守るために生まれたが、魔物を生み出す人間が怖い。
不安と恐怖を抱きながら人間を服の中から見上げた。
神の感情だから、簡単に魔物が生み出す事はないが誰だって不安に思う事はある。
でも、この人間はそんな不安をすぐに打ち砕かれる。
「ちょっと待っててな、すぐに温かくするから」
人間が離れていき、何をするのかと布の隙間から見つめた。
人間は龍族とは違い、火を吐く事も風を起こす事も氷を生み出す事は出来ない。
だから、時間を掛けてゆっくりと火を育てていく。
これが人間の知恵、龍族に頼らず生きていく方法だ。
パチパチと温かな火が冷えた体を温めてくれる。
人間の膝に乗り、ゆらゆらと揺れる火を見つめる。
人間と話す事が出来たら、どんなに楽しいのかな。
口を開いたら、人間の言葉じゃない鳴き声しか聞こえない。
人間は思いついたように、ゆっくりと立ち上がる。
「ちょっとそこで待ってて、すぐに戻るから」
そう言って、人間は何処かに走っていった。
いなくなってしまった、人間は忙しい生き物なんだな。
待っててと言われたから、ここで待っていよう。
火は温かいけど、不思議と心が冷えてしまう。
ジッとしていられず、ずるずると動きながら待っていた。
人間の気配がして、人間に近付くと顔が柔らかくなった。
「きゅー…」
「あれ?そんなところにいたのか?」
足元に絡みついて、冷えた心をほかほかに温める。
なにかを差し出されて、くんくんにおいを嗅いで食べ物だと気付いて口にした。
これが、食べ物なのか…それにこの気持ちって…美味しいという人間に大切なものか。
この人間に出会って、いろいろな感情を知った。
子供のようだ、龍も生まれたばかりだが神の中にいた期間が長くて、この子供よりずっと年上だ。
だけど、まだ精神年齢が追いついていない状態。
コートを地面に敷いて、人間は横になった。
人間の顔をジッと見ていたら、腕を広げていた。
その意味が分からず、ただただ人間の横にいた。
「おいで、一緒に寝よう」
「きゅ…」
「一緒に寝るの嫌?」
首を傾げてそう言われたら、断る理由は何処にもない。
腕の間に入ると、優しく包み込まれて人間は目蓋を閉じた。
横でぐるぐると体を丸めて寝る体勢になる。
生まれて初めて眠る事を覚えた、まるで人間になったかのようだ。
いくら神の使者とはいえ、どんなに願っても叶わない魔物だ。
でも、人間の姿になれば会話をする事が出来る。
一方的ではない、感情を相手に与える事も出来る。
それが、心を通わす…そうしたいと思えた初めての人間。
全ての想像と感情を表してはいない。
魔物が現れるのは、「嫌い」「苦しい」「怖い」「死死死」
嫌なものの集合体のような存在で、意思はない。
あるのはもっとほしいという、欲望ただ一つ。
人間を襲うのも、人間の感情がほしいからだ。
心を喰らい、同時に生命を奪いつくす存在。
一つ食べただけでは満足しない、もっともっとほしいという欲が増えていき、喰らった心でさらに強くなる。
動物や花よりも感情が強い人間を狙っている。
それと対照的に、魔物の中でも異質な存在が龍族。
龍族は神の想像と感情が具現化された存在。
数千年前から、神に仕える者として生きてきた。
神は人から生まれた魔物の行動に嘆き悲しみ、龍族に人を守る使命を受けて地上に降りた。
魔物を倒すことにより、感情を浄化する役目がある。
しかし、人を食べていた魔物は強くなっていて龍族は大勢犠牲になった。
魔物を一掃した頃には、龍族も立ち上がる事はなかった。
魔物は人の感情で何度も蘇ってきて、人間を喰らう事を止める事はない。
龍族はここ数年、生まれ変わる事が出来なかった。
いつしか絶滅種と言われて、人間だけで魔物と戦っていた。
龍族が再び生まれる光差す希望を抱いている。
『……』
今までの人間の世界は、神の目から見ていたから分かっている。
生まれたばかりの龍は、空を見上げながら感情というものはなかった。
今までの龍族は人間に化ける事が出来たが、まだ赤ん坊で何も出来ない。
神は姿が見えないほど大きな布を包んで、地上に龍を落とした。
魔物に気付かれたら育たぬ前に命を落とす危険がある。
隠れて生きるために、寒い雪の森の中を進んでいた。
その時、なにかが体を掠めて上から大きななにかが降ってきた。
それは重くのし掛かり、身動きが取れなくなった。
なにが起きたのか分からず、声を上げてもどうする事が出来ない。
寒さには強いが、このまま動かないでいてもいいのか分からない。
どのくらい時間が経っているのか分からない、ずっと動きながら鳴き続けた。
無音だった森の中、人間らしき声が聞こえた。
このまま人間に出会ってもいけない、魔物だと勘違いされてしまう。
尾を振って、必死に暴れて逃れようと思った。
この時龍は、焦るという感情を初めて知った。
ずっと長い時間、暴れて疲れてしまい動くのを止めた。
視界が少しだけ明るくなり、目の前をまっすぐ見つめた。
「くぅ…」
「ほら、大丈夫だ…こっちにおいで」
人間の手が出てきて、包み込むようにして抱き上げられた。
人間の体温は、こんなに温かいものなのか。
優しく触れ合い、温かさと安らぎを感じた。
そのまま何処かに運ばれて、少し不安を感じた。
人間を守るために生まれたが、魔物を生み出す人間が怖い。
不安と恐怖を抱きながら人間を服の中から見上げた。
神の感情だから、簡単に魔物が生み出す事はないが誰だって不安に思う事はある。
でも、この人間はそんな不安をすぐに打ち砕かれる。
「ちょっと待っててな、すぐに温かくするから」
人間が離れていき、何をするのかと布の隙間から見つめた。
人間は龍族とは違い、火を吐く事も風を起こす事も氷を生み出す事は出来ない。
だから、時間を掛けてゆっくりと火を育てていく。
これが人間の知恵、龍族に頼らず生きていく方法だ。
パチパチと温かな火が冷えた体を温めてくれる。
人間の膝に乗り、ゆらゆらと揺れる火を見つめる。
人間と話す事が出来たら、どんなに楽しいのかな。
口を開いたら、人間の言葉じゃない鳴き声しか聞こえない。
人間は思いついたように、ゆっくりと立ち上がる。
「ちょっとそこで待ってて、すぐに戻るから」
そう言って、人間は何処かに走っていった。
いなくなってしまった、人間は忙しい生き物なんだな。
待っててと言われたから、ここで待っていよう。
火は温かいけど、不思議と心が冷えてしまう。
ジッとしていられず、ずるずると動きながら待っていた。
人間の気配がして、人間に近付くと顔が柔らかくなった。
「きゅー…」
「あれ?そんなところにいたのか?」
足元に絡みついて、冷えた心をほかほかに温める。
なにかを差し出されて、くんくんにおいを嗅いで食べ物だと気付いて口にした。
これが、食べ物なのか…それにこの気持ちって…美味しいという人間に大切なものか。
この人間に出会って、いろいろな感情を知った。
子供のようだ、龍も生まれたばかりだが神の中にいた期間が長くて、この子供よりずっと年上だ。
だけど、まだ精神年齢が追いついていない状態。
コートを地面に敷いて、人間は横になった。
人間の顔をジッと見ていたら、腕を広げていた。
その意味が分からず、ただただ人間の横にいた。
「おいで、一緒に寝よう」
「きゅ…」
「一緒に寝るの嫌?」
首を傾げてそう言われたら、断る理由は何処にもない。
腕の間に入ると、優しく包み込まれて人間は目蓋を閉じた。
横でぐるぐると体を丸めて寝る体勢になる。
生まれて初めて眠る事を覚えた、まるで人間になったかのようだ。
いくら神の使者とはいえ、どんなに願っても叶わない魔物だ。
でも、人間の姿になれば会話をする事が出来る。
一方的ではない、感情を相手に与える事も出来る。
それが、心を通わす…そうしたいと思えた初めての人間。
231
あなたにおすすめの小説
王様お許しください
nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。
気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。
性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
アイドルのマネージャーになったら
はぴたん
BL
大人気5人組アイドル"Noise"
ひょんな事からそのマネージャーとして働く事になった冴島咲夜(さえじまさくや)。
Noiseのメンバー達がみんなで住む寮に一緒に住むことになり、一日中メンバーの誰かと共にする毎日。
必死にマネージャー業に専念し徐々にメンバーとの仲も深まってきたけど、、仲深まりすぎたかも!?
メンバー5人、だけではなく様々な人を虜にしちゃう総愛され物語。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
暗殺者は王子に溺愛される
竜鳴躍
BL
ヘマをして傷つき倒れた暗殺者の青年は、王子に保護される。孤児として組織に暗殺者として育てられ、頑なだった心は、やがて王子に溺愛されて……。
本編後、番外編あります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる