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漫画のヒロイン
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それは兄の部屋、俺はラルト以外の兄弟に会った事はない。
俺が知っているのは、このキャラクターだけだ。
お願いだ、長男がアルトでないと証明してくれ。
漫画の世界のアルトの部屋を思い出しながら進む。
心の中ではずっと否定の言葉だけが頭を駆け回っている。
少しでも気が緩むと、認めてしまいそうで怖かった。
意識して見ると、花瓶の場所や部屋の位置など似すぎている。
俺はどうすればいいんだ?このままアルトが出てきたら…
兄の部屋の前までやって来て、足を止める。
ノックすればいたら出てくるか声が聞こえる。
アルトの声もはっきりではなく何となくだが、覚えている。
そこまで似てる事はありえないから、声だけでも認める事になる。
俺がどんなに違うと否定したとしても、現実を突きつけられる。
扉を開ける一歩の勇気すら出なくて、部屋に背を向けた。
俺はどうすればいいんだ?この先の未来を知っているのは俺だけだ。
ベアトリスは辛い事もあるが、最後は幸せになる。
俺が変に止めたら、幸せを奪ってしまうかもしれない。
それに、俺は今のままで幸せになると決まったわけではない。
ここでの俺は、悪役ポジション…幸せになれるわけがない。
10歳にして、俺はこの家を出ていく決意をした。
漫画の主役しか幸せになってはいけないなんて誰が決めた。
俺はまだ悪役に堕ちたりしていないし、今ならいくらでもやり直せる。
そうと決めたらすぐに行動に出ようと、大きなくしゃみをしながら走り出した。
そして数秒後、俺を探しにきたラルトにより発見された。
全身が重くて力が入らない、何となく頭もボーッとする。
確かに望んではいたが、決意した今じゃなくてもよくないか?
俺が死んだと思ったのか、大泣きしたラルトの騒がしい声に気付いた使用人達により俺は運ばれた。
風邪を引いてしまった、さすがに家を出ていくには無理がある。
治ってからでも遅くはないよな、今は病気を治す事に専念しよう。
看病までは面倒を見てくれない使用人達の代わりにラルトが面倒を見てくれる事になった。
「にいたま、あーん」
「いや、1人で食べれる…むぐっ」
ラルトに無理やりお粥の乗ったスプーンを捩じ込まれた。
めちゃくちゃ熱くて、口の中がヒリヒリと痛くて口を押さえた。
涙目になりながらラルトを見ると、キラキラと目を輝かせていた。
俺が痛がっていると知ったら、悲しいよな。
笑顔を貼り付けて「美味しいな、ありがとう」と言った。
嬉しそうなラルトが見れて、俺も嬉しいよ。
もう一度捩じ込もうとするから、きっと食べ終わるまで続くんだろうなと思いながら口にした。
風邪だからではなく熱くて、久々の食事なのに味が全く分からない。
口の中がヒリヒリするから水しか口にする事が出来なくなっていた。
俺の風邪を治そうと必死にラルトが「痛いの痛いのとんでけー」としているのは可愛かったけど。
「にいたま、もうおねむ?」
「そうだな、ちょっと疲れた…かも」
瞳を閉じると、すぐにでも眠る事が出来そうだ。
少ししたら、小さな寝息を立てて眠っていた。
「にいたまはラルトが守ってあげる」という囁きを聞く事はなかった。
ーラルト視点ー
にいたまが眠り、僕が部屋を出るとセトが扉の前で立っていた。
にいたまを心配してではないだろう、もしそうなら僕が許さない。
にいたまを心配するのは僕の、僕だけの役目。
別にセトに理解してもらいたいわけではない、僕を理解するのはにいたまだけでいい。
「本当によろしいのですか、奥様はラルト様にはまだ早いと…」
「くどいな、僕は兄さん仕事を減らしたいだけ、そしたらもっと一緒にいられるから」
だから邪魔をするなと睨むと、セトはそれ以上何も言わなかった。
にいたまの前でだけ、馬鹿で無知な弟を演じる。
そうすれば、本当に馬鹿でお人好しのにいたまは僕を放っておいたりしない。
それもこれもずっとずーっと、にいたまと一緒にいるため。
僕達を引き裂くものは絶対に許さない。
にいたまが作ったぬいぐるみを握りしめてその場を後にした。
俺が知っているのは、このキャラクターだけだ。
お願いだ、長男がアルトでないと証明してくれ。
漫画の世界のアルトの部屋を思い出しながら進む。
心の中ではずっと否定の言葉だけが頭を駆け回っている。
少しでも気が緩むと、認めてしまいそうで怖かった。
意識して見ると、花瓶の場所や部屋の位置など似すぎている。
俺はどうすればいいんだ?このままアルトが出てきたら…
兄の部屋の前までやって来て、足を止める。
ノックすればいたら出てくるか声が聞こえる。
アルトの声もはっきりではなく何となくだが、覚えている。
そこまで似てる事はありえないから、声だけでも認める事になる。
俺がどんなに違うと否定したとしても、現実を突きつけられる。
扉を開ける一歩の勇気すら出なくて、部屋に背を向けた。
俺はどうすればいいんだ?この先の未来を知っているのは俺だけだ。
ベアトリスは辛い事もあるが、最後は幸せになる。
俺が変に止めたら、幸せを奪ってしまうかもしれない。
それに、俺は今のままで幸せになると決まったわけではない。
ここでの俺は、悪役ポジション…幸せになれるわけがない。
10歳にして、俺はこの家を出ていく決意をした。
漫画の主役しか幸せになってはいけないなんて誰が決めた。
俺はまだ悪役に堕ちたりしていないし、今ならいくらでもやり直せる。
そうと決めたらすぐに行動に出ようと、大きなくしゃみをしながら走り出した。
そして数秒後、俺を探しにきたラルトにより発見された。
全身が重くて力が入らない、何となく頭もボーッとする。
確かに望んではいたが、決意した今じゃなくてもよくないか?
俺が死んだと思ったのか、大泣きしたラルトの騒がしい声に気付いた使用人達により俺は運ばれた。
風邪を引いてしまった、さすがに家を出ていくには無理がある。
治ってからでも遅くはないよな、今は病気を治す事に専念しよう。
看病までは面倒を見てくれない使用人達の代わりにラルトが面倒を見てくれる事になった。
「にいたま、あーん」
「いや、1人で食べれる…むぐっ」
ラルトに無理やりお粥の乗ったスプーンを捩じ込まれた。
めちゃくちゃ熱くて、口の中がヒリヒリと痛くて口を押さえた。
涙目になりながらラルトを見ると、キラキラと目を輝かせていた。
俺が痛がっていると知ったら、悲しいよな。
笑顔を貼り付けて「美味しいな、ありがとう」と言った。
嬉しそうなラルトが見れて、俺も嬉しいよ。
もう一度捩じ込もうとするから、きっと食べ終わるまで続くんだろうなと思いながら口にした。
風邪だからではなく熱くて、久々の食事なのに味が全く分からない。
口の中がヒリヒリするから水しか口にする事が出来なくなっていた。
俺の風邪を治そうと必死にラルトが「痛いの痛いのとんでけー」としているのは可愛かったけど。
「にいたま、もうおねむ?」
「そうだな、ちょっと疲れた…かも」
瞳を閉じると、すぐにでも眠る事が出来そうだ。
少ししたら、小さな寝息を立てて眠っていた。
「にいたまはラルトが守ってあげる」という囁きを聞く事はなかった。
ーラルト視点ー
にいたまが眠り、僕が部屋を出るとセトが扉の前で立っていた。
にいたまを心配してではないだろう、もしそうなら僕が許さない。
にいたまを心配するのは僕の、僕だけの役目。
別にセトに理解してもらいたいわけではない、僕を理解するのはにいたまだけでいい。
「本当によろしいのですか、奥様はラルト様にはまだ早いと…」
「くどいな、僕は兄さん仕事を減らしたいだけ、そしたらもっと一緒にいられるから」
だから邪魔をするなと睨むと、セトはそれ以上何も言わなかった。
にいたまの前でだけ、馬鹿で無知な弟を演じる。
そうすれば、本当に馬鹿でお人好しのにいたまは僕を放っておいたりしない。
それもこれもずっとずーっと、にいたまと一緒にいるため。
僕達を引き裂くものは絶対に許さない。
にいたまが作ったぬいぐるみを握りしめてその場を後にした。
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