33 / 62
三三話
しおりを挟む「フフッ、さあ、たっぷりと楽しもうじゃないか、うぶな子猫ちゃん。僕が夢の楽園へ連れていってあげるよ……」
「……ひっく、ぐすっ……」
すすり泣く少女の制服を、今まさに偽仮面が脱がそうとしたとき、俺は【隠蔽】スキルを解除してみせた。
「そこまでだ」
「「「「「だ、誰っ!?」」」」」
「んー……?」
女子たちには警戒されたが、偽仮面は自信を取り戻したらしく、悠然と俺のほうに振り返ってきた。
「なんだ、また偽物が性懲りもなく現れたのかね。死にたくなければとっとと立ち去るがいい」
「そうよ、消えなさいよ、偽物!」
「ここからいなくなれ、ブサイク!」
「さっさと失せろってんだよ、雑魚っ!」
「…………」
これでもかと煽ってくるが、まったく気にならない。ここで問題なのは、俺が暴れることで襲われていた少女も被害を受ける可能性があるってことだ。
「いなくなるのは、こんな非道なことをしてるお前らのほうだよ。俺が本物なんだからな。さあ、そこの人、こっちへ」
「……え、えっと……」
少女は驚いた表情で、しばらく俺と偽仮面のほうを交互に見ていた。
「そんなやつの言うことを信じるな! 僕こそが本物だ!」
「た……助けてください!」
彼女は少し迷った様子だったものの、まもなく俺のほうへ駆け寄ってきた。
「ぐぐっ……。偽物を選ぶとは、覚悟はできているのだろうな? 食らえええぇっ!」
「きゃああぁぁっ――!」
「――大丈夫。こんなのまやかしだ」
悲鳴を上げる少女を抱きしめつつ俺はそう呟く。
「えっ……?」
炎の中、少女は不思議そうに瞳をまたたかせる。
「あ、熱くない……?」
「な、言った通りだろ?」
「は、はい……!」
「こ、こいつら、僕の魔法を受けているのに逃げないなんてどうかしている! 早く逃げろ! ほら、死ぬぞ!? 死んでもいいのかねっ!?」
「残念ながら、もうバレてるんだよ。お前もこの魔法も全部偽物だってな」
「うっ……! バ、バカを言うな! それは、わざと手加減したのだ! ぼ、僕は優しい男だから――」
「――それじゃあ今すぐ本気を出してくれよ。できないんだろ。そうだ、俺がお手本を見せてやろうか?」
「えっ……」
俺はやつらの前で『ヘルファイヤ』の魔法を発動し、10000度の熱を凝縮させた炎の槍を宙に浮かべてやる。
「さあ、俺のほうが偽物だと思うならこれに触れてみろ。できるだろ?」
「ぐっ……こ、こんなの偽物だっ、偽物に決まっているううううぅっ。ぎっ!?」
偽仮面はそれを握ろうとして、またたく間に右手を蒸発させてしまった。バカか、こいつ……。
「うっぎゃあああああぁぁっ! 僕の右手がっ、右手がああああああぁぁっ!」
やつは小便を垂れ流し、泡を吹きながら気絶してしまった。とりあえず『エリクシルヒール』を使って起こしてやる。
「うっ……? な、なんだ、夢か……はっ!?」
全回復したためか、偽仮面は悪夢でも見ていたと思ったようだが、欠けた右手に視線を送るなり見る見る青ざめていった。欠損が治るようにはまだ作ってないし、この状況だとむしろ都合がよかった。
「偽仮面よ、お前は嫌がる少女たちを無理矢理犯してきたそうだな?」
「し……ししっ、してないです! 嫌がる子を犯そうとしたのは、さっきの子が初めてです。信じてください!」
土下座してみせる偽仮面。本当かな? 一応『コンフェッション』という、自白させる魔法を作ってこいつに使用することに。
「ところで、お前はこの子を犯したらどうするつもりだった?」
「あ、はい。それが終わったら、いつものように取り巻きの女たちに命令し、窓から谷底に落として始末するつもりでした。これ以上、僕の悪い噂が広まったら困るので。最初に犯した女も、殺しておけばよかったと心底悔やんでるくらいです……」
「…………」
偽仮面は、自分が何を言っているか信じられないといった顔で全ての悪事を白状した。これでこいつらの運命は決まったな……。
222
あなたにおすすめの小説
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様でも、公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
社畜おっさんは巻き込まれて異世界!? とにかく生きねばなりません!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はユアサ マモル
14連勤を終えて家に帰ろうと思ったら少女とぶつかってしまった
とても人柄のいい奥さんに謝っていると一瞬で周りの景色が変わり
奥さんも少女もいなくなっていた
若者の間で、はやっている話を聞いていた私はすぐに気持ちを切り替えて生きていくことにしました
いや~自炊をしていてよかったです
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【村スキル】で始まる異世界ファンタジー 目指せスローライフ!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は村田 歩(ムラタアユム)
目を覚ますとそこは石畳の町だった
異世界の中世ヨーロッパの街並み
僕はすぐにステータスを確認できるか声を上げた
案の定この世界はステータスのある世界
村スキルというもの以外は平凡なステータス
終わったと思ったら村スキルがスタートする
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる