32 / 62
三二話
「フウゥ……。ま、僕の実力はこんなものだよ」
「仮面の英雄さま、やっぱり本物だったんだぁー」
「すごぉーい」
「大好きっ」
「ハハハッ、まあ、待ちたまえ。焦らずとも抱いてやるから、順番はちゃんと守りたまえよ」
なんとも胸糞が悪いやつだが、今日でもうお別れだと思うとストレスはそこまで感じない。
「ところで、例の子は連れてきているのかね」
偽仮面の一言で、その場の雰囲気がガラッと変わった気がした。例の子――?
「――嫌ぁっ、やめてください!」
「ほら、言うこと聞きなさいよ!」
「そうよ、仮面の英雄さまの誘いを拒む気!?」
「何さまのつもりなの、あなた!」
まもなく一人の小柄な少女が、女子たちに両脇を抱えられながら嫌々といった様子で偽仮面の目前に連れてこられる。
ん、このお下げ髪の少女、職員室にいた生徒だ。あんないい子を犯すつもりなのか。
「フフッ。この子は僕の好みというのもあるが、こんな風に少しは嫌がる子も抱かないと味気ないのでね。僕に抱かれたい子をただ抱くだけっていうのは、さすがに食傷気味だからねえ」
「か、仮面の英雄さまは、そんなことを無理矢理するような人ではないはずです! 指とか噛んじゃいますよ!?」
「そうかそうか。そんなに嫌ならもうしなくてもいい」
「えっ……? わ、わかってくださったのですね……」
なんだ、偽仮面のやつ、まさか改心したのか?
「ただし、もうこんな学校は見捨てることにした。はあ……理不尽だ。僕は一体、今までなんのために身を粉にして学校を救ってきたんだか。アホらしい」
「ほら、仮面の英雄さまがそう言ってるよ?」
「あんたのせいで学校のみんなが死んでもいいの?」
「それって、あなたが殺したようなものよね?」
「「「「「この人殺しっ!」」」」」
「うー……わ、わかりました、やります……」
性悪の女子たちに責められ、嫌がっていた少女が観念した様子。そのあと偽仮面の男が待ってましたとばかり振り返ると、仮面の隙間から白い歯を覗かせた。
「フッ、わかればそれでいいのだ。よくぞ決心してくれたね……」
「…………」
まったく、悪魔もドン引きするくらいのどうしようもないクズだな、こいつらは……。
よーし、そろそろ行動に出るか。やつのスキルが【幻覚】なのはほぼ確実とはいえ、一応念のためにその実力を試すべく、俺は仮面をつけた自分の『アバター』を出現させて『コントロール』で操作することに。
これは自分の分身ではあるが、中身は抜け殻、すなわちオールステータス0の状態なので、相手の能力に応じてダメージを受けるからうってつけだ。
「そこまでだ!」
「「「「「っ!?」」」」」
偽仮面を筆頭に、やつらがはっとした顔で『アバター』に注目してくる。
「ほ、ほんも――い、いや、偽物か! 失せろ!」
こいつ、今本物って言おうとしたな。偽物っていう自覚はあるのか。
「偽物はお前だ。死にたくなければ、その嫌がっている少女を置いて消えろ。これが最後のチャンスだ」
「い、いい加減に黙りたまえよ、偽物めがっ……!」
お、偽仮面が『ヘルファイヤ』を使ってきたと思ったら、分身はまったく炎上しなかった。
やはりそうだったか。これでしょぼいステータス通り、やつの魔法がこけおどしであることがはっきりしたな。
「くっ……!」
俺は相手を油断させるべく、ビビった振りをして『アバター』をその場から退場させることに。
「ハ……ハハハッ! ま、参ったか!? に、偽物めがぁ! はぁ、はぁ……」
「「「「「大丈夫ですか!?」」」」」
偽仮面が胸を押さえながら座り込み、不良の女子たちに心配される。偽物なだけに、本物が現れたと思ってかなり心臓に悪かったらしい。
「……だ、大丈夫、だ……。ぼ、僕の持つ偉大な魔法を、偽物なんかが使えるわけもない。仮面をつけただけで僕に成りすまそうとするとは、愚かにもほどがある……フッ……」
「「「「「ああんっ、仮面の英雄さまー!」」」」」
いつもの調子が戻ってきたな。ここはお仕置きせねば。
「ハハッ、押すな押すなっ、この子を抱き終わるまで待ちたまえ――どわっ!?」
まず挨拶代わりに『バナナ』+『ラージスモール』を使って盛大に滑らせてやったあと、『タライ』でオチをつけてやった。
ん、その弾みでやつの仮面が取れたわけだが、あまりにも間抜けな表情だったので女子たちがドン引きしてる。さて、そろそろ始末してやるとするか……。
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界で俺の初級魔法が最強でした。無自覚に絶望から救った美女やエルフたちに溺愛されています
仙道
ファンタジー
やり込んでいたゲームの世界に転移した主人公、渉。この世界では、渉にとっての「初級魔法」が最高峰の威力だった。しかし、他の冒険者たちが雑魚モンスター1匹に苦労しているのを見て、「みんなわざと弱い魔法を使って戦闘を楽しんでいるんだな」と思い込む。
渉は手加減を続けながら、美女たちを無自覚に救い出していく。渉は毎回「余計な手出しをしてしまった」と後悔するが、ヒロインたちはそんな渉の強さと優しさにますます惹かれ、激しく溺愛してくる。なぜこんなに好かれるのか全く理解できないまま、渉は柔らかくていい匂いのする女の子たちに囲まれ、この異世界で生きていく。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。
裏スキルで最強異世界攻略~異世界召喚されたのだが、勇者じゃないと追い出されたので新しい国を造りました~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
いつものようにヤンキーに絡まれて逃げていたら、いつの間にか異世界召喚されてました。でも、スキルが『農民』しかなかったから、いらないと追放されました。
エブリスタ、カクヨム、ノベリズム、ノベルアップ、小説家になろうにも掲載しています。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み