外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し

文字の大きさ
12 / 93

12話 隠れるもの

しおりを挟む

 凄い。これは便利だ。あまりにも便利すぎる……。

【殺意の波動】の効果は、半径20メートル以内の敵を全て麻痺させるっていうだけあって、この森では必須のスキルなんじゃないかと思えるほど威力を発揮していて、ゴブリンやオークの群れが近くにあっても一切気にすることなく容易に進むことができていた。

「……」

 楽なせいか、アルウのことがふと脳裏に浮かんできた。でも、僕にはどうしてやることもできないしな……。なんとかできるならしてあげたいけど、今はまず自分の用事を済ませなきゃ。

「――あ……」

 遂に見えてきた。正面に立ち並ぶ木々の間から、森の中心にあるっていう湖が。あの近くに、僕が目当てにしてるレインボースパイダーっていうモンスターが出現するはずなんだ。そういうわけで、僕は立ち止まって少し距離のある木陰から湖の周辺を凝視することにした。

 ――あ、今何か動いたような。きっと探しているアレだ。早速【鑑定士】スキルを使用してみる。

 名前:レインボースパイダー
 レベル:23
 種族:蜘蛛
 属性:地
 サイズ:中型

 スキル:
【偽装】

 やっぱり蜘蛛型モンスター、レインボースパイダーだった。周りの景色と体色を同化させるようにしてゆっくりと移動しているのがわかる。じっくり観察してないと見逃すレベルだ。さすが、僕が獲得を目指している【偽装】スキルを持つだけある。

 これを自分のものにするためには、僕に対して姿を隠すべく【偽装】スキルを使用する瞬間を狙うしかないわけなんだけど、そのためには僕の存在を認識させた上である程度近付かなきゃいけない。それが結構難易度が高い。

 さらに蜘蛛は存在を隠すだけでなく、獲物を見ることで体力を少しずつ吸収できる特殊攻撃があることでも知られているんだ。

 特殊攻撃が鑑定結果の中に表示されないのは、スキルには熟練度があるといわれていて、それがまだ僕の中では未熟な部類に入るからだと思う。とにかくこの特殊攻撃があることは、【殺意の波動】で麻痺させても意味がないことを意味している。

 それでも今の僕にはほかに対処する手段があるしいけるはず……。そういうわけで念入りに頭の中でシミュレーションしたあと、レインボースパイダーに向かって《跳躍・小》で進んでいく。

『ギュルル……』

 お、早速特殊攻撃を仕掛けられてるのか僕の体力が減り始めるのがわかったけど、負けじとこっちも視線を削除することで応戦する。いずれ【偽装】スキルの効果が切れて姿を見せるはずで、そのときに僕に対して改めて【偽装】を使ってくるだろうから、そのタイミングで【削除&復元】を使う予定だった。

 よし……視線を切り始めてからほどなくしてやつは姿を現わした。その正体は真っ白な蜘蛛で、足元に魔法陣が浮かび上がってくるのが確認できる。すぐに【偽装】で隠れようって魂胆だろうけどそうはいかないぞ。

 さあ、削除してやる――って、あれ? 魔法陣が出たと思ったときには蜘蛛の姿が消えてしまってた。こっちにはルーズダガーがあるのにそれでもスキル使用が速すぎる……。

「はっ……」

 しかも、気付いたときには僕の体力が物凄い勢いで削られているのがわかった。これは、大量のレインボースパイダーに囲まれてしまってるってことだ。一体何匹いるんだ、これ……。とてもじゃないが全部断ち切れる気がしない。またたく間に意識が朦朧としてきて、疲労をいくら削除しても追いつかないほどだった。

 相手の数が多ければ多いほど【偽装】を削除できそうなものなんだけど、スキルの効果時間が長いのか中々姿を現わしてくれないから、待っている間にやられてしまいそうだ。

 こうも数がいると厳しい。少し倒して減らすか、あるいは一旦退くか……。

 いや、この状況はある意味チャンスなんじゃないか? 姿を現わすようにこっちから仕向けてやればいいんだ。

 そういうわけで、僕は【ストーンアロー】を周囲を覆っているであろう蜘蛛たちにぶつけてやるとともに、浮かんできたやつらの足元に魔法陣が現れた瞬間、【削除&復元】スキルを使用してやった。

 早速【鑑定士】スキルで確認してみる。これだけの数が一斉に隠れようとするなら、一つくらいは削除できてるはず……。

 名前:カイン
 レベル:20
 年齢:16歳
 種族:人間
 性別:男
 冒険者ランク:B級

 装備:
 ルーズダガー
 ヴァリアントメイル
 怪力の腕輪

 スキル:
【削除&復元】
【鑑定士】
【ストーンアロー】
【武闘家】
【殺意の波動】
【偽装】

 テクニック:
《跳躍・小》
《盗み・小》

 ダストボックス:
 疲労35
 恐怖18
 眠気3
 空腹2
 頭痛12
 オーガの死骸
 吸収の眼光31(特殊攻撃)

 よしよし、ちゃんと【偽装】の【削除&復元】ができてる。僕は早速手に入れた新スキルを自身の体に使ってみた。

「……」

 レインボースパイダーたちには僕のことが見えないらしく、疲労を削除してもすぐに疲れるようなことはなくなった。

 ちなみに、蜘蛛の特殊攻撃の吸収の眼光を一つ手元に復元させてみたけど何も表示されなかったから使い捨てっぽい。僕が蜘蛛みたいな体の構造だったら常時使用できたのかもしれないけど。

 さて……あとは駆除するだけだね。【武闘家】スキルを発動させ、今までのお返しとばかりに蜘蛛たちを蹂躙する。

『『『『『ギュルルルアァァッ!?』』』』』

「ふう……」

 あっという間だった。ついでに依頼を達成するべく、倒した蜘蛛の足も削除してダストボックスに収納する。



 ◆◆◆



「……」

『鬼哭の森』の中心近くにて、木々や湖を一望できる高い樹の上から、蜘蛛のモンスターと少年が戦う様子を神妙な表情で見つめる兎耳の男がいた。

(なるほど、ミュリアが潜在能力を高く評価しているだけある。判断能力も素晴らしい。だが……まだまだ全体的に粗削りといったところか。それでも、いずれはレジェンドクラスの者たちに肩を並べる可能性もあることを考えれば、に取られることだけは絶対に避けなければ……)
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~

黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」 女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。 この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。 『勇者道化師ベルキッド、追放される』 『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。

【完結】勇者PTから追放された空手家の俺、可愛い弟子たちと空手無双する。俺が抜けたあとの勇者たちが暴走? じゃあ、最後に俺が息の根をとめる

ともボン
ファンタジー
「ケンシン、てめえは今日限りでクビだ! このパーティーから出て行け!」  ある日、サポーターのケンシンは勇者のキースにそう言われて勇者パーティーをクビになってしまう。  そんなケンシンをクビにした理由は魔力が0の魔抜けだったことと、パーティーに何の恩恵も与えない意味不明なスキル持ちだったこと。  そしてケンシンが戦闘をしない空手家で無能だったからという理由だった。  ケンシンは理不尽だと思いながらも、勇者パーティーになってから人格が変わってしまったメンバーのことを哀れに思い、余計な言い訳をせずに大人しく追放された。  しかし、勇者であるキースたちは知らなかった。  自分たちがSランクの冒険者となり、国王から勇者パーティーとして認定された裏には、人知れずメンバーたちのために尽力していたケンシンの努力があったことに。  それだけではなく、実は縁の下の力持ち的存在だったケンシンを強引に追放したことで、キースたち勇者パーティーはこれまで味わったことのない屈辱と挫折、そして没落どころか究極の破滅にいたる。  一方のケンシンは勇者パーティーから追放されたことで自由の身になり、国の歴史を変えるほどの戦いで真の実力を発揮することにより英雄として成り上がっていく。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

追放王子の気ままなクラフト旅

九頭七尾
ファンタジー
前世の記憶を持って生まれたロデス王国の第五王子、セリウス。赤子時代から魔法にのめり込んだ彼は、前世の知識を活かしながら便利な魔道具を次々と作り出していた。しかしそんな彼の存在を脅威に感じた兄の謀略で、僅か十歳のときに王宮から追放されてしまう。「むしろありがたい。世界中をのんびり旅しよう」お陰で自由の身になったセリウスは、様々な魔道具をクラフトしながら気ままな旅を満喫するのだった。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

追放された最弱ハンター、最強を目指して本気出す〜実は【伝説の魔獣王】と魔法で【融合】してるので無双はじめたら、元仲間が落ちぶれていきました〜

里海慧
ファンタジー
「カイト、お前さぁ、もういらないわ」  魔力がほぼない最低ランクの最弱ハンターと罵られ、パーティーから追放されてしまったカイト。  実は、唯一使えた魔法で伝説の魔獣王リュカオンと融合していた。カイトの実力はSSSランクだったが、魔獣王と融合してると言っても信じてもらえなくて、サポートに徹していたのだ。  追放の際のあまりにもひどい仕打ちに吹っ切れたカイトは、これからは誰にも何も奪われないように、最強のハンターになると決意する。  魔獣を討伐しまくり、様々な人たちから認められていくカイト。  途中で追放されたり、裏切られたり、そんな同じ境遇の者が仲間になって、ハンターライフをより満喫していた。  一方、カイトを追放したミリオンたちは、Sランクパーティーの座からあっという間に転げ落ちていき、最後には盛大に自滅してゆくのだった。 ※ヒロインの登場は遅めです。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

処理中です...