11 / 93
11話 森の少女
名前:カイン
レベル:20
年齢:16歳
種族:人間
性別:男
冒険者ランク:B級
装備:
ルーズダガー
ヴァリアントメイル
怪力の腕輪
スキル:
【削除&復元】
【鑑定士】
【ストーンアロー】
【武闘家】
【殺意の波動】
テクニック:
《跳躍・小》
《盗み・小》
ダストボックス:
疲労15
恐怖18
眠気3
空腹2
頭痛10
オーガの死骸
凄い……レベルが14から一気に20まで上がってる。ダストボックスの中身を見てもわかるように、僕は改めてオーガがどれだけ強敵だったかを思い知らされた。
そもそも、【削除&復元】で自分のものにした【殺意の波動】の効果が、自分の半径20メートル以内にいる者を全員麻痺させるものだって【鑑定士】スキルでわかったからね。恐ろしい効果だ。
そんな格上のモンスターを倒した僕は、そのあと例の少女を連れて『鬼哭の森』の外へ脱出したんだけど、彼女を町まで送るつもりなんて毛頭なかった。これから森の奥へ行かなきゃいけないわけだしね。
「お、怒ってるの……?」
「そりゃそうだよ」
彼女がまた危険な森の中に入るなんて、こっちはまったく想定してなかったからね。なんの反省もしてなかったってことだし、そりゃ頭にくる。
「ごめん……」
「謝って済むことじゃないよね」
「じゃあどうすればいいのよ! バカッ!」
「そっちこそバカだよ。なんで力もないのに森の中に入るんだ!?」
「そ、それは……あたしだってわからなくて……き、気が付いたらあそこにいたのよ!」
「はあ? ちゃんと正直に理由を話してくれよ!」
「そんなの知らないわよ――」
「――このわからずやっ……!」
「はうっ!」
僕は彼女の煮え切らない態度に堪らず頬を張っていた。
「こんなことしたくなかったけど……僕の気持ちもわかってよ。君はもう少しで死ぬところだったんだ。もっと自分の命を大事にするべきだろ……」
「うぅ……ひっく……ごめん……」
「……理由を言いたくないならもういいよ。勝手にすればいい」
泣き崩れる彼女を置いてその場を立ち去ろうとしたとき、僕は言いしれようのない違和感に襲われた。
冷たい……。彼女の頬を張った手がとてもひんやりとしてるんだ。それだけ血の気が引いてたんじゃないかと思うも、何か違う。温もりみたいなものが一切感じられなかった。これはまさか……。
名前:アルウ
レベル:7
年齢:16歳
種族:幽霊
性別:女
冒険者ランク:D級
装備:
ペティナイフ
レザーベスト
スキル:
【商人】
テクニック:
《料理・小》
「……」
彼女の鑑定結果はあまりにも衝撃的なものだった。幽霊って……。
「ぐすっ……本当にわからないの。あたし、気が付いたらここにいて……。それ以前の記憶とかも曖昧で、依頼を受けてここに来たことくらいしかわからなくて……」
「そ、そうなんだね」
「うん……」
僕はどうするべきなんだろうか。このアルウっていう少女はきっと森の中で恐ろしい死に方をして浮かばれずにいるんだ。それに対し、君は幽霊なんだって正直に話したほうがいいんだろうか? でも真実を伝えた場合、彼女は成仏するどころか恐ろしい体験を思い出して理性を失うかもしれない。それはあまりにも可哀想だ。
「ちょっと、聞いてる? まだ怒ってるの?」
「あ、いや、何かの病気かもね」
嘘も方便ってことで僕は上手くはぐらかすことにした。
「病気……?」
「うん、夢遊病とかかもね」
「夢遊病、かぁ。ありそう……」
「だよね。あの枯れた花とかどんぐりとかもそれに効くかもしれないって思ったんじゃない?」
「じゃあ、それを集めに来て、途中で忘れちゃったのかもね! なんとなくイメージできたわ!」
「あはは……それじゃ、僕はそろそろ行くから」
「えっ……もう行っちゃうの? なんでよ!」
「なんでって、用事があるから……」
「本当はあたしのことなんてどうでもいいんでしょ!」
「そ、そんなこと誰も言ってないじゃないか!」
「「……」」
気まずい空気が流れる。アルウが幽霊じゃなければ堪えきれずにもっと言ってたかもしれない。きっとそれだけ彼女は寂しいんだ。
「ごめん。何度も助けてくれたのに怒鳴っちゃって。でも、なんだか怖くて……」
「う、うん。というか、僕たちまだお互いの名前も知らないのに、喧嘩なんかしちゃって変だね」
「あっ……そ、そういえばそうだったわね。あたし、アルウっていうの。あなたは?」
「僕はカイン。よろしくね、アルウ」
「よろしく、カイン……ふわあ……あ、あれ、なんだか眠くなって……きちゃった……」
「……」
アルウがあっという間に膝から崩れ落ちるようにして寝てしまった。彼女に僕が持ってる眠気を全部プレゼントしたんだ。また戻って来るからね。そう心の中で呟いて森の奥へ入っていく。
彼女はもう死んでいるので死ぬ心配がない。とはいえ、後ろ髪を引かれる思いだった。苦しみのループの中にいることがわかったから……。
あなたにおすすめの小説
追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい
桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
【しかも】冒険者クランに入ろうとしたけど、門前払い受けた件【百回】
一樹
ファンタジー
所有スキル一個。
魔力ゼロ。
それを理由に冒険者クランに入れず、様々なクランから門前払いを受けていた少年、ウィン。
腕っ節には自信があったものの、それすら見て貰えなかった。
そんなウィンが、出会ったのはエールという少女だった。
彼女の危機を救ったウィンは、その強さを見込まれ、彼女が所属するクランへ入らないか、と勧誘を受けるのだった。
途中から、主人公が拳を使って成り上がっていきます。
【完結】天候を操れる程度の能力を持った俺は、国を富ませる事が最優先!~何もかもゼロスタートでも挫けずめげず富ませます!!~
寿明結未(ことぶき・あゆみ)
ファンタジー
幼い頃から心臓の悪かった中村キョウスケは、親から「無駄金使い」とののしられながら病院生活を送っていた。
それでも勉強は好きで本を読んだりニュースを見たりするのも好きな勤勉家でもあった。
唯一の弟とはそれなりに仲が良く、色々な遊びを教えてくれた。
だが、二十歳までしか生きられないだろうと言われていたキョウスケだったが、医療の進歩で三十歳まで生きることができ、家での自宅治療に切り替わったその日――階段から降りようとして両親に突き飛ばされ命を落とす。
――死んだ日は、土砂降りの様な雨だった。
しかし、次に目が覚めた時は褐色の肌に銀の髪をした5歳くらいの少年で。
自分が転生したことを悟り、砂漠の国シュノベザール王国の第一王子だと言う事を知る。
飢えに苦しむ国民、天候に恵まれないシュノベザール王国は常に飢えていた。だが幸いな事に第一王子として生まれたシュライは【天候を操る程度の能力】を持っていた。
その力は凄まじく、シュライは自国を豊かにするために、時に鬼となる事も持さない覚悟で成人と認められる15歳になると、頼れる弟と宰相と共に内政を始める事となる――。
※小説家になろう・カクヨムにも掲載中です。
無断朗読・無断使用・無断転載禁止。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい
木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。
下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。
キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。
家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。
隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。
一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。
ハッピーエンドです。
最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。