美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん

文字の大きさ
31 / 82
リカリエット王国編

幕間 ~ララのお土産~

しおりを挟む
 こちらは読み飛ばしていただいても本編に差し支えありません。時系列的にと、ララのコソコソ話がなんなのか、でここに入れておいた方が読みやすいかな、と持って来たお話しです。

*~*~*~*~*

 ララたちが遊びに来たその日の夜。
 「あ、あの、エル様」
 寝室でアリスが、両手の指先をこしこしとこすりながら、何かを言い出せずに戸惑っていた。その姿が愛らしくて、エリアストは優しく抱き締めながら、その頭にくちづける。
 「どうした、エルシィ。珍しく言い辛そうだな」
 アリスはエリアストの胸に頭を寄りかからせ、真っ赤になった顔を、恥ずかしそうに一生懸命隠す。そんな姿も尊くて、エリアストはどうしていいかわからなくなる。
 「え、エル様、あの、ですね、あの、着物、が、ありました、でしょう」
 アリスから、思いがけない言葉が飛び出した。
 「着物?」
 不思議に思って聞き返す。出会った頃のララに教えられた、東の国の服だ。
 「はい。あの、着物、を、ですね」
 ララに、エリアストは着物の着付けが出来るかと耳打ちされ、大丈夫だと答えた。何度か着させてもらったことがある。着物を着させてもらうことも、その後に起こる出来事も、思い出すだけで羞恥に身を焦がすほどだ。
 そんなアリスの反応に、もしかして、と期待するエリアスト。
 「着物を、着たいのか、エルシィ」
 顎を掬われ、熱く見つめられ、アリスは首まで真っ赤になる。それでもアリスは頑張った。ララからのお土産が着物だったのだ。エリアストの母アイリッシュと、ネフェル商会会頭ティティも交え、三人で考えたという新しい着物。
 アリスはララから箱の中身を聞いて、あらかじめ寝室に運ばせておいた。そのお土産の箱をエリアストが開けると、そこには着物とドレスを見事に融合させた、白生地をベースとした淡い色とりどりの花模様に、レースやフリルが贅沢に使用された逸品が納められていた。
 アリスは箱から取り出すと、広げて見せた。
 「まあ、とても素敵ですね、エル様」
 着物を体にあてがいながら、アリスは驚きと喜びの混ざった声を漏らした。
 「着物ドレス、と言うそうです」
 着物ほど複雑な着方を必要とはしないが、それでも一人では着ることが出来ない。エリアストに着替えさせてもらうということ。だから、アリスはララの言葉に頬を染めた。
 「エルシィ、すまない」
 着物をアリスの手から、エリアストはそっと受け取る。
 「他人から贈られた服を、着て欲しくない」
 そう言いつつ、エリアストの顔は耳まで真っ赤だ。想像したのだろう。これを着たアリスを。
 妖精か、天使か、女神か。いや、いつもそうだから、その上の存在か。そうなると何だ。女神以上に神々しい何か。そうか、アリスか。
 思考が溶けかけているエリアスト。悔しいと思いつつ、確かにララに感謝している。
 「私が贈る。それを、着てくれないか、エルシィ」
 アリスは花が綻ぶような笑顔を見せた。
 「それまで、着付けを忘れないようにしないとな、エルシィ」
 そう言ってエリアストは着物を持って来た。
 「おいで、アリス」
 差し出された手に、アリスは真っ赤になりながら、おずおずとその手を重ねた。


*おしまい*

 引き続き本編をお楽しみください。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?

いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。 「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」 「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」 冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。 あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。 ショックで熱をだし寝込むこと1週間。 目覚めると夫がなぜか豹変していて…!? 「君から話し掛けてくれないのか?」 「もう君が隣にいないのは考えられない」 無口不器用夫×優しい鈍感妻 すれ違いから始まる両片思いストーリー

仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!

ぽんちゃん
恋愛
 ――仕事で疲れて会えない。  十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。  記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。  そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~

流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。 しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。 けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

処理中です...