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リカリエット王国編
2
世界の王たる帝国、シュヴァルタイン。強大な軍事力と肥沃な大地、様々な文化が花開き、長い歴史を物語るように、威風堂々、帝王である姿を見せつける。
中小国は、王族でさえ滅多に帝国の王族と交流を持てない。侯爵または公爵家との交渉となる。大国ともなれば、帝国の王族も重い腰を上げるが。
そんな帝国だが、中小国に分類されるレイガード王国だけは、必ず王族が対応をしていた。王族の中でも、皇帝や皇太子など、トップが対応することが殆どだった。さらに、王族ではなく筆頭とは言え中小国の公爵家に、王族況して国のトップが対応することは、異例中の異例。それほど、帝国はレイガードに敬意を払っている。
帝国はきちんと自分たちの影響力を理解している。故に、大抵のことには寛容な帝国である。だが、もちろん害意には容赦しない。
*~*~*~*~*
レイガード王国国王ディアンの即位十五周年式典に、リカリエット王国からは、王太子夫妻と、後学のためにと第四王子シャルアとその婚約者、コーミ侯爵家のミカレイラが来訪していた。シュヴァルタイン帝国の東にある国だ。レイガード王国は帝国と隣接はしていないが、その西南西辺りに位置するため、リカリエットとの交流はほぼない。だが、大きな式典などで顔を合わせる程度の面識はあった。
昼間の式典が終わり、会場は夜会に移る。
ファナトラタ伯爵家やクロバレイス王国の元王女ララ、同年代たちに囲まれて談笑していたアリス。その輪の中に、可愛らしいお客様がやって来た。
「おねえしゃま。こちりゃ、どうじょ」
小さな女の子がニコニコとしながら、アリスの前に小さな箱を差し出した。リカリエットの王族は、赤みの強い茶色の瞳が特徴的だ。アリスがお礼を言うと、箱はエリアストが受け取った。すると慌てたようにこちらへ向かってくる二人組が目に入った。
「申し訳ありません、ディレイガルド夫人。姪がご迷惑をおかけしませんでしたか」
リカリエット王国第四王子シャルアと、婚約者のミカレイラだ。予想通り、この子どもはリカリエットの血縁者だった。王子の姪ということであれば、王太子夫妻の子どもだろう。
「殿下、コーミ侯爵令嬢様、何もありませんわ。王女様からこちらをいただきましたの。いただいてしまってよろしいのでしょうか」
二人はニッコリと笑った。
「まあ、ディレイガルド夫人様。リーナ王女様からですの?羨ましいですわ。リーナ王女様は、我が国リカリエットでは、お気に召した者たちに贈り物をしておりましたの。ディレイガルド夫人様のお人柄に惹かれたに違いありませんわね」
「こんなところに来てしまうとは、余程ディレイガルド夫人をお気に召した様子。ご迷惑でなければ、是非受け取っていただけると、姪も喜びます」
夜会に子どもが出席することはない。アリスにどうしても贈り物をしたかったために、リーナが紛れ込んでしまったのだろうと言いたいようだ。
エリアストの手に乗せられたその箱を、二人は見る。アリスに渡せという意志が感じられる。
だが。
慌ててやって来た二人の反応。アリスではなくエリアストが箱を受け取ったとき。エリアストは見逃さなかった。シャルアとミカレイラの反応を。
*つづく*
中小国は、王族でさえ滅多に帝国の王族と交流を持てない。侯爵または公爵家との交渉となる。大国ともなれば、帝国の王族も重い腰を上げるが。
そんな帝国だが、中小国に分類されるレイガード王国だけは、必ず王族が対応をしていた。王族の中でも、皇帝や皇太子など、トップが対応することが殆どだった。さらに、王族ではなく筆頭とは言え中小国の公爵家に、王族況して国のトップが対応することは、異例中の異例。それほど、帝国はレイガードに敬意を払っている。
帝国はきちんと自分たちの影響力を理解している。故に、大抵のことには寛容な帝国である。だが、もちろん害意には容赦しない。
*~*~*~*~*
レイガード王国国王ディアンの即位十五周年式典に、リカリエット王国からは、王太子夫妻と、後学のためにと第四王子シャルアとその婚約者、コーミ侯爵家のミカレイラが来訪していた。シュヴァルタイン帝国の東にある国だ。レイガード王国は帝国と隣接はしていないが、その西南西辺りに位置するため、リカリエットとの交流はほぼない。だが、大きな式典などで顔を合わせる程度の面識はあった。
昼間の式典が終わり、会場は夜会に移る。
ファナトラタ伯爵家やクロバレイス王国の元王女ララ、同年代たちに囲まれて談笑していたアリス。その輪の中に、可愛らしいお客様がやって来た。
「おねえしゃま。こちりゃ、どうじょ」
小さな女の子がニコニコとしながら、アリスの前に小さな箱を差し出した。リカリエットの王族は、赤みの強い茶色の瞳が特徴的だ。アリスがお礼を言うと、箱はエリアストが受け取った。すると慌てたようにこちらへ向かってくる二人組が目に入った。
「申し訳ありません、ディレイガルド夫人。姪がご迷惑をおかけしませんでしたか」
リカリエット王国第四王子シャルアと、婚約者のミカレイラだ。予想通り、この子どもはリカリエットの血縁者だった。王子の姪ということであれば、王太子夫妻の子どもだろう。
「殿下、コーミ侯爵令嬢様、何もありませんわ。王女様からこちらをいただきましたの。いただいてしまってよろしいのでしょうか」
二人はニッコリと笑った。
「まあ、ディレイガルド夫人様。リーナ王女様からですの?羨ましいですわ。リーナ王女様は、我が国リカリエットでは、お気に召した者たちに贈り物をしておりましたの。ディレイガルド夫人様のお人柄に惹かれたに違いありませんわね」
「こんなところに来てしまうとは、余程ディレイガルド夫人をお気に召した様子。ご迷惑でなければ、是非受け取っていただけると、姪も喜びます」
夜会に子どもが出席することはない。アリスにどうしても贈り物をしたかったために、リーナが紛れ込んでしまったのだろうと言いたいようだ。
エリアストの手に乗せられたその箱を、二人は見る。アリスに渡せという意志が感じられる。
だが。
慌ててやって来た二人の反応。アリスではなくエリアストが箱を受け取ったとき。エリアストは見逃さなかった。シャルアとミカレイラの反応を。
*つづく*
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