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リカリエット王国編
1
しおりを挟む 新章開始です。人を人とも思わない頭のおかしい人たちが出て来ます。苦手な方はお戻りください。
あ、エル様もそうでしたね。ですが、エル様とは方向性が違うやべーヤツです。
*~*~*~*~*
レイガード王国は、王の即位を五年ごとに大規模に祝う。今年はディアンの即位十五周年の式典のため、各国から続々と要人たちが集まり始めた。
「アリス嬢、久しぶりだね。元気だった?」
クロバレイス国元第二王女、前騎士団長夫人であり外交官でもあるララが、アリスに走り寄る。
ディレイガルド邸に、式典の三日前に訪ねるとララたちから先触れが来ていた。
「ララ様、お久しぶりでございます」
微笑むアリスにララは抱きついた。
「ララ様、以前から申しておりますが、ディレイガルド夫人はご令嬢ではございません。夫人とお呼びください」
「もー、固いよレンフィ。見てよ、アリス嬢を。出会った頃とまったく変わらないじゃないか。いや、寧ろ輝きを増しているね。ホント女神」
ぎゅうぎゅうと抱き締めるララに、クロバレイス国の守護神であり、ララの伴侶でもあるアイザックがおろおろとしている。ララに押しのけられた隣のエリアストが怖くて、見ることが出来ない。
「変わらんな、クロバレイスの」
冷気を放つエリアスト。レンフィとアイザックが震える。
「久しぶりー、ディレイガルド」
しれっと挨拶をするララに、お変わりがないようで、とアリスは苦笑する。
サロンに場所を移すと、ノアリアストとダリアが挨拶に訪れた。何度も顔を合わせる内に、ノアリアストはアイザックに手合わせをしてもらうことが当然のようになり、今日も二人は庭に出た。ダリアはアリスとララのお喋りに交じり、ララがエリアストをいじる度、密かに崇拝していた。あのお父様をいじるなんて、とその手腕を勉強している。まあ、活かせる日は来ないので、ただその出来事をノアリアストに語って聞かせる。そのため、ノアリアストも密かにララを崇拝していた。
「そうそう、ディレイガルド。お土産があったんだ」
少し固い話をしていた。それが一段落すると、思い出したようにララがそう切り出した。その言葉にレンフィが一旦退室し、少しして大きな箱を持ってきた。
「これね。んー、そうだなあ。アリス嬢」
コソッとララはアリスに耳打ちをする。その行動に、エリアストの眉がピクリと反応するが、ララはお構いなしだ。
「エル様ですか?はい、大丈夫、です」
アリスがそう返すと、ララはエリアストを見てニヤリと笑う。それにエリアストは眉を寄せる。一体何だというのか。
「ふふふ。気になる?気になる?ディレイガルド。でもまだダメだよー」
そう言うララに、エリアストは極寒の眼差しだ。レンフィがガタガタと震えている。
「あの、ですが、ララ様。そうなると、その」
恥ずかしそうに頬を染めるアリスに、エリアストはますますララへの苛立ちが募る。
「わあお。ディレイガルドが大変なことになってる。いやいや、落ち着こう。絶対感謝するから。ディレイガルド、絶対私に感謝するから!」
ここまで怒らせても尚、主張するララに、ダリアは内心拍手喝采だった。
*幕間を挟んでつづく*
あ、エル様もそうでしたね。ですが、エル様とは方向性が違うやべーヤツです。
*~*~*~*~*
レイガード王国は、王の即位を五年ごとに大規模に祝う。今年はディアンの即位十五周年の式典のため、各国から続々と要人たちが集まり始めた。
「アリス嬢、久しぶりだね。元気だった?」
クロバレイス国元第二王女、前騎士団長夫人であり外交官でもあるララが、アリスに走り寄る。
ディレイガルド邸に、式典の三日前に訪ねるとララたちから先触れが来ていた。
「ララ様、お久しぶりでございます」
微笑むアリスにララは抱きついた。
「ララ様、以前から申しておりますが、ディレイガルド夫人はご令嬢ではございません。夫人とお呼びください」
「もー、固いよレンフィ。見てよ、アリス嬢を。出会った頃とまったく変わらないじゃないか。いや、寧ろ輝きを増しているね。ホント女神」
ぎゅうぎゅうと抱き締めるララに、クロバレイス国の守護神であり、ララの伴侶でもあるアイザックがおろおろとしている。ララに押しのけられた隣のエリアストが怖くて、見ることが出来ない。
「変わらんな、クロバレイスの」
冷気を放つエリアスト。レンフィとアイザックが震える。
「久しぶりー、ディレイガルド」
しれっと挨拶をするララに、お変わりがないようで、とアリスは苦笑する。
サロンに場所を移すと、ノアリアストとダリアが挨拶に訪れた。何度も顔を合わせる内に、ノアリアストはアイザックに手合わせをしてもらうことが当然のようになり、今日も二人は庭に出た。ダリアはアリスとララのお喋りに交じり、ララがエリアストをいじる度、密かに崇拝していた。あのお父様をいじるなんて、とその手腕を勉強している。まあ、活かせる日は来ないので、ただその出来事をノアリアストに語って聞かせる。そのため、ノアリアストも密かにララを崇拝していた。
「そうそう、ディレイガルド。お土産があったんだ」
少し固い話をしていた。それが一段落すると、思い出したようにララがそう切り出した。その言葉にレンフィが一旦退室し、少しして大きな箱を持ってきた。
「これね。んー、そうだなあ。アリス嬢」
コソッとララはアリスに耳打ちをする。その行動に、エリアストの眉がピクリと反応するが、ララはお構いなしだ。
「エル様ですか?はい、大丈夫、です」
アリスがそう返すと、ララはエリアストを見てニヤリと笑う。それにエリアストは眉を寄せる。一体何だというのか。
「ふふふ。気になる?気になる?ディレイガルド。でもまだダメだよー」
そう言うララに、エリアストは極寒の眼差しだ。レンフィがガタガタと震えている。
「あの、ですが、ララ様。そうなると、その」
恥ずかしそうに頬を染めるアリスに、エリアストはますますララへの苛立ちが募る。
「わあお。ディレイガルドが大変なことになってる。いやいや、落ち着こう。絶対感謝するから。ディレイガルド、絶対私に感謝するから!」
ここまで怒らせても尚、主張するララに、ダリアは内心拍手喝采だった。
*幕間を挟んでつづく*
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