美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん

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ディレイガルド事変編

幕間 ~想い~

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 若干性的表現があります。ご注意ください。

*~*~*~*~*

 エルシィはきっとあの娘を助けたかっただろう。
 あの家族はいずれにせよ、娘は。
 けれど、ゆるすことが出来なかった。
 私の立場上、赦してはいけないからではない。立場そんなものなどどうでもいい。
 エルシィの願いは何でも叶える。そう思っていた。
 エルシィに何かをしたのであれば、絶対に殺しはしない。無限の生き地獄を味わわせる。
 だが、今回は、違う。
 あの娘は、私を恐れさせた。
 私に、エルシィを手にかけさせようとした。
 あの娘に、そんな意図がなかったことは明白だ。だが、そうなる可能性があったのは間違いない。
 それ故、赦せなかった。
 世界を滅ぼしてでも阻止をするが、僅かにでも自身の手がエルシィを手にかける想像をさせられたことが、耐え難いほどの苦痛であった。
 気が狂うかと思った。
 隣で眠るエルシィの髪を、そっと撫でると、エルシィが身動みじろいだ。
 「ん、えぅしゃま」
 殆ど意識がないまま、私に擦り寄り名を呼んでくれる。愛しくて愛しくて、どうしていいかわからない。
 今日はあんなことがあったからゆっくり休みたいだろうと、ただ抱き締めて眠ろうと思っていたのだが。
 目覚めていないとわかっているのに、エルシィを感じたくて、我慢が出来なくなった。
 「エルシィ」
 するりと胸元のリボンをほどく。隙間から覗く白い肌に、くちづける。裾から手を忍ばせ、腿を撫で上げ腹を辿り、慎ましい胸へ到達させると、アリスの体がピクリと反応をした。
 「あ、え、える、さま」
 「起こしてしまったか。すまない、エルシィ」
 そう言いながらも、自身を制御することが出来ない。その肌に舌を這わせ、手はアリスの愛らしい箇所を堪能する。私の動きに反応するアリスが、堪らない。
 「アリス」
 耳元で低く名を呼ぶと、全身を赤く染めて、恥ずかしそうにギュッと目を瞑るアリス。そのまま耳をねぶり、淫靡な水音と吐息を注ぎ込むと、全身を震わせながら、赦しを請うように、小さく、エル様、と名を呼んでくれる。何度も呼ばせて、アリスが限界を迎える頃、ようやく耳から離れると、荒い呼吸を繰り返しながら、涙に濡れた美しすぎる黎明れいめいの瞳が、私を捕らえる。
 恥ずかしそうに声を我慢するアリスも、背中に手を回して懸命に私にすがり付くアリスも、私を受け入れて微笑むアリスも、何もかもが愛おしすぎて。
 「ゆっくり休ませてやれなくて、すまない、アリス」
 アリスに受け入れてもらいながら、顔中にくちづける。
 「は、あ、いいえ、エル様。わたくし、エル様の、望むこと、してくださることが、とても、うれしい、です」
 ああ、アリス。本当は、もう脅威は去ったと、安心したくて、アリスを思いきり感じたかった。だが、アリスの心を考えると、今日は、我慢だと思ったのも本当だ。自分を優先させてしまった未熟な私を、アリスは大きな愛で包み込んでくれた。
 こんな私ですまない。その未熟さを、“愛しているから”などと言う言葉で誤魔化す気もない。アリスの愛に甘えきった愚か者だと自覚している。
 それでも、一緒にいたい。アリスに相応しい人間に近付けるようもっと努力をする。
 だから。
 ずっと一緒にいてくれ、アリス。


*おしまい*

 お読みいただき、ありがとうございました。
 この後、新章リカリエット王国編へと移ります。よろしかったら引き続きお付き合いくださると嬉しいです。
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