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7 伯爵家の娘の告白2 コノアside
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最初に助けてもらった次の日、お礼をしたくて、リスラン様たちに話しかけてしまったの。驚いた顔をされてから、宰相のご令息で公爵家のアサト様に、注意をされたわ。
上位の者に、下位の者から話しかけてはいけない、貴族の常識だ、って。
そんな当然のことすら出来なかったあたしは、恥ずかしくて恥ずかしくて。泣きそうになったら、また注意されたわ。
貴族が簡単に涙を見せてはいけない、って。
注意されたばかりで、情けなくて、恥ずかしくて、結局あたしは泣いちゃったんだけど。
それがきっかけ。それから、あたしを良く思わない人たちから嫌がらせを受けるようになって。このままじゃいけないって、貴族らしくないって言われた言動に気を付けるようにしないとって。
でも、放課後の教室で、リスラン様たちの婚約者たちが集まって、話をしているのが聞こえた。
「――もう少し――」
「――孤独と――」
「まあ、ふふふ。苦手で――」
「針を――刺さります」
「上手に――」
「でももうこれ以上――」
「諦め――レベルです――」
「酷い――その通りです」
「ふふ。――期待しておりますわ」
「ユセフィラ様の――」
小さな声だったから、所々しか聞こえなかったけど。それから嫌がらせが増えていったの。困っている私を見て、陰で嗤っている人たち。助けてくれる人ももちろんいて。その中に、リスラン様たちもいたわ。
「あなたはいつも何かしら困っている。何故ですか?」
そうシュリ様に聞かれたけれど、言えるはずないでしょう?あなたたちの婚約者が陰で主導しているかも、何て。あたしは曖昧な言葉を聞いただけ。状況から推察するだけで、証拠なんて何もない。
でもあたし、一度だけ、ユセフィラ様に言ったことがあるの。
あたしのことだけなら、我慢できた。
でも、リスラン様に、あんな顔をさせたことが、我慢ならなかったの。
リスラン様と、ユセフィラ様が、空き教室で話をしているのが見えた。そのまま通り過ぎようとしたら、あたしの名前が聞こえたの。いけないと思いつつ、そのまま隠れて様子を見ていた。しばらく二人が話していると、リスラン様の顔がつらそうに、とてもつらそうに歪んだの。
あたしの胸は、苦しくなった。
リスラン様の顔は見えたけれど、ユセフィラ様はあたしに背を向ける形だったから、どんな顔をしていたかわからない。
それから、リスラン様は、笑わなくなった。
元々表情をそんなに出す人ではないけれど、あたしといる時は、よく笑っていたわ。すぐにそっぽを向いてしまうけれど。
その笑顔を奪うなんて、赦せなかった。
「ユセフィラ様、どうしてリスラン様を悲しませるのですか?」
そう言うと、ユセフィラ様は凄く驚いた顔をして。周りの人たちが何か言おうとしたけど、それを手で遮って、ユセフィラ様は言ったの。
「殿下がオプト伯爵嬢様に何かを仰ったのですか?」
「リスラン様は何も言わない。でも、笑わなくなりました。あんなに笑いかけてくれていたのに」
あたしの言葉に、周囲が騒がしくなった。ユセフィラ様は、何か考えるような仕草を見せてから、わかりました、とだけ言って去って行ったの。
これで、いつものリスラン様に戻ると思ったわ。
でも、前のようには戻らなかった。
あたしへの嫌がらせが酷くなっただけ。だけど、リスラン様はいつもあたしを気にかけてくれた。何があったのか、何故そんなことになったのか。あたしの話を聞いてくれる。
こんなに素敵な人の婚約者が、こんなことするなんてって、あたしは悲しくなった。
でも、やっぱり証拠はないの。
彼女は、そう言って眉を下げて力なく笑った。
私は考える。
物を隠されたり壊されたり陰口を言われることは日常的。突き飛ばされたり足をかけて転ばされたり、酷いときは、上からバケツの水をかけられたこともあると言う。課題の邪魔をされて提出期限に間に合わないことや、嘘の情報を伝えられて授業に出られなかったこともあり、学業にまで影響を及ぼすことまでされると言う。
私は彼女の涙を拭ったハンカチをポケットから取り出し、ジッと見つめた。
*つづく*
上位の者に、下位の者から話しかけてはいけない、貴族の常識だ、って。
そんな当然のことすら出来なかったあたしは、恥ずかしくて恥ずかしくて。泣きそうになったら、また注意されたわ。
貴族が簡単に涙を見せてはいけない、って。
注意されたばかりで、情けなくて、恥ずかしくて、結局あたしは泣いちゃったんだけど。
それがきっかけ。それから、あたしを良く思わない人たちから嫌がらせを受けるようになって。このままじゃいけないって、貴族らしくないって言われた言動に気を付けるようにしないとって。
でも、放課後の教室で、リスラン様たちの婚約者たちが集まって、話をしているのが聞こえた。
「――もう少し――」
「――孤独と――」
「まあ、ふふふ。苦手で――」
「針を――刺さります」
「上手に――」
「でももうこれ以上――」
「諦め――レベルです――」
「酷い――その通りです」
「ふふ。――期待しておりますわ」
「ユセフィラ様の――」
小さな声だったから、所々しか聞こえなかったけど。それから嫌がらせが増えていったの。困っている私を見て、陰で嗤っている人たち。助けてくれる人ももちろんいて。その中に、リスラン様たちもいたわ。
「あなたはいつも何かしら困っている。何故ですか?」
そうシュリ様に聞かれたけれど、言えるはずないでしょう?あなたたちの婚約者が陰で主導しているかも、何て。あたしは曖昧な言葉を聞いただけ。状況から推察するだけで、証拠なんて何もない。
でもあたし、一度だけ、ユセフィラ様に言ったことがあるの。
あたしのことだけなら、我慢できた。
でも、リスラン様に、あんな顔をさせたことが、我慢ならなかったの。
リスラン様と、ユセフィラ様が、空き教室で話をしているのが見えた。そのまま通り過ぎようとしたら、あたしの名前が聞こえたの。いけないと思いつつ、そのまま隠れて様子を見ていた。しばらく二人が話していると、リスラン様の顔がつらそうに、とてもつらそうに歪んだの。
あたしの胸は、苦しくなった。
リスラン様の顔は見えたけれど、ユセフィラ様はあたしに背を向ける形だったから、どんな顔をしていたかわからない。
それから、リスラン様は、笑わなくなった。
元々表情をそんなに出す人ではないけれど、あたしといる時は、よく笑っていたわ。すぐにそっぽを向いてしまうけれど。
その笑顔を奪うなんて、赦せなかった。
「ユセフィラ様、どうしてリスラン様を悲しませるのですか?」
そう言うと、ユセフィラ様は凄く驚いた顔をして。周りの人たちが何か言おうとしたけど、それを手で遮って、ユセフィラ様は言ったの。
「殿下がオプト伯爵嬢様に何かを仰ったのですか?」
「リスラン様は何も言わない。でも、笑わなくなりました。あんなに笑いかけてくれていたのに」
あたしの言葉に、周囲が騒がしくなった。ユセフィラ様は、何か考えるような仕草を見せてから、わかりました、とだけ言って去って行ったの。
これで、いつものリスラン様に戻ると思ったわ。
でも、前のようには戻らなかった。
あたしへの嫌がらせが酷くなっただけ。だけど、リスラン様はいつもあたしを気にかけてくれた。何があったのか、何故そんなことになったのか。あたしの話を聞いてくれる。
こんなに素敵な人の婚約者が、こんなことするなんてって、あたしは悲しくなった。
でも、やっぱり証拠はないの。
彼女は、そう言って眉を下げて力なく笑った。
私は考える。
物を隠されたり壊されたり陰口を言われることは日常的。突き飛ばされたり足をかけて転ばされたり、酷いときは、上からバケツの水をかけられたこともあると言う。課題の邪魔をされて提出期限に間に合わないことや、嘘の情報を伝えられて授業に出られなかったこともあり、学業にまで影響を及ぼすことまでされると言う。
私は彼女の涙を拭ったハンカチをポケットから取り出し、ジッと見つめた。
*つづく*
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