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8 決意する出来事
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コノアが編入してきて四日後の放課後、事件が起こった。
階段の踊り場に、人が倒れている。
諸々の事情により、帰宅が遅れていた者たちが集まり始める。
階段上では、スウィーディーが口を手で押さえながら、青ざめた顔で震えている。踊り場に倒れる人は、二人。
ユセフィラと、コノア。
コノアがユセフィラを抱え、自身の体を下にして倒れている。コノアの上に乗る形になったユセフィラが動いた。
「ッノ…ァッ」
ユセフィラは、身を挺して守ってくれた人物に驚き、その名を呼ぼうとして咄嗟に手で口を押さえる。コノアはほのかに笑った。
「お怪我は、ありませんか、ワーテラー公爵令嬢様」
コノアが薄く目を開け、ユセフィラの安否を確認してくれる。
口を押さえながら、コクコクと頷くユセフィラに、コノアは安堵の息を吐く。
「ゆっくりで大丈夫です。起き上がれますか?」
コノアに言われ、ユセフィラは自分がコノアを下敷きにしたままであることに気付く。慌てて離れようとして、一瞬顔を顰める。が、ユセフィラは床に座ってコノアを解放した。
「申し訳ございません、クルード子爵令息様、わたくしを庇ったばかりに。すぐに救護室へ参りましょう」
コノアがゆっくり起き上がると、ユセフィラは立ち上がろうとした。それを制したのは、コノアだ。
「いけません、ワーテラー公爵令嬢様。足を痛めましたね。無礼をお許し下さい」
そう言うと、コノアはユセフィラを抱き上げた。そんな場合ではないというのに、周りから黄色い悲鳴が上がる。
「く、クルード子爵令息様」
ユセフィラが困惑したようにコノアを呼び、下ろしてもらおうと身動ぐが、コノアはますますユセフィラをしっかりと抱える。
「罰は後ほど如何様にも」
「いえ、あなたこそ体が」
自分を庇って階段から落ちたのだ。それなのに、人一人抱えて動くなど、危ないではないか。そんなユセフィラの心配を余所に、コノアはゆっくりと歩き出す。
「ご心配には及びません。ああ、そうですね。私もついでに診てもらうので、怪我人同士参りましょうか」
そう言って階段を見上げると、へたり込んだスウィーディーが涙を浮かべていた。
「こ、コノア、私も」
震えながらも、スウィーディーは立ち上がろうとしながら声をかける。しかしコノアは首を振った。
「キミは教員に伝えてくれ。ああ、そこのキミは、殿下を呼んで来てもらえますか」
スウィーディーと、その近くにいた男子生徒に指示を出すと、ユセフィラを連れて救護室へ向かった。
………
……
…
「説明をしてもらおう」
コノアとユセフィラが階段から落ちた。
救護室で応急処置をしたユセフィラを、リスランは公爵家へ送ると、再び学園へ戻ってきた。その場にいた者たちには待機命令を出し、リスランが戻って事情を聞くことになっていた。
殆どの者は野次馬で、事が起こってから駆けつけた者たちばかりだったので、状況を聞くだけで帰した。今残っているのは、コノアとスウィーディーだ。
生徒会室を借り、リスランの座るソファーの向かいに二人は座っている。リスランの後ろには、三人の側近候補が控えた。
「わ、わたし、が、ユセフィラ様に、ぶつかってしまって」
震える声で、スウィーディーはそう言った。
「偶然近くを通った私が、咄嗟にワーテラー公爵令嬢様の手を掴んで引き寄せ、少しでも落下の衝撃に備えようとしました。ですが、落下の直前に踏みとどまろうとなさったのか、変に足をついてしまったようで、お怪我を。お守りすることが出来ず、大変申し訳ございません」
深く頭を下げるコノアに、スウィーディーは悲鳴のような声を上げる。
「そんなっ。コノアは悪くないわ!リスラン様、悪いのはぶつかった私です。どんな罰でもお受けいたします」
泣きながらそう訴えるスウィーディーに、リスランはゆっくりと息を吐いた。
「本当に、オプト嬢がぶつかったのか」
*つづく*
階段の踊り場に、人が倒れている。
諸々の事情により、帰宅が遅れていた者たちが集まり始める。
階段上では、スウィーディーが口を手で押さえながら、青ざめた顔で震えている。踊り場に倒れる人は、二人。
ユセフィラと、コノア。
コノアがユセフィラを抱え、自身の体を下にして倒れている。コノアの上に乗る形になったユセフィラが動いた。
「ッノ…ァッ」
ユセフィラは、身を挺して守ってくれた人物に驚き、その名を呼ぼうとして咄嗟に手で口を押さえる。コノアはほのかに笑った。
「お怪我は、ありませんか、ワーテラー公爵令嬢様」
コノアが薄く目を開け、ユセフィラの安否を確認してくれる。
口を押さえながら、コクコクと頷くユセフィラに、コノアは安堵の息を吐く。
「ゆっくりで大丈夫です。起き上がれますか?」
コノアに言われ、ユセフィラは自分がコノアを下敷きにしたままであることに気付く。慌てて離れようとして、一瞬顔を顰める。が、ユセフィラは床に座ってコノアを解放した。
「申し訳ございません、クルード子爵令息様、わたくしを庇ったばかりに。すぐに救護室へ参りましょう」
コノアがゆっくり起き上がると、ユセフィラは立ち上がろうとした。それを制したのは、コノアだ。
「いけません、ワーテラー公爵令嬢様。足を痛めましたね。無礼をお許し下さい」
そう言うと、コノアはユセフィラを抱き上げた。そんな場合ではないというのに、周りから黄色い悲鳴が上がる。
「く、クルード子爵令息様」
ユセフィラが困惑したようにコノアを呼び、下ろしてもらおうと身動ぐが、コノアはますますユセフィラをしっかりと抱える。
「罰は後ほど如何様にも」
「いえ、あなたこそ体が」
自分を庇って階段から落ちたのだ。それなのに、人一人抱えて動くなど、危ないではないか。そんなユセフィラの心配を余所に、コノアはゆっくりと歩き出す。
「ご心配には及びません。ああ、そうですね。私もついでに診てもらうので、怪我人同士参りましょうか」
そう言って階段を見上げると、へたり込んだスウィーディーが涙を浮かべていた。
「こ、コノア、私も」
震えながらも、スウィーディーは立ち上がろうとしながら声をかける。しかしコノアは首を振った。
「キミは教員に伝えてくれ。ああ、そこのキミは、殿下を呼んで来てもらえますか」
スウィーディーと、その近くにいた男子生徒に指示を出すと、ユセフィラを連れて救護室へ向かった。
………
……
…
「説明をしてもらおう」
コノアとユセフィラが階段から落ちた。
救護室で応急処置をしたユセフィラを、リスランは公爵家へ送ると、再び学園へ戻ってきた。その場にいた者たちには待機命令を出し、リスランが戻って事情を聞くことになっていた。
殆どの者は野次馬で、事が起こってから駆けつけた者たちばかりだったので、状況を聞くだけで帰した。今残っているのは、コノアとスウィーディーだ。
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深く頭を下げるコノアに、スウィーディーは悲鳴のような声を上げる。
「そんなっ。コノアは悪くないわ!リスラン様、悪いのはぶつかった私です。どんな罰でもお受けいたします」
泣きながらそう訴えるスウィーディーに、リスランはゆっくりと息を吐いた。
「本当に、オプト嬢がぶつかったのか」
*つづく*
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