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第37話 最後の手伝い
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「ただいま~」
犬耳がぴょこっと動いたリアちゃんが真っすぐ俺に走って来てダイブしてくる。
いつもならクレアが怒りそうなのに、リアちゃんに対しては全く怒らない。
というか、クレアもルークもリアちゃんに対してはめちゃくちゃ懐いていて、すぐにリアちゃんの頭の上に乗る。
ふたりとも重さは感じないので頭に乗ってもリアちゃんでも重いとは感じないはずだ。
ただ一人だけ羨ましそうな視線で眺める人がいるけどね。
リアちゃんはまだ声を上手く出せないけど、笑顔は本当に素敵で可愛らしいからすぐに撫でてあげたくなる。
「おかえりなさいませ。アルマ様」
ソフィアちゃんが出迎えてくれる。リアちゃんとは違う可愛さがある。茶色の短髪の髪とそのままに猫耳が頭に生えていて、すぐに撫でてあげたくなる。
「ソフィアちゃん。支配人はいるかい?」
「はい。こちらにどうぞ!」
ソフィアちゃんの案内を受けて、店の奥に進めていき、とある部屋に案内された。
「アルマ様。いらっしゃいませ」
「お疲れ様です。支配人。店の準備は順調ですか?」
「もちろんでございます。材料のルートも確保していて、冒険者達との連携も上手くいきそうです」
「それはよかった。その冒険者の件なんですが、レストランのための借金は全て返済してきました」
「なんと! あれだけの額をですか?」
「ええ。残った額はレストランに入るはずです。開店資金と従業員の給金に当ててくださいね」
「かしこまりました。何から何まで本当にありがとうございます」
深々と頭を下げる支配人。
彼も奴隷組の一人で、とある有名レストランの有名支配人だったのだが、陰謀に巻き込まれて借金まみれと病気で奴隷堕ちになった人だ。
すっかり元気になり、支配人としてレストラン『スザク』を切り盛りしてくれる手筈になっている。つまるところ、店長というべきだな。
役職の名前を支配人にしたのは、彼の過去を知っていたから、有名レストランにいつか実力で勝った時、見せつけられたらいいなと思ってる。
従業員も守れないようなレストランだからね……いつか痛い目にあったらいいなと思ってたりするが、それはこれからレストラン『スザク』がオープンすれば時間の問題だろうと思う。
奴隷堕ちを経験している以上、支配人はきっと信じるに値するし、俺が持つ道しるべでも青い光だったから信頼していいと思う。
「そこで一つ相談があるんですが」
「はい。なんでしょうか?」
「もう少しで俺は王都を出ようと考えています」
「ええ。以前から仰っていましたね」
「はい。急ぐわけではないですが、正直に残り続ける理由もないので、冒険者としてもう少しだけ活動して冒険に出ようと考えています。ですから、これからのレストラン『スザク』は支配人次第です。俺ができるのは皆さんがこれから頑張っていける場所を提供し、味方を見つけるまで。ここからは皆さん次第です」
「かしこまりました。必ずや素晴らしいレストランにして見せましょう」
「無理して体を壊したら問題ですし、以前伝えた労働環境には気を付けてくださいね?」
俺も前世ではブラックな環境に苦しんでいた。いや、世界がそうだった。弱肉強食を体現しているかのような世界だったからこそ、この世界では理想郷であるユートピアを目指して欲しいと願っている。
まあ、丸投げと言われればそれだけだけど…………こういうのも投資と考えれば、それに助かる人々もいるだろうし、悪い事ではないと思う。
異世界での権利というのは、前世と全く同じ――――いや、それ以上の権利を持つ。
一番代表的なのは奴隷の権利とか土地の権利だ。
特に土地の権利は前世同様最も大きな権利となっていて、王都の平民エリアとはいえ、一等地ともなれば土地代はとんでもない額になる。
今回報酬で貰えたお金の殆どが消えるくらいだ。そもそも土地が買えてしまう程の報酬を貰えるのも驚きではあるけどね。
レストラン『スザク』の立地の良い土地は既に俺のモノとなっていて、レストラン『スザク』に全面的に貸す事が決まっている。
最初の予定では、こちらの土地代金と建物代金と準備代金、諸々の従業員達の給金などを全て冒険者ギルドから借りて、全ての負債を俺じゃなくて従業員全員に掛ける事で仮初の自由の契約を交わしている。
ある意味奴隷と変わらないと思われるが、利息は全くないし、店のために冒険者ギルドも手伝ってくれるし、元奴隷達にとってはある意味ユートピアに近い職場になるはずだった。
それを報酬金で全て賄うことで事実上完全に自由な身になってもらったのだ。
「支配人。もう一つお願いがあるんですけど」
「どうぞ」
「こちらの――――シャリーはCランクの有望な冒険者です。王都で活動しているのでこれからも沢山指定依頼を送ってくれると嬉しいです」
「!?」
「かしこまりました。シャリー様の実力は既に私でも知っております。レストランの軌道が乗り出せる依頼がある時は最優先にさせて頂きます」
「ありがとうございます」
これで王都で起きた多くの出来事に決着がついて、俺も安心して王都を出て冒険を楽しめるという訳だ。
「………………」
犬耳がぴょこっと動いたリアちゃんが真っすぐ俺に走って来てダイブしてくる。
いつもならクレアが怒りそうなのに、リアちゃんに対しては全く怒らない。
というか、クレアもルークもリアちゃんに対してはめちゃくちゃ懐いていて、すぐにリアちゃんの頭の上に乗る。
ふたりとも重さは感じないので頭に乗ってもリアちゃんでも重いとは感じないはずだ。
ただ一人だけ羨ましそうな視線で眺める人がいるけどね。
リアちゃんはまだ声を上手く出せないけど、笑顔は本当に素敵で可愛らしいからすぐに撫でてあげたくなる。
「おかえりなさいませ。アルマ様」
ソフィアちゃんが出迎えてくれる。リアちゃんとは違う可愛さがある。茶色の短髪の髪とそのままに猫耳が頭に生えていて、すぐに撫でてあげたくなる。
「ソフィアちゃん。支配人はいるかい?」
「はい。こちらにどうぞ!」
ソフィアちゃんの案内を受けて、店の奥に進めていき、とある部屋に案内された。
「アルマ様。いらっしゃいませ」
「お疲れ様です。支配人。店の準備は順調ですか?」
「もちろんでございます。材料のルートも確保していて、冒険者達との連携も上手くいきそうです」
「それはよかった。その冒険者の件なんですが、レストランのための借金は全て返済してきました」
「なんと! あれだけの額をですか?」
「ええ。残った額はレストランに入るはずです。開店資金と従業員の給金に当ててくださいね」
「かしこまりました。何から何まで本当にありがとうございます」
深々と頭を下げる支配人。
彼も奴隷組の一人で、とある有名レストランの有名支配人だったのだが、陰謀に巻き込まれて借金まみれと病気で奴隷堕ちになった人だ。
すっかり元気になり、支配人としてレストラン『スザク』を切り盛りしてくれる手筈になっている。つまるところ、店長というべきだな。
役職の名前を支配人にしたのは、彼の過去を知っていたから、有名レストランにいつか実力で勝った時、見せつけられたらいいなと思ってる。
従業員も守れないようなレストランだからね……いつか痛い目にあったらいいなと思ってたりするが、それはこれからレストラン『スザク』がオープンすれば時間の問題だろうと思う。
奴隷堕ちを経験している以上、支配人はきっと信じるに値するし、俺が持つ道しるべでも青い光だったから信頼していいと思う。
「そこで一つ相談があるんですが」
「はい。なんでしょうか?」
「もう少しで俺は王都を出ようと考えています」
「ええ。以前から仰っていましたね」
「はい。急ぐわけではないですが、正直に残り続ける理由もないので、冒険者としてもう少しだけ活動して冒険に出ようと考えています。ですから、これからのレストラン『スザク』は支配人次第です。俺ができるのは皆さんがこれから頑張っていける場所を提供し、味方を見つけるまで。ここからは皆さん次第です」
「かしこまりました。必ずや素晴らしいレストランにして見せましょう」
「無理して体を壊したら問題ですし、以前伝えた労働環境には気を付けてくださいね?」
俺も前世ではブラックな環境に苦しんでいた。いや、世界がそうだった。弱肉強食を体現しているかのような世界だったからこそ、この世界では理想郷であるユートピアを目指して欲しいと願っている。
まあ、丸投げと言われればそれだけだけど…………こういうのも投資と考えれば、それに助かる人々もいるだろうし、悪い事ではないと思う。
異世界での権利というのは、前世と全く同じ――――いや、それ以上の権利を持つ。
一番代表的なのは奴隷の権利とか土地の権利だ。
特に土地の権利は前世同様最も大きな権利となっていて、王都の平民エリアとはいえ、一等地ともなれば土地代はとんでもない額になる。
今回報酬で貰えたお金の殆どが消えるくらいだ。そもそも土地が買えてしまう程の報酬を貰えるのも驚きではあるけどね。
レストラン『スザク』の立地の良い土地は既に俺のモノとなっていて、レストラン『スザク』に全面的に貸す事が決まっている。
最初の予定では、こちらの土地代金と建物代金と準備代金、諸々の従業員達の給金などを全て冒険者ギルドから借りて、全ての負債を俺じゃなくて従業員全員に掛ける事で仮初の自由の契約を交わしている。
ある意味奴隷と変わらないと思われるが、利息は全くないし、店のために冒険者ギルドも手伝ってくれるし、元奴隷達にとってはある意味ユートピアに近い職場になるはずだった。
それを報酬金で全て賄うことで事実上完全に自由な身になってもらったのだ。
「支配人。もう一つお願いがあるんですけど」
「どうぞ」
「こちらの――――シャリーはCランクの有望な冒険者です。王都で活動しているのでこれからも沢山指定依頼を送ってくれると嬉しいです」
「!?」
「かしこまりました。シャリー様の実力は既に私でも知っております。レストランの軌道が乗り出せる依頼がある時は最優先にさせて頂きます」
「ありがとうございます」
これで王都で起きた多くの出来事に決着がついて、俺も安心して王都を出て冒険を楽しめるという訳だ。
「………………」
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