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2章 村での生活
4話 ドリアドネ達の命の源
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ブレンに散々啄まれてぼろぼろになった俺は、再び地面に倒れ込んでいた。
本当に手加減無しだったのか、痛みが全然引かないぞ……
特に痛む鼻を押さえていると、ドリアドネさんが覗き込んできた。
《まぁ……お鼻が真っ赤に腫れてます──私のせいで、ごめんなさいね》
「いやいや、ドリアドネさんは悪くないよ。俺の態度がよくなかっただけ……みたいだから」
普通に話をしてるが、実は正直痩せ我慢してる。
痛いのを表に出したら、また悲しい思いをさせてしまいそうだからな。
だが……すっっごい痛い。涙出そう……
《…………》
俺が痛みをこらえながら身体を起こすと、ブレンは無言で肩に止まった。
そっぽを向いてるから、まだ怒ってはいるんだろう。
「ブレン、ごめんな。ただ、俺が女性に免疫ないのは知ってるだろ? だからと言うか……そろそろ勘弁してくれたら、ありがたいんだが」
《…………》
ブレンの方を向いて語りかけるが、未だ反応はない。
まあ、すぐに頭を切り替えるのは難しいかな。
時間ももうあまりないし、ドリアドネに色々交渉しないと。
そう思って俺が立ち上がると、ブレンはやっと反応をしてくれた。
《……リョウさん、ごめんなさい……》
「ブレンが謝ることは──」
《いえ、さっきのは八つ当たりだと自分でも分かってますから……本当にごめんなさい……》
「それでも、ブレンは謝る必要ないよ。これでも、いつもサポートしてくれて感謝してるんだよ?」
《リョウさん……》
「さ、そろそろこの話しは終わり! 時間もあまりないし、色々ドリアドネさんにお願いしたいこともあるからさ!」
気が付けば空はほんのりと赤く染まってきている。
帰りの時間も考えると、あと三十分位したら村に向かわないとな。
ブレンは自らの翼で自分の頭を叩くと、頭をふるふると振った。
……うん、かわいい……
《よし! リョウさん、すみませんでした! やることは複数ありますし、順次済ませまし…………その手はなんですか?》
ブレンに言われて自分の手を見ると、無意識でブレンを撫でようとしていたようだ。
「ごっ、ごめん! 仕草を見ていたらかわいくてつい……」
《……いいですよ。撫でてください。……むしろ、撫でて欲しい……です》
「そ、それじゃ失礼して……」
俺は人差し指でゆっくりと頭を撫でる。
相変わらずふわふわでさらさらだなぁ……
俺が一心不乱に撫でていると、どこからか咳払いが──
《あの、仲がいいのは大変よろしいと思いますが……私になにかご用があったのでは……?》
俺が思わず顔を上げると、ドリアドネさんが困った顔でこちらを見ていた……
やべ、あまりに手触りが気持ち良くて、ドリアドネさんのことを一瞬忘れてたな……
俺は慌てて頭を下げた。
「すみません! 撫で始めたら、止まらなくなってました……」
《ふふっ……正直なんですね。……羨ましい限りですわ》
そう言って、ドリアドネさんはにっこり笑った。
とても美しい笑顔ではあるが……どこか寂しそうにも見えた。
「えっと、まずはドリアドネさんが守ってきた植物がどれか教えてもらえませんか? うっかり踏んでしまったりしたら大変ですから」
俺とブレンはドリアドネさんに謝って、再び質問させてもらった。
話を中断してしまったのは俺だけど、聞いておかないと後々揉め事になってしまうかもしれないし。
《少し踏まれたくらいなら大丈夫ではありますが、わかりました。ご案内致しますわ》
ドリアドネさんは花畑の真ん中に向かって歩きだした。
俺達もその後を着いていくと、ドリアドネさんが花畑の中央付近で立ち止まり、一つの植物を指し示した。
《この出たばかりの芽が、私達の大切な樹なのですわ》
その植物はまだ芽が出たばかりのようだが、茎が太くて葉は豆が発芽した状態によく似ている。
と言うかこれ、もしかして──
「これって、パキラ──もしくはカイエンナッツですか?」
《あら、よくご存知ですのね。ぱきらというのは聞いたことがありませんが……》
やはりそうだったか。
現実では観葉植物のパキラ、別名でカイエンナッツとも言う。
幹を編んだ状態で売られているものが多いが、そういうものは実生ではなく挿し木で育てたものがほとんどだ。
挿し木で育てた苗は、花も咲かず当然実もならないらしい。
「仕事上、よく見かける樹ですから。しかし、なぜパキラ──カイエンナッツを守ってきたんですか?」
パキラことカイエンナッツは、現実で発財樹と呼ばれることがあり、風水でも縁起がいいものとして扱われているが……
そういう感じじゃなさそうなんだよな。
《……私達ドリアドネにとって、カイエンナッツの実を食することが、生きていくために必要なんですわ》
「なるほど……人にとって、カイエンナッツの実に毒素があるから食材に使うことは少ないですが、ドリアドネさん達には必要な成分なんですね」
確かカイエンナッツの実にある毒素は……
ジャガイモやトマトが緑色の時に多く含まれる、ソラニンと同じような毒素だったはず。
《カイエンナッツの実を食べた時、じわじわと染みてくるのは毒素だったのですね。私達にとっては命の源ですけれど……》
ドリアドネさん達は体に植物の要素があるから、害がないのかもな。
……しかし、なにか引っ掛かるな……
カイエンナッツの実が命の源……
でも、ずっと発芽すらしなかったわけで──
……だとすると、ドリアドネさんは命の源を長いこと摂取してないんじゃ……?
本当に手加減無しだったのか、痛みが全然引かないぞ……
特に痛む鼻を押さえていると、ドリアドネさんが覗き込んできた。
《まぁ……お鼻が真っ赤に腫れてます──私のせいで、ごめんなさいね》
「いやいや、ドリアドネさんは悪くないよ。俺の態度がよくなかっただけ……みたいだから」
普通に話をしてるが、実は正直痩せ我慢してる。
痛いのを表に出したら、また悲しい思いをさせてしまいそうだからな。
だが……すっっごい痛い。涙出そう……
《…………》
俺が痛みをこらえながら身体を起こすと、ブレンは無言で肩に止まった。
そっぽを向いてるから、まだ怒ってはいるんだろう。
「ブレン、ごめんな。ただ、俺が女性に免疫ないのは知ってるだろ? だからと言うか……そろそろ勘弁してくれたら、ありがたいんだが」
《…………》
ブレンの方を向いて語りかけるが、未だ反応はない。
まあ、すぐに頭を切り替えるのは難しいかな。
時間ももうあまりないし、ドリアドネに色々交渉しないと。
そう思って俺が立ち上がると、ブレンはやっと反応をしてくれた。
《……リョウさん、ごめんなさい……》
「ブレンが謝ることは──」
《いえ、さっきのは八つ当たりだと自分でも分かってますから……本当にごめんなさい……》
「それでも、ブレンは謝る必要ないよ。これでも、いつもサポートしてくれて感謝してるんだよ?」
《リョウさん……》
「さ、そろそろこの話しは終わり! 時間もあまりないし、色々ドリアドネさんにお願いしたいこともあるからさ!」
気が付けば空はほんのりと赤く染まってきている。
帰りの時間も考えると、あと三十分位したら村に向かわないとな。
ブレンは自らの翼で自分の頭を叩くと、頭をふるふると振った。
……うん、かわいい……
《よし! リョウさん、すみませんでした! やることは複数ありますし、順次済ませまし…………その手はなんですか?》
ブレンに言われて自分の手を見ると、無意識でブレンを撫でようとしていたようだ。
「ごっ、ごめん! 仕草を見ていたらかわいくてつい……」
《……いいですよ。撫でてください。……むしろ、撫でて欲しい……です》
「そ、それじゃ失礼して……」
俺は人差し指でゆっくりと頭を撫でる。
相変わらずふわふわでさらさらだなぁ……
俺が一心不乱に撫でていると、どこからか咳払いが──
《あの、仲がいいのは大変よろしいと思いますが……私になにかご用があったのでは……?》
俺が思わず顔を上げると、ドリアドネさんが困った顔でこちらを見ていた……
やべ、あまりに手触りが気持ち良くて、ドリアドネさんのことを一瞬忘れてたな……
俺は慌てて頭を下げた。
「すみません! 撫で始めたら、止まらなくなってました……」
《ふふっ……正直なんですね。……羨ましい限りですわ》
そう言って、ドリアドネさんはにっこり笑った。
とても美しい笑顔ではあるが……どこか寂しそうにも見えた。
「えっと、まずはドリアドネさんが守ってきた植物がどれか教えてもらえませんか? うっかり踏んでしまったりしたら大変ですから」
俺とブレンはドリアドネさんに謝って、再び質問させてもらった。
話を中断してしまったのは俺だけど、聞いておかないと後々揉め事になってしまうかもしれないし。
《少し踏まれたくらいなら大丈夫ではありますが、わかりました。ご案内致しますわ》
ドリアドネさんは花畑の真ん中に向かって歩きだした。
俺達もその後を着いていくと、ドリアドネさんが花畑の中央付近で立ち止まり、一つの植物を指し示した。
《この出たばかりの芽が、私達の大切な樹なのですわ》
その植物はまだ芽が出たばかりのようだが、茎が太くて葉は豆が発芽した状態によく似ている。
と言うかこれ、もしかして──
「これって、パキラ──もしくはカイエンナッツですか?」
《あら、よくご存知ですのね。ぱきらというのは聞いたことがありませんが……》
やはりそうだったか。
現実では観葉植物のパキラ、別名でカイエンナッツとも言う。
幹を編んだ状態で売られているものが多いが、そういうものは実生ではなく挿し木で育てたものがほとんどだ。
挿し木で育てた苗は、花も咲かず当然実もならないらしい。
「仕事上、よく見かける樹ですから。しかし、なぜパキラ──カイエンナッツを守ってきたんですか?」
パキラことカイエンナッツは、現実で発財樹と呼ばれることがあり、風水でも縁起がいいものとして扱われているが……
そういう感じじゃなさそうなんだよな。
《……私達ドリアドネにとって、カイエンナッツの実を食することが、生きていくために必要なんですわ》
「なるほど……人にとって、カイエンナッツの実に毒素があるから食材に使うことは少ないですが、ドリアドネさん達には必要な成分なんですね」
確かカイエンナッツの実にある毒素は……
ジャガイモやトマトが緑色の時に多く含まれる、ソラニンと同じような毒素だったはず。
《カイエンナッツの実を食べた時、じわじわと染みてくるのは毒素だったのですね。私達にとっては命の源ですけれど……》
ドリアドネさん達は体に植物の要素があるから、害がないのかもな。
……しかし、なにか引っ掛かるな……
カイエンナッツの実が命の源……
でも、ずっと発芽すらしなかったわけで──
……だとすると、ドリアドネさんは命の源を長いこと摂取してないんじゃ……?
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