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2章 村での生活
3話 草木の精霊
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《リョウさん、大丈夫ですか?》
「大丈夫、だけど……油断したらあの根みたいなのがくるかも──」
《私達を攻撃する気はないそうですから、力を抜いてください》
…………え? 攻撃する気はない?
「ブレン、もしかして──その生き物と会話できてるの……?」
《会話ではなく念話ですけど、通じてますよ!》
「…………」
じゃあさっきまで俺が気を張っていたのは、無意味だった……?
と言うか……
「念話通じてるなら教えておいてよ!」
《あ、ごめんなさい……》
地面から根を出して熊を串刺しにしたのは、草木の精霊ドリアドネだった。
ドリアドネさんは、見た目だけなら普通の女性とあまり変わらないけれど……
地面に触れてさえいれば、体のどこからでも根を出すことができるらしい。
鮮やかな緑色の髪は、光合成出来るらしく栄養には困らないとのことだ。
「じゃあ、精霊さん──ドリアドネさんはこの花畑を守ってるんだ?」
俺が聞くと、ドリアドネさんは聞き取れない言語でなにかをボソボソと呟いた。
ブレンが、それを通訳すると──
《えっと……ここには、私の一族が昔から守ってきた植物があり、他の土地では芽吹かせることもできなかった》
芽吹かせることもできないとは……よほど発芽条件が厳しいのか、土質が合わなかったのかな?
《でも、この周辺の土で発芽させることが出来た。しかも、聖なる魔力を含んでいるためか成長が非常に早くて驚いた……とのことです》
「聖なる魔力? この周辺の土に?」
思わず足元の土を左手に取り、右手で取った土に触ると、視界に表示されたのは──
『光魔力を含んだ赤土』
〖赤土に光の結晶の魔力が浸透してできた土。肥料成分はないが、植物を活性化させて生育を補助する効果がある〗
おお……! これはすごい!
この土があれば、サラさんのところの種も発芽しやすくなるかも知れないな。
「なあブレン、ドリアドネさんにこの土を分けて貰えないか聞いてくれないか?」
《わかりました。伝えてみます》
ブレンがドリアドネさんの肩に止まって、交渉してくれてるようだ。
しかし、光の結晶の魔力が浸透とか書いてあったけど……
その結晶は、どこにあるんだろう?
そんなことを考えていたら、いつの間にかブレンは俺の肩に止まっていた。
《リョウさん、どうやら花畑から北の方も同じように魔力を含んでいるそうなので、そちらから持ち帰りましょう!》
「了解、北だね! ……で、北はどっちかな……?」
《リョウさん……》
いやいや、そんな哀れなものを見るような目で見るなよ……
今の場所だって、村からどの方角なのかすら分からないんだから。
《その様子だと、本当に分からないようですね……メニューを開いて、マップを見て下さい》
「……あ、そっか……近隣のマップは見れるんだったっけ」
完全に忘れてた……これじゃ、呆れられるのも仕方ないな……
「そう言えば、ドリアドネさん達が守ってきた植物ってどれなんだろ? うっかり踏んだりしたくないから、教えて貰わないとな」
《確かに、まだ教えてもらってませんでしたね。リョウさんが土に夢中になって、話を中断させたりするから……》
「う……申し訳ない……」
だってなぁ……園芸を趣味にするものとして、興味が湧くのは仕方ないと思うんだ。
話の途中で言い出した俺が悪いのも間違いないけど……
再びドリアドネさんの元に飛んでいったブレンが通訳してくれているが……
なんか様子が変だな。
ドリアドネさんが困った顔してるし……もしかして、聞いちゃ不味かったのかな……?
少しして、ドリアドネさんがこっちに歩いてくる。
何故かブレンは、ドリアドネさんの進行方向でホバリングしてる……
なんか慌ててるように見えるが、もしかして交渉が決裂したとか!?
俺が身構えていると、ブレンを振り切ったドリアドネさんが俺の目前まで来た。
悪い相手じゃないし、戦いたくないんだが……
するとドリアドネさんはにっこり笑って、なにかを呟いたあと──
突然俺の頬に口付けをした。
はっきり言って、ドリアドネさんは20代の美人女優と同じくらいの相当な美人さんだ。
そんな美人さんに口付けされた俺は、顔が真っ赤になり──次第に真っ青になって……気を失った……
《……ウさん……起きて……さい、リョウさん!!》
ブレンの呼び声で俺が目を開けると、目の前に俺を覗き込んでいるドリアドネさんとブレンがいた。
「うわっ!?」
あまりの顔の近さに驚いて、思わず大声を出してしまった。
ドリアドネさんもかなり驚いてしまっているな──
次の瞬間、突然ブレンからではない念話が聞こえてきた。
《あの……ごめんなさいね? 怖がらせるつもりはなかったのだけれど……》
「え……今の声って、ドリアドネ……さん?」
俺は起き上がって聞いてみた。
ブレンとは違って、優しく包み込むような声だったが……
《はい、私からの念話ですわ》
「えっと、とりあえず怖かったわけではないから安心してください」
そう答えると、ドリアドネさんは優しい笑みを浮かべた。
うわぁ……これは、俺には耐えきれないかも……
心臓がドキドキしすぎて強制ログアウトしてしまいそうだ……
「まあ! それは良かったわ。口付けしてパスを繋げた時に、気絶されてしまったから……私、てっきり恐怖からかと思ってましたわ……」
ドリアドネさんは、その時の事を思い出したのか、悲しげな顔になってしまった。
……すごい美人って、悲しげな顔まで魅力的なんだな。
……と、その時ブレンが俺の肩に止まって……!?
ちょっ、爪が食い込んで痛いんだが!?
《ちょっと、リョウさん……? 鼻の下が、地面に付きそうなくらい延びてますよ……? 啄んで、短くして差し上げましょうか……!?》
底冷えするようなブレンの声に、恐る恐るブレンの方を向くと……
謎のオーラを纏ったブレンが、嘴を開けていて──
「ひっ!? 待った、ブレン! 決してそんな──」
《言い訳無用です!!》
ガガガガガガッ!!!!
「ぎゃあああぁぁぁっっ!!」
連続でブレンに鼻を啄まれた俺は、強烈な痛みに悶絶して叫び声を上げた……
「大丈夫、だけど……油断したらあの根みたいなのがくるかも──」
《私達を攻撃する気はないそうですから、力を抜いてください》
…………え? 攻撃する気はない?
「ブレン、もしかして──その生き物と会話できてるの……?」
《会話ではなく念話ですけど、通じてますよ!》
「…………」
じゃあさっきまで俺が気を張っていたのは、無意味だった……?
と言うか……
「念話通じてるなら教えておいてよ!」
《あ、ごめんなさい……》
地面から根を出して熊を串刺しにしたのは、草木の精霊ドリアドネだった。
ドリアドネさんは、見た目だけなら普通の女性とあまり変わらないけれど……
地面に触れてさえいれば、体のどこからでも根を出すことができるらしい。
鮮やかな緑色の髪は、光合成出来るらしく栄養には困らないとのことだ。
「じゃあ、精霊さん──ドリアドネさんはこの花畑を守ってるんだ?」
俺が聞くと、ドリアドネさんは聞き取れない言語でなにかをボソボソと呟いた。
ブレンが、それを通訳すると──
《えっと……ここには、私の一族が昔から守ってきた植物があり、他の土地では芽吹かせることもできなかった》
芽吹かせることもできないとは……よほど発芽条件が厳しいのか、土質が合わなかったのかな?
《でも、この周辺の土で発芽させることが出来た。しかも、聖なる魔力を含んでいるためか成長が非常に早くて驚いた……とのことです》
「聖なる魔力? この周辺の土に?」
思わず足元の土を左手に取り、右手で取った土に触ると、視界に表示されたのは──
『光魔力を含んだ赤土』
〖赤土に光の結晶の魔力が浸透してできた土。肥料成分はないが、植物を活性化させて生育を補助する効果がある〗
おお……! これはすごい!
この土があれば、サラさんのところの種も発芽しやすくなるかも知れないな。
「なあブレン、ドリアドネさんにこの土を分けて貰えないか聞いてくれないか?」
《わかりました。伝えてみます》
ブレンがドリアドネさんの肩に止まって、交渉してくれてるようだ。
しかし、光の結晶の魔力が浸透とか書いてあったけど……
その結晶は、どこにあるんだろう?
そんなことを考えていたら、いつの間にかブレンは俺の肩に止まっていた。
《リョウさん、どうやら花畑から北の方も同じように魔力を含んでいるそうなので、そちらから持ち帰りましょう!》
「了解、北だね! ……で、北はどっちかな……?」
《リョウさん……》
いやいや、そんな哀れなものを見るような目で見るなよ……
今の場所だって、村からどの方角なのかすら分からないんだから。
《その様子だと、本当に分からないようですね……メニューを開いて、マップを見て下さい》
「……あ、そっか……近隣のマップは見れるんだったっけ」
完全に忘れてた……これじゃ、呆れられるのも仕方ないな……
「そう言えば、ドリアドネさん達が守ってきた植物ってどれなんだろ? うっかり踏んだりしたくないから、教えて貰わないとな」
《確かに、まだ教えてもらってませんでしたね。リョウさんが土に夢中になって、話を中断させたりするから……》
「う……申し訳ない……」
だってなぁ……園芸を趣味にするものとして、興味が湧くのは仕方ないと思うんだ。
話の途中で言い出した俺が悪いのも間違いないけど……
再びドリアドネさんの元に飛んでいったブレンが通訳してくれているが……
なんか様子が変だな。
ドリアドネさんが困った顔してるし……もしかして、聞いちゃ不味かったのかな……?
少しして、ドリアドネさんがこっちに歩いてくる。
何故かブレンは、ドリアドネさんの進行方向でホバリングしてる……
なんか慌ててるように見えるが、もしかして交渉が決裂したとか!?
俺が身構えていると、ブレンを振り切ったドリアドネさんが俺の目前まで来た。
悪い相手じゃないし、戦いたくないんだが……
するとドリアドネさんはにっこり笑って、なにかを呟いたあと──
突然俺の頬に口付けをした。
はっきり言って、ドリアドネさんは20代の美人女優と同じくらいの相当な美人さんだ。
そんな美人さんに口付けされた俺は、顔が真っ赤になり──次第に真っ青になって……気を失った……
《……ウさん……起きて……さい、リョウさん!!》
ブレンの呼び声で俺が目を開けると、目の前に俺を覗き込んでいるドリアドネさんとブレンがいた。
「うわっ!?」
あまりの顔の近さに驚いて、思わず大声を出してしまった。
ドリアドネさんもかなり驚いてしまっているな──
次の瞬間、突然ブレンからではない念話が聞こえてきた。
《あの……ごめんなさいね? 怖がらせるつもりはなかったのだけれど……》
「え……今の声って、ドリアドネ……さん?」
俺は起き上がって聞いてみた。
ブレンとは違って、優しく包み込むような声だったが……
《はい、私からの念話ですわ》
「えっと、とりあえず怖かったわけではないから安心してください」
そう答えると、ドリアドネさんは優しい笑みを浮かべた。
うわぁ……これは、俺には耐えきれないかも……
心臓がドキドキしすぎて強制ログアウトしてしまいそうだ……
「まあ! それは良かったわ。口付けしてパスを繋げた時に、気絶されてしまったから……私、てっきり恐怖からかと思ってましたわ……」
ドリアドネさんは、その時の事を思い出したのか、悲しげな顔になってしまった。
……すごい美人って、悲しげな顔まで魅力的なんだな。
……と、その時ブレンが俺の肩に止まって……!?
ちょっ、爪が食い込んで痛いんだが!?
《ちょっと、リョウさん……? 鼻の下が、地面に付きそうなくらい延びてますよ……? 啄んで、短くして差し上げましょうか……!?》
底冷えするようなブレンの声に、恐る恐るブレンの方を向くと……
謎のオーラを纏ったブレンが、嘴を開けていて──
「ひっ!? 待った、ブレン! 決してそんな──」
《言い訳無用です!!》
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