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2章 村での生活
14話 混乱するリョウ
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目が覚めた俺は、思いっきり混乱していた。
何故なら──
「ここは……森? あれ……俺、樹の上に居たはず……!?」
そう……ついさっきまでカイエンナッツ樹の上から降りれなくて困っていたはずだが、気付いたらカイエンナッツの樹を背にして地面に座っていたからだ。
一瞬樹の上にいたのが夢かと思ったが、ゲームの中で夢を見るというのは聞いたことがない。
状況が把握できず、きょろきょろと辺りを見回していると、少し離れた所にいるドリアドネさんとブレンが視界に入った
ブレンはドリアドネさんの肩に乗ってお互い向き合っているので、恐らく念話でもしているのだろう。
と、俺が起きたことにドリアドネさんが気付き、ブレンも気付いたのかこちらに飛んできた。
《リョウさん、気がついたんですね!》
「ん? 気がついた? 俺は気を失ってたのか?」
《そうですよ! と言っても、ほんの数分ですけど》
数分だけ気を失ってた? なぜだ?
それに、俺が気を失ってたのにブレンがあまり心配して無さそうなのが珍しい。
いつもは口うるさいくらいなのに……?
色々と違和感があって俺が考え込んでいると、ドリアドネさんがこちらに歩いて来て──
その姿を見て、唐突に頭に痛みが走る。
「……うぐっ!?」
《リョウさん!? 大丈夫ですか!?》
ブレンの心配する声が聞こえたが、俺はそれどころではなかった。
頭痛と共に色々と思い出したからだ。
あまりに大きくなってしまったカイエンナッツの樹から降りる方法がなくて困っていたところに、ブレンとドリアドネさんが来てくれて。
ドリアドネさんが抱えて下ろしてくれると言ってくれたが、それは恥ずかしいと断って。
ふと気付いたらドリアドネさんの根が俺のほうに伸びてきて、この根はなんなのか聞いて。
そうだ……確かあの根が触れた瞬間からの記憶がない……!?
近付いてきたドリアドネさんからほとんど無意識に後ずさると、ドリアドネさんはとても悲しそうな顔をした。
「ドリアドネさん……さっき樹の上で俺に何をしました?」
《わ、私は……》
《待ってリョウさん! ドリアドネさんにお願いしたのは私なんです!》
「……え……?」
いったいどういうことだ……?
《ドリアドネさんから抱えて降りる提案をした時、リョウさんが嫌がってましたよね?》
「あ~……うん、確かに」
《あの時、既にリョウさんの疲労が限界だと分かっていたので、ドリアドネさんと相談したんです──》
────
「それはちょっと……ほら、いい年の大人が抱えられるなんて恥ずかしいと言うか……」
その言葉を聞いて、私は正直呆れました。
ずっと樹にしがみついていて体力の限界が近いのに、恥ずかしいとか言ってる場合ですか!? ……という感じです。
だから、すぐにドリアドネさんに念話で無理やりでも抱えて下ろしちゃってください! ってお願いしたんです。
でも、ドリアドネさんは無理やり抱えて嫌われるのが怖いと言うので、なにかいい方法がないか相談しました。
それで思い付いたのは、リョウさんが気付かないように抱えて下ろすことでした。
ドリアドネさんの根には対象の相手の意識を混濁させる力もあると聞いたので、こっそりとそれを使ってもらおうとしたんです。
ですが直前でリョウさんが根に気付いてしまって……
慌てたドリアドネさんが少し力加減を間違えて、完全に意識を奪ってしまったんですよね。
すぐにドリアドネさんが根でリョウさんを捕まえてくれたけど、危うく落ちてしまうところでした。
そのまま下までリョウさんを下ろして、樹に寄りかかるようにさせたのが数分前だったのです──
────
ブレンの説明を聞いた俺は、思わず頭を抱えた。
まさかブレンがやらせたことだったとは……道理で俺が気を失っていても心配してないわけだ。
……と言うか、俺ゲームの中で意識失いすぎだろ……
これって、現実に悪影響出たりしないだろうな……?
《あの……本当に、ごめんなさい……ですの……》
「ん?」
ふと気付くと、少し離れたところからドリアドネさんが謝ってきた。
その表情は、今にも消えてしまいたいと思っているように見えるほど暗かった。
「いや、ドリアドネさんが悪い訳じゃないよ。ブレンが頼んだことだし、俺が変に恥ずかしがっていたのがいけないんだからさ」
《ですが、リョウさんの意識を無理矢理に──》
俺は思い詰めた顔をしているドリアドネさんに早足で近付くと、ドリアドネさんの両肩に手を置いた。
「ドリアドネさん」
《はっ、はい!?》
両肩に手を置かれた事で驚いたドリアドネさんから、一歩離れて俺は口を開いた。
「下ろしてくれて、ありがとうございます。自力で降りることは不可能でしたから、本当に助かりました!」
お礼の気持ちを伝えて、きっちり45度頭を下げる。
こうでもしないと、俺の気持ちが伝わらないと思ったからだ。
《……頭を上げてください、リョウさん》
その甲斐あってか、ドリアドネさんから返ってきた声は非常に落ちついたものだった。
俺が頭を上げると、ドリアドネさんは仄かに微笑んでいた。
《こちらこそ、カイエンナッツをここまで立派にしてくださって、感謝しかございませんわ。本当にありがとうございます、リョウさん》
ドリアドネさんはそう言うと、とても綺麗なお辞儀をした。
そのお辞儀を受けて俺が思ったのは──
(さっきの俺と同じく45度のお辞儀なのに、ここまで差があるものなんだな……)
などど見当違いな事だった。
何故なら──
「ここは……森? あれ……俺、樹の上に居たはず……!?」
そう……ついさっきまでカイエンナッツ樹の上から降りれなくて困っていたはずだが、気付いたらカイエンナッツの樹を背にして地面に座っていたからだ。
一瞬樹の上にいたのが夢かと思ったが、ゲームの中で夢を見るというのは聞いたことがない。
状況が把握できず、きょろきょろと辺りを見回していると、少し離れた所にいるドリアドネさんとブレンが視界に入った
ブレンはドリアドネさんの肩に乗ってお互い向き合っているので、恐らく念話でもしているのだろう。
と、俺が起きたことにドリアドネさんが気付き、ブレンも気付いたのかこちらに飛んできた。
《リョウさん、気がついたんですね!》
「ん? 気がついた? 俺は気を失ってたのか?」
《そうですよ! と言っても、ほんの数分ですけど》
数分だけ気を失ってた? なぜだ?
それに、俺が気を失ってたのにブレンがあまり心配して無さそうなのが珍しい。
いつもは口うるさいくらいなのに……?
色々と違和感があって俺が考え込んでいると、ドリアドネさんがこちらに歩いて来て──
その姿を見て、唐突に頭に痛みが走る。
「……うぐっ!?」
《リョウさん!? 大丈夫ですか!?》
ブレンの心配する声が聞こえたが、俺はそれどころではなかった。
頭痛と共に色々と思い出したからだ。
あまりに大きくなってしまったカイエンナッツの樹から降りる方法がなくて困っていたところに、ブレンとドリアドネさんが来てくれて。
ドリアドネさんが抱えて下ろしてくれると言ってくれたが、それは恥ずかしいと断って。
ふと気付いたらドリアドネさんの根が俺のほうに伸びてきて、この根はなんなのか聞いて。
そうだ……確かあの根が触れた瞬間からの記憶がない……!?
近付いてきたドリアドネさんからほとんど無意識に後ずさると、ドリアドネさんはとても悲しそうな顔をした。
「ドリアドネさん……さっき樹の上で俺に何をしました?」
《わ、私は……》
《待ってリョウさん! ドリアドネさんにお願いしたのは私なんです!》
「……え……?」
いったいどういうことだ……?
《ドリアドネさんから抱えて降りる提案をした時、リョウさんが嫌がってましたよね?》
「あ~……うん、確かに」
《あの時、既にリョウさんの疲労が限界だと分かっていたので、ドリアドネさんと相談したんです──》
────
「それはちょっと……ほら、いい年の大人が抱えられるなんて恥ずかしいと言うか……」
その言葉を聞いて、私は正直呆れました。
ずっと樹にしがみついていて体力の限界が近いのに、恥ずかしいとか言ってる場合ですか!? ……という感じです。
だから、すぐにドリアドネさんに念話で無理やりでも抱えて下ろしちゃってください! ってお願いしたんです。
でも、ドリアドネさんは無理やり抱えて嫌われるのが怖いと言うので、なにかいい方法がないか相談しました。
それで思い付いたのは、リョウさんが気付かないように抱えて下ろすことでした。
ドリアドネさんの根には対象の相手の意識を混濁させる力もあると聞いたので、こっそりとそれを使ってもらおうとしたんです。
ですが直前でリョウさんが根に気付いてしまって……
慌てたドリアドネさんが少し力加減を間違えて、完全に意識を奪ってしまったんですよね。
すぐにドリアドネさんが根でリョウさんを捕まえてくれたけど、危うく落ちてしまうところでした。
そのまま下までリョウさんを下ろして、樹に寄りかかるようにさせたのが数分前だったのです──
────
ブレンの説明を聞いた俺は、思わず頭を抱えた。
まさかブレンがやらせたことだったとは……道理で俺が気を失っていても心配してないわけだ。
……と言うか、俺ゲームの中で意識失いすぎだろ……
これって、現実に悪影響出たりしないだろうな……?
《あの……本当に、ごめんなさい……ですの……》
「ん?」
ふと気付くと、少し離れたところからドリアドネさんが謝ってきた。
その表情は、今にも消えてしまいたいと思っているように見えるほど暗かった。
「いや、ドリアドネさんが悪い訳じゃないよ。ブレンが頼んだことだし、俺が変に恥ずかしがっていたのがいけないんだからさ」
《ですが、リョウさんの意識を無理矢理に──》
俺は思い詰めた顔をしているドリアドネさんに早足で近付くと、ドリアドネさんの両肩に手を置いた。
「ドリアドネさん」
《はっ、はい!?》
両肩に手を置かれた事で驚いたドリアドネさんから、一歩離れて俺は口を開いた。
「下ろしてくれて、ありがとうございます。自力で降りることは不可能でしたから、本当に助かりました!」
お礼の気持ちを伝えて、きっちり45度頭を下げる。
こうでもしないと、俺の気持ちが伝わらないと思ったからだ。
《……頭を上げてください、リョウさん》
その甲斐あってか、ドリアドネさんから返ってきた声は非常に落ちついたものだった。
俺が頭を上げると、ドリアドネさんは仄かに微笑んでいた。
《こちらこそ、カイエンナッツをここまで立派にしてくださって、感謝しかございませんわ。本当にありがとうございます、リョウさん》
ドリアドネさんはそう言うと、とても綺麗なお辞儀をした。
そのお辞儀を受けて俺が思ったのは──
(さっきの俺と同じく45度のお辞儀なのに、ここまで差があるものなんだな……)
などど見当違いな事だった。
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