60 / 143
2章 村での生活
泉に住む犬とアヒル②
しおりを挟む
これ以上アヒルを問い詰めても仕方がないので、犬はとりあえず人間が居たらしい場所の匂いをクンクンと嗅いでみる。
すると──
(ん……!? この匂い! 音がした所にもあった、おぼえがない人間の匂いと同じだ!)
(おぼえのない、におい?)
(うん! それに……匂いからして、人間は二人居たみたいだよ!)
(そうなんだー!)
(……そうなんだー……じゃなくて、アヒル君は人間を見たんだよね?)
(人間は、一人しか見てないよー?)
(そうなの!? ……たしかに匂いは二人分、あるのになぁ……)
犬は不思議に思いながらなんとなくアヒルを見て──
そんな犬の視界に映ったのは、恐らく直前まで話をしていたときも水の中を食い入るように見つめていたと思われるアヒルの姿だった。
犬は、アヒルがごはんのことばかり考えていて周囲を全く警戒していなかったのだと悟った。
これ以上アヒルに聞いても意味がないと思った犬は、もう少し匂いを嗅いでみた。
(この匂い……何かぼくの知ってる人間たちとちがうと思っていたけど、あくいがほとんどない……気がする)
(あくいって何? たべもの!?)
(……ちがうよ。わるいキモチのこと)
食べ物でないと知って落ち込むアヒルは気にしないことにして、犬はひたすら考え込んでいた。
悪い人間じゃなくても、確かに泉に何かをしていた。
そして水が減り、アヒルが驚いて気付いて大声を出した。
(アヒル君、人間はアヒル君が大声を出したらすぐにいなくなったの?)
(うん! 気付いたら、もういなくなってた!)
(そうなんだね……と言うことは──)
犬は、昔人間が使っていた収納という能力を見たことがあった。
目の前から突然物を消したり出したりできる、スキルというものだ。
そして減ったはずの泉の水は、もう元に戻っている。
泉の水は地下から涌き出てるのだから元に戻るのは当たり前ではあるが……
犬はなんとなく、人間が何をしたのかを察した。
おそらく、泉の水をかなり収納していっただけなのだと。
一応の結論を出して警戒を少し下げた犬に、アヒルは心底悲しそうな声でクワァ~と声をかけてきた。
(犬君……さっき何かをしらべに行ったとき、たべもの見かけなかったかなぁ……?)
(えぇ……ぼく、たべものをさがしに行ったんじゃ──)
(そんなぁ~!)
グワァ~と、落ち込みながら水上でじたばたするアヒル。
そんなアヒルをなだめつつ、犬は泉の近くに集めておいた腐葉土のところにアヒルを呼んだ。
お腹が空いているアヒルはグワグワと文句を言うが、犬がそこを掘り返すと、数匹のミミズが現れ──
(みっ、ミミズだぁーーー!!)
グワー!! と大声で鳴いたアヒルは、目にも止まらぬ速度でミミズを食べ尽くしていく。
あっさりと食べきって物足りなそうに腐葉土を突つき回すアヒルを横目に見つつ、犬は自身も朝からなにも食べておらずお腹が空いてることを思い出した。
果実でも探しに行こうかと思いキョロキョロと周囲を見回していると、泉に入りかけているミミズが一匹いたのを見つけた。
(アヒルくん、まだここにミミズが──)
(え! どこどこ!? あ、見つけたー!!)
アヒルがミミズを見つけて大音量で叫びつつ走り出したとき、運悪く泉にいた魚がミミズを食べてしまった……
(……ぼ、ぼくのミミズ……)
わなわなと震え出すアヒルを慰めようとした犬だが──
(かえせー!!)
突如グワー!! と叫んだかと思うと、魚を追って猛烈な勢いで水中に飛び込んでいくアヒル。
アヒルを慰めようとして近くにいた犬はびしょ濡れになってしまった。
(……つめたい……)
クゥン……と小さい声で呟き体を振るわせて水分を落とすと、自分のごはんを探しにとぼとぼと歩いていく犬だった……
すると──
(ん……!? この匂い! 音がした所にもあった、おぼえがない人間の匂いと同じだ!)
(おぼえのない、におい?)
(うん! それに……匂いからして、人間は二人居たみたいだよ!)
(そうなんだー!)
(……そうなんだー……じゃなくて、アヒル君は人間を見たんだよね?)
(人間は、一人しか見てないよー?)
(そうなの!? ……たしかに匂いは二人分、あるのになぁ……)
犬は不思議に思いながらなんとなくアヒルを見て──
そんな犬の視界に映ったのは、恐らく直前まで話をしていたときも水の中を食い入るように見つめていたと思われるアヒルの姿だった。
犬は、アヒルがごはんのことばかり考えていて周囲を全く警戒していなかったのだと悟った。
これ以上アヒルに聞いても意味がないと思った犬は、もう少し匂いを嗅いでみた。
(この匂い……何かぼくの知ってる人間たちとちがうと思っていたけど、あくいがほとんどない……気がする)
(あくいって何? たべもの!?)
(……ちがうよ。わるいキモチのこと)
食べ物でないと知って落ち込むアヒルは気にしないことにして、犬はひたすら考え込んでいた。
悪い人間じゃなくても、確かに泉に何かをしていた。
そして水が減り、アヒルが驚いて気付いて大声を出した。
(アヒル君、人間はアヒル君が大声を出したらすぐにいなくなったの?)
(うん! 気付いたら、もういなくなってた!)
(そうなんだね……と言うことは──)
犬は、昔人間が使っていた収納という能力を見たことがあった。
目の前から突然物を消したり出したりできる、スキルというものだ。
そして減ったはずの泉の水は、もう元に戻っている。
泉の水は地下から涌き出てるのだから元に戻るのは当たり前ではあるが……
犬はなんとなく、人間が何をしたのかを察した。
おそらく、泉の水をかなり収納していっただけなのだと。
一応の結論を出して警戒を少し下げた犬に、アヒルは心底悲しそうな声でクワァ~と声をかけてきた。
(犬君……さっき何かをしらべに行ったとき、たべもの見かけなかったかなぁ……?)
(えぇ……ぼく、たべものをさがしに行ったんじゃ──)
(そんなぁ~!)
グワァ~と、落ち込みながら水上でじたばたするアヒル。
そんなアヒルをなだめつつ、犬は泉の近くに集めておいた腐葉土のところにアヒルを呼んだ。
お腹が空いているアヒルはグワグワと文句を言うが、犬がそこを掘り返すと、数匹のミミズが現れ──
(みっ、ミミズだぁーーー!!)
グワー!! と大声で鳴いたアヒルは、目にも止まらぬ速度でミミズを食べ尽くしていく。
あっさりと食べきって物足りなそうに腐葉土を突つき回すアヒルを横目に見つつ、犬は自身も朝からなにも食べておらずお腹が空いてることを思い出した。
果実でも探しに行こうかと思いキョロキョロと周囲を見回していると、泉に入りかけているミミズが一匹いたのを見つけた。
(アヒルくん、まだここにミミズが──)
(え! どこどこ!? あ、見つけたー!!)
アヒルがミミズを見つけて大音量で叫びつつ走り出したとき、運悪く泉にいた魚がミミズを食べてしまった……
(……ぼ、ぼくのミミズ……)
わなわなと震え出すアヒルを慰めようとした犬だが──
(かえせー!!)
突如グワー!! と叫んだかと思うと、魚を追って猛烈な勢いで水中に飛び込んでいくアヒル。
アヒルを慰めようとして近くにいた犬はびしょ濡れになってしまった。
(……つめたい……)
クゥン……と小さい声で呟き体を振るわせて水分を落とすと、自分のごはんを探しにとぼとぼと歩いていく犬だった……
0
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる