園芸店店長、ゲーム世界で生産にハマる!

緑牙

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2章 村での生活

泉に住む犬とアヒル②

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 これ以上アヒルを問い詰めても仕方がないので、犬はとりあえず人間が居たらしい場所の匂いをクンクンと嗅いでみる。

 すると──


(ん……!? この匂い! 音がした所にもあった、おぼえがない人間の匂いと同じだ!)

(おぼえのない、におい?)

(うん! それに……匂いからして、人間は二人居たみたいだよ!)

(そうなんだー!)

(……そうなんだー……じゃなくて、アヒル君は人間を見たんだよね?)

(人間は、一人しか見てないよー?)

(そうなの!? ……たしかに匂いは二人分、あるのになぁ……)


 犬は不思議に思いながらなんとなくアヒルを見て──

 そんな犬の視界に映ったのは、恐らく直前まで話をしていたときも水の中を食い入るように見つめていたと思われるアヒルの姿だった。

 犬は、アヒルがごはんのことばかり考えていて周囲を全く警戒していなかったのだと悟った。

 これ以上アヒルに聞いても意味がないと思った犬は、もう少し匂いを嗅いでみた。


(この匂い……何かぼくの知ってる人間たちとちがうと思っていたけど、あくいがほとんどない……気がする)

(あくいって何? たべもの!?)

(……ちがうよ。わるいキモチのこと)


 食べ物でないと知って落ち込むアヒルは気にしないことにして、犬はひたすら考え込んでいた。

 悪い人間じゃなくても、確かに泉に何かをしていた。

 そして水が減り、アヒルが驚いて気付いて大声を出した。


(アヒル君、人間はアヒル君が大声を出したらすぐにいなくなったの?)

(うん! 気付いたら、もういなくなってた!)

(そうなんだね……と言うことは──)


 犬は、昔人間が使っていた収納という能力を見たことがあった。

 目の前から突然物を消したり出したりできる、スキルというものだ。

 そして減ったはずの泉の水は、もう元に戻っている。

 泉の水は地下から涌き出てるのだから元に戻るのは当たり前ではあるが……

 犬はなんとなく、人間が何をしたのかを察した。

 おそらく、泉の水をかなり収納していっただけなのだと。

 一応の結論を出して警戒を少し下げた犬に、アヒルは心底悲しそうな声でクワァ~と声をかけてきた。


(犬君……さっき何かをしらべに行ったとき、たべもの見かけなかったかなぁ……?)

(えぇ……ぼく、たべものをさがしに行ったんじゃ──)

(そんなぁ~!)


 グワァ~と、落ち込みながら水上でじたばたするアヒル。

 そんなアヒルをなだめつつ、犬は泉の近くに集めておいた腐葉土のところにアヒルを呼んだ。

 お腹が空いているアヒルはグワグワと文句を言うが、犬がそこを掘り返すと、数匹のミミズが現れ──


(みっ、ミミズだぁーーー!!)


 グワー!! と大声で鳴いたアヒルは、目にも止まらぬ速度でミミズを食べ尽くしていく。

 あっさりと食べきって物足りなそうに腐葉土を突つき回すアヒルを横目に見つつ、犬は自身も朝からなにも食べておらずお腹が空いてることを思い出した。

 果実でも探しに行こうかと思いキョロキョロと周囲を見回していると、泉に入りかけているミミズが一匹いたのを見つけた。


(アヒルくん、まだここにミミズが──)
(え! どこどこ!? あ、見つけたー!!)


 アヒルがミミズを見つけて大音量で叫びつつ走り出したとき、運悪く泉にいた魚がミミズを食べてしまった……


(……ぼ、ぼくのミミズ……)


 わなわなと震え出すアヒルを慰めようとした犬だが──


(かえせー!!)


 突如グワー!! と叫んだかと思うと、魚を追って猛烈な勢いで水中に飛び込んでいくアヒル。

 アヒルを慰めようとして近くにいた犬はびしょ濡れになってしまった。


(……つめたい……)


 クゥン……と小さい声で呟き体を振るわせて水分を落とすと、自分のごはんを探しにとぼとぼと歩いていく犬だった……
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