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転生〜統治(仮題)
ダンジョン 〜30階
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フィーナと学園長に大勢の冒険者を任せ、オレ達はさらに移動速度を上げながら30階を目指していた。
移動速度を上げた理由は、道案内がいなくなった為に行き止まりに辿り着くようになった為だ。
床にある罠を踏む回数も増えた。矢とか槍が出て来るのだが、猛スピードで駆け抜けているので無事である。出て来た時には通り過ぎているのだから、ダンジョンを作った者が浮かばれないだろう。
しかし、こんな罠だらけのダンジョンを作った奴の顔が見てみたい。・・・ごめんなさい、魔神の顔なんて見たくありません。
21階以降の魔物は急激に弱くなった。宿敵であるスライムさんやゴブリンさんが大多数である。時々コボルトさんもいるのだが、瞬殺しているのでほとんど記憶に残らない。
結局30階のボス部屋まではあっという間だった気がする。例の如く、扉の前で鑑定魔法を使用すると驚きの結果が待っていた。と同時に、ダンジョン製作者の意地の悪さが露呈する。
「このダンジョンを作った魔神は、相当性格が悪いね。」
「どういう事ですか?」
「21階からここまでの間、出て来る魔物は弱かったでしょ?罠に気をつけていれば、誰でも辿り着けると思うし。」
「そうね。・・・それで?」
「完全に油断すると思うんだよね。この分なら、ボスも弱いはずだって。」
オレの言葉に、ティナとナディアが無言で頷く。そして、次の言葉に驚愕の表情を浮かべる。
「ここのボス、ヒュドラなんだよ。それも5体。」
「「え?」」
剣主体で戦うカレンが、脱出に時間が掛かった理由の1つであろう。9つの首を同時に切り落とさなければ、驚異的な速度で再生してしまい倒す事が出来ない。魔法の場合は、火と光属性以外は効果が期待出来ない、非常に厄介な魔物である。
現在のティナとナディアであっても、無傷で勝てるかと言われれば首を横に振るだろう。1体であれば、じっくりと時間を掛ける事で無傷の勝利は可能かもしれない。しかし、同時に5体を相手にして無傷というのは、不可能に近いはずである。というのも、体長は20メートルを超えると言われている為だ。
「私が闘うとなると、毒を受けて殺される可能性があるわね。首を切り落とすなんて芸当も無理かもしれないし。」
「私も1,2体であれば何とかなると思いますが、流石に5体は・・・。」
「伝承を聞いただけで実際に闘った事が無いんだけど、実際どの程度の相手なのかしら?」
思った通り、2人には厳しいようだ。そもそも、オレを含めた全員がヒュドラとの戦闘経験が無い。それに、鑑定魔法で判明したヒュドラの情報を伝えて、その予想が覆る可能性も低い。
「鑑定魔法では、ヒュドラのレベルは200前後になってる。」
「200!?私と大差無いじゃないの!」
「私達が連携しても、正直無事に済むか怪しいですね。」
「連携したらそうだろうね。」
「ルーク?何か作戦があるのですか?」
ティナはオレの様子から作戦があるのかと聞いて来るが、作戦と呼べるようなものではない。完全な力押しで不意打ちをする以外の手段は無いだろう。その前に、聞いておかなければならない。
「ダンジョンは、壊そうとしても壊せないって話だったよね?」
「えぇ。壁を壊してもすぐに元通りになるらしいわ。・・・何だか嫌な予感がしてきた。」
「詠唱しながら近付いて、いきなり火の魔法を撃とうかと思う。」
「禁術ね・・・聞かなきゃ良かった。」
「でしたら、ここで魔法を放った方が安全ではありませんか?」
「もし冒険者の遺品なんかが残ってたら、全部回収しておきたいんだよね。」
ナディアは呆れているが、ティナはオレの心配をしてくれているようだ。そういう所がプラス査定に繋がるんだよね。ナディアもまだまだって事だ。まぁ、それが普通の反応だから、マイナス査定にはなりません。
話を戻すが、多分オレの魔法は遺品ごと焼き尽くしてしまうだろう。先に回収する必要がある。とは言っても、遺品があるのかは実際に入ってみないとわからないのだが。
「じゃあ行って来るから、オレが入ったら扉は閉めて外で待っててね?」
「わかりました。お気を付けて。」
「ルーク、無理なら戻って来なさいよ?」
オレは頷いてからボス部屋の扉を開ける。ヒュドラは近くにいないようだ。しかし広い。このダンジョンの間取りは、一体どうなっているのだろうか?ともかく、今は周囲の観察に集中しなければならない。しかし、薄暗さも相まって部屋の隅々を見る事は叶わなかった。
とりあえず、近くに冒険者の持ち物は落ちていないようだ。あるとすれば、ヒュドラの周辺か胃の中だろう。近付くべきか悩んでいると、何かが動く音がする。音の正体は当然・・・。だが、音の主であるヒュドラは3体しかいない。残る2体を探そうとするが、眼前のヒュドラが大き過ぎて奥が確認出来ない。
「まぁ想定内っちゃ想定内だけど、予定変更かな?しかし、分類としてはドラゴンなのか蛇なのか・・・。手足は無いみたいだから、蛇か?」
誰に言った訳でも無いがこの後の苦労を思い、意図せず声に出してしまう。当然、答えてくれる者はいない。ゲームか何かで見たヒュドラは手足があった気がするが、この世界のヒュドラには無いようだ。ちょっとデカイ奇形の蛇だと思っておこう。
などと呑気に考えていたせいで、ヒュドラに先制攻撃を許してしまう。周囲の確認が済むまでは攻撃しないつもりだったので、それは当然の事なのだが。
3体のヒュドラは左右に体をくねらせながら、素早く距離を詰めるとルークに噛み付こうと襲い掛かる。予想外の動きに、対応が後手に回ったルークは次第に追い詰められる。頭1つ1つがルークの体よりも大きい為、最小限の動きで躱すといった真似が出来ないのだ。
さらには、9つの頭が別の生き物のようでありながら上手く連携が取れている。そんなのを3体同時に相手取るのは厳しいものがあった。
「これは、流石、に・・・無理、だろ、っと!」
途切れ途切れに呟きながら躱し続けていたが、最終的に躱せない状況に追い込まれて美桜を振り抜く。頭を幾つか斬り落とすのだが、どのヒュドラの頭なのか判断出来ない。それ程に3体のヒュドラは入り乱れていた。しかし、ルークの反撃を受けてヒュドラ達が間合いを取る。一息つけると思ったルークだが、突然背後から熱を感じた。
「残りの2体か!ブレスも吐くのかよ!!」
姿の見えなかった残る2体が、背後から不意を突く形で炎を吐き出した。咄嗟に水魔法のウォーターボールを発動して、ブレスを相殺する。その瞬間、距離を取っていた3体が襲い掛かる。隙を突かれたルークは、アイテムボックスからミスリルの刀を取り出して襲い掛かる頭を両断していく。
「神崎流に2刀は邪道なんだけど・・・形振り構ってられないか。」
慣れない二刀流だったが、時折回転しながらも器用に刀を振るって行く。徐々に部屋の奥へと移動しながら、少しずつではあったが周囲の様子を確認していた。しかし、とてもじゃないが全てを確認する事は出来ない。ヒュドラ達の攻撃が鬱陶しいのである。
最初は冷静だったルークも、あまりの連続攻撃にストレスが溜まっていた。限界に達したそれは、ルークに備わっていないと思われた自制心を完全に吹き飛ばす。あろう事か、禁呪を2連発しようと考えたのである。
「いきなり燃やそうとするのがいけないんだよな!だったら先に周りを凍らせればいいんだよ。氷よ来たれ、その身は我が剣となり (以下略) コキュートス!」
ボス部屋一帯が氷に包まれる。続けて禁呪を放とうとしたルークであったが、ヒュドラの様子に気付き詠唱を中断する。
「次行くぞ?炎よ来たれ、その身は・・・あれ?」
そう、ヒュドラ達も凍っていたのである。ルークは勘違いをしていた。ヒュドラの弱点は火と光属性。しかし、他の属性は効果が期待出来ないというだけで、無効という訳では無かったのだ。
「なんだよ、初めからこうすれば良かったのか・・・何か損した気分だよな。」
そう呟きながら、ルークはボス部屋の扉に向かい、ティナとナディアに終わった事を告げる。1人で調べるよりも、3人で調べた方が早いと判断した為だ。ルークに促されてボス部屋に入ったティナとナディアは、ヒュドラの姿を目にしてその大きさに驚く。
「これがヒュドラ・・・大きいですね・・・。」
「ねぇ?もう死んでるのよね?動き出したりしないわよね?」
「死んでるはずだよ?今のうちに壊しちゃう?」
「その方が安心ね!私も手伝うわ!!気持ち悪いし、怖いもの・・・。」
「あ、待って下さい!」
オレとナディアが氷漬けのヒュドラを粉々に破壊しようとすると、ティナが静止する。まさか食べるなんて言わないよね?聞きたくないが、聞かないのも怖い。
「「何?」」
「死んでいるのならば、アイテムボックスに収納出来るのではないですか?」
考えもしなかった事に、オレとナディアの動きが止まる。ナディアの視線がオレに向けられる。出来るの?って言われている気がするが、オレに言わないで欲しい。
「そもそも、ヒュドラなんて持ち帰ってどうするの?」
「そういう意味では無く、ヒュドラだけを収納すれば体内にある異物だけを取り出す事が出来ます。」
「「マジで!?」」
オレとナディアが口を揃えて驚くが、すぐにナディアの視線が冷たいものへと変化する。何となく理解出来た。知らなかったの?って言いたいんでしょ?
「製作者なのに知らなかったの?」
「知らなかったね。そんな使い方は考えて無かったし。それにしても、ティナは良く知ってたね?」
「食材を集めている時に体験しましたから。時間もありませんし、私がやります。2人は周辺の探索をして頂けますか?」
ヒュドラは頼りになるティナさんに任せて、オレとナディアは周辺に何か落ちていないか確認する。オレの方には何も無かったが、奥に向かったナディアは多くの武器や防具等を見つけたようだった。ティナと合流すると、まだ沢山の装備品をアイテムボックスに収納している所だった。
「雑食この上無いな・・・」
「丸呑みだったでしょうからね。しかし、かなりの数よ?私の方は10人分位だったけど・・・」
「こちらはざっと5、60人分でしょうか?」
「100人位って話だったから、あと10人前後か。50階に足を踏み入れた冒険者達かな?」
「まだセーフティエリアの確認が済んでないわよ?」
ナディアの言葉に、セーフティエリアの確認をしていない事を思い出す。ヒュドラを片付けた事で忘れてたよ。そのままティナを手伝いセーフティエリアに向かうと、そこは無人であった。
オレはアイテムボックスからログハウスを取り出し、3人でダンジョンの疲れを癒やす事にした。一眠りしたら、40階を目指す事になる。おそらく、ここから50階までは長丁場となるだろう。
移動速度を上げた理由は、道案内がいなくなった為に行き止まりに辿り着くようになった為だ。
床にある罠を踏む回数も増えた。矢とか槍が出て来るのだが、猛スピードで駆け抜けているので無事である。出て来た時には通り過ぎているのだから、ダンジョンを作った者が浮かばれないだろう。
しかし、こんな罠だらけのダンジョンを作った奴の顔が見てみたい。・・・ごめんなさい、魔神の顔なんて見たくありません。
21階以降の魔物は急激に弱くなった。宿敵であるスライムさんやゴブリンさんが大多数である。時々コボルトさんもいるのだが、瞬殺しているのでほとんど記憶に残らない。
結局30階のボス部屋まではあっという間だった気がする。例の如く、扉の前で鑑定魔法を使用すると驚きの結果が待っていた。と同時に、ダンジョン製作者の意地の悪さが露呈する。
「このダンジョンを作った魔神は、相当性格が悪いね。」
「どういう事ですか?」
「21階からここまでの間、出て来る魔物は弱かったでしょ?罠に気をつけていれば、誰でも辿り着けると思うし。」
「そうね。・・・それで?」
「完全に油断すると思うんだよね。この分なら、ボスも弱いはずだって。」
オレの言葉に、ティナとナディアが無言で頷く。そして、次の言葉に驚愕の表情を浮かべる。
「ここのボス、ヒュドラなんだよ。それも5体。」
「「え?」」
剣主体で戦うカレンが、脱出に時間が掛かった理由の1つであろう。9つの首を同時に切り落とさなければ、驚異的な速度で再生してしまい倒す事が出来ない。魔法の場合は、火と光属性以外は効果が期待出来ない、非常に厄介な魔物である。
現在のティナとナディアであっても、無傷で勝てるかと言われれば首を横に振るだろう。1体であれば、じっくりと時間を掛ける事で無傷の勝利は可能かもしれない。しかし、同時に5体を相手にして無傷というのは、不可能に近いはずである。というのも、体長は20メートルを超えると言われている為だ。
「私が闘うとなると、毒を受けて殺される可能性があるわね。首を切り落とすなんて芸当も無理かもしれないし。」
「私も1,2体であれば何とかなると思いますが、流石に5体は・・・。」
「伝承を聞いただけで実際に闘った事が無いんだけど、実際どの程度の相手なのかしら?」
思った通り、2人には厳しいようだ。そもそも、オレを含めた全員がヒュドラとの戦闘経験が無い。それに、鑑定魔法で判明したヒュドラの情報を伝えて、その予想が覆る可能性も低い。
「鑑定魔法では、ヒュドラのレベルは200前後になってる。」
「200!?私と大差無いじゃないの!」
「私達が連携しても、正直無事に済むか怪しいですね。」
「連携したらそうだろうね。」
「ルーク?何か作戦があるのですか?」
ティナはオレの様子から作戦があるのかと聞いて来るが、作戦と呼べるようなものではない。完全な力押しで不意打ちをする以外の手段は無いだろう。その前に、聞いておかなければならない。
「ダンジョンは、壊そうとしても壊せないって話だったよね?」
「えぇ。壁を壊してもすぐに元通りになるらしいわ。・・・何だか嫌な予感がしてきた。」
「詠唱しながら近付いて、いきなり火の魔法を撃とうかと思う。」
「禁術ね・・・聞かなきゃ良かった。」
「でしたら、ここで魔法を放った方が安全ではありませんか?」
「もし冒険者の遺品なんかが残ってたら、全部回収しておきたいんだよね。」
ナディアは呆れているが、ティナはオレの心配をしてくれているようだ。そういう所がプラス査定に繋がるんだよね。ナディアもまだまだって事だ。まぁ、それが普通の反応だから、マイナス査定にはなりません。
話を戻すが、多分オレの魔法は遺品ごと焼き尽くしてしまうだろう。先に回収する必要がある。とは言っても、遺品があるのかは実際に入ってみないとわからないのだが。
「じゃあ行って来るから、オレが入ったら扉は閉めて外で待っててね?」
「わかりました。お気を付けて。」
「ルーク、無理なら戻って来なさいよ?」
オレは頷いてからボス部屋の扉を開ける。ヒュドラは近くにいないようだ。しかし広い。このダンジョンの間取りは、一体どうなっているのだろうか?ともかく、今は周囲の観察に集中しなければならない。しかし、薄暗さも相まって部屋の隅々を見る事は叶わなかった。
とりあえず、近くに冒険者の持ち物は落ちていないようだ。あるとすれば、ヒュドラの周辺か胃の中だろう。近付くべきか悩んでいると、何かが動く音がする。音の正体は当然・・・。だが、音の主であるヒュドラは3体しかいない。残る2体を探そうとするが、眼前のヒュドラが大き過ぎて奥が確認出来ない。
「まぁ想定内っちゃ想定内だけど、予定変更かな?しかし、分類としてはドラゴンなのか蛇なのか・・・。手足は無いみたいだから、蛇か?」
誰に言った訳でも無いがこの後の苦労を思い、意図せず声に出してしまう。当然、答えてくれる者はいない。ゲームか何かで見たヒュドラは手足があった気がするが、この世界のヒュドラには無いようだ。ちょっとデカイ奇形の蛇だと思っておこう。
などと呑気に考えていたせいで、ヒュドラに先制攻撃を許してしまう。周囲の確認が済むまでは攻撃しないつもりだったので、それは当然の事なのだが。
3体のヒュドラは左右に体をくねらせながら、素早く距離を詰めるとルークに噛み付こうと襲い掛かる。予想外の動きに、対応が後手に回ったルークは次第に追い詰められる。頭1つ1つがルークの体よりも大きい為、最小限の動きで躱すといった真似が出来ないのだ。
さらには、9つの頭が別の生き物のようでありながら上手く連携が取れている。そんなのを3体同時に相手取るのは厳しいものがあった。
「これは、流石、に・・・無理、だろ、っと!」
途切れ途切れに呟きながら躱し続けていたが、最終的に躱せない状況に追い込まれて美桜を振り抜く。頭を幾つか斬り落とすのだが、どのヒュドラの頭なのか判断出来ない。それ程に3体のヒュドラは入り乱れていた。しかし、ルークの反撃を受けてヒュドラ達が間合いを取る。一息つけると思ったルークだが、突然背後から熱を感じた。
「残りの2体か!ブレスも吐くのかよ!!」
姿の見えなかった残る2体が、背後から不意を突く形で炎を吐き出した。咄嗟に水魔法のウォーターボールを発動して、ブレスを相殺する。その瞬間、距離を取っていた3体が襲い掛かる。隙を突かれたルークは、アイテムボックスからミスリルの刀を取り出して襲い掛かる頭を両断していく。
「神崎流に2刀は邪道なんだけど・・・形振り構ってられないか。」
慣れない二刀流だったが、時折回転しながらも器用に刀を振るって行く。徐々に部屋の奥へと移動しながら、少しずつではあったが周囲の様子を確認していた。しかし、とてもじゃないが全てを確認する事は出来ない。ヒュドラ達の攻撃が鬱陶しいのである。
最初は冷静だったルークも、あまりの連続攻撃にストレスが溜まっていた。限界に達したそれは、ルークに備わっていないと思われた自制心を完全に吹き飛ばす。あろう事か、禁呪を2連発しようと考えたのである。
「いきなり燃やそうとするのがいけないんだよな!だったら先に周りを凍らせればいいんだよ。氷よ来たれ、その身は我が剣となり (以下略) コキュートス!」
ボス部屋一帯が氷に包まれる。続けて禁呪を放とうとしたルークであったが、ヒュドラの様子に気付き詠唱を中断する。
「次行くぞ?炎よ来たれ、その身は・・・あれ?」
そう、ヒュドラ達も凍っていたのである。ルークは勘違いをしていた。ヒュドラの弱点は火と光属性。しかし、他の属性は効果が期待出来ないというだけで、無効という訳では無かったのだ。
「なんだよ、初めからこうすれば良かったのか・・・何か損した気分だよな。」
そう呟きながら、ルークはボス部屋の扉に向かい、ティナとナディアに終わった事を告げる。1人で調べるよりも、3人で調べた方が早いと判断した為だ。ルークに促されてボス部屋に入ったティナとナディアは、ヒュドラの姿を目にしてその大きさに驚く。
「これがヒュドラ・・・大きいですね・・・。」
「ねぇ?もう死んでるのよね?動き出したりしないわよね?」
「死んでるはずだよ?今のうちに壊しちゃう?」
「その方が安心ね!私も手伝うわ!!気持ち悪いし、怖いもの・・・。」
「あ、待って下さい!」
オレとナディアが氷漬けのヒュドラを粉々に破壊しようとすると、ティナが静止する。まさか食べるなんて言わないよね?聞きたくないが、聞かないのも怖い。
「「何?」」
「死んでいるのならば、アイテムボックスに収納出来るのではないですか?」
考えもしなかった事に、オレとナディアの動きが止まる。ナディアの視線がオレに向けられる。出来るの?って言われている気がするが、オレに言わないで欲しい。
「そもそも、ヒュドラなんて持ち帰ってどうするの?」
「そういう意味では無く、ヒュドラだけを収納すれば体内にある異物だけを取り出す事が出来ます。」
「「マジで!?」」
オレとナディアが口を揃えて驚くが、すぐにナディアの視線が冷たいものへと変化する。何となく理解出来た。知らなかったの?って言いたいんでしょ?
「製作者なのに知らなかったの?」
「知らなかったね。そんな使い方は考えて無かったし。それにしても、ティナは良く知ってたね?」
「食材を集めている時に体験しましたから。時間もありませんし、私がやります。2人は周辺の探索をして頂けますか?」
ヒュドラは頼りになるティナさんに任せて、オレとナディアは周辺に何か落ちていないか確認する。オレの方には何も無かったが、奥に向かったナディアは多くの武器や防具等を見つけたようだった。ティナと合流すると、まだ沢山の装備品をアイテムボックスに収納している所だった。
「雑食この上無いな・・・」
「丸呑みだったでしょうからね。しかし、かなりの数よ?私の方は10人分位だったけど・・・」
「こちらはざっと5、60人分でしょうか?」
「100人位って話だったから、あと10人前後か。50階に足を踏み入れた冒険者達かな?」
「まだセーフティエリアの確認が済んでないわよ?」
ナディアの言葉に、セーフティエリアの確認をしていない事を思い出す。ヒュドラを片付けた事で忘れてたよ。そのままティナを手伝いセーフティエリアに向かうと、そこは無人であった。
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