Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜

橘 霞月

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転生〜統治(仮題)

遠山の金さん?2

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王都の入り口で女性冒険者3人と合流し、早速諸々の事情説明に入った。

「冒険者ギルドの紹介で来ました。アストルと言います。こちらがギルドで預かった書類になります。」
「わわわ、私はユースティアです!ユティアと呼んで下さい!!早速確認させて頂きます。2人共、その間に自己紹介をお願い。」

ユティアと名乗るエルフの少女がギルドからの書類を受け取り、他のメンバーに自己紹介を促す。

「私はレムリナ!犬の獣人だよ?よろしくね!!」
「シエナルーナ・・・・・シエナでいい。」

エルフ2人に犬の獣人1人の亜人パーティか。未だに差別の残るこの国では、人族が入っていないのも無理はないのだろう。だが、だからこそ危険である。攫われて奴隷にされる可能性が高い。

自己紹介をしている間に、ユティアが書類の確認を済ませたようだった。

「そろそろ出発しないといけませんので、移動しながらの説明で構いませんか?」
「構いませんよ。ちなみに移動手段は?」
「徒歩になります・・・。馬車を借りるお金もありませんので。」

なにやら申し訳なさそうに、上目遣いで説明してくれた。美少女の上目遣いは破壊力抜群である。ここは久々に、美人耐性さんが活躍しそうだ。ユティアだけでなく、レムリナとシエナも美少女なのだ。

「オレが出してもいいんですが・・・まぁ、今回は徒歩で行きましょうか。」

この娘達には悪いが、囮になって貰う必要がある為、馬車は避けたい。日帰りでは、襲われるタイミングが激減してしまうのだ。しかしオレは、ある重大な事実を失念していたのだった。

それに気付かぬまま、王都を後にしたオレ達は今回の依頼について話し合っていた。

「今回の目的は何ですか?ギルドで何も聞かされなかったもので・・・。」
「そうなのですか?今回の依頼は、ゴブリン10体の討伐と様々な薬草採取になります。」
「私達、カイル王国に向かう途中なんだけど、お金が無くなっちゃってさ!沢山稼いでおきたいんだよね!!」

聞いてもいないのに、レムリナがペラペラと自分達の事を喋ってくれる。この調子だと、色々な所で吹聴して回った事だろう。これでは狙われるのも無理はない。

「あ~、目的や懐事情などの情報は、軽々しく口にしない方がいいですよ?」
「どうして?」

本当にわからないといった様子で、シエナが首を傾げる。

「道中で騙されたり、最悪襲われる可能性もあります。皆さん可愛いですからね。」
「「「っ!?」」」

可愛いと言われて、3人が真っ赤になって固まった。亜人は年齢不詳が多いのだが、反応を見る限りどうやら年相応のようだ。

「善人以上に悪人が多い世の中ですからね。女性のみのパーティであれば、尚更警戒する必要があります。襲われてからでは遅いですからね。(襲われるだろうけどね)」
「「「なるほど!」」」

どうやら本気で気付いていなかったらしい。今までは運が良かったという事だろう。それよりも、今回の目的地が気になるところだ。

「ところで、今回は何処まで行くつもりですか?」
「王都から西に6時間程歩いた場所にある、ギール大森林です。」
「6時間!?」
「えぇ。何でも王都の周辺にいた魔物は、近頃全く見掛けなくなったらしいですよ?」
「どっかの冒険者が全部退治しちゃったって噂だった!」

出発したのが9時頃だとして、着いたら15時じゃねぇか!いや、それよりも王都周辺の魔物だ。それは多分、ウチのフードファイターが狩り尽くしたんだと思う。わかってはいたが、ティナさんの食欲が半端ねぇ・・・。

「どうかした?」
「いえ、凄い人もいるものだと思ったもので・・・。」

呆れていた事に気付かれたようだった。このシエナって娘、口数は少ないが結構鋭いようだ。娘って、オレと同年代か。まぁ、シエナは将来有望かな。

その後も他愛無い会話を続けながら進み、昼食を挟んだ事で到着したのは16時近くなってからであった。日没まで約3時間。今後の方針を尋ねる事にした。

「日が暮れるまで時間が無いですけど、このまま森に入りますか?」
「そうですね・・・2時間程探索してから、この辺りで野営の準備に入ろうかと思います。」
「わかりました。で、私が先頭を歩きますか?」
「はいは~い!先頭は私に任せて!!」

レムリナが手を挙げながら飛び跳ねる。ユティアに視線を向けると、頷いてから指示を出した。

「レムリナが先頭で、その後にアストルさん。私とシエナが後方から左右と背後を警戒します。」

全員が頷き、慎重に森へと足を踏み入れる。ギール大森林と呼ばれるこの森だが、オレは初めましてである。周辺の気配を探ってみるが、入り口付近に危険は無さそうだった。

と言うのも、30分程奥に進むとトレントが生息する地域があるらしく、そこを越えなければランクの高い魔物には遭遇しないらしい。手前側にいるのはゴブリンばかりで、低ランク冒険者が良く訪れるとの事だった。

単独行動のゴブリンを何度か相手にし、3人は危なげなく探索を続けている。オレが出る幕は無い。この娘達のランクはEとの事だったが、実力はDランクかそれ以上だろう。パーティで考えれば、Cランクの魔物でも大丈夫そうだった。

森の浅い部分を探索し、予定していた依頼は2時間で達成してしまった。現在は森を出て、野営の準備を行っている。とは言うものの、オレがする事は料理しか無い。彼女達はテントを設営しているが、オレはその辺で適当に休むのだから。

3人の食事を準備し、オレは周辺の見回りをかって出た。そろそろフィーナと連絡を取っておきたいのだ。

「皆さんの分の食事を作っておきましたので、良かったら食べていて下さい。その間に私は周囲の見回りをして来ますから。」
「それなら誰かと一緒に・・・」
「いえ、特に危険も無さそうですから1人で大丈夫ですよ。それに私だけ役に立ってませんからね。1時間程したら戻りますので、皆さんはゆっくりしていて下さい。」

単独行動を心配したユティアが誰かを同行させようとしたので、苦笑混じりに断って森へと足を踏み入れる。彼女達の索敵範囲を抜けた事を確認し、フィーナと連絡を取る。

「遅くなってごめん。なかなか1人になれなくてさ。」
「仕方ないから大丈夫よ。そんな事より、ちょっと問題かも。」
「そっちも?じゃあ、どっちから話そうか?」
「私の方は少し長くなりそうだから、ルークからお願い。」

長くなりそうな話が気になったが、とりあえずオレから話した方が良さそうだ。こっちは大した内容じゃないのだから。

「実は、魔物が全くいないんだ。」
「・・・は?そんな事?」
「そんな事って、結構切実だと思うよ?これじゃあ冒険者は仕事にならないでしょ?」
「あぁ・・・ゴブリン以外のほとんどの魔物は、ティナのお腹に消えたって話だったわね・・・・・。」

やっぱりか。ティナを放置したオレにも責任はある。今度からは出来る限りエリド村の周辺に送り届ける事にしよう。あそこならティナが狩り尽くす心配も無い。

「予想通りで安心したよ。そっちは後で対策するとして、フィーナの言う問題って何?」
「実は最近、周辺国でも行方不明になるエルフや獣人がいるみたいなの。大きな犯罪組織が関わってるみたいで、どうも他国が絡んでるみたいだってスフィアが言ってたわ。」
「他国って・・・ベルクト?」
「あの国の心象が悪いのはわかるけど、この辺の国じゃないわ。」

オレの中では、怪しい事は全てベルクトのせいにしてしまいたい気持ちが強い。それ以外の国と言われても、心当たりが無いのだから。そんな事を考えていたが、フィーナの話が終わっていないのでそちらに耳を傾ける。

「こっちも忙しいから、その国の説明は後にするけど・・・その犯罪組織の連中が、ルーク達の方に向かったみたいなのよ。」
「へぇ・・・いい度胸してるね。」

以前、犯罪奴隷に関わった者は、国が相手でも容赦しないと国内外に通達してある。そんなオレに喧嘩を売る度胸のある奴がいるとは・・・。そんな感情が声に現れたのだろう。フィーナが慌ててオレを窘める。

「気持ちはわかるけど、そいつらは生け捕りにして欲しいって言われてるから!兵を率いて向かうから、私が合流するまでルークは自重して頂戴!!」
「そうだね。・・・考えておくよ。じゃあ、また後でね。」
「ちょっとルーク!!」

まだ何か言いたそうだったが、これ以上は会話を続けたくなかったので強引に通信を切った。頭に血が昇った状態で、嫁さんと会話したくなかったのである。


ユティアには1時間程で戻ると言った手前、このまま引き返す訳にもいかない。仕方がないので、ずっと気になっていたトレントに会いに行く事にした。

だが、すっかり日が沈んだ今は真っ暗である。全速力で駆け抜けられるような場所でも無いので、風魔法を使って空から向かう事にした。2、3分もすると、魔物の気配が濃い場所を見つける。目的の場所は、その手前にある生き物の気配が無い場所となるはず。

考え無しにその場所へ降り立ち、周囲を観察していると何かが動いた気がした。驚いた事に、ほとんど気配が感じられないのだ。光魔法で周囲を照らすと、木々がゆっくり移動しているのが見えた。

「動きは遅いけど、弱い者には脅威だよな。気付かずあの世行きか・・・幸せな最期かもな。」

そんな事を呟きながら、クレアから借りた剣の試し斬りをしてみる。一振りずつ、3体のトレントを両断した所で鞘に仕舞う。日本刀に慣れた自分には、やはり使い難かったのである。

そして、あまりトレントを減らしてしまうと、低ランク冒険者の安全な狩り場を潰しかねない。トレントがいる事によって、比較的ランクの高い魔物がその領域を越えないという事なのだから。


暇つぶしを兼ねて、トレントよりも奥地に生息する魔物討伐を行ったルークであったが、そんな理由で討伐される魔物側はたまったものではなかっただろう。
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