194 / 869
194:危険予知
しおりを挟むお店屋さんで食事をするのは2回目。
コムではいったのが大衆食堂とすると、ここはいっぱしのレストランだ。
師匠が予約をしていてくれたらしく、
個室ではないがゆったりとしたスペースの案内された。
ハンバーグがメインで、あとは大皿料理だ。
煮る、焼くが主で、トマトベースのスープがおいしかった。
待望のハンバーグはさすがに見た目もきれいで、おいしい。
ハンバーガーに入ってるパテをお皿に載せている感じ。
難癖をつければ、もう少し肉汁があってもいいとおもう。
パサついているのだ。
それでもおいしくいただけたと思う。
5人は不満顔だった。
ちなみにわたしたちみな、師匠以外は服を着替えている。
赤い塊の服は目立つし、セサミンたちも目立つ。
トカゲの皮と宝石が目立つのだ。みな、そこを凝視してしまう。
セサミンは手ごたえがありますねと嬉しそうだ。
そしてやっぱり話題はお嬢の話。
へたに名前は出せないのでお嬢で。
その前にあの演技をほめなければ。
「ルグとドーガーのあの涙は演技だったんだね。
ほかの人もつられて泣いてたよ?
あの軍部の人も泣いたって。
マティスもセサミンもうまくまとめてたしね。
ああ、マティスの名を堂々と呼べるのはうれしいね。
ああいう、兄弟もの、反発ののち和解というのはどこの世界でも涙をさそうんだよね。
わたしも事情を知らなければうるっと来てたと思うよ?うん、素晴らしかった!!」
「ああ!姉さん!わたしも姉さんと呼べることがうれしいです。
しかし、名前はどうするんですか?先ほどは名乗っていませんでしたが、
いずれ聞かれますよ?一族の事情としますか?」
「そうだね、どうしようか?マティスはどう思う?」
「愛しい人、名前が必要ならモウでいいだろ?」
「モウだと、砂漠の民、師匠の棒術の弟子、それと一緒だよ?」
「いいじゃないですか?わたしの一番弟子はあなたに変わりないですから。」
師匠もそういうのでこれからはモウと名乗ることになった。
それと、ルグとドーガーは本気で泣いたそうだ。
食後の甘みはやはり果物。
ブドウはあまくおいしかった。皮は丁寧に向いてあり、
スティックで刺す。種もとってあり食べやすい。
これ、凍らせて、白ワイン入れたらおいしんだよ~というと、
あとで買いましょうということになった。
食材と、布関連。これの調達。
では、わたしのおすすめの食堂に行きましょうと師匠がいうので
席を立つとここのオーナー、もとコットワッツの宿屋の主人が挨拶に来た。
「セサミナ様、ようこそ、いらっしゃいました。ワイプ様もご一緒とは。こちらへは会合で?」
「久しいな。そうだ、会合だ。ワイプ様に案内していただいた。」
「食事はいかがでしたでしょうか?王都のはんばあぐ です。」
「ああ、これはザバスでは無理だな。」
「そうでしょうとも。料理というのはこういうものです。
油紙に包んで売るものではない。しかし、この発想はすばらしかった。
出会えたことに感謝しております。
引き揚げたあの宿もお買い上げいただいて。
コットワッツには感謝の念しかありませんね。」
「そう、王都に移住した形になるのだな。紹介したのはメディング様であろう?
今回の会合では見なかったが?」
「そうなんですよ。メディング様のお屋敷に引き籠っているとか。
セサミナ様主催の武の祭りが原因とか、もっぱらの噂。いえ。わたくしは聞いただけでございます。
王都移住の紹介状の頂くのが1日で遅かったらこうもいかなかった。
なんにせよ、わたくしは恵まれている。」
「そうか、屋敷にな。資産を譲って頂く話はお前も聞いていよう。
きっと、あとはゆっくり過ごされるのだろう。わたしもメディング様には感謝の念しかないな。」
「そうでございますね。
ところで、コットワッツ領としては酒の祭りには参加しないので?」
「酒の祭りな。酒の何たるかを知らぬものが参加しても仕方がないだろう。
王都では個人で参加も認められていたはずだ、お前こそ参加はしないのか?」
「いえいえ、王都ではまだ若輩の身なので」
「あははは、お前は、なかなかに先を読むな。
今度、食の祭りも行う予定だ。王都の洗礼された料理を出してもらえればと思う。
ではな、もう少し、王都の食を味わっていこうと思う。」
「ええ、その話も伺っております。はい、是非に。
ワイプ様もまたいらしてください。」
ここの主人も先見の明というか、勘働きというか、
危ないものには近づかない主義のようだ。
危険予知ができるということだろうか。
「王都移住には紹介状がいるの?」
「そうですよ。みながみな、王都に住めるわけではないのです。
なにか手に職とか、秀でているものがあれば、住めますね。
しかし、ここで働いている大半は王都の門の外で暮らしています。
中で働く場所が王都でも、住む場所は外です。」
「師匠は?」
「わたしは中ですよ?これでも副院長ですしね。
なにかあった時はすぐに登院できるようにというのが大前提です。
しかし、最近は帰ってませんね。院の中での仮眠か、外回りか。」
「その副院長の座はダートの妹、リップルの母君になるそうじゃないか?」
「ふふん、それ、オート君の情報ですね?いいんですよ。
そうなるように動いているんですから。
いまの資産院でこの地位は微妙なんですよ。自由になる分責任がでる。
その責任が今はまずいんですよね。
今のうちに降格しておくのが良いのです。
資産受け渡しが終わればそうなると思いますよ?」
「師匠!先を読む力!尊敬します!」
「愛しい人!なぜそうなる!!」
「これは組織で働いたことのある人しかわからない感覚なんよ!
沈みゆく船に誰も乗らない。沈みかけた船から脱出するのは遅すぎる。
一番賢いのは乗らないこと!もしくは平穏に航行しているうちに
別の船に乗りかえること。そのときは、惜しまれつつがなお良い。
決して逃げたなんて思われちゃダメなんだ。
あとで、あの時抜けられてあなたはよかったですね、
っていわれるのが一番いいんだよ。」
「モウ殿は経験ありなんですね?」
「わたしの場合は、わたしが壊れそうだったから先に逃げたよ。」
「ああ、愛しい人。ここではそんなことはない、起きない。私が守るから。」
「ふふふ、ありがとう。わたしもマティスを守るよ?」
「ああ、わかっている。」
師匠おすすめのお店は、京のおばんざい屋さんのように、
大皿が所狭しと並んでいる。
あれと、それ、これは?と言いながら、お皿に入れてもらって食べる。
料金は飲み物含めて銀貨1枚。
あまりに食べすぎるとおかみさんから鉄拳が飛んでくる。
味付けは塩、胡椒、香子。うまく組み合わせているとおもう。
お酒が進む。
あまり食べすぎると、買出しができないので、良い感じでお開きだ。
必要なものをどんどん買っていく。
きっと建材関連はダートから売るなと言っているのだろう。
そんなところは素通り。
布地はさすがに王都だ。レースも豊富にある。
絹も。
「姉さん、正装を作っておきましょうか?
コットワッツのあのマティスが帰ってきたんだ。そういう誘いがあってもおかしくない。」
「んー、そういうのは断って。ここではセサミンの護衛で来てるんだから。
作るんなら、トックスさんにお願いするしね。」
「愛しい人、布だけでも買っておこう。それがあれば私も作れる。」
「人さまの前に出るってことを加味して作ってね?」
「では2種類は作らねば。」
「そうなるよね。」
買っては裏に馬車があると裏通りに行き収納。
師匠が例の差額分もくれたし、まだまだお金持ちだ。
13
あなたにおすすめの小説
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる