193 / 869
193:唯一
しおりを挟む「ブラナダ、私の妻だ。唯一の伴侶、私の半身だ。
美しいと奥方と真実をいったので、本来ならお前に紹介なぞしたくはないが、特別だ。」
この状態でマティスがわたしの腰を抱き寄せて紹介する。
マティスの師匠に対する拒否感とこの人に対する拒否感は少し違う。
今度はご令嬢の目が点になる。
「マティス様?なにをおっしゃっているんですか?」
「エルティー様、兄、マティスの伴侶、唯一の伴侶は彼女です。
あなたではない。」
セサミンがははっきりと言う。
「セサミナ様まで!ああ、結婚はしていますのね。
仕方がありませんね。わたくしとて夫のある身。貴族と王族の務めです。
しかし、それでも、わたくしが上位、わたくしが唯一です。
あなた、先ほどから失礼ですよ?
セサミナ様の護衛らしいですが、離れなさい。
腕もたいしたことないくせに、厚かましい!
あら?あなた、館に入っていった女ね?その耳飾りに覚えがあるわ。
ふふふ、森の中で奇妙な踊りを踊っていたとか?
マティス様?なにがよいかわかりませんが、この者には同じ怪力の小汚い男がお似合いですよ?
あの面布を付けたものはマティス様の従者ですか?」
どこから突っ込めばいいのやら。
マティスの顔を見あげると、彼女が崩れ落ちた。
2人の護衛は慌てて彼女に近づく。
気圧をかえたのかな?ぶわっと風が動く。
「エルティー様!!」
「貴様!なにをした!!」
「何もしていないだろ?お前たち2人も傍でみていたではないか?
妖精に魅入られてまだ本調子ではないのであろう?
とにかく、マティスの奥方でも、許嫁でもないのだから、はやく連れて帰れ。
これ以上この方々に迷惑をかけるな。
まだ、何かあるというのなら、軍部副隊長ブラナダまで来い。
そう、エルティー様にもお伝えしろ。」
2人はしぶしぶ承諾して、ご令嬢を抱えて連れていった。
「あのエルティー様は思い込みが激しくてな。
改めて、仮入隊のときに同期だったブラナダだ。いまは副隊長をしている。
驚いたよ、遠征前にいなくなって、だいぶたってから、
うわさでコットワッツのごたごたは聞いていたんだ。
いろいろあるさとは思っていたが、最近になって手配書にお前の名前は出てきて驚いていたんだ。
なのにさっきのだろ?もう、涙はでるわで、鼻水はでるわで、いやーよかったな。
奥方の、赤い塊の話も聞いている。ぜひ一度、手合わせ願いたい。
もちろんお前ともしてみたい!!」
この人は戦闘馬鹿なのだろうか?
マティスはさっきのセサミンと同じ顔をしている。実にいやそうな顔だ。
そっくりである。
「マティス、ちょっと放して。
この状態であいさつはしにくいから。」
「お前が挨拶することなぞない。」
「マティスの奥方は挨拶もできないって、わたしが笑われるよ?それはいやだな。」
この場合、マティスが笑われると言っても効果がない。
しぶしぶといった感じだが放してくれた。
「初めまして。マティスの妻でございます。
わたしの一族の習わしで口布をしたままでのご無礼をお許しください。」
「コットワッツの広場での手合わせと演武の話は聞いております。
でひ、一度私の部下たちにも披露してやってください。そして手合わせを!」
「ブラナダ君、やめなさい。マティス君の気がひどい。
それと、演武の披露と手合わせはわたしの許可を得てからにしてください。
直接話をするのもダメです。」
「な、ワイプ殿!いつもにもまして気配が読めなかった!いつの間に?
いや、なぜゆえ、ワイプ殿の許可がいるのですか?
マティスの許可がいるというのであればわかりますが?」
「ふふん、そんなこともわからないとは!いってやりなさい。」
「はい。ブラナダ様、わたしたち夫婦はワイプ師匠の弟子なのです。
なので、鍛練に相当することは師匠の許可がいります。」
「ワイプ殿が?はははは!これはおかしい!
ワイプ殿は鍛錬の厳しさでは有名ですが、その実力はかなり落ちます。
なのに、メディングの護衛を倒したあなたが?
マティスも仮入団時ですでに相当なものだった。その2人が弟子なのですか?」
ブラナダは納得いかないようだ。
マティスはワイプの弟子と言われたことに納得いかないようだ。
「我が夫、マティスがセサミナ様の兄であっても、わたしが姉になるとしても、
セサミナ様は仕えるべき主であるように、
ワイプ様は実力はどう思われようとも師匠であることに間違いはありません。
我が主を待たせております。これで失礼いたします。」
そう見せかけているとしても師匠の実力を知らない奴になにも言われたくはない。
「ブラナダ、ワイプが師匠というの不本意なのだが、妻が言うのだ仕方がない。
ではな、もう話しかけるな。」
「え?それだけ?」
ちょっとかわいそうだが、セサミンを待たせているのだ。
いや、待っているのはハンバーグだ!
「おまたせ!セサミン?うまく逃げたね?」
「え?逃げたなんて!さ、街に行きましょう。王都のはんばあぐです。」
セサミンが話を変えようとする。
しかながないか。
「案内しますよ?」
「師匠のお仕事はもういいのですか?」
「ええ、あとは優秀なるオート君にお任せですよ?」
ぶふっ。オートにオート。
やっとのことで、会合の館を出ることが出来た。
13
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる