いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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194:危険予知

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お店屋さんで食事をするのは2回目。
コムではいったのが大衆食堂とすると、ここはいっぱしのレストランだ。
師匠が予約をしていてくれたらしく、
個室ではないがゆったりとしたスペースの案内された。
ハンバーグがメインで、あとは大皿料理だ。
煮る、焼くが主で、トマトベースのスープがおいしかった。
待望のハンバーグはさすがに見た目もきれいで、おいしい。
ハンバーガーに入ってるパテをお皿に載せている感じ。
難癖をつければ、もう少し肉汁があってもいいとおもう。
パサついているのだ。
それでもおいしくいただけたと思う。
5人は不満顔だった。

ちなみにわたしたちみな、師匠以外は服を着替えている。
赤い塊の服は目立つし、セサミンたちも目立つ。
トカゲの皮と宝石が目立つのだ。みな、そこを凝視してしまう。
セサミンは手ごたえがありますねと嬉しそうだ。


そしてやっぱり話題はお嬢の話。
へたに名前は出せないのでお嬢で。
その前にあの演技をほめなければ。

「ルグとドーガーのあの涙は演技だったんだね。
ほかの人もつられて泣いてたよ?
あの軍部の人も泣いたって。
マティスもセサミンもうまくまとめてたしね。
ああ、マティスの名を堂々と呼べるのはうれしいね。
ああいう、兄弟もの、反発ののち和解というのはどこの世界でも涙をさそうんだよね。
わたしも事情を知らなければうるっと来てたと思うよ?うん、素晴らしかった!!」
「ああ!姉さん!わたしも姉さんと呼べることがうれしいです。
しかし、名前はどうするんですか?先ほどは名乗っていませんでしたが、
いずれ聞かれますよ?一族の事情としますか?」
「そうだね、どうしようか?マティスはどう思う?」
「愛しい人、名前が必要ならモウでいいだろ?」
「モウだと、砂漠の民、師匠の棒術の弟子、それと一緒だよ?」
「いいじゃないですか?わたしの一番弟子はあなたに変わりないですから。」
師匠もそういうのでこれからはモウと名乗ることになった。
それと、ルグとドーガーは本気で泣いたそうだ。

食後の甘みはやはり果物。
ブドウはあまくおいしかった。皮は丁寧に向いてあり、
スティックで刺す。種もとってあり食べやすい。
これ、凍らせて、白ワイン入れたらおいしんだよ~というと、
あとで買いましょうということになった。
食材と、布関連。これの調達。

では、わたしのおすすめの食堂に行きましょうと師匠がいうので
席を立つとここのオーナー、もとコットワッツの宿屋の主人が挨拶に来た。

「セサミナ様、ようこそ、いらっしゃいました。ワイプ様もご一緒とは。こちらへは会合で?」
「久しいな。そうだ、会合だ。ワイプ様に案内していただいた。」
「食事はいかがでしたでしょうか?王都のはんばあぐ です。」
「ああ、これはザバスでは無理だな。」
「そうでしょうとも。料理というのはこういうものです。
油紙に包んで売るものではない。しかし、この発想はすばらしかった。
出会えたことに感謝しております。
引き揚げたあの宿もお買い上げいただいて。
コットワッツには感謝の念しかありませんね。」
「そう、王都に移住した形になるのだな。紹介したのはメディング様であろう?
今回の会合では見なかったが?」
「そうなんですよ。メディング様のお屋敷に引き籠っているとか。
セサミナ様主催の武の祭りが原因とか、もっぱらの噂。いえ。わたくしは聞いただけでございます。
王都移住の紹介状の頂くのが1日で遅かったらこうもいかなかった。
なんにせよ、わたくしは恵まれている。」
「そうか、屋敷にな。資産を譲って頂く話はお前も聞いていよう。
きっと、あとはゆっくり過ごされるのだろう。わたしもメディング様には感謝の念しかないな。」
「そうでございますね。
ところで、コットワッツ領としては酒の祭りには参加しないので?」
「酒の祭りな。酒の何たるかを知らぬものが参加しても仕方がないだろう。
王都では個人で参加も認められていたはずだ、お前こそ参加はしないのか?」
「いえいえ、王都ではまだ若輩の身なので」
「あははは、お前は、なかなかに先を読むな。
今度、食の祭りも行う予定だ。王都の洗礼された料理を出してもらえればと思う。
ではな、もう少し、王都の食を味わっていこうと思う。」
「ええ、その話も伺っております。はい、是非に。
ワイプ様もまたいらしてください。」


ここの主人も先見の明というか、勘働きというか、
危ないものには近づかない主義のようだ。
危険予知ができるということだろうか。

「王都移住には紹介状がいるの?」
「そうですよ。みながみな、王都に住めるわけではないのです。
なにか手に職とか、秀でているものがあれば、住めますね。
しかし、ここで働いている大半は王都の門の外で暮らしています。
中で働く場所が王都でも、住む場所は外です。」
「師匠は?」
「わたしは中ですよ?これでも副院長ですしね。
なにかあった時はすぐに登院できるようにというのが大前提です。
しかし、最近は帰ってませんね。院の中での仮眠か、外回りか。」
「その副院長の座はダートの妹、リップルの母君になるそうじゃないか?」
「ふふん、それ、オート君の情報ですね?いいんですよ。
そうなるように動いているんですから。
いまの資産院でこの地位は微妙なんですよ。自由になる分責任がでる。
その責任が今はまずいんですよね。
今のうちに降格しておくのが良いのです。
資産受け渡しが終わればそうなると思いますよ?」
「師匠!先を読む力!尊敬します!」
「愛しい人!なぜそうなる!!」
「これは組織で働いたことのある人しかわからない感覚なんよ!
沈みゆく船に誰も乗らない。沈みかけた船から脱出するのは遅すぎる。
一番賢いのは乗らないこと!もしくは平穏に航行しているうちに
別の船に乗りかえること。そのときは、惜しまれつつがなお良い。
決して逃げたなんて思われちゃダメなんだ。
あとで、あの時抜けられてあなたはよかったですね、
っていわれるのが一番いいんだよ。」
「モウ殿は経験ありなんですね?」
「わたしの場合は、わたしが壊れそうだったから先に逃げたよ。」
「ああ、愛しい人。ここではそんなことはない、起きない。私が守るから。」
「ふふふ、ありがとう。わたしもマティスを守るよ?」
「ああ、わかっている。」


師匠おすすめのお店は、京のおばんざい屋さんのように、
大皿が所狭しと並んでいる。
あれと、それ、これは?と言いながら、お皿に入れてもらって食べる。
料金は飲み物含めて銀貨1枚。
あまりに食べすぎるとおかみさんから鉄拳が飛んでくる。
味付けは塩、胡椒、香子。うまく組み合わせているとおもう。
お酒が進む。
あまり食べすぎると、買出しができないので、良い感じでお開きだ。
必要なものをどんどん買っていく。
きっと建材関連はダートから売るなと言っているのだろう。
そんなところは素通り。
布地はさすがに王都だ。レースも豊富にある。
絹も。
「姉さん、正装を作っておきましょうか?
コットワッツのあのマティスが帰ってきたんだ。そういう誘いがあってもおかしくない。」
「んー、そういうのは断って。ここではセサミンの護衛で来てるんだから。
作るんなら、トックスさんにお願いするしね。」
「愛しい人、布だけでも買っておこう。それがあれば私も作れる。」
「人さまの前に出るってことを加味して作ってね?」
「では2種類は作らねば。」
「そうなるよね。」

買っては裏に馬車があると裏通りに行き収納。
師匠が例の差額分もくれたし、まだまだお金持ちだ。











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