いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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676:ことわざ

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ムムロズさんの館は、
14番門内の住居地区。
だが、隣が15番門内だ。
同じ敷地内にある感じなんだが、なんせ広い。


「カリクは?」
「・・・・。」
「ここの顔役はお前?5年後?」
「代わってもらったよ。売り上げを10倍にする約束でな。
だが、ザスは扱わない。
エフエから購入する分だけだ。
ザスを売る以上の金が入るのなら文句もない。」
「10倍?それはそれは。
ああ、だから、14番門か。
15番門内と外では、商売はできないからな。ははは!!」
「そうだ。」
「撤回するには息子を処分しないといけないしな。
甘いね~。」


なるほど。
名に懸けて売り買いはできないと言ったんだ。
後ろについてくるクインタを見れば、ばつが悪そうに下を向いている。
ということは、わたしと取引したいということか。
売り上げを10倍にするって、どうなん?
単純に取扱商品を10倍にすれば、買ってくれる人がいれば10倍になるわな。
が、そんなわけない。
新しい商品と新しい客がいるんだ。
コットワッツ関連の商品はダメだろうな。
ここでしかない手に入らない商品。
キャムロン、スーリム、あの木の実。
10番門のパーニュさんの宿屋が売り上げ範囲に入っているんなら、
プカプカ関連を卸せるのに。
化粧関連は?
ギーの卵を採ってくるならあの糞尿の山も手に入る。
そして硝石も。

この時点で隠匿を掛けるか。
あくまでも化粧品ということで。
そうすれば、あれから硝石を取ることはできない。
人糞から取るのならかなりの時間と量がいるはず。
でも、どう掛ける?
あれを利用できるのは人に害がないものにだけとすればいいか?
第一次生産品しか無理だろう。
ドーガーの跳弾があたったのは、
対戦相手からの攻撃は無効としたのに、
壁に当たって、跳ね返って来た物だからだ。
爆弾、ダイナマイトも使い方次第。
山を切り崩すものに使うとすれば、
害成すものではなくなる。
人糞から硝石を作り出すよりも、
すでに、あの中で結晶化しているものの方が使い良いだろう。
それを誰が気付く?
今この時点で知っているものは?
陸鳥は砂を食べ、糞尿の山を作り、
その中にギーが卵を産む。

ギーの卵を売り出すのなら、そのこと自体を隠匿するか。
だって、誰も買わないよ?おいしくても。
んー。


横を見るとマティスも厳しい顔をしている。

「マティス?」
「愛しい人、ニックと知り合いだからと言って
優遇することはないんだぞ?」
「もちろん!商売というのは非情なのですよ?
モウモウ商会には駆け引きは通用しないからね!
フっ!こっちを利用しようとするのなら、
逆にケツの穴の毛までむしり取ってやるわ!!」
「い、愛しい人!!」
「あ、下品?えーとじゃ、骨までしゃぶり取る?」
「!!」
「こういうのは、ことわざというか慣用句というか、
そう表現するのね。
んー、そうなるとこっちは言葉がすくないかな?」
「言葉のわざ?」
「そそ。言葉のわざ、うん。
そうだね。それが言霊だね。
そういうのは先人の知恵も含まれているのよ。」
「そうか。だが、さっきのは2人の時はいいが、
ほら、他の者が。」
「あ!」

ニックさんたちが、きゅってお尻に力を入れていた。
そういうのは想像するんだね。




「ようこそ、モウ殿、マティス殿。
そして、ニック殿、お久しぶりです。」

館の前に出迎えてくれたのはテンレさんだ。

「お!テンレか!何年ぶりだ?」
「何年?100年ほどでは?」
「そうか!横に縦にとおおきくなったな!
で、前後にも!!」
「・・・・。」

セクハラだ。

ということは、ムムロズさんと結婚してから会ってないんだ。
カリクさんは20年ぶりとか言ってたのに。
ニックさんの話では子供なのになんというか、迫ってきたと。
次の雨の日で大人になるから結婚しようと。
そのまま、ムムロズさんに仕事を引き継いで逃げたらしい。
早く結婚したかっただけで誰でもいいのだというのは
ありありとわかったそうだ。
ん?じゃ、10歳の時?
からだが大人になってすぐに結婚したってことか?
ここでは普通なんだ。
で、子だくさん。
そりゃ、48で結婚もしてない、子供もいないっていうとおどろくわな。


そんなことを考えてながら、館の中に。



カリクさんの館の中には入っていないけど、
こんな感じなのだろうか?
石材と布の使い方がいいですね。
この石はどこから取ってくるんだろう?
オニキス?裏に光を入れればさぞかし豪華だろうな。
いや、ホテルのロビーじゃないんだから。
でも、欲しいな。

カリクさんもにこやかに待っていた。


「ニック殿、モウ殿、マティス殿。
ようこそ。あとのお二方は?」
「ガイライは来るだろう。」
と、ニックさん。
「ワイプは来れない。別の者が来る。」
と、マティス。

「そうなの?」
「さっき連絡が来た。ツイミが来る。」



(火事の後始末だ。動けないと)
(ツイミさんは動けるの?何のために?)
(商売をするだろ?相手は元資産院だ。不利にならないようにな)
(おお!納税が嫌なわけじゃないからね。手続きが面倒なだけだから!
どうやって来るの?)
(距離があるから飛ばすことはできないようだ)
(じゃ、呼ぶね)


(モウ!)
(ガイライ、来れるの?)
(ダメです。ニックも遠すぎるし、あなたの気配も読めない。
ツイミと一緒にいますので)
(そうか、じゃ呼ぶよ?)
(すいません、お願いします)



外にでて、2人まとめて呼べばいい。
ニックさんはカリクさんたちとお話。
マティスは館の中に探りの気配を飛ばしている。

「ちょっと迎えに行ってきます。」

『ガイライ、ツイミ、我が前に来い!』


「モウ!」
「モウ様!」
「ん。お疲れさま。ガイライはいいとして、
ツイミさん?いいの?こっちに来ても。
こころ強いけど、べつに後でもいいんだし。」
「いえ、わたしがいると逆に足手まといになりますから。」
「火事の始末で?」
「ええ。少しもめています。」
「数?武?」
「両方です。オート院長とソヤに、うちの2人とビャクとクーが付いてます。
演算だけなら、ソヤの方が正確で速いのです。」
「すごいね!でも、カップ君を戻せば?」
「そこまではいきません。
それに、あの2人の鍛錬にもなると。
ただ、対象が3人だとまだ少し不安だそうです。
カップは雨の日前なので、その、頑張ってほしいなと。」
「ああ!なるほど。じゃ、お言葉に甘えよう。よろしくね。」
「ええ。お任せください。」
「ガイライは?ルカリさんどう?」
「ええ。なかなかに。今までとは必死さが違いますので。」
「そうなの?お願いがあるんだよね?そのために?」
「そうですね。それもありますが、いままで、一対一での指導はしていなかったので。
ニックの鍛錬もそうですが、、なかなかにうまく仕上がったと思います。」
「そうかー。何十人と一緒に鍛錬してても目が行き届かないからね。
それは己で補充しないといけないんだけどね。
こっちがお願いして鍛錬してもらってるわけじゃないんだから。」
「そうですね。しかし、あの2軍はお願いしないとしないでしょうね、鍛錬は。」
「あはははは!ダメだね。よかったね、そんな輩のお守をしなくていいもの。
少数精鋭で頑張って。
あ、帰っている間に、ニックさん頑張ってたよ?」
「そのようですね、聞いています。」


銃のことを言わなかったのは、ムムロズさんが傍にいたからだ。



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