いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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675:うぬぼれ

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「それで?ギーの卵は取れたのか?」
「いえ、陸鳥の巣にはいけたそうですが、その匂いがひどくて。
わたしたちは、付いていけませんでした。
持って帰ったギーの卵は素晴らしい味だったので、それを採取したいんです。
ギー、あの山の中にいることはわかったそうです。
父と今度は一緒に巣に行ったんですが、
陸鳥に気付かれしまって。対策を考えないとって。
それで、ジェフェニ?明日一緒に来てくれないか?
お前がいれば、陸鳥はお前に寄ってくるだろう?
その間にあの山を崩そうと思う。」


客足が途切れたから、テーブルに座って話を先に聞くことになった。
ジェフェニさんも座っている。
マティスは釜の改良。


「ジェフェニさんが襲われたら?誰が守るの?」
「父が。山を崩すのはわたしとクラロで。」
「きつい仕事になるね。」
「・・・・あのあと、祖父と父とで話し合いを。
わたしはとんだ間抜けをしていたようです。」
「だけど、隠してたんだろムムロズが?それを責められてもな?」
「わからなかったことが問題なのだと。」
「いやー、そこを言われても。
わからそうとしていたのか?ヒント、手掛かりがあったのかどうなのか?
わからん問題を出されてもそれは出題者の独りよがりだ。
わかってほしいのなら、わかるようにしろよ。
・・・・と、若い時は思ったもんだよ?」
「いえ、はなから拒絶していましたから。
今思えば、祖父も、母も、
もちろん父も理解できるようにしてくれていたと思います。
あなた方にも失礼な態度を取ってしまった。
申し訳ない。」


なかなかに好青年になってるではないか。

?マティスがクインタ?の横を見ている。
なんで?

「まー、なんともな。
ムムロズがこっちに来る前から大変だったから。
隠していたのはいろいろあったからだろうけど、
クインタが産まれたころには、それなりに落ち着いていたはずなんだけどな。
そのままってところが良くないんじゃないかと、
俺は思うわけだ、な?ムムロズよ。」
「お前は知らないからだ。」

ムムロズさんがいつの間にかクインタの横に立っていた。
マティスはムムロズさんに気付いたのか。
わたしは分かんなかったよ!

「そうだろうがな。が、これくらいの年齢からなら十分育ててるぞ?
ガイライはもっと若かったけど。タンダートも、マティスもだな。」

そうか、ニック父さんだ。
しかし、子育てというのはその子の性格に左右される。
性格は遺伝ではないし、環境でもないと思う。
自我だ。最終的に己でどう考えるかだ。
その考えに行きつくまでに遺伝、環境も左右されるが
それは修正可能。
んー、それができるのも環境か。
難しいね。
なにか成長するきっかけは至る所にあるんだけど、
それをそうだと決めるのは自分だ。

今にして思えば、あれがターニングポイントでしたっていうのは、
8割違うと思う。
もっと前に何かあったはず。


このクインタも親父殿の実力を知ったのがきっかけではない。
もっと前だ。
もっと前に何かがあったから、卵採りの統括から、
ここの顔役に、祖父のように、それ以上になろうと思った切っ掛け。
なんだろうな。

ひとのことはいいな。
わたしは?
仕事を辞めて、自分で始めるにしても、
独自で仕事先を開発したわけでもない。
母が亡くなってからも何も変わらずに。

体重は成長していくばかりだったが。

変われるということがうぬぼれか?
結果ありきか?

終わりに向かって進んでいると。
変わったと思うことすら決まったこと。

無人の山中で木が突然倒れたとき音はするか。

これのわたしの答えはするだ。
樹々が聞いているとか、そんなことではない。
その質問をしたことで音が生まれたのだ。

だからここの世界の変化は緩やかだ。
なにも疑問に思わないからだ。

つとめを果たせばいい。




生きることは権利では
なく つとめだと…
ただ黙々とつとめを
果たすことだと…



そうなのだと思っていた。
この詩を詠んだ方の父君は、
獣医だったそうだ。

屠られる生命から何を学んだのだろうか。

わたしはここに来てから学んでいく。


思うがままに、つとめを果たそう
そのための労力は惜しまずに



「愛しい人?どうした?」
「ん?なにも。おなかすいたね。
なんだろうね、お呼ばれのご飯は。楽しみだ。
手土産はお酒と甘味を持っておこうね。」




   
「それで?迎えに来てくれたの?」
「そうだ。」

ニックさんがムムロズさんに聞いている。
マティスはジェフェニにさんに
他に使い勝手が悪いところはないかとと聞いていた。
ジェフェニさんはお料理のお弟子さんだ。
もちろん一番弟子はわたしだけどね。

甘味の定番のクッキーを教えている。
コットワッツの食の祭りでお披露目があったから、
どこで教えても構わない。



「じゃ、行こうか?」
「あと2人、ガイライとワイプは?」
「後で来るよ。」
「場所はわかるのか?」
「わかるだろ?カリクの屋敷って聞けばわかるだろし?」
「いや、わたしの館に。」
「ん?なんで?」
「それも館で話す。」
「ふーん。ま、わかるだろ。」


なんだろ?
まさか、すでに、ザス漬けになってるとか?
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