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第3話:泥沼の領地と、完璧なポタージュ
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北の辺境、ヴォルガード伯爵領。
そこは、私がこれまで見てきた王都の華やかな景色とは対極にある、厳しくも荒涼とした大地だった。
鉛色の空からは冷たい風が吹き下ろし、枯れ木が骨のように立ち並んでいる。
しかし、最大の問題は寒さではなかった。
「……またか。車輪が取られたぞ! 皆で押せ!」
アレクセイ様が御者台から怒声を飛ばす。
領都へ向かう街道は、連日の雨と雪解け水を含んで、底なしの泥沼と化していた。
私たちの馬車は、その泥にタイヤを半分ほど飲み込まれ、立ち往生している。
護衛の兵士たちが総出で車輪を押し、馬が嘶く。
だが、彼らが力を込めれば込めるほど、泥はドロドロに液状化し、さらに深く車輪を飲み込んでいくように見えた。
「くそっ、なんでこの道の土は、踏ん張ろうとすると逃げていくんだ!」
「押せば押すほど沈んでいくぞ! 呪われてるんじゃないのか!?」
兵士たちがパニックになりかけている。
私はため息をつき、ひざ掛けを払いのけて馬車の扉を開けた。
「ヴィオラ、降りるな! 汚れるぞ!」
アレクセイ様が止めるのも聞かず、私はブーツの踵を泥の中に沈めた。
冷たく、ねっとりとした感触。
私はその場で屈み込み、泥を指ですくい上げる。
指先で練り、振動を与え、その挙動を観察する。
――振動を与えると粘度が下がり、静止すると固まる。典型的な挙動だわ。
「……皆様、無闇に力を加えるのをやめてください。逆効果です」
「あ? 逆効果だって?」
「ええ。この土壌は強いチキソトロピー性を持っています」
兵士たちがキョトンとした顔で私を見る。
「簡単に言えばこの泥は、かき混ぜたり衝撃を与えたりするとサラサラの液体になり、放置するとゲル状に固まる性質を持っているということです。あなたがたが必死に足踏みし、車輪を揺らせば揺らすほど、土の粒子構造が破壊されて流動性が増し、泥沼化が進むのです」
「な、なるほど……? じゃあ、どうすればいいんだ」
「土の粒子同士の電気的な反発を抑え、構造を安定させればいいのです。……この近くに、石灰岩の採石場はありませんか?」
「石灰? ああ、少し戻ったところにあるが」
「では、そこから生石灰と、川原の砂利を持ってきてください。配合比率は、土に対して石灰を一割、砂利を三割。これを混ぜ合わせれば、化学反応による脱水効果と、砂利による骨材効果で、即座に地盤が安定します」
私の指示に、兵士たちは半信半疑の顔を見合わせた。
だが、アレクセイ様は即座に決断した。
「聞いた通りだ! 急いで石灰と砂利を運べ! ヴィオラの言う通りにしろ!」
一時間後。
私の指示通りに改良材を混ぜ込まれた泥道は、驚くべき変化を遂げていた。
あんなにドロドロだった地面が、カチカチに――とまではいかないが、馬車の重量を支えてもびくともしない、強固な地盤へと生まれ変わっていたのだ。
「すげえ……! 地面が固まったぞ!」
「馬車が全然沈まねえ!」
歓声を上げる兵士たちを横目に、私は満足げに頷いた。
「土壌改良の基本ですね。ポゾラン反応による硬化を利用しました。これで雨の日でも物流が止まることはありません」
「……お前の頭の中はどうなってるんだ」
アレクセイ様が、呆れたような、それでいて熱を帯びた瞳で私を見下ろしていた。
「ただの泥沼を、一瞬で街道に変えちまうとはな。……おかげで、予定より早く屋敷に着けそうだ」
到着した辺境伯の屋敷は、石造りの堅牢な城塞だった。
しかし、中に入るとひどく寒かった。
「すまん。この屋敷は古くて断熱性が……」
アレクセイ様が申し訳なさそうに言う。
熱伝導率が高すぎる石材が、外気をそのまま室内に伝えている。
「……これでは燃料費が無駄にかかるだけです。明日、大工を手配していただけますか? 植物性樹脂に微細な気泡を混ぜ込んだ発泡断熱材を作って、壁に塗布しましょう。空気の熱伝導率は極めて低いので、薄い層を作るだけで劇的に暖かくなります」
「気泡を……、塗る? またお前の不思議な理屈か。わかった、手配しよう」
アレクセイ様は私の突拍子もない提案を、一切疑わずに受け入れてくれた。
その日の夕食。
食堂には、温かい湯気が立ち込めていた。
驚いたことに、エプロンを外しながら料理を運んできたのは、アレクセイ様本人だった。
「辺境では人手が足りないからな。料理も俺の仕事だ。……口に合うかわからんが」
私の前に置かれたのは、黄金色に輝くコーンポタージュだった。
漂ってくる甘い香りが食欲を刺激する。
「いただきます」
私はスプーンですくい、口に運んだ。
――!
舌の上に乗せた瞬間、適度な抵抗感があり、しかし喉の奥へ送ろうとすると、抵抗なく滑らかに流れていく。
熱すぎず、ぬるすぎず。
素材の甘みが、舌の細胞一つ一つに染み渡るようだ。
「……どうだ?」
アレクセイ様が、少し緊張した面持ちで私の反応を待っている。
「このポタージュ、粘度が絶妙ですね」
「……は?」
「口に含んだ瞬間の静的粘度は高いのに、嚥下しようと舌で圧力をかけた瞬間に粘度が低下する。つまり、口内での剪断速度に対する応力の変化が完璧に計算されています。おかげで喉越しが完全な層流となり、誤嚥のリスクもゼロ。……まさに、流体としての完成形です」
アレクセイ様はしばらく目を白黒させていたが、やがて「ふっ」と肩を揺らして笑った。
「……つまり、美味いということか」
「ええ、極めて美味しいです」
「そうか。おかわりもあるからな」
ぶっきらぼうなその声は、冷え切った私の心に、ポタージュよりも温かく染み渡った。
ここには、私の言葉を遮る人はいない。
私を「可愛げがない」と否定する人もいない。
――悪くない。
私は、この新しい環境を楽しんでいる自分に気がついた。
そこは、私がこれまで見てきた王都の華やかな景色とは対極にある、厳しくも荒涼とした大地だった。
鉛色の空からは冷たい風が吹き下ろし、枯れ木が骨のように立ち並んでいる。
しかし、最大の問題は寒さではなかった。
「……またか。車輪が取られたぞ! 皆で押せ!」
アレクセイ様が御者台から怒声を飛ばす。
領都へ向かう街道は、連日の雨と雪解け水を含んで、底なしの泥沼と化していた。
私たちの馬車は、その泥にタイヤを半分ほど飲み込まれ、立ち往生している。
護衛の兵士たちが総出で車輪を押し、馬が嘶く。
だが、彼らが力を込めれば込めるほど、泥はドロドロに液状化し、さらに深く車輪を飲み込んでいくように見えた。
「くそっ、なんでこの道の土は、踏ん張ろうとすると逃げていくんだ!」
「押せば押すほど沈んでいくぞ! 呪われてるんじゃないのか!?」
兵士たちがパニックになりかけている。
私はため息をつき、ひざ掛けを払いのけて馬車の扉を開けた。
「ヴィオラ、降りるな! 汚れるぞ!」
アレクセイ様が止めるのも聞かず、私はブーツの踵を泥の中に沈めた。
冷たく、ねっとりとした感触。
私はその場で屈み込み、泥を指ですくい上げる。
指先で練り、振動を与え、その挙動を観察する。
――振動を与えると粘度が下がり、静止すると固まる。典型的な挙動だわ。
「……皆様、無闇に力を加えるのをやめてください。逆効果です」
「あ? 逆効果だって?」
「ええ。この土壌は強いチキソトロピー性を持っています」
兵士たちがキョトンとした顔で私を見る。
「簡単に言えばこの泥は、かき混ぜたり衝撃を与えたりするとサラサラの液体になり、放置するとゲル状に固まる性質を持っているということです。あなたがたが必死に足踏みし、車輪を揺らせば揺らすほど、土の粒子構造が破壊されて流動性が増し、泥沼化が進むのです」
「な、なるほど……? じゃあ、どうすればいいんだ」
「土の粒子同士の電気的な反発を抑え、構造を安定させればいいのです。……この近くに、石灰岩の採石場はありませんか?」
「石灰? ああ、少し戻ったところにあるが」
「では、そこから生石灰と、川原の砂利を持ってきてください。配合比率は、土に対して石灰を一割、砂利を三割。これを混ぜ合わせれば、化学反応による脱水効果と、砂利による骨材効果で、即座に地盤が安定します」
私の指示に、兵士たちは半信半疑の顔を見合わせた。
だが、アレクセイ様は即座に決断した。
「聞いた通りだ! 急いで石灰と砂利を運べ! ヴィオラの言う通りにしろ!」
一時間後。
私の指示通りに改良材を混ぜ込まれた泥道は、驚くべき変化を遂げていた。
あんなにドロドロだった地面が、カチカチに――とまではいかないが、馬車の重量を支えてもびくともしない、強固な地盤へと生まれ変わっていたのだ。
「すげえ……! 地面が固まったぞ!」
「馬車が全然沈まねえ!」
歓声を上げる兵士たちを横目に、私は満足げに頷いた。
「土壌改良の基本ですね。ポゾラン反応による硬化を利用しました。これで雨の日でも物流が止まることはありません」
「……お前の頭の中はどうなってるんだ」
アレクセイ様が、呆れたような、それでいて熱を帯びた瞳で私を見下ろしていた。
「ただの泥沼を、一瞬で街道に変えちまうとはな。……おかげで、予定より早く屋敷に着けそうだ」
到着した辺境伯の屋敷は、石造りの堅牢な城塞だった。
しかし、中に入るとひどく寒かった。
「すまん。この屋敷は古くて断熱性が……」
アレクセイ様が申し訳なさそうに言う。
熱伝導率が高すぎる石材が、外気をそのまま室内に伝えている。
「……これでは燃料費が無駄にかかるだけです。明日、大工を手配していただけますか? 植物性樹脂に微細な気泡を混ぜ込んだ発泡断熱材を作って、壁に塗布しましょう。空気の熱伝導率は極めて低いので、薄い層を作るだけで劇的に暖かくなります」
「気泡を……、塗る? またお前の不思議な理屈か。わかった、手配しよう」
アレクセイ様は私の突拍子もない提案を、一切疑わずに受け入れてくれた。
その日の夕食。
食堂には、温かい湯気が立ち込めていた。
驚いたことに、エプロンを外しながら料理を運んできたのは、アレクセイ様本人だった。
「辺境では人手が足りないからな。料理も俺の仕事だ。……口に合うかわからんが」
私の前に置かれたのは、黄金色に輝くコーンポタージュだった。
漂ってくる甘い香りが食欲を刺激する。
「いただきます」
私はスプーンですくい、口に運んだ。
――!
舌の上に乗せた瞬間、適度な抵抗感があり、しかし喉の奥へ送ろうとすると、抵抗なく滑らかに流れていく。
熱すぎず、ぬるすぎず。
素材の甘みが、舌の細胞一つ一つに染み渡るようだ。
「……どうだ?」
アレクセイ様が、少し緊張した面持ちで私の反応を待っている。
「このポタージュ、粘度が絶妙ですね」
「……は?」
「口に含んだ瞬間の静的粘度は高いのに、嚥下しようと舌で圧力をかけた瞬間に粘度が低下する。つまり、口内での剪断速度に対する応力の変化が完璧に計算されています。おかげで喉越しが完全な層流となり、誤嚥のリスクもゼロ。……まさに、流体としての完成形です」
アレクセイ様はしばらく目を白黒させていたが、やがて「ふっ」と肩を揺らして笑った。
「……つまり、美味いということか」
「ええ、極めて美味しいです」
「そうか。おかわりもあるからな」
ぶっきらぼうなその声は、冷え切った私の心に、ポタージュよりも温かく染み渡った。
ここには、私の言葉を遮る人はいない。
私を「可愛げがない」と否定する人もいない。
――悪くない。
私は、この新しい環境を楽しんでいる自分に気がついた。
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