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しおりを挟む語学の授業の次は歴史で、教師の都合により自習だった。
わりと自主性の重んじられるこの学園では自習の時間を教室以外で過ごそうと咎められない。
なので俺らはいつものように生徒会室へと向かった。
一般の生徒は立ち入り禁止だが、俺が生徒会長でセレナードは会計なので問題ない。
セキュリティもバッチリで豪華な部屋は居心地もいいので、生徒会の連中はよく使用している。
自習の課題は簡単なレポート提出だったので、ソファに座りまずはそれを済ませる。
案の定すぐに終えたセレナードはペンを置くと傍らのクッションを膝の上にのせて抱きしめた。
珍しい行動に思わず顔をあげる。
「寝に行かないのか?」
てっきり隣の部屋に直行すると思っていた。
なにせセレナードが生徒会に入ったのは、ベッドが目当てだ。
だけどクッションを抱いたセレナードはふるふると首を振った。
「エリオットに話があるんだ」
「へぇ?なんだ?」
「プロポーズされた」
「……は?」
思わずペンを動かす手が止まる。
ついでに思考と表情も止まった。
「一応報告しとこうと思って」
言いたいことを言って満足気なセレナード。
「じゃあ」とそのまま席を立とうとするセレナードを慌てて止める。
「ちょっと待て、いや、本当に待て」
引き留めれば不満そうな顔をされたが知ったことか。
つか、報告が端的すぎんだよ!
「……誰にだ?」
まずは一番大事な確認を真顔でした俺にセレナードはきょとりと瞬きながら首を傾げる。
「誰……って義兄さまに決まってる」
「だよなっ!」
俺は大いに安堵してソファに凭れ掛かった。
全身の力が抜ける。
義兄さまというのはコイツの血の繋がらない兄、ギルバートのことだ。
俺もよく知っている。
ギルバートがセレナードを愛していることも知っていた。
弟ではなく一人の存在として。
だからそれ自体に驚きはない。
…………にも関わらず、なんでこんな安堵してるかと言えば。「ようやくアイツ告白できたのか」なんて安堵ではもちろんない。
むしろ逆。
セレナードにプロポーズしたのが他所の男だったりしたら……相手の家ごとギルバートが破滅させかねない。
アイツならやる。
絶対にやる!!
この国では男同士だろうと結婚できる。
だが、俺は女の子が好きだ!
だからこそセレナードの性別を知り初恋と共に失恋をしたのだが…………もしあそこで失恋してなかったらきっと俺が消されていた。
そう確信している。
そんな俺だからこその心配だ。
親戚筋でもある公爵家から犯罪者をだすわけにはいかない。
よかった……プロポーズしたのがどっかの子息じゃなくて……。
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