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しおりを挟む「それで?なんて答えたんだ?受けたのか?」
「もちろん」
こっくり頷くセレナード。
「父さまたちも僕がお嫁に行かない!って大喜びだった。昨日はごちそう」
美味かったごちそうを思い出してかにこにこなセレナードを微妙な気持ちで見つめる。
「お前、プロポーズの意味ちゃんとわかってるか?」
「当たり前だろう」
不満そうに頬を膨らませるコイツは本当の本当に理解しているのだろうか?
セレナードがギルバートを好いているのは事実だろう。
だが……お子様のコイツに家族の好きと、そうじゃない好きの違いがわかっているのだろうか?
ギルバートに流されているだけじゃないかと俺はちょっと心配になった。
「お前の好きとギルバートの好きはたぶん違うぞ?」
「知ってる。義兄さまはハチミツ」
「ハチミツ??」
意味が分からない。
ますます心配になってくる。
「僕、もう寝る時間」
掴んだ手を離さない俺にセレナードが不満そうな顔を向けた。
プロポーズの報告だけ済ませたら残りの自習時間はお昼寝に当てるつもりだったのに、俺が予想以上に食いつくから不満なのだろう。
けどそんな報告を聞かされてサラッと流せるかってのっ。
お昼寝どころじゃねぇわ!
「昼寝ならさっきしただろ」
「してない!僕は起きてた!!あの教師との死闘に勝ったんだっ」
「完全負けてたから。それより、ちゃんと話を聞かせろ!まずハチミツってなんだ?」
「ハチミツ……甘くてドロドロ」
「成程」
うっかり納得した。
甘くてドロドロ。
言いえて妙だ。
課題のレポートをしつつプロポーズの経緯を事細かに聞き出した俺はある意味またも納得していた。
「好きなだけ寝てていい」
セレナードが二つ返事で受け入れた理由に納得しつつ、「お前らそれでいいのか?」とプロポーズの決め手に激しく疑問を抱いた俺だった。
結局自習の時間は終わってしまい…………セレナードは盛大にむくれていた。
昼休みになり、副会長たちやほかのメンバーたちが続々と集まる。
「おや、セレナードご機嫌ななめですね?」
「エリオットが寝かせてくれなかった」
ほっぺを膨らませたセレナードが唇を尖らせた瞬間…………バンバンバンッ!と激しく机を叩く音が響いた。
発生源は書記を担当している後輩だ。
パッと見は完全な令嬢に見えるこの女には悪癖がある。
いまの言葉に深い意味なんてないとちゃんと理解している癖に、それでも悶え狂っているのだろう。
いつものことなので放置する。
ただ一人セレナードだけが意味がわからず「どうした?」と首を傾げては「な、なんでもないです」と激しく首を振られていた。
そもそも備品を叩くな。
壊したら弁償させるからな。
フーフーとスプーンに息を吹きかけながらセレナードはエビグラタンを口へと運ぶ。
好物ですぐ機嫌が治るあたり本当に単純だ。
俺の日替わりランチプレートについていたミニプリンをやったのも大きいだろう。
「ごちそうさま。そしておやすみなさい」
いつもの挨拶をしたセレナードは今度こそお昼寝をするために隣室へと向かった。
昼休み終了間際、まだ眠そうなセレナードの手を引いて教室まで連れていく。
お眠なセレナードは若干ふらふらしているし、なにもないところで躓いたりするから危ないのだ。
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