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しおりを挟むその日の六限はLHRだった。
議題は学園祭でのクラスの出し物。
途中で女子連中がやたらと目くばせしあったりしている時点で嫌な予感はしていた。
「案がある人ー」
「はい!!演劇がいいと思います」
サクサクと進んでいく進行。
その様子を見てほとんどの男子も気づいた。
コレ、完全に事前に打ち合わせ済みだ……と。
「演劇とかありきたりじゃないですか?」
「準備も大変そうだしなー」
ヤバいと感じた男子数人が反対意見をだすものの…………。
「話題性を出すのに出演者は全員男子ってどうー?」
「「「賛成ー」」」
「準備は大変かもだけど、折角の学園祭だもん!クラス団結して頑張ろうよ」
「「「ねー」」」
完全なる八百長の気配を感じ、俺たちは諦めた。
話し合いの体をとっているが、もはや出し物は決定だ。
そうして決まった演目は「sleeping beauty」。
「それでぇ……」司会役の令嬢の上目遣いに、きた……と思った。
彼女たちの視線が捉えるのは俺とセレナード。
「主役の眠り姫はセレナード様がいいと思うんですけどぉ」
だろうな。
演者が全員男って時点でセレナードがヒロイン役なことはわかっていた。
ついでに自分がヒーロー役なことも。
「僕……?」
ただ一人、理解してなかった本人だけが不思議そうにきょとりと瞬く。
「はいっ!!是非セレナード様に姫役をお願いしたくて!もちろん王子はエリオット様で!!」
「「「「「お願いします」」」」」
頬をヒクつかせた俺は無駄としりつつ抵抗を試みた。
「協力をしたいのは山々だけれど……我々は生徒会の仕事もあるから……。主役となると色々と難しいかもしれない」
なお、喋っているのは俺だ。
これでも一応王子なんでな。
対面のためにセレナードに人前で猫を被らせているように、俺とて被っている。
親しい相手の前以外では品行方正な王子を演じねばならぬのだ。
「それなら大丈夫です!お二人は練習の参加は必要最低限で構いませんので」
「LHR以外にお時間は取らせません!」
「お二人なら台本もすぐ覚えられるでしょうし!」
「あっ、これ台本です。どうぞ」
もう台本出来てんのかよ?!
完全に決定の上での事後報告じゃねぇか!!
そうして俺たちのクラスの出し物は「sleeping beauty」に決定した。
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