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しおりを挟む各クラスの出し物は決まり次第に内容、使用場所、飲食の提供の有無などが生徒会へと提出される。おおよその概要が生徒会で承認されれば、さらに厳密な企画書の提出を得て正式な認定となる。
そういうわけで翌日からは続々と各クラスの報告書が届いていた。
「皆さんのクラスはなにをするんですか?」
報告書を振り分けながらの副会長の問いに思わず黙り込む。
「あー、なんか展示?国の歴史をまとめるだとか言ってた」
書記のクラスは楽することに走ったらしい。
展示系は人気投票などで上位を狙うことは厳しいが……逆にそれを捨てれば比較的楽ができるし、なにより当日自由に動ける。
経験を積んだ上級生ほど選びがちだ。
ぶっちゃけすごい羨ましい。
「私のクラスは演奏ですわ」
「僕のとこはお化け屋敷ですー。先輩たちも来てくださいね」
「飲み物と軽食の販売です」
「昨日決まらなかったので今日の放課後話し合いの続きを……」
「劇」
後輩たちも自分のクラスの出し物を次々とあげていくなか、セレナードな端的な一言にみんなの興味が集まった。
「先輩たち劇やるんですか?」
「そう。僕が主役」
「えー、なんの劇かもう決まってるんですかぁ?」
「sleeping beauty」
やたらといい発音で告げられた題名に室内が一瞬止まった。
「……ってことは?!先輩ドレス着るんですかっ?!」
書類を飛び散らかせて興奮気味に立ち上がったのは後輩の会計でセレナード曰くの弟子。
コイツは中身を知ってなお、セレナードの美貌にデレデレしてる残念な男だ。
「たぶん、着る」
コクリと頷いたセレナードに渾身のガッツポーズ。
視界の端には残念令嬢も小さくガッツポーズしている姿が映った。
「じゃあ、お前が王子?」
ニヤニヤしてる書記をぶん殴れないのが非常に惜しい(距離的な問題で)。
なのでかわりに書き損じを丸めて投げた。
よっし、命中。
「……ですが、大丈夫なんですか?」
心配そうに副会長が聞いてくるのは「生徒会との両立が」という意味だろう。
断ろうとしたが押し切られたことをうんざりと伝えながらガリガリと後ろ頭をかいた。
「まぁ台本見た限りそれほど負担はでかそうじゃないがな」
「ほとんど台詞なかった」
そう、なにせ演目は「sleeping beauty」。
さすがに赤ん坊を演じるのは無理があるので冒頭のシーンは人形を使用、んでもって成長した姫は糸車で指を刺してサクッと眠りにつく。
目覚めるのは100年後。
王子の俺も後半部分しか出番はないし、周りの連中は姫と一緒にほぼ眠ってるわけだから台詞も少ない。
主人公たちの動きが少ねぇ童話だ。
「しっかし “眠り姫” ねぇ……」
頭の後ろで腕を組んだ書記が意味ありげにセレナードへ視線を流した。
「ハマりすぎだろ」
誰もが頷く。
「僕は美しいからなっ」
腰に手を当てたセレナードは自慢げに胸を張った。
違ぇーよ。
容姿もだけど 眠り姫 ってとこに同意してんだっての。
そんな呆れを察してもいないセレナードは「副会長のとこは?」と質問をし、返ってきた「クレープのお店をするようですよ」という言葉に目をキラキラとさせている。
「絶対行くっ!」
「ふふっ。じゃあセレナードにはトッピングをサービスしますね」
「楽しみっ」
アイスが入ってるのがいい、クリームたっぷり、イチゴ……でもチョコバナナも捨てがたい……とクレープに夢中になっているセレナードと、そんな様子を微笑ましそうに眺めている副会長はまるで親子。
さすがはギルバートにさえ安全視されているだけはある。
きっとそれは人柄だの婚約者を大切にしてるだのの評価だけでなく、この親子のようなやりとりも大いにあるのだろう。
父親じゃなくて母親。
「エリオット?」
そんなことを思った途端、やたらと圧のある笑顔でにっこりと微笑まれた。
なんで心の中で思っただけなのに伝わるんだよ……。
そう慄きつつも素直に「スマン」と謝った。
けど、絶対他の連中も思ってるから。
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